平成2年6月19日に行われた全国選挙管理委員会委員長・書記長会議資料から抜粋したものです。
  1. 候補者等の寄附の禁止関係
  2. 後援団体の寄付の禁止関係
  3. あいさつ状の禁止関係
  4. あいさつを目的とする有料広告の禁止関係

1 候補者等の寄附の禁止関係

問1 「葬式」とは密葬、本葬すべてをいうのか。無宗教式のものはどうか。
「葬式」とは死者を葬る儀式のことをいい、このような儀式であれば、密葬、本葬のすべてが含まれる。また、葬式とは宗教色の有無を問わないもので、例えば「お別れ会」のような無宗教のものもここにいう「葬式」に含まれるものと解する。
   
問2 侯補者等が出席を予定している結婚披露宴や葬式に係る祝儀や香典を事前に相手方(親族でない選挙内にある者)に届けることはどうか。
罰則をもって禁止される。
   
問3 侯補者等の秘書や配偶者などの親族が葬式に代理出席して侯補者等の香典を相手方(親族でない選挙内にある者)に対して供与することはどうか。
罰則をもって禁止される。
   
問4 香典は金銭に限るか。例えば、線香をもっていくことはどうか。
香典は金銭に限られるので、線香をもっていくことは罰則をもって禁止される。
   
問5 侯補者等が葬儀の際、供花・花輪を親族でない選挙区内にある者に対して出すことはどうか。
罰則をもって禁止される。
   
問6 「御供花料、御供物料」(仏式)、「御神前、御玉串料」(神式)、「御花料、御花輪料」(キリスト教式)などの表書きで金銭を供与することも香典(これに類する弔意を表するために供与する金銭を含む。)の供与にあたると解してよいか。
お見込みのとおり。
   
問7 「祝儀」は金銭に限らず、品物も含むと解してよいか。
お見込みのとおり。
   
問8 侯補者等が葬儀の日までの間に自ら弔問しその場においてする香典の供与は罰則の対象とされていない。いわゆる「通夜」に候補者が自ら出席して香典を供与することはこれに含まれると解してよいか。
お見込みのとおり。
   
問9 候補者等が密葬に出た後、本葬に自ら出席し、その都度香典を供与することは処罰の対象となっていないと解してよいか。
お見込みのとおり。
   
問10 密葬の後、候補者等が弔問して遺族(親族でない選挙内にある者)に対して香典を供与することはどうか。
罰則をもって禁止される。
   
問11 会費制の結婚披露宴に候補者等が出席し、定められた「会費」を支払うことは差し支えないと考えてよいか。当該結婚披露宴に秘書が代わりに出席して会費を支払う場合はどうか。
会費制の結婚披露宴に出席して「会費」を支払うことは、それが「会費」である限り、禁止されない。秘書が代わりに出席して会費を支払う場合も、同様と解する。
   
問12 会費制でない結婚披露宴に侯補者等が招待された場合において、侯補者等が出席できないため、秘書を代わりに出席させ、かつ、相手方の了解のもとに提供される料理代等に見合う実費程度の金銭を相手方(親族でない選挙区内にある者)に支払う場合
(1) 候補者等の名義で候補者等が経費を負担することはどうか。
(2) 秘書の名義で侯補者等が経費を負担することはどうか。
(3) 候補者等の名義で秘書が経費を負担することはどうか。
(4) 秘書の名義で秘書が経費を負担する場合はどうか。
(1)、(2) 法第199条の2第1項に違反し罰則の対象となる。
(3) 法第199条の2第2項に違反し罰則の対象となる。
(4) 差し支えない。
   
問13 会費制の出版祝賀会に候補者等が無料招待された場合において、相手方(親族でない選挙区内にある者)の了解のもとに無料招待を辞退して会に参加した場合、会費を支払うことはできるか。
会費を支払うことはできる。
   
問14 会費制でない出版祝賀会に侯補者等が招待された場合において、提供される料理代等に見合う実費程度の金銭を相手方(親族でない選挙区内にある者)に出すことは、差し支えないか。
侯補者等が行事に招かれた場合には、「包金を置くことは一般的には債務の履行としてなされるものとは認められないので、寄附となり選挙区内にある者に対してすることは禁止される」との実例があり、所問の場合は、罰則をもって禁止される。
   
問15 侯補者等が妻や秘書名義で選挙区内にある者に対して寄附をすることは罰則をもって禁止されると解してよいか。
お見込みのとおり。
   
問16 候補者等が匿名で選挙区内にある者に対して寄附をすることは罰則をもって禁止されると解してよいか。
お見込みのとおり。
   
問17 葬儀の際の読経などに対するお布施は寄附に当たらないと考えてよいか。
役務の提供に対する債務の履行と認められる限り、お見込みのとおり。
   
問18 候補者等が自筆の色紙を選挙区内にある者に対して贈ることはどうか。選挙区内にある者から差し出された色紙に揮毫をすることはどうか。
答色紙を贈ることは寄附にあたるので禁止される。相手方が持参した色紙に揮毫をすること自体は、一般的には寄附にはあたらない。
   
問19 候補者等が氏子である神社や檀家となっている寺(選挙区内にある)の社殿や本堂修復のため、侯補者等が寄附をすることはどうか。
罰則をもって禁止される。
   
問20 候補者等が町内会の野球大会に際してカップや記念品を贈ることはどうか。
罰則をもって禁止される。
   
問21 候補者等が町内会の野球大会に際して優勝者の持ち回りとするためのカップを貸与することは罰則の対象となるか。
物品の貸与も財産上の利益の供与に該当するので罰則の対象となる。
   
問22 候補者等が行う政治教育のための集会において侯補者等が湯茶及びこれに伴い通常用いられる程度の茶菓を選挙区内にある者に対しで提供することができるか。
差し支えない。
   
問23 「当該選挙区内にある者」の意義如何。
当該選挙区内に住所又は居所を有する者のみではなくその区域に滞在している者をも含む意味である。
   
問24 「当該選挙区内にある者」には、自然人及び法人の外、法人格なき神社寺院等も含まれるか。
単に自然人及び法人のみではなく、人格なき社団をも含むものであると解する。
   
問25 市長又は市議会議員が自己の財産を次の相手に対して寄附することはどうか。
(1) 当該市
(2) 当該市を包括する県
(3) 国
罰則をもって禁止される。
   
問26 候補者等が選挙区内にある者に対してするお中元、お歳暮、入学祝、結婚祝、出産祝、お祭り等の寄附、餞別等従来から慣行として行われているようなものも寄附に該当し禁止されるものと解してよいか。
お見込みのとおり。
   
問27 日本赤十字社に対して社費(年額500円以上)を公職の候補者等が払うことは寄附にあたるか。
社員になるための必要最低限の社費(年額500円)を納付することは寄附にはあたらないが、当該金額を超えて納付する場合は寄附にあたる。
   
問28 市が「○○○市長甲野太郎」と表示して記念品を贈呈すること(選挙区内にある者に対して)は法第199条の2第2項の候補者等を名義人とする寄附の禁止規定に違反するか。
一般的には違反しない。(なお、長の氏名を表示することは、法第199条の3の立法趣旨にかんがみ差し控えられたい。)
   
問29 甲野太郎が候補者等である場合、A株式会社が「A株式会社社長甲野太郎」と記載したのし袋をつけた中元を選挙区内にある者に贈ることはできるか。
法第199条の3の候補者等の関係会社等の寄附の禁止規定に該当するものであり、選挙に関するものであれば罰則の対象となる(法第249条の3)。また、寄附の態様により、候補者等がする寄附であると相手方に認知させる場合(例えば、「甲野太郎」の部分を大書きし、「甲野太郎からです」などという場合)には、「候補者等を寄附の名義人とする寄附」にも該当し、選挙に関するものでなくとも罰則の対象となる。
   
問30 有権者が、威迫してあるいは政治家を陥れる目的で寄附を求めると処罰されるが、「威迫して」とは、どういう意味か。
「威迫」とは、「人に不安の念を抱かせるに足りる行為」をいうものである。
   
問31 町内会の役員は、町内にいる候補者等に対して祭の寄附の勧誘・要求をしてはならないと解してよいか。
お見込みのとおり。
   
問32 上記の場合、侯補者等を威迫して寄附の勧誘・要求をした場合は罰則の対象となると解してよいか。

お見込みのとおり。

 

2 後援団体の寄附の禁止関係

問33 後援団体の「設立目的により行う行事又は事業」とは、その団体の設立目的の範囲内において行う団体の総会その他の集会、見学、旅行その他の行事や印刷、出版などの事業をいうものと解してよいか。
お見込みのとおり。
   
問34 選挙前の一定期間以外の期間において後援団体の10周年記念大会で会員(選挙区内にある者)に対して記念品を配ることは差し支えないか。
後援団体の設立目的により行う行事又は事業に関してされるものと認められる限り一般的にはお見込みのとおり。
   
問35 選挙前の一定期間以外の期間において後援団体の見学旅行会で会員(選挙区内にある者)に対して通常用いられる程度の食事の提供をすることは差し支えないか。
後援団体の設立目的により行う行事又は事業に関してされるものと認められる限りお見込みのとおり。
   
問36 選挙前の一定期間以外の期間において後援団体が主催する会員のゲートボール大会において後援団体が優勝者に賞として後援団体の会長杯を寄贈することはどうか。また、優勝者に高額な時計等を寄贈することはどうか。
前段:後援団体の設立目的により行う行事、事業に関してされるものであれば禁止されない。
後段:高額な時計等を寄贈することは後援団体の設立目的により行う行事、事業に関するとは認められない場合が多く祝儀に該当すると認められる場合もあると考えられる。
   
問37 後援団体の設立目的に会員の親睦が人っている場合、花輪、供花、香典、祝儀等を出すことはどうか。
罰則をもって禁止される。
   
問38 後援団体が町内の老人会の設立10周年記念やソフトボール大会に祝いを出すことはどうか。
罰則をもって禁止される。
   
問39 後援団体が町内の老人クラブのバス旅行に際し、その老人クラブに餞別を贈ることは許されるか。
当該餞別を贈ることは、一般にその後援団体の設立目的により行う行事又は事業に関するものとは認められず罰則の対象となるものと考えられる。
   
問40 後援団体が選挙区内にある者の家の新築祝いを出すことはどうか。
罰則をもって禁止される。
   
問41 花輪、供花、香典、祝儀その他これらに類するものとは何か。
「花輪、供花、香典、祝儀その他これらに類するもの」とは、花輪、供花、香典、祝儀のほかに、「これらに類するもの」としてしきび、法事等における供物(料)や各種の式典における盛物等が考えられる。
   
問42 選挙前の一定期間において、後援団体が後援団体の総会に出席した会員に通常用いられる程度の食事を提供することは罰則をもって禁止されると解してよいか。

お見込みのとおり。

 

3 あいさつ状の禁止関係

問43 印刷した時侯のあいさつ状に侯補者等が住所と氏名を自署したものは自筆によるあいさつ状と認められないと解してよいか。
お見込みのとおり。
   
問44 ワープロによるあいさつ状は自筆によるあいさつ状とは認められないと解してよいか。
お見込みのとおり。
   
問45 昨年もらった年賀状(答礼のための年賀状は出していない。)に対して今年その答礼として年賀状を出すことはどうか。
禁止される。
   
問46 クリスマスカードは年賀状、寒中見舞状、暑中見舞状その他これらに類するあいさつ状に含まれると解してよいか。
お見込みのとおり。
   
問47 年賀状、寒中見舞状、暑中見舞状その他これらに類するあいさつ状には大会などの祝電や弔電が含まれないと解してよいか。
お見込みのとおり。
   
問48 年賀電報、電子郵便により選挙区内にある者に対して年賀のためのあいさつ状を出すことは禁止されると解してよいか。
お見込みのとおり。
   
問49 「喪中につき年賀のあいさつを失礼します」なる欠礼のはがきを選挙区内にある者に対して出すことはできるか
年賀状に類するあいさつ状と認められるので、できない。
   
問50 選挙区内にある者に対するハガキの中に、時侯のあいさつとそれ以外の政策の周知のための文言がある場合の解釈如何。
時候のあいさつとそれ以外の文言がある場合には、全体としてみて時候のあいさつ状であるかどうかを判断すべきである。
   
問51 ファックスにより選挙区内にある者に対して年賀のためのあいさつ状を送ることは禁止されると解してよいか。
お見込みのとおり。
   
問52 弔電や各種の大会についての祝電は禁止されるのか。

禁止されない。

 

4 あいさつを目的とする有料広告の禁止関係

問53 政策広告は禁止されるのか。
政策広告は一般的にはあいさつを目的とする有料広告には該当しないので禁止されない。
   
問54 選挙区内にある者に対する有料の政策広告の中にあいさつ文を入れることは禁止されるのか。
有料の政策広告の中に「あいさつ」文を入れたことにより全体としてみて、主として、年賀、寒中見舞、暑中見舞その他これらに類するもののためにするあいさつを目的とする有料広告に該当すると認められる場合、主として、慶弔、激励、感謝その他これらに類するもののためにするあいさつを目的とする有料広告に該当すると認められる場合は、当該有料広告は罰則をもって禁止される。
   
問55 「年賀、寒中見舞、暑中見舞その他これらに類するもののためにするあいさつ」には余寒見舞、残暑見舞も含まれると解してよいか。
お見込みのとおり。
   
問56 「慶弔、激励、感謝その他これらに類するもののためにするあいさつ」とは具体的には、どのようなものが考えられるか。
各種の大会に係る祝いや人の死亡に係るあいさつ、地元の高校の野球大会への出場に係る激励のあいさつ、また、後援団体の結成20周年にあたりこれまでの支援に対する感謝のあいさつ、さらには災害見舞等が考えられる。
   
問57 選挙区内において候補者等自身が自ら喪主となった葬儀の会葬御礼の広告を新聞に有料で掲載させることはできるか。
罰則をもって禁止される。
   
問58 会葬御礼広告として禁止される例を示せ。また、死亡広告として許される例を示せ。
(1) 会葬御礼として禁止される例としては次のようなものが考えられる。

会葬御礼として禁止される例


(2) 死亡広告として許される例としては次のようなものが考えられる。

死亡広告として許される例

   
問59 候補者等自身が発行する政策の普及宣伝のための雑誌、パンフレット等にあいさつ文を掲載することはできるか。
差し支えない。
 
問60 市が市長の氏名を表示した年賀状を出すことは法第147条の2(あいさつ状の禁止)違反となるか。
一般的には違反とならないが、法第147条の2の趣旨にかんがみ氏名を表示しないなど適切な配慮をすることが望ましい。
 
問61 市が市長の氏名を表示して新年のあいさつ広告を有料で新聞に掲載することは法第152条第1項(あいさつを目的とする有料広告の禁止)違反となるか。

違反とならないが、法第152条第1項の趣旨にかんがみ氏名を表示しないなど適切な配慮をすることが望ましい。