平成30年第2回吉田町議会定例会の開会に当たり、町政運営の概要等についてご報告申し上げます。

 本年3月30日に、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が衝撃的なデータを発表しました。それは、2030年以降、東京都を含む全ての都道府県で人口が減り始め、2045年には全国の7割以上の市区町村において、2015年と比較し人口が2割以上減るというものです。

 同研究所が発表した地域別将来推計人口によりますと、日本の総人口は、2045年には1億0,642万人になると予想されています。2015年の総人口が1億2,709万人ですから、今後30年で、実に2,000万人以上減少することになるのです。さらに、総人口に占める65歳以上の割合を見ますと、2015年は26.6パーセントであったのが、2045年には36.8パーセントにまで上昇すると見込まれています。

 人口減少・少子高齢化の加速度的な進行は、社会構造に大きな影響を及ぼします。特に、15歳から64歳までの「生産年齢人口」の減少は労働力の低下につながり、日本全体の経済成長の減速へと発展する恐れがあります。

 国は、日本経済の活力を維持するための対策として、安心して子どもを産み育てられる環境の整備や、若者、女性、高齢者など働く意欲を持つ全ての人々が労働市場へ参加することを促す仕組みづくり、人工知能やロボットをはじめとするIT技術の導入などを掲げておりますが、こうした対策により労働力を補うことに加え、労働者一人ひとりが高い能力を持ち、生産性を高めていくことが求められております。

 このような状況であるからこそ、今後、吉田町の未来を担っていく子どもたちが、これからの複雑多様な社会の中で力強く生きていくために必要な資質・能力を身に付けられるよう、子どもたちが安心して質の高い教育を受けられる環境を整備することが、我々の使命であると感じております。ご承知のとおり「吉田町教育元気物語 TCP Triwins Plan(ティーシーピー・トリビンス・プラン)」は、「子どもの『確かな学力』を保障する環境づくり」、「教職員が授業に専念できる環境づくり」、「保護者の教育ニーズに応じた環境づくり」の3つの柱を軸に事業を展開しており、本年度も、このプランに位置づけられた各種施策を着実に進め、更なる教育環境の充実に取り組んでまいります。

 また、「津波防災まちづくり」の最重要施策であります防潮堤の嵩上げ工事や、安全・安心と賑わいづくりを一体的に進める「シーガーデンシティ構想」に係る取組につきましても、関係機関との連携・調整を図りながら早期完成に向けて事業を進めてまいりますので、議員各位におかれましても、是非ともご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 それでは、新年度に入りまして2か月が経過したところでございますが、本年度の事業の進捗状況につきまして、ご報告申し上げます。

 はじめに、「災害に強く安全・安心に暮らせるまちづくり」に関連する事業のうち、川尻工区における防潮堤の整備につきまして、ご報告申し上げます。

 川尻工区における既設防潮堤陸側の背後盛土の整備につきましては、国土交通省静岡河川事務所、静岡県、吉田町の三者で構成される「吉田町川尻工区事業調整会議」におきまして、それぞれが所管する工事から発生する土砂の受け入れについて調整を行っております。

 この中で、搬入土の最大量を見込んでおりました国の大井川河道掘削工事につきましては、本年3月に予定どおり工事の請負契約を終えたと伺っておりましたが、工事に先立ち現場環境を調査したところ、当該工事予定地に絶滅が危惧される希少魚類が生息していることが確認され、その産卵期を避けるため、河道掘削の着工時期を10月以降に調整するとの報告を受けております。

 町といたしましては、工事の延期による盛土材搬入の遅れはやむを得ないものと受け止めておりますが、引き続き、国・県との連携・調整を図るとともに、民間工事からの土砂搬入も踏まえ、防潮堤の早期完成を目指してまいります。

 次に、吉田漁港多目的広場の整備についてでございます。

 吉田漁港多目的広場につきましては、平成28年度及び平成29年度に盛土工事を実施し、施設延長548メートルのうち、国土交通省の防潮堤との取合い部分を除いた約530メートルの区間について、海抜10メートルの高さまでの盛土が完成しております。5月13日には、昨年度までに完成した部分の一般公開を実施し、来場者の皆さまにその高さを体感していただくとともに、現在の整備状況をご確認いただきました。

 本年度は、多目的広場の完成に向けた護岸工事などを進めるとともに、仮称ではございますが「多目的広場上部利活用検討委員会」を立ち上げ、委員の皆さまのご意見等を伺いながら、シーガーデンを構成する施設の一つとして多くの皆さまにお楽しみいただける施設となるよう、整備を図ってまいります。

 次に、「内陸のフロンティア」を拓く取組改め「“ふじのくに”のフロンティア」を拓く取組についてでございます。

 「内陸のフロンティア」を拓く取組につきましては、静岡県が第2期全体構想・基本計画を策定するに当たり、名称を「“ふじのくに”のフロンティア」を拓く取組に変更したことに伴い、当町の関連組織につきましても、本年4月1日から名称を変更いたしました。

 この「“ふじのくに”のフロンティア」を拓く取組における川尻高島地区の企業活動維持支援事業区域でございますが、昨年度からの繰越事業として進めております大幡川右岸側の橋梁下部工事につきましては、今月中に工事が完了する予定でございます。また、左岸側の橋梁下部工事につきましては、7月下旬に契約を締結し、工事を開始する予定でございます。

 次に、木造住宅の耐震化プロジェクト「TOUKAI-0」事業についてでございます。

 「TOUKAI-0」事業につきましては、耐震補強において最大で30万円を上乗せする助成制度の拡充等により、平成29年度は無料耐震診断に47件、耐震補強計画策定に23件、耐震補強工事に19件、ブロック塀等耐震化補強事業に2件のお申込みをいただき、例年以上の成果を上げることができました。

 本年度につきましても、既に町民の皆さまから木造住宅の耐震化に対するお問い合わせを多数いただいておりますので、補助金の上乗せ措置の期間延長に加え、戸別訪問やダイレクトメールなどによる啓発活動を積極的に実施し、木造住宅の耐震化を加速させてまいります。

 続きまして、「誰もが健康でいきいきと暮らせるまちづくり」に関連する事業のうち、健康診査体制の充実につきまして、ご報告申し上げます。

 当町では、母子の健康保持増進を図るため、妊娠期から各種健康診査、健康相談を実施し、子どもの発育発達に対する支援を行っておりますが、子どもの発育発達の中でも特に目の機能につきましては、6歳までにほぼ完成すると言われており、視力の発達を阻害する弱視を早期に発見し適切な医療につなげるよう、3歳児を対象とした健康診査において視力検査を行っております。この視力検査につきましては、家庭における視力検査と健診会場での問診により総合的に判断する方法で行ってまいりましたが、健康診査の精度向上を図るため、平成29年7月から、健診会場において目の屈折検査ができる機器を用いた視覚検査を試行的に開始し、その後、更に体制を整え、本年1月から本格実施しております。

 平成29年7月から本年5月までに、機器を用いた視覚検査を受けたお子さんの人数は202人であり、このうち約1割のお子さんが医療機関での精密検査を受診されております。今後も、町内小児科医、眼科医等のご意見を伺いながら診察内容の評価を行い、健康診査体制の更なる充実に努めてまいります。

 次に、予防接種事業についてでございます。

 予防接種は、感染症への罹患、重症化を予防するため、国が定める予防接種法に基づき実施しているところでございますが、接種が推奨される予防接種の種類がここ数年増加しております。また、当町におきましては、志太圏域の近隣市町にかかりつけ医を持つ町民の方もいらっしゃいますことから、本年度から、焼津市、藤枝市及び島田市の各医師会と予防接種事業における直接契約を結び、スムーズに接種が受けられる体制を整えました。今後も、適切な時期に安全に予防接種を受けていただけるよう、接種体制の更なる充実を図るとともに、よりよい保健サービスが提供できるよう努めてまいります。

 次に、福祉に係る「ワンストップ相談窓口」の体制整備についてでございます。

 平成29年度から設置しております「ワンストップ相談窓口」では、地域共生社会の実現に向け各種相談に対応しておりますが、少子高齢化や人口減少が進行する中、当町におきましても、社会的孤立や将来への不安など、様々な課題を抱える方々を地域全体で支え合い支援していくことが求められております。このため、これまでは分野別、年齢別に縦割りだった支援を包括的に地域で支えられるよう、本年度からは、福祉課職員の保健師が中心となり、福祉に関する初期相談への対応やアセスメントを行った上で適切なサービスへとつなげ、地域の生活課題を早期に解決する支援体制の構築に取り組んでいるところでございます。

 次に、高齢者福祉及び介護保険事業についてでございます。

 国では、団塊の世代が75歳以上となる2025年や高齢者数がピークを迎える2042年を見据え、高齢者の皆さまが自らの能力に応じて自立した日常生活を営むことができるよう、これまでの自立支援・重度化防止といった介護保険制度の理念を堅持しつつ、質が高く効率的なサービスを提供する地域包括ケアシステムの深化・推進と介護保険制度の持続可能性の確保を政策課題の柱として挙げております。

 こうした国の動きを踏まえ、平成29年度に町が策定した「第8次高齢者保健福祉計画・第7期介護保険事業計画」では、「健康長寿のまちづくり」、「支え合って暮らせる地域づくり」、「安心して暮らせる介護サービスの提供」の3つの基本理念を継承し、これまでも重点施策として位置づけてまいりました、医療、介護、予防、住まい及び生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの充実や、高齢者の皆さまの社会参加を推進し、個々の生きがいづくりにつながる新たな事業の展開を掲げております。また、更なる高齢化の進行に伴い、介護給付費の増加が見込まれるところでございますが、当町におきましては、現状の保険料収納額の範囲で必要な事業が実施できると判断し、本年度から3年間の介護保険料基準額は月額4,800円と、これまでの額を据え置くことといたしました。

 高齢者の皆さまの介護費用の負担が抑制されるよう、今後も、介護予防体操の普及やリハビリ専門職を活用した積極的な介護予防の推進、地域包括支援センターに配置している認知症地域支援推進員を中心とした認知症予防及び認知症の早期発見・早期対応に取り組んでまいります。

 次に、介護保険における新しい介護予防・日常生活支援総合事業、いわゆる「新しい総合事業」についてでございます。

 「新しい総合事業」のうち、住民が主体となった通所型サービスBといたしまして、本年1月から「ふれあいデイサービスかがやき」がスタートいたしました。これは、町民ボランティアによるデイサービスとして、支える側・支えられる側という関係ではなく、共に活動し学ぶ場を目指して開かれているもので、利用者の皆さまからは、気軽に参加できると好評をいただいております。さらに、本年4月からは、緩和した基準による通所型サービスAの半日型及び一日型の事業といたしまして、レクリエーションや軽度の体操などを行う「健康わくわくデイサービス」がスタートいたしました。

 今後も、地域包括ケアシステムの実現に向け、より良いサービスが構築されるよう準備を進め、高齢者の皆さま自身が役割や生きがいを持って積極的に社会活動に参加し、自立した生活を送ることができるよう支援してまいります。

 続きまして、「活力あふれる産業振興のまちづくり」に関連する事業のうち、静岡デスティネーションキャンペーンにつきまして、ご報告申し上げます。

 JR6社と自治体、観光事業者等が協働で実施する国内最大規模の観光キャンペーンである「デスティネーションキャンペーン」が2019年に静岡県で開催されることに当たり、本年4月から6月までの3か月間、県内では、全国から観光誘客促進を図るためのプレキャンペーンが展開されております。

 具体的な取組としましては、4月1日にJR静岡駅等においてオープニングセレモニーが実施されたほか、5月15日から17日までにかけて、全国から旅行会社社員など約870人をお迎えし、全国宣伝販売促進会議が開催されました。この中では、全体会議や歓迎レセプション、県内各地域で「エクスカーション」と呼ばれる小旅行が実施され、当町におきましても、静岡市、島田市、焼津市、藤枝市、牧之原市及び川根本町と連携し、町のPR活動を実施いたしました。

 今回の全国宣伝販売促進会議にご協力いただきました、静岡うなぎ漁業協同組合、吉田町煮干協同組合、南駿河湾漁業協同組合吉田支所、松浦食品有限会社の皆さま方、また、町内におけるデスティネーションキャンペーンの機運醸成にご協力いただいた事業者様などには、心から感謝申し上げる次第でございます。

 今後は、来年のデスティネーションキャンペーンに向けまして、産業団体と更なる連携を図りながら、観光資源の魅力向上や旅行商品の造成等に取り組んでまいります。

 続きまして、「魅力あふれる多様な交流を生むまちづくり」に関連する事業のうち、吉田町シーガーデンシティ構想推進委員会につきまして、ご報告申し上げます。

 東日本大震災以降、強力に推進してまいりました「津波防災まちづくり」の一丁目一番地であります防潮堤の嵩上げ工事が、川尻工区を皮切りに本年度から開始される運びとなりましたことから、町では、この機をシーガーデンシティ構想の加速と深化の時と位置づけ、新たな安全が確保される沿岸域へ賑わいの輪を広げながら町全体のグランドデザインを描き、シーガーデンをコーディネートすることを目的とした「吉田町シーガーデンシティ構想推進委員会」の設置を進め、現在、第1回会議を今月下旬に開催できるよう調整しているところでございます。この委員会の委員には、地域住民の代表者であります各自治会長をはじめ、町内の産業4団体、県営吉田公園の指定管理者であるNPO法人しずかちゃん、一般社団法人吉田町まちづくり公社からの選出委員に加え、国、県の関係機関の皆さまにも委員として参画していただくほか、より専門的な見地から助言をいただくため、都市デザインに精通されております静岡文化芸術大学デザイン学科教授の寒竹伸一先生に委員への就任を依頼し、この度、ご了承をいただいたところでございます。

 委員会を進めるに当たりましては、静岡文化芸術大学デザイン学科の学生の皆さまにも事務局の一員として参画していただく予定でございます。町外の若者による新たな視点と、デザインを学ぶ学生の創造力豊かな発想による提案を受けながら事務局運営を行い、推進委員会や多目的広場上部利活用検討委員会等の提言を踏まえた上で、シーガーデンシティ構想の具現化を図ってまいりたいと考えております。

 また、今回のシーガーデンシティ構想の具現化に合わせまして、町民の皆さまが容易にイメージすることができ、さらに、川尻海岸におけるシーガーデンの将来の姿が想像できるよう、防潮堤の嵩上げ工事と推進委員会等からの提言を取り入れたジオラマの製作を静岡文化芸術大学に依頼し、シーガーデンシティ構想の更なるPRを図ってまいりたいと考えております。

 次に、「吉田町都市計画マスタープラン」の中間変更についてでございます。

 「吉田町都市計画マスタープラン」は、都市計画法の規定に基づき平成21年2月に策定し、当町の都市計画の基本的な方針として運用してまいりましたが、策定から10年近くが経過し、社会情勢が大きく変化していることや、平成28年3月に策定した第5次吉田町総合計画及び同年2月に策定した第3次吉田町国土利用計画との整合を図る必要がございましたことから、平成28年度及び平成29年度の2か年で変更事務を進め、本年3月に都市計画決定を行いました。

 変更後の「吉田町都市計画マスタープラン」には、目下、当町が推進しております「シーガーデンシティ構想」を核とした新たなまちづくりについても盛り込んでおりますので、今後は、都市計画の観点からも、新たな安全と賑わいの創出をより一層推進してまいります。

 次に、準用河川であります大幡川の河川改修事業についてでございます。

 大幡川につきましては、昨年度からの繰越事業といたしまして、川尻地区の落差工改修工事を進めているところでございます。上流部の大窪川につきましても8月下旬に契約を締結し、片岡地内の中瀬橋上流部の改修工事に着手する予定でございます。

 続きまして、「次代を担う心豊かな人を育むまちづくり」に関連する事業のうち、「吉田町教育元気物語 TCP Triwins Plan(ティーシーピー・トリビンス・プラン)」本年度における主な事業につきまして、現在までの実施状況をご報告申し上げます。

 まず、「子どもの『確かな学力』を保障する環境づくり」に係る事業のうち、外国語・国際理解教育の推進についてでございます。

 本年度から新しい学習指導要領が先行実施となり、小学校3年生から外国語に関する授業が開始されました。このことに着実に対応し、各学校における外国語教育・国際理解教育を充実させるため、引き続き、全小中学校に外国語指導助手を1名ずつ配置するとともに、指導助手が十分に力を発揮することができるよう、指導助手と学校及び教育委員会との橋渡し役としてプログラムコーディネーターを1名配置しております。

 次に、幼保・小中一貫教育の推進についてでございます。

 幼保小の一貫した教育につきましては、平成28年度から、千葉大学の松嵜洋子先生にご指導いただき、また、平成29年度からは、国立教育政策研究所の指定もいただきながら取り組んでまいりました。この中で、昨年度は、幼児教育の重要性を認識しつつ、どの幼稚園、保育園等においても質の高い幼児教育を施すことができるよう、共通の指導指針となる「吉田町幼児教育カリキュラム教師・保育士用指導書」を作成し、本年度から本格的に、本カリキュラムに基づく実践を行っております。また、本年度からは、幼稚園、保育園等での教育を小学校に円滑につなげることで「小1プロブレム」の解消を図ることを目的とした「スタートカリキュラム」の検討も、実践を交えながら行っております。

 併せて、小中一貫教育につきましては、國學院大学の田村学先生を座長にお迎えして「小中学校のつながりのある教育検討委員会」を設置し、本年3月に第一回会合を開催いたしました。この委員会において、義務教育の9年間を通じた系統的及び継続的で充実した教育の在り方を検討していくこととしております。

 次に、快適な学習環境の整備についてでございます。

 昨年度は、児童生徒が快適な環境の中で学習することができるよう、全小中学校へのエアコンの設置と学校照明のLED化を行いました。本年度は、既にトイレの洋式化が完了している中央小学校を除く全ての小中学校において、校舎のトイレを洋式化する予定であり、現在、工事の実施に向けて準備を進めているところでございます。

 続きまして、「教職員が授業に専念できる環境づくり」に係る事業のうち、学校閉庁日の設定についてでございます。

 教育委員会では、夏季休業日及び冬季休業日中に、教職員が休みやすい環境を整えるため、夏季は9日間、冬季は6日間の学校閉庁日を設定することとしております。学校を完全閉庁とすることにより年次有給休暇の取得を促進し、心身をリフレッシュして英気を養い、休暇明け以降の教育活動に邁進していただくことにつながるものと期待しております。

 次に、校務アシスタントの配置についてでございます。

 本年度から、教員でなくてもできる仕事を行う校務アシスタントを、各小中学校に2名ずつ配置いたしました。これにより、教員は授業や生徒指導といった教員の中核業務に専念することができ、日々の教育活動の充実につながるものと期待しております。

 次に、校務支援システムのバージョンアップについてでございます。

 これまでの校務支援システムは処理速度が大変遅く、教員が通知表や指導要録等を作成するに当たり多大な時間を要しておりましたことから、通知表等の作成時間を大幅に短縮することができるよう、本年5月に、校務支援システムをバージョンアップする更新業務委託契約を締結いたしました。今後は、早期にシステムを稼働できるよう、受託業者及び各学校と調整を図ってまいります。

 また、教員が働きやすい環境づくりを実現するため、本年4月に教員を対象としたアンケートを実施いたしました。今後は、このアンケートの集計結果を基に、職員室の事務に必要な機器の整備等を行ってまいります。

 続きまして、「保護者の教育ニーズに応じた環境づくり」に係る事業のうち、公設学習塾の実施についてでございます。

 公設学習塾につきましては、これまでも実施してきたところでございますが、本年度は、保護者からの平日開催を望む声、また、教科数を増やして欲しいとの要望を踏まえ、これまでの土曜開催を平日開催へと変更し、また、教科も国語を追加して実施することといたしました。さらに、これまでのプリント教材に取り組むコースに加え、タブレットを活用してデジタル教材に取り組むコースを追加することで、児童生徒が情報機器に触れる機会を増やすとともに、個人の習熟度に応じた学習が進められることを期待しております。

 次に、放課後子ども教室推進事業についてでございます。

 本年度から、中央小学校区をモデル校区として設定し、川尻会館及び片岡会館におきまして、平日4時間授業の日に実施する放課後子ども教室を開始いたしました。この教室は、子どもたちや地域の皆さまに親しみを持っていただけるよう、愛称を「どんぐり教室」とし、地元のNPO法人「eとこ吉田」に運営を委託して年間27回の実施を予定しております。

 この「どんぐり教室」は5月1日から開始いたしましたが、子どもたちは、宿題などの学習活動のほか、工作や昔の遊び体験など、地元のボランティアの皆さまと一緒に楽しみながら活動しております。放課後における子どもたちの安全で安心な居場所を確保するとともに、次世代を担う児童の健全育成を支援するため、来年度以降は、住吉小学校区及び現在活動が行われている自彊小学校区においても、平日4時間授業の日に対応した放課後子ども教室の実施を検討してまいります。 

 最後に、これまで申し上げました全ての環境づくりに共通する「授業日の平準化」につきまして、ご報告申し上げます。

 「授業日の平準化」は、授業日数を増やし、一日当たりの授業時間数を減らすことにより放課後の時間を生み出すものでございます。本年度の中学校の授業日数は昨年度と同程度でございますが、小学校につきましては、外国語活動の授業時間数の増加などに対応するため、昨年度に比べて2日から3日、授業日数を増加させ平準化を図っております。

 学校からは、授業日の平準化により、授業時間数の捻出や勤務時間内での会議の設定などに一定の効果があるとの報告をいただいております。来年度以降の授業日数につきましては、これまでの取組も踏まえ、教育委員会と各学校とが協議を重ね、決定されることとなります。

 以上が「吉田町教育元気物語 TCP Triwins Plan(ティーシーピー・トリビンス・プラン)」における本年度の主な取組と実施状況でございますが、本プランにつきましては、各学校の教職員と意識の共有を図りながら進めていくことが重要であると考えております。このことから、教育委員会及び町と教職員とが直接対話をする機会といたしまして「TCPトリビンスプラン車座対話」を開催し、去る5月には管理職を対象として実施いたしました。この「車座対話」は全10回程度開催する予定であり、対象も職階ごとや希望者を募るなどして開催することとしております。直接対話の機会を通して関係者間での意識の共有が図られ、当町の教育がより一層充実することを期待しております。

 続きまして、総合体育館運営事業についてでございます。

 本年4月1日にリニューアルオープンいたしました総合体育館につきましては、土日、祝日にはバレーボールやバドミントンなどの各種大会、平日等の夜間には各種競技の練習が行われ、技術力の向上や健康増進、利用者同士の交流の場として、多くの方にご利用いただいております。

 また、トレーニング機器を一新し、専門のインストラクターを配置したトレーニング室につきましては、4月1日から5月25日までの初回講習会受講者は475人、一般延べ利用者数は1,612人となっており、町民の皆さまの健康づくりや体力づくりの場として有効にご活用いただいております。

 今月16日には、総合体育館のリニューアルオープンを記念する事業といたしまして、バスケットボール女子日本リーグに所属しているシャンソンVマジックの選手を招待し、町内の女子バスケットボールスポーツ少年団と吉田中学校女子バスケットボール部を対象とした「バスケットボールクリニック」を開催いたします。また、今月30日及び7月1日には、バレーボールのオリンピック等出場経験者を招待し、町内のママさんバレーボールチームを対象とした指導者クリニックや親善試合などを行う宝くじスポーツフェア「はつらつママさんバレーボール」を開催する予定でございます。

 続きまして、「豊かな自然と共生するまちづくり」に関連する事業のうち、公共下水道事業につきまして、ご報告申し上げます。

 公共下水道の整備につきましては、国の社会資本整備総合交付金を活用して事業を進めております。

 このうち、浄化センターにつきましては、長寿命化計画に基づき、電気設備更新工事といたしまして、沈砂池設備、滅菌・用水設備及び監視制御設備における電気機器の更新を平成29年度及び平成30年度の債務負担行為により行っており、本年度も継続して工事を実施しているところでございます。

 また、管渠建設につきましては、同交付金を活用した片岡1号汚水幹線工事、片岡2号汚水幹線工事及び既設管路施設耐震補強工事などを計画しており、発注に向けた準備を進めているところでございます。

 続きまして、「行政と住民が一体となって取り組むまちづくり」に関連する事業のうち、ふるさと納税につきまして、ご報告申し上げます。

 当町では、平成28年6月21日から、ふるさと納税返礼事業を開始し、今月末をもちまして2年が経過するわけでございますが、これまでに全国各地から多くのご寄附をいただき、そのお礼といたしまして、当町の様々な特産品を寄附者の方々へ返礼し、地域産業の振興を図ってまいりました。

 平成29年度の寄附額の合計は、速報値ではございますが、6億9,116万2千5百円となっており、返礼事業を開始した平成28年度の寄附額であります6億7,432万5千円と比べますと、2.5パーセントとわずかではございますが、増加しております。

 寄附件数は、全体で54,075件でございまして、都道府県別に見ますと、東京都、神奈川県、大阪府の3都府県からのご寄附が多く、寄附額全体の46.5パーセントを占めております。また、1件当たりの寄附額につきましては、10,000円が34,326件、20,000円が14,190件と、全体の寄附件数の89.7パーセントを占めている状況でございました。

 このように、多くの方々から貴重なご寄附をいただいたわけでございますが、当町では、寄附者から使い道の指定があったご寄附につきましては、健康づくりや子育て支援、産業振興、交流促進、教育振興等の分野における新規事業や既存事業の拡充に係る費用に充当させていただき、町民福祉の向上に役立たせていただいております。

 こうした中、国は、地方公共団体において、ふるさと納税活用事業の内容や成果をできる限り明確にする取組や、ふるさと納税の寄附者との継続的なつながりを持つ取組を進めることが重要であるとの考えを示しており、クラウドファンディング型のふるさと納税を活用した「ふるさと起業家支援プロジェクト」や「ふるさと移住交流促進プロジェクト」を立ち上げ、地方公共団体において、これらのプロジェクトの実施に必要となる経費について特別交付税措置を講じ、積極的な取組を推進しております。

 当町におきましても、「効果的な情報発信」や「寄附者とのコミュニケーションの充実」、「ふるさと納税の使途の明確化」により、これまで以上に多くの皆さまから応援していただけるよう、魅力的なまちづくりに取り組んでまいります。

 以上、本年度の事業の進捗状況につきまして、ご報告させていただきましたが、当町の「津波防災まちづくり」における最重要施策であります防潮堤の嵩上げ工事につきましては、一日も早く工事に取りかかることができるよう、引き続き、国・県との連携・調整を図ってまいります。

 また、これからの未来を担う子どもたちが、複雑多様な社会の中で力強く生きていくための資質・能力を身に付けることができるよう「吉田町教育元気物語 TCP Triwins Plan(ティーシーピー・トリビンス・プラン)」に位置づけられた各種施策を着実に進め、教育環境の更なる充実に取り組むとともに、子育て支援や健康づくり、シーガーデンシティ構想を中心とした賑わいづくりに関する施策にも力を注ぎ、当町の将来都市像であります「人が集い 未来へはばたく魅力あふれるまち 吉田町」の実現へと飛躍してまいります。

 議員各位におかれましても、こうした町の取組に対しご理解をいただき、今後もご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げ、本定例会の行政報告といたします。