平成30年第3回吉田町議会定例会の開会に当たり、町政運営の概要等についてご報告申し上げます。

 6月28日から7月8日にかけて発生した「平成30年7月豪雨」は、河川の氾濫や浸水害、土砂災害等を引き起こし、広島県、岡山県、愛媛県を中心に死者、行方不明者が多数出るなど、西日本の各地に甚大な被害をもたらしました。発生から2か月が経過する現在も、多くの方々が避難生活を余儀なくされており、未だ終息時期が見えない状況でございます。この度の甚大な被害を目の当たりにし、改めて、自然災害に対する危機管理の重要性を痛感するとともに、有事の際の鉄則であります「最善に期待し、最悪に備える」対応を、より一層強化していかなければならないことを肝に銘じた次第でございます。

 さて、今年の夏は、梅雨明けが発表された7月以降、命の危険を感じるほどの猛暑が続いております。8月1日に気象庁が発表した「7月の天候まとめ」によりますと、平均気温は東日本で平年より2.8度高く、7月23日には、埼玉県熊谷市で国内観測史上最高の41.1度を記録するなど、1946年の統計開始以降、最も暑い7月となり、降水量は豪雨や台風に見舞われた西日本で多く、特に太平洋側は平年の2倍の雨量になったと示されました。気象庁気象情報課の竹川元章予報官は、「豪雨と猛暑は30年に1度よりも発生確率が低いという意味で異常気象だ」と総括し、加えて「地球温暖化で大雨と高温は増えており、将来的にも増えると予想されている」と指摘しています。

 この異常な猛暑により、愛知県豊田市では、小学校1年生の男児が午前中に行われた校外学習から戻った教室で意識を失い、救急搬送された病院で死亡するという痛ましい事故が起きました。この日を境にテレビや新聞などで、エアコンの導入を核とした小学校や中学校の熱中症対策に関する報道を目にすることが多くなりましたが、皆さまもご存じのとおり、当町では昨年度、「吉田町教育元気物語 TCP Triwins Plan(ティーシーピー・トリビンス・プラン)」の施策といたしまして、町内全ての小中学校の普通教室、特別教室へのエアコン設置が既に完了し、子どもたちが猛暑の中でも快適に学習することができる環境が整っておりますので、保護者の皆さまにもご安心いただけるものと受け止めております。今後も、「吉田町教育元気物語 TCP Triwins Plan(ティーシーピー・トリビンス・プラン)」に掲げられた施策を着実に進め、子どもたちが安心して快適に学習できる環境を整えてまいります。

 また、「津波防災まちづくり」の最重要施策であります防潮堤の嵩上げ工事や、安全・安心と賑わいづくりを一体的に進める「シーガーデンシティ構想」に係る取組につきましても、いよいよ本格化してまいりますので、議員各位におかれましても、是非ともご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 それでは、本年度の事業の進捗状況につきまして、ご報告申し上げます。

 はじめに、「災害に強く安全・安心に暮らせるまちづくり」に関連する事業のうち、川尻工区における防潮堤の整備につきまして、ご報告申し上げます。

 川尻工区における既設防潮堤陸側の背後盛土の整備につきましては、10月から盛土材の搬入が本格化される予定でございます。これに伴い、9月25日から、旧古川川尻線が通行できなくなりますことから、広報よしだ8月号への掲載やチラシの全戸配布などにより、町民の皆さまにお知らせをさせていただいたところでございます。

 盛土材の搬入に当たりましては、工事車両の往来も激しくなりますことから、これまで以上に国・県との連携を図り、近隣の皆さまに極力ご迷惑をおかけしないよう配慮しながら進めるとともに、防潮堤が早期に完成できますよう、引き続き、国・県に対して働き掛けてまいります。

 次に、吉田漁港多目的広場の整備についてでございます。

 昨年度からの繰越事業であります護岸工事につきましては、7月に工事を発注し、事前準備を経て、多目的広場での作業に着手いたしました。今後は、多目的広場での作業が本格化し、隣接地においては、先に申し上げましたとおり、防潮堤の整備も開始されます。工事車両の運行に際しましては、関係機関と連携しながら細心の注意を払い実施してまいりますので、皆さまのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。 

 また、上部利活用についてでございますが、去る7月4日に、第1回吉田漁港多目的広場利活用検討委員会を吉田町シーガーデンシティ構想推進委員会と同時に開催いたしました。検討委員会では、産業4団体などからご選出いただきました10人の方に委員を委嘱させていただき、今後、具体的な利活用についてご検討いただくこととしております。ご検討いただきました内容につきましては、吉田町シーガーデンシティ構想推進委員会においてご審議いただき、実施設計業務委託へ反映させてまいりたいと考えております。

 次に、“ふじのくに”のフロンティアを拓く取組における川尻高島地区の企業活動維持支援事業区域基盤整備事業についてでございます。

 昨年度からの繰越事業として進めてまいりました大幡川右岸側の橋梁下部工事につきましては、6月に工事が完了いたしました。現在は、左岸側の橋梁下部工事の準備を進めており、10月に着手する予定でございます。また、桁の架設などの橋梁上部工事につきましては、10月上旬に契約を締結する予定でございます。

 次に、木造住宅の耐震化プロジェクト「TOUKAI-0」事業についてでございます。

 「TOUKAI-0」事業につきましては、平成29年1月から、耐震補強工事に係る補助金を30万円上乗せする制度の拡充を行い、本年度につきましても、補助金の上乗せ措置の期間を延長して積極的に進めており、8月末までの実施状況は、無料耐震診断が13件、耐震補強計画策定が5件、耐震補強工事が5件となっております。

 なお、昨年度と同様に、ダイレクトメールの発送や戸別訪問等のPR活動にも積極的に取り組んでおります。旧耐震住宅の所有者へのダイレクトメールにつきましては、500件の対象者への発送が完了し、戸別訪問につきましては、本年度計画している400戸のうち、現在までに99戸の訪問が完了しております。

 今後も、事業対象者の更なる掘り起こしを進めながら、木造住宅の耐震化を加速させてまいります。

 また、ブロック塀等耐震化補強事業につきましては、本年6月18日に発生しました大阪府北部地震によるブロック塀の倒壊被害を受け、広報よしだ7月号及び町ホームページにブロック塀に関連する記事を掲載し、町民の皆さまに周知するとともに、既設の塀の安全点検項目等を掲載した町独自の啓発パンフレットを全戸配布し、意識の向上に努めてまいりました。その結果、現在までに12件のお申込みをいただいている状況でございます。

 次に、同報系防災行政無線の整備についてでございます。

 同報系防災行政無線につきましては、平成34年12月1日からのデジタル波全面移行に対応するため、昨年度、同報系防災行政無線の中心的な基幹放送設備である親局と屋外拡声子局1局をデジタル対応のものに更新いたしました。

 本年度につきましては、7月下旬から、不具合等の多かった23局の屋外拡声子局をデジタル対応のものに更新しているところでございます。残り12局の屋外拡声子局につきましても順次更新し、デジタル波全面移行に対応するとともに、難聴地域の解消を図ってまいります。

 次に、静岡地域消防救急広域事業についてでございます。

 平成28年4月1日から開始された静岡地域消防救急広域事業も本年度で3年目に入り、円滑かつ安定して運用されるとともに、事業の効果も定着してきております。

 消防・救急出動につきましては、一元管理された消防総合情報システムの運用により、現場への到着時間が短縮されたり、消防隊等の数を増やすことで現場活動の充実、強化が図られたりと、多くの効果が目に見える形で現れ、町民の皆さまの安全・安心につながっております。また、救急業務につきましては、当町の北区地区内で発生した救急要請に対して初倉出張所の救急隊員が出動したことにより、現場到着時間が短縮され、救急隊員による応急処置を即座に行うことができたという事例もあり、現場活動の充実、強化がより一層図られております。

 今後も、消防救急広域事業によるスケールメリットを活かし、住民サービスの向上に努めてまいります。

 次に、消防団車両の更新についてでございます。

 地域防災力の充実、強化を図ることを目的とした消防ポンプ車の取得につきましては、8月27日の吉田町議会臨時会におきましてお認めをいただき、本契約を締結いたしました。取得した消防ポンプ車につきましては、本年度末までに、第3分団及び第4分団に配備してまいります。

 続きまして、「誰もが健康でいきいきと暮らせるまちづくり」に関連する事業のうち、吉田町放課後児童クラブの建設につきまして、ご報告申し上げます。

 当町の放課後児童クラブは小学校区ごとに運営しており、現在のところ、住吉小学校区は学校敷地内に1か所、中央小学校区は中央児童館内、愛宕神社西側専用施設、中央小学校体育館内の3か所、自彊小学校区は学校敷地内、神戸集落センター内の2か所の合計6か所に設置しております。いずれのクラブも、放課後に保護者が就労等により家庭にいないお子さんを専任の支援員が家庭に代わって保育する施設で、8月1日現在、小学校1年生から6年生までの登録児童308人が利用しております。

 しかし、最近では、共働き家庭の増加などに伴い、当町におきましても、放課後児童クラブの需要が一層高まっております。また、「吉田町教育元気物語 TCP Triwins Plan(ティーシーピー・トリビンス・プラン)」における「保護者の教育ニーズに応じた環境づくり」の施策にも「放課後児童クラブの拡充」を位置づけており、平成31年度から実施を予定しております入所条件緩和にも柔軟に対応できるように、放課後児童クラブの増設を行うための準備を進めてまいりましたが、この度、国・県から補助金の内示をいただきましたことから、新たなクラブの建設に着手いたします。

 新しいクラブの規模でございますが、平成29年度に、町内外の幼稚園、保育園及び小学校の保護者を対象に放課後児童クラブ入所に係るアンケートを実施した結果を踏まえ、最大272人を受入れできる施設を建設する予定でございます。建設場所につきましては、住吉小学校区は学習ホール東側の町有地に、中央小学校区及び自彊小学校区は学校敷地内に建設する予定でございます。

 なお、本年度中に3つのクラブ施設の建設を完了し、平成31年度から入所を開始したいと考えております。

 次に、吉田町こども医療費助成事業の年齢拡大についてでございます。

 本事業は、保護者の経済的負担の軽減を図り、子どもの疾病の早期発見・早期治療を促進させるため、県の補助金も活用して徐々に制度を拡大しながら実施しているものでございます。現在は、出生の日から15歳に達する日以降の最初の3月31日までのお子さんを対象に、保護者の所得制限の規定を設けず、保険診療分の自己負担額及び入院時の食事療養費等を町が負担しておりますが、この度、県が10月から補助の対象となる子どもの年齢を満18歳までに引き上げることに伴い、当町におきましても県と同様に、対象年齢を引き上げることといたしました。

 対象要件といたしましては、当町の特色であります、保護者の所得制限がないことや入院時の食事療養費等の一部自己負担がないことについては継続し、新たに、満18歳未満までの子どもの就業の有無は問わないこと、さらに、保護者又は子どものどちらか一方が町内に住所を有していれば対象とするよう、町のオリジナルな部分を加えた制度に改めてまいります。

 次に、こどもインフルエンザ予防接種費の助成についてでございます。

 インフルエンザは、インフルエンザウィルスの感染により、発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛などの全身症状が突然現れる感染症で、お子さんがインフルエンザに罹患した場合、まれに合併症として、脳炎や脳症を発症することがあるといわれており、園や学校などで集団生活をするお子さんにとりましては、お一人おひとりの感染予防がまん延予防につながってまいります。

 お子さんのインフルエンザ予防接種につきましては、予防接種法に定める定期の予防接種として規定されていない任意の予防接種であることから、接種費用は自己負担となっておりますが、町では、インフルエンザの重症化や合併症の予防及びまん延防止を図ることにより、園や学校などの集団生活の場においてもお子さんが健やかに過ごすことができるよう、新たに、1歳から中学3年生までのお子さんを対象に、インフルエンザ予防接種費用の一部助成を開始することといたしました。

 現在、10月1日からの開始に向け関係機関との調整を行っており、助成対象となるお子さんのご家庭には、今月下旬に個別通知によりお知らせさせていただく予定でございます。

 次に、特別養護老人ホームの入所待機者の状況と介護職員の養成に対する支援についてでございます。

 7月に公表されました県の調査によりますと、本年1月1日時点の県内の特別養護老人ホームの入所待機者数は7,553人であり、そのうち、要介護3以上のひとり暮らし高齢者など、特に入所の必要性が高い方は699人となっております。当町の待機者数は61人で、前年と同数でありましたが、特に入所の必要性が高い方については、前年の3人から減少し、県内市町で唯一の0人となりました。これは、平成27年度から平成28年度にかけて、地域密着型特別養護老人ホームの整備が進んだことが大きな要因ではないかと推察しております。

 一方、厚生労働省の推計によりますと、介護サービスを支える介護職員は、2040年には現在の1.5倍の人数が必要とされており、15歳から64歳までの生産年齢人口の減少等による介護人材の不足も懸念しております。

 こうしたことから、町では、町内の介護事業所が開催しております「介護職員初任者研修」につきまして、広く町民の皆さまへ周知を図るため、町のホームページやよしポケNEWS等を活用して情報を発信するとともに、総合体育館や図書館などにポスターを掲示し、受講者の募集を支援してまいりました。また、この研修には、町でも保健師を講師として派遣するなどしながら、引き続き、介護保険施設の人材確保に対する取組を支援してまいります。

 次に、11月に開催を予定しております「アクティブシニア応援フェア in 吉田」についてでございます。

 高齢化の進行により、家事援助や通いの場といった生活支援ニーズの増大が予測されることから、町では、事業の担い手の養成やこれまで社会活動に関心がなかった方の社会参加の促進を図るため、県が実施しております66歳から76歳までの方を対象とする「壮年熟期が活躍するいきいき長寿社会づくり事業」を活用し、11月7日に学習ホールにおきまして「アクティブシニア応援フェア in 吉田」を開催いたします。

 具体的な内容といたしましては、長年にわたりボランティア養成講座を開催しております社会福祉協議会やボランティア団体による活動発表や、活動の場と活動する人とをマッチングするブースの出展を予定しております。また、コント赤信号のリーダーとして活躍されているタレントの渡辺正行さんを講師にお迎えし、コント赤信号時代の苦労話や、若手お笑い芸人の育成に尽力している自身の体験を基に、セカンドライフの楽しみ方をお話しいただく講演会もございます。

 多くの方にご来場いただくことにより、社会参加やボランティア活動等への一歩を踏み出す契機となり、生きがいを持って地域で活躍される高齢者の皆さまがますます増えていくことを期待しております。

 次に、「吉田町要配慮者避難支援計画」についてでございます。

 当町では昨年度、平成23年1月に作成した「吉田町災害時要援護者避難支援計画」を見直し、「吉田町要配慮者避難支援計画」を策定いたしました。

 「要配慮者」とは、災害時において、高齢者、障害のある方、乳幼児、その他特に配慮を要する方で、さらに要配慮者のうち、災害が発生した場合、または災害が発生する恐れがある場合に自ら避難することが困難であり、その円滑かつ迅速な避難の確保を図るために特に支援を要する方を「避難行動要支援者」と定義しています。

 この避難支援計画は、吉田町地域防災計画における避難行動要支援者への対策について、避難支援に関する事項を具体化したものでございます。避難行動要支援者は、災害発生時に自ら避難行動をとることや避難所等で生活することが困難になる場合がありますが、必要な支援を行うことで、適切な行動や対応を自らとることが可能となりますことから、避難行動要支援者が適切に自助・共助ができるよう、避難情報等を確実に伝達できる仕組みを確立するとともに、地域において避難行動要支援者を把握し、必要な支援を行うものでございます。

 当町では、災害時の情報伝達、避難行動の支援、安否確認などが円滑に実施できるよう、8月1日から、避難行動要支援者の皆さまに個別計画の提出をお願いしております。個別計画の登録申請を促すことにより、災害時に自力で避難することが困難で支援を希望する方々を地域で見守り助け合うことができる体制づくりを推進してまいります。

 次に、ダンス健康づくり事業についてでございます。

 子どもから高齢者まで、幅広い世代の皆さまに町オリジナルダンスの普及を通した健康づくりを推進するため、吉田町ダンス健康づくり推進会が開催しております「笑っしょいよしだフェスティバル」が、平成21年度の開催から10回目の節目を迎えますことから、11月18日に総合体育館におきまして、10周年の記念事業を開催いたします。

 当日は、幅広い世代の皆さまにお楽しみいただけますよう、ダンスクリエーターとして活躍されておられますTRFのSAMさんをゲストにお招きしてダンスパフォーマンス発表会の審査員に加わっていただくとともに、初心者を対象としたダンス講習会を開催していただく予定でございます。

 多くの皆さまにご来場いただけますよう、広報よしだやチラシを活用し、周知を図ってまいります。

 続きまして、「活力あふれる産業振興のまちづくり」に関連する事業のうち、広域連携による観光事業につきまして、ご報告申し上げます。

 広域連携による観光事業につきましては、当町を含む静岡県中部地域の5市2町で構成する静岡県中部・志太榛原地域連携DMOにおきまして、するが企画観光局が母体となり、プロモーション活動を実施しております。本年度の町内における活動でございますが、7月28日に、町内企業が開催したイベント「伝」につきまして、開催支援やイベント周知などのプロモーション活動を行っていただきました。

 今後も、するが企画観光局が実施するプロモーション活動に対する支援・協力を通じて、当町の観光振興へとつなげてまいります。

 次に、雇用・就業対策として開催いたします合同企業説明会についてでございます。

 町及び町商工会では、11月18日にオアシス館におきまして、町内企業を対象とした合同企業説明会を開催いたします。

 これは、町内企業の就業内容に関する認識を高めることにより、職場への定着率の向上や人材不足解消を図ることを目的として、本年、初めて開催するものでございます。当日の参加企業は15社程度を予定しており、現在、参加企業の調整を行っているところでございますので、参加企業が決定いたしましたところで、求職者の募集を開始する予定でございます。

 なお、この合同企業説明会は、ハローワーク榛原に共催いただくとともに、一般社団法人吉田町まちづくり公社にも協力していただく中で開催するものでございます。

 次に、生産性向上特別措置法による支援についてでございます。

 生産性向上特別措置法は、中小企業の生産性向上に向けた設備投資を強力に後押しするもので、町が策定し国から同意を得た「導入促進基本計画」に沿って、企業が策定した「先端設備等導入計画」を町が認定することにより、企業が税制支援や金融支援を受けることが可能となるものでございます。

 当町の導入促進基本計画につきましては、6月29日に、国の同意を得ることができましたことから、7月9日に企業の先端設備等導入計画の認定事務を開始いたしましたところ、8月31日までに13社から申請がございました。

 なお、当町では、先の第2回吉田町議会定例会にてお認めいただきましたとおり、企業の新規取得設備に係る固定資産税を3年間ゼロとする税制支援により、企業の更なる発展を後押ししてまいります。

 続きまして、「魅力あふれる多様な交流を生むまちづくり」に関連する事業のうち、吉田町シーガーデンシティ構想推進委員会につきまして、ご報告申し上げます。

 本年度から本格的に開始される予定であります川尻工区における防潮堤の嵩上げ工事は、町が進める「津波防災まちづくり」の具現化に向けての核心部分の創出につながるものでございますが、同時に、シーガーデンシティ構想全体の具現化にもつながる大変重要な工事でありますので、この工事が本格化する本年度は、大きな変革期の年であると捉えております。

 町では、この機をシーガーデンシティ構想の深化のときと位置づけ、新たな安全が確保される沿岸部に賑わいの輪を広げるように、シーガーデンシティ構想を展開させるようにすることを目的として、吉田町シーガーデンシティ構想推進委員会を設置し、去る7月4日に、第1回目の委員会を開催いたしました。

 この委員会は、静岡文化芸術大学副学長の寒竹伸一教授をはじめ、国や県の関係機関の職員、自治会長の皆さま、町内産業4団体の代表の皆さま、県営吉田公園の指定管理者であるNPO法人しずかちゃん、一般社団法人吉田町まちづくり公社から選出されました皆さまなど、15名の委員で構成しております。

 第1回目の会議では、都市デザインに精通されております寒竹教授が委員長に、また、現在、一般社団法人吉田町まちづくり公社の理事であり、長年にわたってNPO法人しずかちゃんの理事長を務められた川崎順二氏が副委員長に選出され、今後の委員会の審議方法等について確認いたしました。

 また、先に申し上げましたとおり、当日は、吉田漁港多目的広場利活用検討委員会を併せて開催し、両委員会委員の皆さまに共通の認識を持っていただくため、事務局からシーガーデンシティ構想及び吉田漁港多目的広場の概要説明を行うとともに、事務局の一員として参画しております静岡文化芸術大学の寒竹研究室の大学院生から、川尻海岸の景観特性をまとめた調査結果について発表していただきました。

 今後は、事務局において、若い世代の視点とデザインの専門性も生かしながら計画の素案を作成し、委員会でご審議をいただきまして、川尻海岸におけるシーガーデンの賑わいづくりの方向性を固めてまいりたいと考えております。また、町民の皆さまが、シーガーデンシティ構想による町の安全・安心に資する取組や賑わいづくりを容易にイメージすることができるように、計画を具体的に表した川尻海岸のジオラマも作成してまいります。

 次に、八女市・吉田町未来創造の翼交流フォーラムについてでございます。

 当町と福岡県八女市とは、静岡空港を活用した事業が契機となり、平成22年度からイベントへの相互参加や災害支援などを通して交流が始まりました。こうした中、この交流を持続的な取組へと発展させていくため、平成27年度からは、「八女市・吉田町未来創造の翼交流事業」を展開し、現在に至っております。

 この事業は、毎年、両市町が交互に開催地となるフォーラムを柱として、産業観光分野やスポーツ・文化等の分野における交流事業を展開していくもので、八女市で開催された第1回のフォーラムでは、「災害時における相互応援に係る協定」を、その翌年に吉田町で開催された第2回フォーラムでは、「特産品交流連携に関する協定」を締結しており、この特産品交流連携の取組として、平成28年度から、お互いの市町の特産品をふるさと納税の返礼品として取り扱ってまいりました。

 本年8月9日、10日に当町を会場として開催されました本年度のフォーラムでは、平成28年度に締結した「特産品交流連携に関する協定」をより一層強化していく取組といたしまして、「八女市の地酒」を吉田町で、「吉田町のしらす」を八女市でそれぞれ販売する取組を促進していくこととなりました。これは、両市町の民間事業者が主体の取組となりますが、当町といたしましても、事業者間の調整がスムーズに行われるようバックアップしてまいります。

 お互いの特産品をそれぞれ多くの住民の皆さまに知っていただくことにより、交流の輪がさらに広がり、また、事業者の皆さまにとりましても、販路拡大などにつながっていき、産業振興にも役立っていくことを期待しております。

 続きまして、「次代を担う心豊かな人を育むまちづくり」に関連する事業のうち、「吉田町教育元気物語 TCP Triwins Plan(ティーシーピー・トリビンス・プラン)」の本年度における主な事業につきまして、現在までの実施状況をご報告申し上げます。

 まず、「子どもの『確かな学力』を保障する環境づくり」のうち、「快適な学習環境の整備」の一つとして進めております小中学校トイレの洋式化改修についてでございますが、先の第2回吉田町議会定例会におきまして、工事請負契約の締結をお認めいただき、6月15日に契約を締結いたしました。現在、児童生徒や周辺地域の皆さまの安全管理、そして、環境対策や交通対策にも十分に配慮しながら、各学校において工事を進めているところでございます。各学校における授業や学校行事等に支障が生じることのないよう調整を図りながら、夏休み等の長期休業日や土曜日、日曜日及び祝日を中心に作業を行い、来年2月末までに完了させるよう、確実に工事の進捗を図ってまいります。

 次に、「確かな学力」の育成を軸とした幼保・小中一貫教育の推進についてでございますが、千葉大学松嵜洋子教授のご指導のもと、町内の幼稚園、保育園及び小学校等が連携して作成いたしました「吉田町幼児教育カリキュラム」に基づく教育の実践といたしまして、去る6月27日に、ひばり幼稚園において「実践園研究会」を開催し、公開保育及び事後研究会を行いました。本年度も引き続き、国立教育政策研究所教育課程研究センター調査官のご指導をいただきながら、10月にはわかば保育園と自彊小学校におきまして、公開保育、公開授業及び事後研究会を行う予定でございます。

 これらの実践や研究を通して、幼保小の教職員が「育てたい子どもの姿」を共有し、その実現に向けて、幼稚園・保育園での学びを小学校教育へと効果的に接続させた教育課程や指導方法の在り方を探るなど、更なる幼児教育の充実を図ってまいります。

 続きまして、「教職員が授業に専念できる環境づくり」のうち、校務の支援の一つとして進めております学校事務の効率化についてでございますが、教員が働きやすい環境づくりを実現するため、現在、全教職員へのアンケートや管理職へのヒアリングを通じて、教員が望む働きやすい職員室のレイアウトをまとめており、また、教員から要望のありました校務支援システムのバージョンアップにつきましても、今月からの稼働に向け、受注者及び各学校と調整を図っているところでございます。

 このように、職員室のICT環境を整えるとともに、職員室を機能的で働きやすい空間とすることで、教員の働き方改革や児童生徒への指導の充実に資するよう、着実に環境整備を進めてまいります。

 最後に、「TCPトリビンスプラン」車座対話につきまして、ご報告申し上げます。

 教育委員会及び町長部局の職員と町内に勤務する先生方とが車座形式による直接対話の機会を通じてお互いの意識の共有を図りながらプランを進めることにより、当町の教育を一層充実させることを目的といたしまして、5月から現在までに、合計13回の車座対話を実施いたしました。

 当日は、授業日の平準化を始めとした「TCPトリビンスプラン」の諸施策についての現状と課題や、新学習指導要領の趣旨の実現及び教員の働き方改革を進める上での課題や要望について、自由に意見交換を行いました。今後は、車座対話の内容を取りまとめ、教育委員会でご議論いただいた上で、必要に応じて総合教育会議においても協議しながら、プランの円滑な推進につなげてまいります。

 以上が「吉田町教育元気物語 TCP Triwins Plan(ティーシーピー・トリビンス・プラン)」における主な取組の実施状況でございます。

 次に、総合体育館運営事業についてでございます。

 本年4月1日にリニューアルオープンいたしました総合体育館の記念事業といたしまして、6月16日に、バスケットボール女子日本リーグに所属しているシャンソンVマジックの選手をお招きし、吉田ミニバスケットボール女子スポーツ少年団と吉田中学校女子バスケットボール部の皆さんを対象とした「バスケットボールクリニック」を開催いたしました。また、6月30日及び7月1日には、バレーボールのオリンピック等出場経験者をお招きし、町内のママさんバレーボールチームを対象とした宝くじスポーツフェア「はつらつママさんバレーボール」を開催して、指導者クリニックや親善試合などを行いました。

 参加された皆さまからは、「競技意欲が一段と高まった」、「自分を更に高める良い機会となった」、「憧れの選手を間近で見ることができ、とても嬉しかった」など、喜びの声を多数いただき、トップクラスの選手のプレーを間近で見ることにより、スポーツの魅力を十分に感じ取っていただいたほか、技術力の向上にもつながり、さらには、招待選手や参加者同士の交流も図られるなど、大変充実したイベントとなりました。

 また、トレーニング機器を一新し、専門のインストラクターを配置したトレーニング室につきましては、4月1日から8月25日までの初回講習会受講者は826人、一般延べ利用者数は5,292人となっており、町民の皆さまの健康づくりや体力づくりの場として有効にご活用いただいております。

 続きまして、「豊かな自然と共生するまちづくり」に関連する事業のうち、水道事業につきまして、ご報告申し上げます。

 上水道事業の整備につきましては、安全な水道水を安定して供給することができるよう、災害に強い施設の整備に努めております。本年度は、既に発注済みの基幹管路耐震化事業である高区配水系送・配水管布設替工事のほか、配水池から災害時に応急給水拠点となる避難所等までの管路を耐震化する事業の一環として実施いたします、役場前線、藤原線及び川尻浜河原3号線の布設替工事を予定しております。

 また、老朽管布設替事業として川尻浜川線を含む4件、道路改良工事や下水道工事等、他事業に関連する布設替等事業として3件の工事を予定しておりますが、このうち3件につきましては既に発注済みであり、残りの工事につきましても順次発注する予定でございます。

 次に、下水道事業についてでございます。

 公共下水道事業の整備につきましては、社会資本整備総合交付金を活用し、管渠建設及び浄化センターの長寿命化対策を併せた整備を進めております。

 本年度の管渠建設につきましては、役場前付近の国道150号北側の歩道や町道役場山の根線など7件の布設工事を行う予定でございますが、このうち、4件につきましては既に発注済みであり、残り3件の工事につきましても順次発注する予定でございます。

 また、浄化センターにつきましては、長寿命化計画に基づき、沈砂池設備、用水・消毒設備及び監視制御設備における電気設備の更新工事を、平成29年度に引き続き実施しているところでございますが、機械設備につきましても、自動除塵機、しさ搬出コンベア、しさ洗浄機、しさ脱水機、初沈汚泥ポンプ及び送風機の部品更新工事を行う予定でございます。

 なお、機械設備の更新工事につきましては、8月27日の吉田町議会臨時会におきまして請負契約についてお認めいただき、本契約を締結させていただいたところでございます。

 また、この他、ただいま進めております基盤整備事業といたしまして、準用河川であります大幡川の河川改修事業の進捗状況を申し上げます。

 昨年度からの繰越事業として実施しております川尻地区の落差工改修工事につきましては、現在、出水期に当たるため工事を中断しておりますが、10月から工事を再開し、来年1月の完了を目指して改修工事を進めてまいります。また、上流部の大窪川につきましては、今月中旬に契約を締結し、片岡地内の中瀬橋上流部の改修工事に着手する予定でございます。

 続きまして、「行政と住民が一体となって取り組むまちづくり」に関連する事業のうち、ふるさと納税につきまして、ご報告申し上げます。

 当町では、平成28年6月21日から、ふるさと納税の返礼事業に取り組んでおり、平成28年度は6億7,432万5千円、平成29年度は6億9,116万2千5百円のご寄附をいただきました。

 本年度は、4月から7月までの4か月間で、5,760万円のご寄附をいただいており、昨年度同時期の寄附額であります2億5,628万5千円と比較いたしますと、77.5パーセントの減額となっております。これは、平成29年4月1日に総務大臣から通知がございました「ふるさと納税に係る返礼品の送付等について」の中で示されております「返礼品のあり方」を踏まえ、平成29年9月1日から、返礼率を5割から3割に見直したことが大きく影響しているのではないかと考えております。

 返礼率は、各自治体がそれぞれ定めておりますことから、一律に3割とはなっていない状況でございますが、当町といたしましては、総務大臣の方針を尊重し、3割の返礼率を維持した上でより一層のシティプロモーション活動を展開し、全国の皆さまに吉田町を応援していただけるように取り組んでまいります。

 以上、本年度の事業の進捗状況をご報告させていただきましたが、10月からはいよいよ「津波防災まちづくり」の最重要施策であります防潮堤の嵩上げ工事が本格化してまいりますので、近隣の皆さまにご迷惑をおかけしないよう配慮しながら進めるとともに、「吉田町教育元気物語 TCP Triwins Plan(ティーシーピー・トリビンス・プラン)」や子育て支援、健康づくりに係る施策を着実に進め、引き続き、安全・安心で魅力的なまちづくりに取り組んでまいります。

 議員各位におかれましては、こうした当町の姿勢をご理解いただき、町政運営に対するより一層のご支援、ご協力を賜りますことをお願い申し上げ、本定例会の行政報告といたします。