平成31年第1回吉田町議会定例会の開会に当たり、新年度に向けての施政方針並びに各種事業の運営方針等について申し上げます。

 町長としての今期の任期満了を間もなく迎えようとしております。平成23年3月11日に発生した東日本大震災以降、失われた安全・安心を取り戻すべく、「津波防災まちづくり」を強力に推し進めてきたわけでございますが、現在の就任期間の始まりとなった平成27年度は、津波避難タワーの建設や避難路の整備をはじめとする「町民の皆さまの命を守る対策」がおおむね終了し、もう一つの柱であります「町民の皆さまの財産、企業の皆さまの生産活動を守る対策」が本格的に動き出そうとしている時期でございました。当町の海岸におけるL2クラスの津波被害を軽減するための海岸整備について、国や県に対し強力に働き掛けた結果、「津波防災まちづくり」の一丁目一番地であり、当町の悲願でもあります防潮堤の整備が、東日本大震災の被災地以外では初めて開始されることとなり、確固たる安全の構築に向け、現在は、川尻海岸において盛土工事が着々と進められております。

 また、全国的に少子高齢化が進む中、そうした潮流に飲み込まれることなく、それまでの「豊かで勢いのあるまち」を持続しつつ、さらに「心を魅了する要素」を加えた新たな吉田町の実現に向け、「人が集い 未来へはばたく魅力あふれるまち 吉田町」を将来都市像に掲げた「第5次吉田町総合計画」を平成28年3月に策定し、安全・安心と賑わいづくりを一体的に進める「シーガーデンシティ構想」の具現化に注力してまいりました。そして、教育や子育て支援、健康づくりを中心とした様々な施策も積極的に展開することにより、多くの人々で賑わい、誰もが安心して住み続けることができる魅力的なまちづくりを進めてまいりました。その結果、新たな企業や店舗が続々と進出し、雇用の機会が増えると同時に賑わいも生まれ、当町は、さらに豊かで勢いのあるまちへと前進し続けております。

 こうした状況の中迎える平成31年度は、平成の御代が幕を閉じ新たな御代が幕を開けるとともに、当町にとりましては、7月に町制施行70周年を迎える大きな節目の年となります。そして、これまで様々な施策を展開することにより蒔いた種が発芽し、成長し続けていた様々な魅力が新たな時代の幕開けとともに花開き、当町がさらにめざましい勢いで発展していく年でもあります。平成31年度は、当町にとりまして、明るい未来の姿をより展望できる年となりますことから、まちづくりのキーワードを「躍進」と定め、各種施策を展開してまいります。

 このような構想の下、本年度に引き続き、「教育環境の充実」、「新たな安全と賑わいの創出」、「子育て支援の拡充」、「健康づくりの推進」の4つの柱を中心に様々な施策を展開するために編成いたしました平成31年度の吉田町一般会計当初予算は、歳入歳出それぞれ107億8,300万円でございます。

 それでは、平成31年度の主な事業につきまして、第5次吉田町総合計画の施策体系に沿ってご説明申し上げます。

 はじめに、「災害に強く安全・安心に暮らせるまちづくり」に関連する事業についてでございます。

 川尻工区における防潮堤の整備につきましては、総盛土量約26万立方メートルのうち、今月末までに約14万立方メートルの土砂が搬入される予定でございます。平成31年度は、盛土を進める上で支障のある松林の撤去も行いながら、引き続き、防潮堤の早期完成に向け、国・県との連携・調整を図ってまいります。

 次に、吉田漁港多目的広場の整備についてでございます。

 吉田漁港多目的広場の盛土工事につきましては、平成29年度までに、延長約530メートル、盛土量にして16万5千立方メートルを積み終え、国土交通省の防潮堤との取合い部分を残して、おおむね完了しております。本年度は、護岸工事といたしまして、6か所の階段設置及び4,820平方メートルの芝生の植生を実施しており、平成31年度も引き続き、国土交通省の防潮堤と多目的広場との良好な接合を念頭に置いて、護岸工事を進めてまいります。

 また、多目的広場の上部利活用につきましては、シーガーデンの核として、県営吉田公園や海浜回廊との連動により賑わいをもたらす施設となりますよう、引き続き、吉田漁港多目的広場利活用検討委員会及び吉田町シーガーデンシティ構想推進委員会の皆さまのご意見も踏まえながら具体的な検討を重ね、実施設計業務へ反映させてまいりたいと考えております。

 次に、内閣府の総合特区の指定を受けるとともに、静岡県の推進区域の認定も受けて平成25年から事業を進めております「“ふじのくに”のフロンティアを拓く取組」についてでございます。

 北オアシスパークを中心とする物資供給拠点確保事業区域につきましては、昨年、ハードオフ・オフハウスや株式会社杏林堂薬局の店舗がオープンしていただきましたことから、より多くのお客様で賑わう商業集積地となってまいりましたので、今後は、さらに災害支援機能の拡充を念頭に置いて、賑わいの創出に努めてまいります。

 川尻高島地区の企業活動維持支援事業区域における基盤整備につきましては、今月末までに大幡川の橋梁下部工事が完了する予定でございますが、平成31年度につきましては、橋梁上部工事を5月までに完了させ、その後、仕上げの舗装工事を行い、立地企業の造成工事の進捗状況に合わせて、順次道路の供用を開始する予定でございます。また、防災・減災に係る取組といたしまして、この区域内に操業開始を予定している企業の皆さまとの間に、災害時に緑地の一部を活用させていただく内容の協定を締結できますように準備を進めてまいります。

 次に、小中学校体育館へのエアコン設置についてでございます。

 町内4小中学校の体育館は、教育活動の拠点であると同時に、有事の際には町民の皆さまが避難生活を送る指定避難所にも位置づけられておりますことから、万が一の避難生活において、町民の皆さまが少しでも快適な環境のもとで過ごすことができますよう、平成31年度中にエアコンを設置する予定でございます。

 なお、この事業を進めることによりまして、子どもたちの教育環境がさらに向上するとともに、学校施設開放のご利用者の皆さまの満足度も高まるものと考えております。

 次に、吉田町総合体育館へのエアコン設置に向けた取組についてでございます。

 吉田町総合体育館は、平成29年度に、建物の耐震化やつり天井の落下防止対策のほか、アリーナ床の張替やトレーニングルームの改修などを含む大規模な改修工事を実施し、昨年4月1日にリニューアルオープンいたしましたが、その後、多くの皆さまにご利用いただいております。この総合体育館につきましても、小中学校の体育館同様、指定避難所に位置づけられておりますことから、災害時の避難所機能向上を図るとともに、平常時の快適な利用環境の実現に向け、平成31年度には空調設備設置に係る実施設計業務委託を実施してまいります。

 次に、河川改修事業についてでございます。

 準用河川であります大幡川につきましては、国の社会資本整備総合交付金を活用し、川尻地区における落差工及び水路工などの改修工事に着手しており、平成31年度も引き続き、早期完了を目指して事業を進めてまいります。

 大窪川につきましては、本年度中に片岡地区における延長35メートルの改修工事が完了する予定でありますので、平成31年度は、その上流側へと引き続き工事を進めてまいります。

 次に、木造住宅の耐震化プロジェクト「TOUKAI-0」事業についてでございます。

 「TOUKAI-0」事業につきましては、平成29年1月からの助成制度拡充の効果もあいまって、本年1月末までに無料耐震診断に41件、耐震補強計画策定に9件、耐震補強工事に9件のお申込みをいただいております。平成31年度におきましても、拡充いたしました現行制度を継続するとともに、ダイレクトメールの発送や戸別訪問等のPR活動により、事業対象者の更なる掘り起こしを進め、木造住宅の耐震化を加速させてまいります。

 また、ブロック塀等の耐震化促進事業につきましては、昨年6月18日に発生しました大阪府北部地震によるブロック塀倒壊被害もございましたことから、本年度の補助申請件数は、1月末現在で、昨年度の13倍強となる27件となっております。平成31年度も引き続き、戸別訪問等のPR活動に努め、ブロック塀等の耐震化を進めてまいります。

 次に、同報系防災行政無線の整備についてでございます。

 同報系防災行政無線につきましては、平成34年12月1日からのデジタル波全面移行に対応するため、昨年度から順次整備を進めており、本年度末までに同報系防災行政無線の中心的な基幹放送設備である親局と屋外拡声子局24局のデジタル対応機器への更新が終わります。当初の計画では、残り12局の屋外拡声子局の更新を含め、工期は平成32年度末としておりましたが、一日も早く安定したシステムを構築し難聴地域を解消させるため、予定を1年前倒しし、平成31年度末の完成を目指して事業の進捗を図ってまいります。

 また、昨年度開催いたしました同報系防災行政無線事業説明会におきまして、町民の皆さまから強いご要望をいただきました防災ラジオの代替え対応についてでございますが、総務省東海総合通信局と協議を重ねた結果、アナログ設備の更新により、おおむね10年間は防災ラジオを継続して使用できる見通しが立ちましたことから、平成31年度に設備更新の実施設計を行い、平成32年度に設備更新工事を実施して、皆さまにご安心いただける環境を整えてまいります。

 次に、消防団車両の更新についてでございます。

 本年度は、第3分団及び第4分団の消防ポンプ車を更新しているところでございますが、地域防災力の更なる充実強化を図るため、平成31年度は、第1分団の小型動力ポンプ積載車を更新する予定でございます。

 また、道路交通法の改正により、平成29年3月12日以降に取得した普通免許で運転できる車両総重量は3.5トン未満となったわけでございますが、当町が所有する消防ポンプ車の車両総重量は3.5トン以上であり、普通免許に加えて準中型免許を取得する必要がございますことから、3.5トン以上の消防ポンプ車を運転することができる準中型免許を取得する際の経費の一部を助成し、消防団活動が円滑に行われるよう支援してまいります。

 続きまして、「誰もが健康でいきいきと暮らせるまちづくり」に関連する事業につきましてご説明申し上げます。

 はじめに、風しんに関する追加的対策についてでございます。

 現在、町では、風しん予防対策といたしまして、予防接種法に基づき、1歳児及び年長児のお子さんに対し、定期予防接種を2回実施しております。また、妊娠初期の女性が風しんに感染すると、産まれてくるお子さんに難聴や心疾患などの「先天性風しん症候群」が生じるおそれがあることから、妊娠を希望する風しんの抗体価が低い女性や、妊婦さんの同居家族に対し、風しん予防接種費助成事業や妊産婦健康相談等を通じて、予防啓発を図っているところでございます。

 しかし、昨年7月頃から、国内における風しん感染者の数が増加しており、その多くが、これまで公的な予防接種の機会がなかった30代から50代までの男性でございました。このため、国では、平成31年度から平成33年度までの3年間で、風しんに関する追加的対策を実施していく方針を打ち出しました。

 その内容でございますが、市町村が実施主体となり、昭和37年4月2日から昭和54年4月1日までに生まれた男性に対して風しんの抗体検査を実施すること、また、抗体検査の結果、十分な量の抗体がないと判明した方には予防接種法に基づく定期接種としてワクチン接種を実施することでありますので、この方針にも適切に対応してまいります。

 また、平成31年度には、町が独自に実施している風しん予防接種費助成事業の助成額を拡充することにより、妊娠、出産を希望される女性や妊婦さんのご家族が予防接種を受けやすい環境をこれまで以上に整え、より一層、風しん予防に努めてまいります。

 次に、放課後児童クラブの拡充についてでございます。

 平成31年度からの入所要件緩和に対応した児童の受け入れ体制を整えるために各小学校区に整備を進めてまいりました放課後児童クラブにつきましては、工事も順調に進み、予定どおり4月には開所できる運びとなり、今月23日には内覧会の開催を予定しております。

 放課後児童クラブの拡充は、吉田町教育元気物語 TCP Triwins Plan」における「保護者(家庭)の教育ニーズに応じた環境づくり」の施策に位置づけており、子育て中の保護者の皆さまが安心して就労できる環境を整えるようにしたものでございます。入所要件につきましては、平成31年度から、他に例を見ないほどに大幅な緩和を実現いたしましたが、今後、夏休みなどの長期休暇の際の受け入れも考慮し、放課後児童クラブ開所時に保護者が就労している場合には受け入れを行うよう、更なる要件緩和を図り、他の自治体にはない優れたサービスを定着させ、町の魅力の一つとしてまいりたいと考えております。

 さらに、平成31年度からは、児童扶養手当を受給しているひとり親家庭に対する放課後児童クラブ利用料の負担軽減を図る施策も開始してまいります。 

 次に、高齢者福祉及び介護保険事業についてでございます。

 当町の本年1月末における65歳以上の人口は、前年比156人増の7,339人で、人口の24.7パーセントを占めております。また、本年1月末における70歳以上の人口は、前年比289人増の5,336人で、人口の18.0パーセントを占めておりますが、毎年、高齢化が進む中にあっても、高齢者の皆さまが住み慣れた地域で安心していきいきと暮らせるよう、平成31年度は、介護予防・生活支援サービス事業及び一般介護予防事業をより一層充実させてまいります。

 具体的に申し上げますと、毎回好評を博しております「運動器の機能向上教室」、「シニアストレッチ教室」、「おいしい集い」などの事業につきましては、より多くの皆さまにご参加いただけますよう開催日数や参加人数を増やし、サービスの更なる充実に努めてまいります。

 また、新たなサービスといたしまして、要支援1又は2の認定者や事業対象者の方が、理学療法士による専門的な支援やボランティアの方々との関わりの中で運動器の機能向上訓練を行う「健康わくわくデイサービス」を開始するほか、農福連携事業として、要支援1又は2の認定者や事業対象者の方が65歳以上の高齢者の方々と助け合いながら農作物の栽培を行うことで、同世代の仲間づくりにつなげるとともに、要介護状態にならないような体力の維持・向上を目指す「おいしい野菜作り教室」も開始いたします。

 なお、高齢者福祉及び介護保険事業の指針となります高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画は、3年ごとの見直しが義務付けられており、平成32年度には、次期計画である第9次高齢者保健福祉計画及び第8期介護保険事業計画を策定することとなりますことから、平成31年度は、65歳以上の高齢者の方が要介護状態になる前の日常生活や社会参加の状況について調査する「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」と、在宅での介護の実態を調査する「在宅介護実態調査」を実施いたします。そして、これらの調査結果を次期計画に反映させ、引き続き、高齢者の皆さまが安心していきいきと暮らせるよう、高齢者福祉や介護保険に関する施策を総合的に推進してまいります。

 続きまして、「活力あふれる産業振興のまちづくり」に関連する事業につきましてご説明申し上げます。

 はじめに、展望台小山城の改修についてでございます。

 昭和62年9月13日にオープンいたしました展望台小山城は、昨年9月9日に入館者80万人を達成するなど、当町の観光施設として多くの皆さまにご来館いただいておりますが、建設から30年以上が経過し、老朽化が目立つようになってまいりました。このため、平成31年度は、改修が必要な箇所を把握するための調査を実施し、平成32年度以降に設計を行って、改修工事を進めてまいりたいと考えております。

 また、展望台小山城は、町が推進しておりますシーガーデンシティ構想における「賑わいまちづくり」の一翼を担う施設であり、能満寺山公園や小山城前広場などと一体となった拠点づくりを行っていく必要がありますことから、平成31年度は、併設しております小山城売店における運営方針等の抜本的な見直しを進めてまいります。

 次に、プレミアム付商品券事業についてでございます。

 国では、本年10月1日に消費税及び地方消費税率が8パーセントから10パーセントに引き上げられることに伴い、低所得者や子育て世帯の消費に与える影響を緩和し地域における増税直後の消費を喚起・下支えするため、プレミアム付商品券事業を実施することとしております。

 本事業は、国が定めた低所得者や子育て世帯を対象とする制度の概要に基づき、町が主体となって実施することとなるものでございますが、国からは、地域の実情に応じた柔軟な対応が求められており、商品券の使用可能期間や販売期間等につきましては、従前の商品券発行事業と同様に、産業四団体や自治会等の皆さまのお力添えを賜り、購入される皆さまの利便性を考慮した制度となるよう、検討してまいりたいと考えております。

 続きまして、「魅力あふれる多様な交流を生むまちづくり」に関連する事業につきましてご説明申し上げます。

 はじめに、移住・就業支援金制度についてでございます。

 国は、東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県から地方への新たな「ひと」の流れをつくることにより東京一極集中を是正し、地方における担い手不足を解消することを目的として、地方創生推進交付金事業を活用した移住・就業支援金制度を創設しました。この制度は、先ほど申し上げました1都3県からなる東京圏から地方へ移住し、かつ、移住先の中小企業に就職した方が支援の対象となるもので直近5年以上の間、東京23区内又は東京圏に在住し東京23区内へ通勤していること及び移住先の自治体に5年以上住み続けることが支援の条件となっております。

 支援の内容は、移住に要する費用といたしまして、2人以上の世帯には100万円、単身世帯には60万円を支給するものであり、この内訳は、国が2分の1、県と町がそれぞれ4分の1となっております。国では、平成31年度から6年間を実施期間と定め、その間に6万人の方が本制度を活用して地方に移住することを想定しており、当町におきましても、静岡県と連携して本制度に取り組むこととし、平成31年度は、3件の活用を想定しております。

 次に、しずおか中部連携中枢都市圏事業における町内施設へのWi-Fi環境の整備についてでございます。

 平成31年度は、圏域内の交流人口拡大と町外から訪れる方の利便性向上を図るため、当町の観光施設である小山城をはじめ、町内外の多くの皆さまが利用される総合体育館及び学習ホールの3か所に、Wi-Fi環境を整備する予定でございます。

 静岡市をはじめ、他市町でもWi-Fi環境の整備が進められており、今後、圏域内での連携を図りながら、富士山静岡空港や静岡駅などからの来訪者の回遊の志向性などを分析することで、今後における町の賑わいづくりにも生かしてまいりたいと考えております。

 次に、東名高速道路吉田インターチェンジ周辺の利活用についてでございます。

 東名高速道路吉田インターチェンジ周辺は、賑わいを創出するシーガーデンシティ構想を推進する上で、当町の玄関口として重要な役割を果たす場所であるとともに、鉄道のない当町にとりましては、静岡市の中心地をはじめ、東京、名古屋、大阪などへの交通の結節点として大きな可能性も秘めております。  

 また、その一方で、吉田インターチェンジ周辺は、既存集落と農業振興地域内の農用地区域、いわゆる青農地が分布している地域でもあります。

 そこで、吉田インターチェンジ周辺を魅力的なまちづくりを行っていく上で重要な地域であると捉え、平成31年度は、この地域の利活用について検討する委員会を設置し、本年度実施しております吉田インターチェンジ周辺の利活用に関する調査結果に基づき、地域住民の皆さまの意見も取り入れながら、具体的な利活用について検討してまいりたいと考えております。

 次に、新たな公共交通システムの導入に向けた調査研究についてでございます。

 当町におきましては、しずてつジャストライン株式会社が運行しております静岡相良線、島田静波線及び藤枝相良線の3つのバス路線が主要な公共交通となっているところでございますが、平成28年度に実施いたしました町民意識調査によりますと、当町の公共交通につきましては「重要度は高いが、満足度が低い」といった結果となっております。

 また、全国的に高齢ドライバーによる交通事故が後を絶たない状況の中、自動車運転免許を返納しても町内を快適に移動することができる環境を整えていく必要があると認識しております。

 そこで、平成31年度は、当町の現状に即した新たな公共交通システムの構築に向けた調査研究を進めてまいります。

 次に、大幡川幹線の道路改良事業についてでございます。

 大幡川幹線につきましては、現在、本格的な事業着手に向け道路計画線の検討を重ねております。平成31年度におきましても、引き続き、地元の皆さまとの意見交換や関係機関との調整を進めてまいります。

 次に、町道町上3号線の道路改良事業についてでございます。

 本事業は、川尻地区における緊急時避難路といたしまして、大幡川尻2号線と大幡川幹線とを結ぶ延長約84メートルの道路整備を行うものであり、平成32年度の供用開始を目指し、平成31年度は、道路設計業務及び用地取得に着手してまいります。

 次に、橋梁維持補修事業についてでございます。

 湯日川にかかる念佛橋につきましては、橋梁点検において「緊急措置段階」と診断されたことから、現在、全面通行止めとしており、平成31年度に撤去を行います。また、「早期措置段階」と診断されている23橋につきましては、本年度、3橋の補修設計業務を委託しており、平成31年度以降、順次補修工事へと進めてまいる予定でございます。

 続きまして、「次代を担う心豊かな人を育むまちづくり」に関連する事業のうち、「吉田町教育元気物語 TCP Triwins Plan」における平成31年度の主な事業につきまして、プランの3つの柱であります「子どもの『確かな学力』を保障する環境づくり」、「教職員が授業に専念できる環境づくり」、「保護者(家庭)の教育ニーズに応じた環境づくり」の順にご説明申し上げます。

 まず、「子どもの『確かな学力』を保障する環境づくり」に係る事業のうち、小中学校体育館へのエアコン設置についてでございます。

 快適な学習環境の整備といたしまして、これまでに、教室照明のLED化、小中学校全教室へのエアコン設置、洋式トイレへの改修を順次行ってまいりましたが、先に申し上げましたとおり、平成31年度は、有事の際の指定避難所として位置づけられている小中学校の体育館にエアコンを設置し、子どもたちの学習環境面の改善にもつなげてまいります。

 次に、外国語・国際理解教育の推進についてでございます。

 現在、外国語指導助手、いわゆるALTを町内4つの小中学校にそれぞれ1名ずつ配置しておりますが、平成31年度も引き続き、ALTを配置し、各小中学校における外国語及び外国語活動教育の更なる充実を図ることとしております。

 次に、幼児教育及び小中一貫教育の推進についてでございます。

 平成31年度は引き続き、さゆり保育園、すみれ保育園、こども発達支援事業所を実践指定園として「吉田町幼児教育カリキュラム」の実践と検証を行うとともに、現在、小学校において試行的に行っている「スタートカリキュラム」を本格的に実践することで、幼稚園、保育園における幼児教育と小学校教育との円滑な接続を図ることとしております。また、各保育園では、国際色豊かな感性を育てることを目的として、ALTや外部講師による英語に触れる保育活動を開始する予定でございます。

 小中一貫教育の推進につきましては、吉田町の学校教育を通して目指す「育てたい子どもの姿」を明確にし、その実現に向けた小中学校におけるつながりのある教育について、学校等と検討を重ねていくこととしております。

 次に、個に応じた支援の充実についてでございます。

 個に応じた指導は教育の原点とも言われており、児童生徒の発達を丁寧に見ながら、適時適切な支援を行っていくことが重要でありますので、平成31年度は、支援員などの外部人材の活用を拡充し、特別支援教育の更なる充実を図ることとしております。

 次に、ICT教育の推進についてでございます。

 平成32年度から全面実施される新学習指導要領に掲げられているアクティブラーニングやプログラミング教育の実施に向け、平成31年度は、ICTやプログラミング教育に関する支援員を採用し、ICTを活用したより質の高い授業を展開するとともに、プログラミング教育に関する教員の指導力向上を図ることとしております。

 続きまして、「教職員が授業に専念できる環境づくり」に係る事業のうち、学校用務員の配置についてでございます。

 教職員の多忙化解消を図るため、現在、各小中学校に教職員の事務補助を行う校務アシスタントを2名ずつ配置しておりますが、平成31年度からは、新たに学校用務員を配置し、軽微な修繕作業など、学校施設の維持管理業務を担っていただくことにより児童生徒の安全を確保するとともに、教員がより安心して教育活動に専念できる環境を整えてまいります。

 また、中学校におきましては、本年度に引き続き、部活動指導員を配置し、教員の時間的余裕を生み出すとともに、競技経験のない部活動の指導に当たることによる教員の精神的負担の軽減を図ってまいります。

 続きまして、「保護者(家庭)の教育ニーズに応じた環境づくり」に係る事業のうち、相談体制の充実についてでございます。

 教育委員会では、学校における各種相談業務に対応するため、教育相談員やスクールソーシャルワーカーを配置しておりますが、平成31年度は、増加する相談需要に対応し、学校、社会、地域が連携して課題解決に導けるよう、スクールソーシャルワーカーの相談時間数を増やし、相談体制の充実を図ってまいります。

 次に、放課後補充学習及び公設学習塾についてでございますが、平成31年度も引き続き、平日の放課後に実施し、放課後における居場所づくりと併せて、子どもたちの学力向上及び学習習慣の定着を図ってまいります。

 次に、放課後子ども教室についてでございます。

 放課後における子どもの居場所を確保するとともに、次世代を担う児童の健全育成を支援するため、本年度は、中央小学校区をモデル校区として設定し、放課後子ども教室を実施してまいりましたが、平成31年度は、自彊小学校区においても、平日4時間授業の日に合わせた放課後子ども教室を開始する予定でございます。

 続きまして、「豊かな自然と共生するまちづくり」に関連する事業につきましてご説明申し上げます。

 はじめに、上水道事業についてでございます。

 水道事業は、町民の皆さまの生活や社会経済活動を支えるライフラインを維持するための重要な役割を果たすものであり、地震災害時においても安定して水を提供し続ける必要がございますことから、平成31年度につきましても、引き続き、基幹管路の耐震化に重点を置き、整備を進めてまいります。

 次に、下水道事業についてでございます。

 総務省では、将来にわたり必要な下水道サービスを安定的に供給するため、地域や公営企業の現状と将来の見通しを踏まえた中長期的な経営の基本計画である「経営戦略」を策定し、同計画に基づいた経営基盤強化と財政マネジメントの向上に取り組むことを全ての公営企業に要請しております。

 当町では、平成32年度から下水道事業の公営企業会計への移行を予定しており、平成31年度も引き続き、円滑な移行に向けて万全を期してまいりますが、この公営企業会計への移行に合わせ、平成31年度及び平成32年度の2か年で経営戦略を策定してまいります。

 また、本年度実施しておりますストックマネジメント計画策定業務による調査結果を浄化センターの維持管理に活用するため、平成31年度から、浄化センター施設情報システムを構築し、これまで紙媒体により保存しておりました修繕履歴など、浄化センターに関する施設情報の一元化を図ってまいります。

 施設整備につきましては、引き続き、ストックマネジメント計画に基づく浄化センターの電気・機械設備の改築・更新工事を実施するとともに、町道上吉田線及び町道吉田坂部線など、ハイナン農協吉田支店南側から国道150号北側歩道までの付近を中心に汚水幹線の整備を進める予定でございますが、その一部の工事につきましては、施工時期の平準化に向けた計画的な事業執行のため、新たにゼロ債務負担行為の手法を導入し、本年度末までに発注を終え、新年度当初から工事に着手してまいりたいと考えております。

 続きまして、「行政と住民が一体となって取り組むまちづくり」に関連する事業につきましてご説明申し上げます。

 はじめに、町制施行70周年記念式典についてでございます。

 冒頭にも申し上げましたとおり、平成31年度は、吉田町が誕生してから70年の節目を迎えますことから、この70年間の歩みを町民の皆さまと振り返り、先人たちの業績に感謝するとともに、当町の更なる発展を喚起することを目的といたしまして、記念式典を開催する予定でございます。

 式典では、これまで当町の発展にご尽力をいただきました方たちに感謝の気持ちをお伝えするとともに、当町が今後80年、さらには100年と続く中で発展し続け、活力あふれる町となることを祈念し、将来を担う子どもたちに夢と希望を抱いていただけるようなイベントを計画してまいりたいと考えております。

 次に、第5次吉田町総合計画後期基本計画及び第2期吉田町まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定についてでございます。

 第5次吉田町総合計画は、「人が集い 未来へはばたく魅力あふれるまち 吉田町」を将来都市像とし、計画期間を8年間と定め、平成28年度に前期基本計画をスタートさせ、南海トラフ巨大地震への備えや人口減少社会への対応、多様化する生活様式や価値観への柔軟な対応、加速するICT化への適応、グローバル社会の更なる進展への対応などの課題に対し、厳しい財政状況の中においても町がより良い未来へと進むことができるよう知恵を絞りながら、計画に沿って各種事業を進めてまいりました。

 平成31年度は、この前期基本計画の最終年度に当たりますとともに、今後の町の将来を見据え、平成32年度からの後期基本計画を策定する重要な年でございます。当町を取り巻く時代の変化や町民ニーズを十分に踏まえた上で、基本構想の理念を継承しながら効果的な施策のあり方について再検討し、「人が集い 未来へはばたく魅力あふれるまち 吉田町」の実現を目指したまちづくりをさらに推進すべく、後期基本計画の策定に取り組んでまいります。

 また、当町における人口の現状と将来の姿を示し、目指すべき将来の方向を提示した「吉田町人口ビジョン」の具現化を図るべく、人口減少の克服と地域の自立的かつ持続的な活性化に向けた目指す将来の方向や、当町の実情に応じた5か年の施策の方向をまとめた「吉田町まち・ひと・しごと創生総合戦略」につきましても、平成31年度が最終年度となりますことから、引き続き、人口減少の克服と地域の自立的かつ持続的な活性化を図りながら、町の将来を見据えた施策を展開していくため、総合計画の後期基本計画と併せ、第2期吉田町まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定に取り組んでまいります。

 以上、平成31年度を迎えるに当たり、当町が目指す将来都市像であります「人が集い 未来へはばたく魅力あふれるまち 吉田町」の実現に向けて実施いたします各種施策の方針や概要について述べさせていただきました。

 平成31年度は、引き続き、国・県と連携を図りながら「津波防災まちづくり」の一丁目一番地であります防潮堤の嵩上げ工事を着実に進めてまいりますとともに、安全・安心と賑わいの創出を一体的に進めるシーガーデンシティ構想に係る取組も一層加速させ、確固たる安全・安心の構築に向けて全力で取り組んでまいります。

 また、訪れたい町、暮らしたい町として、多くの皆さまに選んでいただける町へと躍進を遂げることができますよう、吉田町教育元気物語 TCP Triwins Plan」や子育て支援、健康づくりに関する施策も一層充実させ、町の魅力をさらに高めてまいります。

 議員各位におかれましては、是非とも、当町の「豊かで勢いがあり、心を魅了する」まちづくりに対しましてご理解をいただき、今後も格段のご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げ、施政方針といたします。