2005年12月2日 作成

平成17年第4回吉田町議会定例会(平成17年12月2日開会) 「町長の行政報告」

 平成17年第4回吉田町議会定例会の開会に当たり、町政運営の概況等についてご報告申し上げます。
 「小さくて効率的な政府」の実現を目指す我が国では、平成18年度の予算編成を前に、既存制度の見直しが多角的に進められております。こうした中で、財政制度等審議会から国の予算編成の指針となる建議が11月21日に提出されましたが、この建議には、平成18年度予算編成の最重要課題に医療制度改革を掲げるとともに、地方財政計画の見直しの中で進める地方交付税制度の見直し、三位一体改革の実現、国家公務員の人員純減、地方公務員の人員純減と給与水準等の適正化などの項目が盛り込まれ、特に、社会保障と地方財政、公務員人件費の3分野に重点を置いた内容となっておりました。政府は、この建議を受け、11月26日に、平成18年度の予算編成方針原案を発表しましたが、報じられた内容では、平成18年度予算を「改革の総仕上げ予算」と位置付け、一般歳出を減額するほか、地方公務員の人件費削減などを通して、地方財政の財源不足を積極的に解消する方針などが盛り込まれる様子となっております。
 こうした改革に向けた一連の流れの中で、国では、地方公共団体に対して、本年3月29日に総務省が示した「地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針」に基づく行政改革への取組みについて厳格な対応を行うように求めており、その取組状況については、テーマごとに公表し、その進捗管理を衆人環視のもとで行うこととしております。
 当町では、国の動きに先んじて、地方分権の受け皿となるための行政改革の推進に踏み切り、行財政構造改革推進方針や実施計画を取りまとめるとともに、独自の視点をもって行政改革大綱策定にも着手したところ、国から、平成21年度末を目標年次とする行政改革大綱の策定を求められたため、国の指針との整合を図りながら町独自の大綱を定めるよう事務を進めてまいりました。皆様方ご承知のとおり、当町の行政改革大綱策定は、改革を実践しながら行ってまいったものですので、管理職手当の抑制、優遇退職制度の是正、定員管理計画の策定、指定管理者制度導入に向けての基本方針の策定、特殊勤務手当の適正化などについては、既に一定の成果を上げており、その一環として、今定例会には、吉田町職員の特殊勤務手当に関する条例の一部改正と吉田町の公の施設に係る指定管理者の指定手続等に関する条例の制定議案を上程させていただいております。
 対象年次を平成18年度から平成22年度までの5年間とする当町の第3次行政改革大綱の策定に当たっては、町民の代表で構成する「行政改革懇話会」を設置し、5月から11月にかけて6回の会議を重ねる中で、忌憚のないご意見やご提案を頂戴し、その内容を踏まえながら内部組織である「行財政構造改革推進本部」において協議を重ね、全体を取りまとめてまいりました。同時に、大綱の内容を具体的に実践するための吉田町行政改革実施計画も策定いたしましたが、この計画には、できる限り明確な数値目標等を盛り込むように努めました。
 この計画の一端を申し上げますと、事務事業の見直しに関しましては、PDCAサイクルを取り入れた行政評価システムの構築や指定管理者制度の活用などを掲げており、指定管理者制度につきましては、平成18年4月から11箇所の施設において導入を予定しております。次に、定員管理・給与の適正化等につきましては、定員管理の適正化を図るための定員管理計画を策定し、平成16年度における職員数と比較して、5年後に当たる平成21年度末には4.6%以上の数の職員削減を打ち出しております。さらに、この実施計画の内容を反映しながら同時進行的に定めました吉田町定員管理計画では、実施計画の目標を上回る4.91%の純減率を掲げました。給与の適正化では、年功的な昇給運用から勤務実績を重視した昇給運用への転換などを盛り込んでおります。また、町民参画のまちづくりでは、男女共同参画基本計画に沿って町政に参加し易い仕組みづくりを行い、町民の声を施策に反映するパブリックコメント手続き制度等の導入を目指しております。
 このように、行政改革大綱とその実施計画が策定され、今後取り組むべき方針が明確化されたことにより、当町で只今取り組んでおります行財政構造改革が、より一層計画的かつ効果的に進むものと考えております。町民の皆様方には、広報などを通して、大綱や計画の内容はもとより、取組みの経過につきましても適宜ご報告申し上げる予定でおります。なお、議員各位には、11月30日に、行政改革大綱、実施計画、定員管理計画を配布させていただきました。そして、今定例会の会期中となります8日には、その内容を説明させていただく機会を設けていただきましたので、こうした取り組みを行っております背景や内容をご理解いただき、引き続きご支援賜わりますようお願い申し上げます。
 また、吉田町行財政構造改革推進方針には、地域再生プランや構造改革特区に対しましても積極的に取り組むとの方針を明示しておりますが、地域再生プランにつきましては、既に2事業について認定を受け、事業を実施しております。そして、構造改革特区につきましても、この度、「吉田町教育特区」の申請を内閣府に行ったところです。
 申請の概略を申し上げますと、現行法では、学校を設置できる主体は、国、地方公共団体、学校法人に限定されており、設置する場合は、土地及び施設を自己所有にしなければならないことになっております。これが、吉田町教育特区が認定されて、当町が構造改革特別区域になりますと2つの規制が緩和され、「学校設置会社による学校設置」と「敷地・校舎の自己所有を要しない学校設置」が可能になります。つまり、株式会社が借地して吉田町内に学校を設置することができるようになり、その学校の設置に関する認可を町が行うことになります。
 この申請は、実際に創業意欲を持つ事業者の提案を受けて行ったもので、計画している学校は、広域通信制という形態をとる高等学校です。主たる授業は、インターネットなどを活用して行う自宅学習となり、スクーリングは年に数日間となります。この学校には、向学心を抱きながらも、多様な社会環境の中で、スクーリング主体の学校に通えない生徒や全日制に馴染めない生徒などが入学するものと思われます。町では、将来を担うべき学習意欲のある子どもたちを支援できるとともに、特色ある高校に様々な人材が集うことによって、当町の刺激となり、そのエネルギーが町の活性化につながるほか、経済的な波及効果も期待できると考え、この特区申請に踏み切ったものであります。
 この申請は、内閣府の審査を受け、去る11月22日に認定する旨の内示を受け、今月6日には、首相官邸において認定式が開催される予定になっておりますので、今後は、構造改革特別区域法や学校教育法などの関係法令に基づいて、学校設置に係る手続きを適切に進めてまいります。
 続きまして、第4次吉田町総合計画の策定作業の進捗状況をご報告申し上げます。
 平成27年度を目標年次とする第4次吉田町総合計画の策定に向けて、これまで揃えた各種資料をもとに、基本構想と基本計画の原案をつくり、内部組織である「地域づくり推進委員会」で検討を重ね、概ね方向性がまとまりましたので、「吉田町開発審議会」に諮問させていただいたところであります。基本構想につきましては、議会の議決事項となるものでありますので、計画がまとまりましたところで、その内容をご説明させていただきたいと考えております。
 続きまして、ホームページのリニューアルについてご報告申し上げます。
 本年9月議会定例会でお認めいただきましたホームページのリニューアルにつきましては、内部組織である「OA化推進委員会」で詳細の検討を行っておりますが、利用者の視点に重きを置いて、暮らしに役立つ情報、観光情報、防災情報やイベント情報なども盛り込みながら、ユニバーサルデザインに配慮した内容とすることを検討しております。新たなホームページの開設と維持管理は、業者委託によって行う方針ですが、操作の容易さや安全面も確保できる業者にお任せしたいという意向から、プロポーザル方式による業者選定といたしました。現在、来年2月の開設を目指して、リニューアル作業に取り組んでおりますので、ご期待いただきたいと思います。
 また、IT技術の活用は、図書館でも実施しておりますが、現在、図書館では、館内の利用者用端末を使い、借りている資料や返却日、資料の予約状況などをご確認いただけるとともに、利用者のご自宅からインターネット回線で、図書館の情報、資料検索、資料予約などができ、図書館側からも利用者に対して予約資料のご連絡などを行う双方向通信によるサービスの提供を実施しております。このサービスを受けるためには、パスワード等の登録が必要となりますが、本年10月末における登録者は336人ですが、徐々に増加する傾向にあります。館内でも、利用者の方々のご要望に応じたコンピュータ操作アドバイスなども行っておりますし、今後、さらにIT技術を活用したサービスに努めてまいりたいと思っております。
 次に、新たな企画に基づく健康づくり教室についてご報告申し上げます。
 この事業は、若い世代からの運動習慣定着を目的に、今年度新たに計画したもので、40歳から65歳までの方々を対象とした教室です。参加者には、健康運動士の指導のもとでトレーニングを行っていただき、受講開始時と受講終了時に体力年齢を測定することによって、その効果を認識していただくようにしております。また同時に、それぞれの参加者の望ましい食生活について栄養士がアドバイスするほか、健康講話や座談会を開催して、仲間意識を抱いていただきながら心身の健康づくりを達成できるカリキュラムとするように工夫を凝らし、参加者が、日常的に健康づくり意識を持ち、運動習慣を持続していただける教室として定着させることを目指しております。
 続きまして、高齢者の健康づくり事業である生きがいデイサービス通所事業についてご報告申し上げます。
現在、北区いきいきセンターで行っておりますデイサービスは、週4回の運営で、1日約10人の方々にご利用いただいておりますが、利用者からは、「通所することによって生活に変化が生じ、気持ちに張りを持てるようになった。」との声も聞くことができ、介護予防に十分役立っていると感じております。平成18年度からは、介護保険法の改正より、介護予防重視型システムへの転換と新たなサービス体系の確立が求められており、その一環として、只今、地域包括支援センターを設置するための準備などを進めているところです。
 次に、青少年健全育成大会についてご報告申し上げます。
 町では、次世代を担う青少年の健やかな成長を願って、「笑顔いっぱい運動」を展開しておりますが、本年11月12日に、初めて「吉田町青少年健全育成大会」を開催し、この運動の取組状況などを紹介させていただくとともに、吉田町笑顔いっぱい運動啓発ポスターコンクールの表彰を行うなど、運動をさらに広げるための気運づくりを行いました。また、大会では、佐々木光郎静岡英和学院大学教授による「いい子の非行」という演題の記念講演も行われ、この講演を通じて、地域での健全育成の必要性を改めて感じさせられました。今後とも、笑顔いっぱい運動の輪を広げていくように努力したいと思っております。
 続きまして、11月3日に開催いたしました「小山城まつり」についてご報告申し上げます。
 今回で19回目の開催となりました小山城まつりは、約2万人の来場者で溢れ、大変盛況となりました。ステージでは、町民の皆様による舞踊、中学生の吹奏楽、小山城太鼓の演奏、町のオリジナルダンスの披露、ダンス講習会などが行われ、会場には、産業4団体を中心とした物産展が広がり、物産ブース57店とフリーマーケット48店が出展いたしました。特に、今年度は、商工会青年部が、地域おこしの一環として1年越しで開発した海苔巻き飯の「遠州吉田まき」が試験販売されるという新たな試みもありました。用意されていた200個の「遠州吉田まき」は、わずか1時間で完売するという嬉しい状況を目の当たりにし、今後とも、小山城まつりが、今回のように色々な試みが行われる創造的なイベントに発展して欲しいと切に願った次第です。
 続きまして、基盤整備の進捗状況についてご報告申し上げます。
 まず、都市計画道路の整備についてでありますが、都市計画道路東名川尻幹線につきましては、東名吉田インターチェンジから都市計画道路富士見幹線までの1,300メートルの区間について、事業主体である県が、島田吉田バイパスとして整備を進めており、平成20年4月を供用開始予定時期に設定して、用地取得や工事を進めております。また、国道150号から南側の440メートル区間につきましては、町が事業主体となって、目下、用地取得を進めているところであり、来年度の工事着工に向けて、鋭意努力しているところであります。
次に、都市計画道路住吉中央幹線につきましては、県道吉田港線との取り合い工事を進め、本年度末の供用開始に向けて準備しているところでありますが、地元の皆様方から交通安全施設の追加整備等に関する交通事業等要望書が提出されておりますので、県公安委員会と協議を行いながら、前向きに対応しているところであります。
また、都市計画道路大幡川幹線につきましては、大窪川に架かる横手橋から都市計画道路中央幹線までの750メートル区間の用地取得を行っているところであります。
続きまして、都市計画道路榛南幹線につきましては、都市計画道路住吉幹線から町道新田西之坪線までの620メートル区間について県が事業主体となって地元説明会を実施しており、本年度から用地取得に着手すると聞いております。また、町道新田西之坪線から都市計画道路海岸幹線までの360メートルの区間につきましては、町が事業主体となって事業を進めてまいりますが、地元説明会を行った結果、地権者の皆様方から事業推進についての同意を得ることができましたので、現地測量と道路設計に着手したところであります。
 次に、生活道路の整備についてでありますが、継続事業として進めてまいりました町道山八中間4号線の整備は、本年8月をもって全線にわたり整備が完了いたしました。また、町道カネマン大井線や町道西川原北原線などにつきましては、今後とも継続的に整備を進めてまいりますが、本年度、新たに、町道西之坪大浜4号線の改良事業に着手いたしました。
 続きまして、橋梁整備についてご報告申し上げます。
県が事業主体となって、本年度から2か年で、二級河川湯日川に架かる「お夏橋」の架け替え工事を実施いたしますが、本年度には、現在の橋を年明けに撤去し、左岸側橋台の工事に着工する予定になっております。現在の橋が撤去された後は、この地点から湯日川を渡ることができなくなりますので、町民の皆様方にはご不便をおかけいたしますが、ご理解を賜わりたいと思います。
 次に、公共下水道事業についてご報告申し上げます。
 現在の整備状況は、299ヘクタールの事業認可区域のうち、前年度末までに約156ヘクタールの整備が完了し、本年10月末で1,451戸の加入があり、1日当たり平均で約1,300立方メートルの汚水を処理しております。本年度は、住吉東村地区の県道焼津榛原線より北側の地域を中心に約1キロメートル、川尻地区につきましては、町道山通り浜河原2号線の推進工事330メートルを含んだ約1キロメートルの整備を進めております。この下水道事業は、多額の事業費を伴うものでありますが、町民の快適な生活環境の改善、都市基盤の拡充、公共用水域の水質保全などを図るために必要不可欠な基盤整備でありますので、今後とも継続的に整備を進めるとともに、加入促進にも力を注いでまいりたいと思っております。
 最後に、上水道の整備についてご報告申し上げます。
 上水道事業では、ここ数年の間、老朽管の更新を緊急性のある重要課題として捉え、計画的に布設替えを実施しております。今年度も、積極的な設備投資を予定し、早め早めに工事を発注しており、11月末で、既に9件の工事が完了し、残りの予定した工事も全て発注済の状況にあります。平成17年度末における当町の老朽管の残延長は、牧之原市内の給水区域も含めて、約6,500メートルとなり、管路全延長の約3.3パーセントという状況まで改良を進めてまいりました。水道事業者としては、町民の皆様方に、安全に、かつ、安定して飲料水を供給するために最大の努力を払わなければなりませんので、健全経営に努めながら、今後さらに老朽管の更新を進めてまいります。
 以上、町政運営の現況の一端を紹介させていただきましたが、地方行政を取り巻く環境がますます厳しくなっている中でも、当町では、比較的安定した行財政運営を行える状況にあるのではないかと自負しております。
 県内では、多くの市町村が合併し、また合併に向けての検討が進められておりますが、合併の動機として財政上の窮乏を上げる自治体が多く目につきます。こうした自治体の様子を見ますと、あたかも、合併が財政状況を好転させる特効薬であるかのような錯覚に襲われますが、実際には、合併して市になることによって、既存の市の待遇や機構を模す場合があるため、結果として行政機構が肥大化し、経常経費が一挙に増加するような例があるのではないかと感じております。地方分権を具現化する政策行政庁となるためには、合併も必要な行政改革の一手段であるとは考えますが、まずは、自らの行政運営を率直に見直し、健全化を図るための方策を十分に考え、明確な改革方針を立てた上で確固たる信念を持って行財政改革を断行するか、合併と並行して高邁な行財政改革を断行しない限り、窮状が好転することは有り得ないと考えます。早晩、合併して生まれた新たな自治体における合併の効果の検証がクローズアップされる時期がまいりますので、それらを十分参考にして、当町の運営に生かしてまいりたいと考えております。
 現在の地方行政は、町民にとって最良と思われる施策を自らが考え、自らが実践しなければならない状況で、非常に高度な感覚が要求されるようになっております。只今、当町では、国の進める改革の流れも十分に理解しながら、より良い行政運営を実施するため、行財政構造改革を断行しておりますので、議員の皆様方におかれましても、町政運営の趣旨をご理解いただき、格段のご支援を賜わりますようお願い申し上げます。
 以上をもちまして、本定例会の行政報告といたします。