平成30年第1回吉田町議会定例会の開会に当たり、新年度に向けての施政方針並びに各種事業の運営方針等について申し上げます。

 東北の沿岸部に甚大な被害をもたらした平成23年3月11日の東日本大震災から、間もなく7年が経過しようとしております。当町は、この大震災以降、失われた安全・安心を取り戻すため、ピンチをチャンスに変えるべく、スピード感を持って「津波防災まちづくり」を強力に推し進めてまいりました。

 平成23年11月に作成した「津波ハザードマップ」に基づき、「町民の皆さまの命を守る対策」として15基の津波避難タワーをいち早く完成させるとともに、避難道路の整備や防災公園「北オアシスパーク」の整備などを迅速に進め、現在は、「町民の皆さまの財産、企業の皆さまの生産活動を守る対策」にも本格的に着手しており、1000年に一度の大津波を海岸で食い止める防潮堤機能を持ち合わせた「シーガーデン」の構築を推進しております。

 この「津波防災まちづくり」を進めるなか、当町では、企業の進出が相次いでおります。沿岸部においては、株式会社ヤマザキの新工場建設が進み、川尻浜田地区には、ホームセンターコメリの出店が予定されております。また、「内陸のフロンティア」を拓く取組における川尻高島地区の企業活動維持支援事業区域の3区画すべてについて進出企業が決まり、北オアシスパークを核とする物資供給拠点確保事業区域には、先日、ハードオフ・オフハウスの店舗が開店、株式会社杏林堂薬局についても間もなく開店の運びとなるなど、着実に新たな町の賑わいづくりが進んでおります。

 こうした企業の進出もあり、当町がさらに「豊かで勢いのあるまち」に向かっていることを実感するところでございますが、平成30年度には、いよいよ、この「津波防災まちづくり」の最重要施策であります防潮堤の嵩上げ工事が開始される運びとなりました。

 当町にとっての悲願であります、大津波を海岸線で食い止める防潮堤が完成いたしますと、安全・安心は揺るぎないものとなり、町民の皆さまは安心して生活することができ、企業の皆さまは安心してより一層生産活動に邁進することができるようになるものと確信しておりますので、この確固たる安全を一日も早く手に入れることができますよう、国や県と更なる連携・調整を図ってまいります。

 さらに、この安全・安心と賑わいづくりを一体的に進める「シーガーデンシティ構想」の取組を加速させるとともに、「吉田町教育元気物語 TCP Triwins Plan(ティーシーピー・トリビンス・プラン)」を中心とした教育や子育て支援に係る施策を展開していくことで「心を魅了する要素」を加え、当町の将来都市像であります「人が集い 未来へはばたく魅力あふれるまち 吉田町」の実現に向け、平成30年度は「躍動」をキーワードに、全身全霊をかけて、まちづくりに取り組んでまいる所存でございます。

 このような構想の下、「教育環境の充実」、「新たな安全と賑わいの創出」、「子育て支援の拡充」、「健康づくりの推進」の4つの「躍動」メニューを中心にさまざまな施策を展開するために編成いたしました平成30年度の吉田町一般会計当初予算は、歳入歳出それぞれ106億3,700万円と、単年度規模では平成29年度に次ぐ過去2番目の額となる予算を編成いたしました。

 それでは、平成30年度の主な事業につきまして、第5次吉田町総合計画の施策体系に沿ってご説明申し上げます。

 はじめに、「災害に強く安全・安心に暮らせるまちづくり」に関連する事業についてでございます。

 国の「駿河海岸直轄海岸保全施設整備事業」に位置付けられております「粘り強い構造の海岸堤防」の中で実施されている既存防潮堤の天端保護工事につきましては、今月末までに本年度施工分が完了し、川尻工区内1,610メートルの区間がおおむね完了することになります。

 そして、平成30年度からは、いよいよ川尻工区において、既設防潮堤の裏側に海抜11.5メートルの高さとなる背後盛土の整備が開始されます。

 町といたしましては、川尻工区における海岸堤防の背後盛土施工に当たり、海岸保全区域内の占用物であります古川川尻線などの町道の廃止や看板などの移設を行い、工事体制を整えてまいりますとともに、防潮堤の早期完成に向け、国、県と更なる連携・調整を図ってまいります。

 また、国の直轄海岸において、東北地方以外では全国初となる海岸堤防及び背後盛土整備が着手されますことから、国、県との連携により、着工式典を開催する予定でございます。

 次に、吉田漁港多目的広場の整備についてでございます。

 吉田漁港多目的広場につきましては、平成28年度から盛土工事に着手しておりましたが、本年度までに、延長約530メートル、盛土量にして16万5千立方メートルが完成し、国土交通省の防潮堤との取合い部分を残して、おおむね完了いたしました。

 今後は、国土交通省の防潮堤整備と連携を図りながら、防潮堤と多目的広場を早期に接合させ、町民の皆さまの安全・安心の確保を図ってまいります。

 また、仮称ではございますが「多目的広場上部利活用検討委員会」を立ち上げ、委員会において上部利活用に係る具体的な検討を行い、シーガーデンシティの核として新たな賑わいを創出する施設となるように工夫してまいります。

 次に、内閣府の総合特区の指定を受けるとともに、静岡県の推進区域の認定も受けて平成25年から事業を進めております「内陸のフロンティア」を拓く取組についてでございます。

 まず、北オアシスパークを核とする物資供給拠点確保事業区域でございますが、今回の2店舗の出店により、内陸フロンティア推進区域であります「ふじみスクエア」の約75パーセントが予定どおり整備されることとなり、今月5日には、北オアシスパークにおきまして、株式会社杏林堂薬局と町との間で、災害時支援協定の締結式を行う予定でございます。

 この協定では、これまでの商業施設と同様に、物資供給支援と荷捌き拠点の協定を締結させていただきますが、今回は、ご提供いただく物資の中に、日用品はもとより、処方箋などの医薬品を含めていただくこととしておりますので、災害時におけるバックアップ体制が更に充実し、町民の皆さまにとっても大変有意義な協定となるものでございます。

 なお、ハードオフ・オフハウス吉田インター店との間でも災害時支援協定を締結するよう、調整を進めているところでございます。

 次に、川尻高島地区の企業活動維持支援事業区域でございますが、地権者の皆さまのご理解のもと、平成29年度には、道路改良工事や水路工事、右岸側の橋梁下部工事等を発注し、事業の進捗を図ってまいりました。平成30年度につきましては、引き続き、左岸側の橋梁下部工事や上部工事、舗装工事等の基盤整備を進め、本年夏ごろから始まる立地予定企業の造成工事が円滑に進むよう連携を図ってまいります。

 次に、木造住宅の耐震化プロジェクト「TOUKAI-0」事業についてでございます。

 「TOUKAI-0」事業につきましては、耐震補強において最大で30万円を上乗せする助成制度の拡充により、平成30年1月末現在、無料耐震診断に45件、耐震補強計画策定に21件、耐震補強工事に15件、ブロック塀等耐震化補強事業に2件のお申込みをいただいており、例年以上の成果を上げております。平成30年度につきましても、助成制度の拡充を継続し、戸別訪問やダイレクトメール等によるPR活動を積極的に実施して事業対象者の更なる掘り起こしを図り、耐震補強に結びつけることで、木造住宅の耐震化を加速させてまいります。

 次に、同報系防災行政無線の整備についてでございます。

 同報系防災行政無線につきましては、平成34年12月1日からの簡易無線局におけるデジタル波全面移行に対応するため、全ての機器をデジタル対応のものに更新する工事を進めておりますが、平成30年度は、26の子局設備をデジタル対応のものへと更新する予定でございます。

 次に、消防団車両の更新についてでございます。

 南海トラフ地震等の大規模災害の発生が危惧される中、災害に的確に対応する消防の使命はますます重要視されております。また、平成25年12月に制定された「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」において、消防団は、将来にわたり地域防災力の中核として欠くことのできない代替性のない存在として、常備消防との緊密な連携のもと、地域の総力を結集する防災体制づくりを目指すことが示されております。

 こうした消防団の重要性を鑑み、地域防災力の充実強化を図るため、平成30年度は、第3分団及び第4分団の消防ポンプ車を更新する予定でございます。

 続きまして、「誰もが健康でいきいきと暮らせるまちづくり」に関連する事業につきましてご説明申し上げます。

 はじめに、地区健康度アップ事業についてでございます。

 本事業は、高血圧症有病者や糖尿病予備群に該当する方が多いという現状を改善するため、町民の皆さまお一人おひとりが何に取り組んでいけばよいのか、一緒に考え実践していくことができるよう、町民の皆さまの身近なところまで保健師や栄養士などが出向き、健康に関する学習会を開催するものでございますが、本年度までに10町内会において、町の死因別死亡者割合などの統計情報から読み取れる町民の皆さまの健康の実態をお伝えするとともに、優先的に取り組むべき課題とした「高血圧予防」について学習してまいりました。平成30年度におきましても、すべての町内会で開催することを目指し、本事業を継続してまいります。

 次に、ダンス健康づくり事業についてでございます。

 子どもから高齢者まで、幅広い世代の皆さまに町オリジナルダンスの普及を通した健康づくりを推進するため、吉田町ダンス健康づくり推進会が開催しております「笑っしょいよしだフェスティバル」が、平成21年度の開催から10回目の節目を迎えますことから、平成30年度は10周年の記念事業を開催し、推進会と連携しながら、より一層、ダンスを通した健康づくりに取り組んでまいります。

 次に、産後における支援体制の充実についてでございます。

 当町では、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援を充実させることにより、妊産婦の皆さまや子育て中の家族が、安心して出産・子育てができる環境整備に取り組んでおります。

 特に、産後は、ホルモンバランスの変化により、心身共に不安定になりやすい時期といわれていることから、その支援といたしまして、現在、町内の全産婦・新生児に対する訪問事業を実施しておりますが、より早い時期に母子の心身状態を把握し、適切な支援へとつなげるよう、新たに「産婦健康診査」を実施いたします。また、授乳に対する不安を抱きやすい時期でもありますことから、専門的なケアや相談を受けやすい体制を整えるため、医療機関や助産院等で受けた乳房()ケアについてその費用の一部を助成し、産後の支援体制を充実させてまいります。

 次に、感染症予防対策についてでございます。

 当町では、平成30年度から、感染症予防対策といたしまして、おたふくかぜ予防接種及びこどものインフルエンザ予防接種に係る費用の助成を開始いたします。

 おたふくかぜは、無菌性髄膜炎や脳炎等の合併症を引き起こすことがあり、近年では、国内外において、こどもの難聴についての注意も促されていることから、1歳から就学前までのお子さんを対象に、おたふくかぜワクチンの接種費用を助成いたします。

 また、例年流行がみられるインフルエンザにつきましては、発病及び重症化予防のため、1歳から中学3年生までのお子さんを対象に、インフルエンザワクチンの接種費用の一部を助成いたします。

 次に、出産祝金支給事業についてでございます。

 当町では、本年度から、静岡県の「ふじのくに地域少子化突破戦略応援事業費補助金」を活用し、出産後における経済的な負担感を少しでも柔らげ、第2子、第3子の出産を目指しやすくするよう、第2子の出産に対して50,000円、第3子以降の出産に対して100,000円の出産祝金を支給しております。平成30年度におきましても、より一層、制度の周知に努め、引き続き、この補助制度を活用し、出生率の向上を目指してまいります。

 次に、放課後児童クラブの施設整備についてでございます。

 共働き家庭の増加などに伴い、当町におきましても、放課後児童クラブの利用希望者が増えてきております。また、「吉田町教育元気物語 TCP Triwins Plan(ティーシーピー・トリビンス・プラン)」における「保護者(家庭)の教育ニーズに応じた環境づくり」の施策としても「放課後児童クラブの拡充」が位置づけられており、平成31年度からの入所条件緩和による児童の受け入れ体制を整えるため、平成30年度は各学区内に1施設ずつ、計3施設の放課後児童クラブを整備するとともに、放課後児童支援員の確保に努めてまいります。

 次に、地域福祉の推進についてでございます。

 少子高齢化や核家族化の進行により、家庭や地域におけるつながりが希薄になっていることから、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らしていくことができるよう、より一層、地域福祉を推進していく必要がございます。

 現在、策定しております「第3期吉田町地域福祉計画」は、町の地域福祉を推進する基本理念や指針を定めるもので、平成30年度からは、この計画に基づき、人と人、人と資源が世代や分野を超えて丸ごとつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく「地域共生社会」の実現に向け、各種施策を展開してまいります。

 次に、高齢者福祉及び介護保険事業についてでございます。

 国は、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、一人ひとりが状態に応じた適切なサービスを受けられるよう、「地域包括ケアシステムの推進」、「自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現」、「多様な人材の確保と生産性の向上」、「介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保」の4つの視点を示しており、町は、これらの視点を踏まえ、平成30年度からの3年間を計画期間とする「第8次高齢者保健福祉計画・第7期介護保険事業計画」の策定に取り組んでおります。

 新たな計画においては、「健康長寿のまちづくり」、「支え合って暮らせる地域づくり」、「安心して暮らせる介護サービスの提供」を基本理念に掲げ、高齢者福祉の向上に取り組んでまいります。

 介護予防教室につきましては、男性の参加者が少ないことや教室終了後の受け皿の確保が課題となっておりましたことから、平成30年度は、多くの男性の皆さまにご参加いただけるよう、将棋や健康麻雀などを取り入れた新たな教室を開催するとともに、いきいきデイサービス、シニアストレッチ教室、栄養改善を目的とした「おいしい集い」など、高齢者の皆さまが喜びや楽しみを感じながら、生きがいづくりや健康づくりに取り組める事業を展開してまいります。

 次に、国民健康保険の制度改革についてでございます。

 持続可能な社会保障制度の確立を図るため、県が財政運営の責任主体となり、市町村とともに国民健康保険の運営を担う制度が、平成30年度からスタートいたします。

 今回の制度改革は、公費による財政支援の拡充に加え、増え続ける保険給付に必要な費用を全額、都道府県が市町村に対して交付することで、医療保険制度の最後の砦である市町村国保の財政の安定化を図るものでございます。

 市町村は都道府県に対し、交付金の財源となる納付金を支払うことになりますが、過日、その納付金額が静岡県から公表され、当町におきましては、8億2,261万4,472円、被保険者一人当たり13万4,393円と示されました。

 この納付金額につきましては、被保険者の皆さまの所得水準と医療費指数が大きく関係してまいりますことから、当町では、健康増進や医療費適正化に係る対策により一層力を入れてまいりますとともに、被保険者の皆さまがこれまでと同様に安心して医療を受けることができるよう、県と連携しながら、町が担う事務を適切に行ってまいります。

 続きまして、「活力あふれる産業振興のまちづくり」に関連する事業につきましてご説明申し上げます。

 はじめに、広域連携による観光事業についてでございます。

 静岡市、島田市、焼津市、藤枝市、牧之原市、川根本町及び吉田町の5市2町で構成する静岡県中部・志太榛原地域連携DMOにつきましては、「するが企画観光局」を母体とし、首都圏での認知度向上や観光資源のブランド化を進めることを方針に掲げ、大規模な市場調査の実施、分析を行うとともに、圏域全体のデスティネーションブランド戦略が策定されました。

 この戦略では、静岡県中部地域が、観光客と地域住民、観光客同士、国内旅行客とインバウンド旅行客など、多様な主体が活発に対話、交流することにより「学び」を体感していただくという、地域特有の観光が展開される場所・目的地となることを目指す方針を打ち出しております。

 また、JR6社と自治体、観光事業者等が協働で実施する国内最大規模の観光キャンペーンである「デスティネーションキャンペーン」が2019年に静岡県で開催されますことから、その前年に当たる平成30年度は、プレキャンペーンといたしまして、観光誘客促進のため、静岡県の魅力を全国に発信していくこととしております。当町におきましても、産業団体と連携を図りながら、観光資源の魅力向上や旅行商品等の造成に取り組んでまいります。

 次に、雇用・就業対策事業についてでございます。

 当町の雇用を取り巻く環境といたしましては、少子高齢化の更なる進行とともに、生産年齢人口も減少していくことが見込まれております。また、少子高齢化による労働力の減少という構造的な課題により、これまでの仕事を見つけにくい「求職難」の時代から人手の確保が困難になる「求人難」の時代へと移行し、中小企業や小規模事業所等の人手不足も懸念されておりますことから、こうした影響を少しでも抑制させるための取組が重要であると捉えております

 そこで、新たな雇用対策事業といたしまして、企業の人手不足を少しでも解消し地域経済の維持発展を図るため、求職者と求人者とのマッチング機会の創出に取り組んでまいります。

 続きまして、「魅力あふれる多様な交流を生むまちづくり」に関連する事業につきましてご説明申し上げます。

 はじめに、若年世帯住宅取得応援補助金についてでございます。

 当町では、本年度から、子育て世代の移住及び定住を促進するため、町内において住宅を新築又は新築住宅を購入する若年世帯に対しまして、30万円の補助金を交付する事業を開始いたしました。これは、先ほど子育て支援施策としてご説明させていただきました「出産祝金」と同様に、静岡県の「ふじのくに地域少子化突破戦略応援事業費補助金」を活用し、町外から転入する世帯のみでなく、以前から町内にお住まいの世帯が住宅を取得する場合も補助金の交付対象とするなど、周辺の自治体との差別化を図りながら実施しております。

 本年度は、2月末までに50件を超える補助金の交付申請がございまして、多くの若年世帯の皆さまの新築住宅の取得をサポートさせていただいております。平成30年度におきましても、引き続き、この補助制度を活用し、当町に移住・定住する若年世帯の増加につながるよう、より一層、制度の周知に努めてまいります。

 次に、地域おこし協力隊の活用についてでございます。

 地域おこし協力隊とは、地方自治体が3大都市圏などから都市住民を受け入れ、地域おこし協力隊員として委嘱し、地域協力活動に従事してもらいながら定住を図っていく取組として、平成21年度から総務省が進めており、地方自治体が負担する隊員の募集、報償費、活動等に要する経費につきましては、特別交付税が措置されるものでございます。

 当町におきましては、平成30年度からこの制度を活用し、観光イベント等の企画運営や地域の情報発信業務、地域間交流及び移住促進支援等を担う隊員を2人委嘱する予定でございまして、今月から、募集を開始いたします。

 この地域おこし協力隊の取組によりまして、新たな視点から当町の魅力を発掘し、全国へと発信していくことで、躍動感あふれる町が体現されるとともに、さらなる地域の活性化へつながるものと期待をしております。

 次に、シーガーデンシティ構想の推進に係る取組についてでございます。

 当町が進めるシーガーデンシティ構想は、1000年に一度の大津波への備えを「津波防災まちづくり」を進めることによって構築し、『新たな安全』を創出するとともに、この「津波防災まちづくり」を進める中で整備した北オアシスパークの情報発信機能を活用しながら、多目的広場、防潮堤の海浜回廊、河川防災ステーション、県営吉田公園などの沿岸部のシーガーデンをはじめ、町内各所への人の流れを「賑わいまちづくり」によって喚起し、『新たな賑わい』を創出する取組を一体的に進め、魅力あるまちづくりを目指すという構想でございます。

 冒頭でも申し上げましたとおり、当町はこれまで、津波避難タワーの整備に始まり、内陸部を中心に、防災公園を整備しながら、県の「内陸のフロンティア」を拓く取組を核として、物資供給拠点確保事業や企業活動維持支援事業を展開しております。

 こうした状況下におきまして、当町の沿岸部における「津波防災まちづくり」の一丁目一番地であります防潮堤の嵩上げ事業が、平成30年度から実施される運びとなりました。

 この防潮堤の嵩上げ事業は、現在、当町が進める「津波防災まちづくり」には不可欠で、最も重要な基盤となるものでございます。これによりまして、これまでの構想から現実へと変革し、躍動する町の原動力を得ることになり、まさに今こそ、町が進めているシーガーデンシティ構想を加速させ、深化させる時でございます。

 このため、この機をシーガーデンシティ構想の深化の時と位置づけ、新たな安全が確保される沿岸部へと賑わいの輪を広げながら、町全体のグランドデザインを描き、個々のシーガーデンをコーディネートすることを目的とした委員会を立ち上げてまいります。

 この委員会は、仮称でございますが「シーガーデンシティ構想推進委員会」と称しまして、委員には、町内の主要な団体の皆さまのほか、都市計画に精通する大学教授やまちづくりに携わる専門家などを委員としてお招きし、様々な見地からご意見を伺いながら、魅力あるまちづくりに寄与していただくものでございます。

 委員会の開催により、町民の皆さまが賑わいづくりについて容易にイメージできるような方針を、迅速かつ的確にお示しできるよう進めてまいります。

 次に、しずおか中部連携中枢都市圏事業についてでございます。

 本年度に引き続き、静岡市を中枢都市として周辺5市2町で推進する「しずおか中部連携中枢都市圏事業」といたしまして、特急静岡相良線における利用者の利便性向上と交流人口の拡大を目的に、平成30年度は、吉田町役場前の下り停留所と吉田インターチェンジ入口の上り停留所の2か所に、バスロケーションシステムの表示機を設置いたします。

 また、鉄道のない当町にとりまして、吉田インターチェンジは、当町の玄関口であるとともに、静岡市の中心地をはじめ、東京、名古屋、大阪などへの交通の結節点として、大きな可能性を秘めたところでございます。このことは、しずおか中部連携中枢都市圏の圏域におきましても同様であり、今後の当圏域の発展を考えますと、吉田インターチェンジは、大変重要な役割を果たすものであると言えます。

 そこで、平成30年度におきましては、この連携中枢都市圏事業の交付金の一部を活用し、都市間交通の利便性向上及び更なる都市間交流を図るため、吉田インターチェンジ周辺の利便性向上及び利活用の調査を実施いたします。

 この調査では、通勤・通学のためのバス利用者の利便性向上のみならず、吉田インターチェンジを核とした交流の結節点として、バス停周辺の利活用方策を探ってまいります。

 また、吉田インターチェンジ周辺の利活用は、賑わいを創出するシーガーデンシティ構想を推進する上で重要なファクターでありますので、先に申し上げました「シーガーデンシティ構想推進委員会」におきましても、随時、調査状況を報告しながら、ご意見を伺ってまいりたいと考えております。

 次に、公有民営方式によるバス車両の購入についてでございます。

 当町には、町民の皆さまの生活を支える生活交通の移動手段として、しずてつジャストライン株式会社が運行する特急静岡相良線、島田静波線、藤枝相良線の3つの路線が通っておりますが、このうち、藤枝相良線につきましては、ユニバーサルデザインによる利用者の利便性向上と路線維持を目的といたしまして、平成30年度から、町が低床バスを購入し、そのバスをしずてつジャストラインが借り受けて運行する、公有民営方式によるバス運行を導入いたします。

 この低床バスの購入につきましては、国の「公有民営方式車両購入費国庫補助金」を活用することとしておりまして、上限1,500万円の補助対象経費の2分の1に相当する750万円を国からいただいて当町が低床バスを購入し、その低床バスを、しずてつジャストライン株式会社から使用料を徴収しながら貸与するものでございます。貸与期間は5年間でございますので、この5年間は同路線の運行は確実に継続されることとなります。

 また、この公有民営方式によるバス車両は、当町が5年間は所有することになりますので、当町をPRするラッピングを車両に施し、このバス車両を効果的に活用することで、シティプロモーション活動の更なる強化へとつなげてまいります。

 次に、大幡川幹線の道路改良についてでございます。

 大幡川幹線につきましては、現在、現地測量に基づき、道路計画線を描く作業などを実施しております。平成30年度におきましては、地元の皆さまとより一層の意見交換を重ね、早期の事業着手に向け進めてまいります。

 次に、準用河川であります大幡川の河川改修事業についてでございます。

 大幡川につきましては、国の社会資本整備総合交付金を活用し、昨年11月上旬から川尻地区におきまして落差工の改修工事に着手いたしました。平成30年度は、早期完了に向けて事業を進めるとともに、上流部の大窪川の河川改修にも着手する予定でございます。

 次に、橋梁の撤去・補修についてでございます。

 湯日川にかかる念佛橋は、橋梁点検において、緊急措置段階と診断されたことから、平成29年2月21日から車両通行止め、また、同年3月1日からは全面通行止めとしております。上下流に代替可能な橋もございますことから、平成30年度は、撤去を行うための設計業務を委託し、平成31年度に撤去する予定でございます。

 また、早期措置段階と診断されている17橋のうち、平成30年度は3橋の補修設計業務を委託し、補修工事へと進めてまいります。

 続きまして、「次代を担う心豊かな人を育むまちづくり」に関連する事業につきましてご説明申し上げます。

 はじめに、「吉田町教育元気物語 TCP Triwins Plan(ティーシーピー・トリビンス・プラン)」における平成30年度の主な事業につきまして、プランの3つの柱であります「子どもの『確かな学力』を保障する環境づくり」、「教職員が授業に専念できる環境づくり」、「保護者(家庭)の教育ニーズに応じた環境づくり」の順に、ご説明申し上げます。

 まず、「子どもの『確かな学力』を保障する環境づくり」に係る事業のうち、小中学校のトイレ改修についてでございます。

 近年、家庭や商業施設等においては、洋式トイレの使用が主流となっておりますが、学校においては、依然として和式トイレが使用されております。また、タイル貼りのいわゆる湿式のトイレであることから臭いが発生しやすい状況にあり、児童生徒が学校のトイレで用を足すことを躊躇するなど、学校生活に少なからず影響を与えておりました。

 そこで、平成30年度は、既に改修済みの中央小学校を除く全ての小中学校において校舎のトイレを洋式化するとともに、シート貼りの乾式トイレへと改修する工事を実施いたします。

 既に完了しております全小中学校へのエアコンの設置や学校照明のLED化に加え、校舎のトイレを洋式化することにより、児童生徒がより快適な環境の中で学校生活を送り、「確かな学力」を身に付けることができるよう、環境整備に取り組んでまいります。

 続きまして、「教職員が授業に専念できる環境づくり」に係る事業のうち、各校において使用している校務支援システムのバージョンアップについてでございます。

 現在の校務支援システムは、導入から10年以上が経過し、処理速度が大変遅いことから、教員が通知表や指導要録等を作成するに当たり、多大な時間を要しております。また、現在のシステムでは、小学校における道徳の教科化に必要な事務を処理することができないという問題もございます。

 そこで、このシステムの処理速度を上げることで、通知表等の作成時間を大幅に短縮して学校事務の効率化を図るとともに、小学校における道徳の教科化のみならず、今後予定されている中学校における道徳の教科化、小学校における外国語の教科化等にも対応したシステムとするため、校務支援システムのバージョンアップを実施いたします。

 次に、校務アシスタントの配置についてでございます。

 現在、住吉小学校では、静岡県の「未来の学校『夢』プロジェクト」事業のモデル校として、教員の多忙化解消に先進的に取り組んでおりますが、このプロジェクトにおいて、「教員でなくてはできない仕事」と「教員でなくともできる仕事」を整理し、このうち、授業や家庭学習等に関する教材の印刷など、教員でなくともできる仕事を担う「校務アシスタント」を配置することで、教員の負担軽減に一定の成果を上げておりますことから、平成30年度は、全小中学校に校務アシスタントを配置いたします。

 次に、部活動指導員の配置についてでございます。

 教員の超過勤務の一因とされている部活動については、その顧問や副顧問を教員ではない外部の人材が担うことにより、教員の時間的余裕を生み出すとともに、競技経験のない部活動の指導にあたることによる教員の精神的負担の軽減を図るため、吉田中学校に部活動指導員を配置いたします。競技に精通した指導員から、より専門性の高い指導を受けることにより、部活動の質の向上も期待されるものでございます。

 続きまして、「保護者(家庭)の教育ニーズに応じた環境づくり」に係る事業のうち、公設学習塾の拡充についてでございます。

 教育委員会では、これまでも、児童生徒の基礎学力と学習意欲の向上を図るため、公設学習塾を実施してまいりましたが、平成30年度からは、平日開催や実施内容の充実など、より保護者のニーズに合わせた事業へと改善を図りながら取り組んでまいります。

 次に、放課後子ども教室についてでございます。

 現在、自彊小学校区において、北区地域教育推進協議会の皆さまのご協力により、月2回放課後子ども教室を開催しておりますが、放課後における子どもの居場所を確保するとともに、次世代を担う児童の健全育成を支援するため、平成30年度は、中央小学校区をモデル校区として設定し、平日4時間授業の日に実施する放課後子ども教室を開設いたします。

 以上が、「吉田町教育元気物語 TCP Triwins Plan(ティーシーピー・トリビンス・プラン)」の3つの柱における平成30年度の主な事業でございます。

 次に、吉田町総合体育館のリニューアルオープンについてでございます。

 津波防災まちづくりにおける「町民の皆さまの命を守る対策」の一つといたしまして、昨年6月から耐震補強改修工事を進めてまいりました吉田町総合体育館は、今月下旬に工事が完了し、安全で安心して利用することができる町の屋内体育施設の拠点として、4月1日にリニューアルオープンする予定でございます。

 このリニューアルオープンに伴い、4月1日には、記念式典や施設見学会の開催を計画しております。また、バレーボールのオリンピック出場経験者等を招待して指導教室や親善試合を行う「はつらつママさんバレーボール」やバスケットボール女子日本リーグに所属しているシャンソンV()マジックを招待して親善試合なども予定しております。

 なお、今回のリニューアルオープンに併せまして、トレーニング室の機器も一新いたします。平成30年度からは、初心者の方にも安心してトレーニングに取り組んでいただけますよう、体力づくりや健康づくりに関する豊富な知識と経験を有する専門家を配置し、町民の皆さまの健康づくりをサポートしてまいります。

 続きまして、「豊かな自然と共生するまちづくり」に関連する事業につきましてご説明申し上げます。

 はじめに、水道料金と下水道使用料の一括請求の開始についてでございます。

 当町では、これまで水道料金と下水道使用料を別々に請求しておりましたが、利用者の皆さまの利便性向上を図るため、本年4月から、水道料金と下水道使用料を合算してお支払いいただく一括請求を開始いたします。

 この一括請求により、利用者の皆さまは一枚の納付書で水道料金及び下水道使用料を納めることが可能となり、事務の効率化及び経費の節減にもつながることから、上下水道事業の健全な運営に寄与するものと考えております。

 次に、上水道事業についてでございます。

 水道事業は、町民の皆さまの生活や社会経済活動を支えるライフラインとして重要な役割を果たすものであり、地震災害時においても安定して水を提供し続ける必要がございますことから、平成30年度につきましても、引き続き、基幹管路及び配水管の耐震化を進めてまいります。

 また、水道事業が将来にわたって健全かつ安定的に事業を継続できるようにするため、本年度に引き続き、中長期的な視点から経営の健全化を実現するための基本計画となる経営戦略の策定に取り組んでまいります。

 次に、下水道事業についてでございます。

 総務省は、平成26年8月に、地方公営企業法に基づく公営企業会計の適用拡大に向けたロードマップを公表しましたが、その中で下水道事業は、公営企業会計に移行する必要性が高い「重点事業」に位置づけられ、平成27年度から平成31年度までを集中取組期間として、公営企業会計への移行を要請されております。当町でも、下水道事業の公営企業会計への移行に向けた取組を行っており、平成30年度も引き続き、移行への準備を進めてまいります。

 また、現在の長寿命化計画は、平成26年度から平成30年度までが事業計画期間となっておりますことから、平成30年度は、平成31年度からの5年間を計画期間とする国の新たな支援制度に基づくストックマネジメント計画を策定する予定でございます。

 続きまして、「行政と住民が一体となって取り組むまちづくり」に関連する事業につきましてご説明申し上げます。

 はじめに、町税、水道料金及び下水道使用料のコンビニ収納の開始についてでございます。

 現在、町税や水道料金、下水道使用料の納付方法につきましては、役場会計課窓口や金融機関で直接納付していただく方法と口座振替により納付していただく方法がございますが、これらに加え、本年4月から、コンビニ収納を開始いたします。

 全国のコンビニエンスストアで、時間帯や曜日を問わずに納付していただくことが可能となりますことから、納税者や利用者の皆さまに対する利便性を向上させるとともに、納期限内の納付を促すことも期待できるものと考えております。

 次に、吉田町情報発信アプリケーション「よしだポケットNEWS」についてでございます。

 町では、本年1月から、若者に限らず、幅広い年代で広く利用されておりますスマートフォンやタブレット端末等へ当町の最新情報をお届けする「よしだポケットNEWS」の運用を開始いたしました。

 この「よしだポケットNEWS」は、2月25日現在、1,016人の方にダウンロードいただいており、町からは、イベント情報や子育てに関する情報などを積極的に発信しております。平成30年度も、町民の皆さまの生活に身近な情報を積極的に発信してまいりますとともに、より多くの皆さまにご利用いただけますよう、更なる周知に努めてまいります。

 次に、第5次吉田町総合計画後期基本計画策定に係る住民意識調査の実施についてでございます。

 当町では、現在、第5次吉田町総合計画基本構想で示しました将来都市像「人が集い 未来へはばたく 魅力あふれるまち 吉田町」を実現するため、平成28年度から平成31年度までを計画期間とする前期基本計画を策定し、効果的な事業実施に資するため、毎年、実施計画を見直しながら、事業を展開しているところでございます。

 この事業の展開における進捗管理につきましては、まちづくりステップアップ行政評価システムに基づき、毎年、PDCAサイクルによる事業管理を行っておりますが、前期基本計画も中間年を迎え、残すところ2か年となっております。

 このため、平成30年度は、平成32年度からの第5次吉田町総合計画後期計画の策定に向けました住民意識調査を実施してまいります。この住民意識調査は、直近の社会情勢を踏まえた町民ニーズの傾向を把握できるとともに、町民の皆さまの声にならない声を把握することができる重要な手段となるものでございます。平成31年度に実施する第5次吉田町総合計画後期計画の策定業務に当たりましては、この調査結果を最大限に活用しながら、当町の将来都市像の実現に向けた後期基本計画の施策の方向性を示してまいりたいと考えております。

 以上、平成30年度を迎えるに当たり、当町が目指す将来都市像であります「人が集い 未来へはばたく魅力あふれるまち 吉田町」の実現に向けて実施いたします各種施策の方針や概要について述べさせていただきました。

 平成30年度は、確固たる安全・安心の確保に向け、「津波防災まちづくり」の一丁目一番地であります防潮堤の嵩上げ工事が開始されることにより、町が大きく動き出してまいります。そして、この防潮堤整備に併せて、シーガーデンシティ構想の取組を加速させるとともに、「吉田町教育元気物語 TCP Triwins Plan(ティーシーピー・トリビンス・プラン)」を中心とした教育、子育て支援施策などをより一層充実させることにより、「豊かで勢いがあり、心を魅了する」まちへと飛躍を遂げることができるものと確信しております。

 すべては、町民の皆さまが安心して心豊かに暮らし続けることができ、また、多くの皆さまに訪れていただけるような魅力あふれるまちを創り上げるため、必ずやり遂げなければならないものでございますので、組織の能力を高め、脇を固めて全力で取り組んでまいります。

 議員各位におかれましては、是非とも、当町のまちづくりに対しましてご理解をいただき、今後も格段のご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げ、施政方針といたします。