2015年3月2日 作成

平成27年第1回吉田町議会定例会(平成27年3月2日開会)町長の施政方針

 平成27年第1回吉田町議会定例会の開会に当たり、新年度に向けての施政方針並びに各種事業の運営方針等について申し上げます。
 町長としての任期4年目の満了を間もなく迎えようとしております。私が就任しましたこの任期の始まりは、あの東日本大震災から間もない平成23年4月でございました。東日本大震災を境目として、それまでの安全・安心を失い、危急存亡に陥った当町を立ち直らせるため、この4年間「津波防災まちづくり」を最重要課題と位置づけ、スピード感を持って全力を挙げて進めてまいりました。全国に先駆けて町独自に津波防災対策の基礎データとなる津波ハザードマップを策定し、昨年度までにこのハザードマップに基づく15基の津波避難タワーを完成するに至りました。
間もなく完成から1年を迎えようとしているこの津波避難タワーでございますが、「道路空間を利用した津波避難タワー」が総務省の第19回防災まちづくり大賞における「日本防火・防災協会長賞」を2月9日に受賞いたしました。新聞報道等により、既にご存じの方も多いかとは存じますが、改めてご報告申し上げます。
 この津波避難タワーの整備に当たっては、用地確保の問題を打開する方策として前例のない「道路空間を利用した津波避難タワー」を考案し、様々な法的課題を解決することにより整備を実現いたしました。「防災まちづくり大賞」は、地方公共団体や自主防災組織等における防災に関する優れた取組、アイデア等、防災に関する幅広い視点からの効果的な取組を推奨し、もって地方公共団体等における災害に強い安心・安全なまちづくりの一層の推進に資することを目的に実施されているものです。この度の受賞は、当町の「津波防災まちづくり」への取組の一部が国レベルでの評価を得ることができたものと受け止めております。
当町の「津波防災まちづくり」につきましては、これまでお伝えしてきましたとおり「町民の皆さまの命を守る対策」と「町民の皆さまの財産、企業の皆さまの生産活動を守る対策」により成り立っております。このうち「町民の皆さまの命を守る対策」につきましては、津波避難タワーの建設、富士見幹線及び住吉幹線などの避難路の整備、すみれ保育園の移転、防災公園及び防災センターの建設なども含め、平成27年度までに概ね完了することとなります。
そして、もう一方の「町民の皆さまの財産、企業の皆さまの生産活動を守る対策」についてでございますが、大井川の堤防や海岸の防潮堤のかさ上げ、漁港区域の津波堤の耐震・耐津波化並びに坂口谷川の水門整備など国や県が直接的に関与する事業が大半を占めておりますので、これまで、1日も早い早期の事業化を求めて、国や県に対し強力に働きかけてまいりました。
その結果、本年度末までに「町民の皆さまの財産、企業の皆さまの生産活動を守る対策」の実現に向けた見通しを得ることができましたのでご報告申し上げます。
始めに、防潮堤のかさ上げについてでございますが、本年度末までに当町の海岸におけるL2クラスの津波被害を軽減するための海岸整備につきまして、防潮堤の整備を前提とした検討の場が国土交通省により設けられる運びとなりました。これは、国に対するこれまでの働きかけが功を奏し、関係者の皆さまのご理解のもと、防潮堤の整備に向け具体的に動き出した表れであると受け止めております。この動きが、さらに具体化されるということになりますと、東日本大震災の被災地以外では、当町が初めて、国による新たな防潮堤の整備が行われることとなります。
町民の皆さまに「新たな防潮堤の整備がいよいよ始まります」とご報告できる状況が近づいていることを嬉しく思いますとともに、町民の皆さまとこの喜びを分かち合いたいと思っております。
次に、多目的広場の建設についてでございますが、これは、農林水産省に対する働きかけの過程におきまして、単なる防潮堤の建設から水産業の振興と新たな賑わいの場の創出といった方向に話が展開しましたことから、観光の色彩が加えられることとなったものでございます。
 現在、漁港東側の国有地におきまして、国土交通省のご支援により公共残土を搬入しておりますが、この公共残土を利用して津波想定高以上の盛土を実施し、芝生広場や駐車場を併せ持つ多目的広場を整備することを予定しております。
多目的広場の整備効果につきましては、防潮堤機能も有していることから、大津波を減少させる効果があると同時に、水産振興をはじめ、さらには産業振興を図る拠点施設として、また、県営吉田公園等と連携した新たな賑わいの場の創出が期待できるものと考えております。
多目的広場の建設につきましては、平成27年度に基本・実施設計、測量調査等を実施し、平成28年度から建設に着手したいと考えております。
吉田町が「豊かで勢いのあるまち」であり続けるため、これまで「津波防災まちづくり」を強力に推進してまいりましたが、今後は、さらに「心を魅了する要素」を持つまちづくりまでを見据え、事業を展開してまいります。
このような構想の下、引き続き「津波防災まちづくり」を強力に進めてまいります平成27年度吉田町一般会計当初予算は、都市防災総合推進事業の住吉幹線、富士見幹線及び防災公園の整備が総仕上げの年度となり規模が縮小されることとなる一方で、水産基盤整備事業の規模が拡大することなどから、歳入歳出それぞれ94億7,500万円となり単年度規模では過去4番目の額となる予算を編成いたしました。
それでは、「だれもが住みたくなる豊かで勢いのあるまち」を実現するためのこの予算で、平成27年度に実施いたします主な事業を第4次吉田町総合計画に沿ってご説明申し上げます。
はじめに、「健康でいきいき暮らせるまちづくり」を目指す「健康・福祉」関連事業のうち、「健康づくり事業」につきましてご説明申し上げます。
当町では、町民の皆さまに心身ともに健康に暮らしていただけるよう、平成23年2月に吉田町健康増進計画と食育推進計画を併せた「健やかプラン吉田21」を策定し、これまで様々な健康づくり施策を展開してまいりました。
 計画策定から5年を経過する平成27年度は、中間評価、計画の見直しを予定しており、町民の皆さまにご協力いただきました調査の結果から明らかになった実態に併せ、各種統計データから町の健康課題を把握した上で、当町にとって必要な健康づくりを推進するための計画を策定してまいります。
 また、今後10年間で団塊の世代が前期高齢者から後期高齢者に移行することに伴い、健康寿命の延伸を目指した健康づくりの取組が重要な課題となっております。このため、本年度実施いたしました「らくらく筋トレ教室」をはじめとした健康づくり事業におきまして、団塊の世代の方を中心に、生活習慣病の発症予防、重症化予防とともに認知症予防に対しても効果のある事業を展開してまいりたいと考えております。
その他にも、個人で取り組む健康づくり事業と併せまして、個人の健康づくりを支援する社会環境の整備として、本年度町民の皆さまからご応募いただいたウォーキングコースを基に作成した「ウォーキングマップ」を配布いたします。町内の魅力的なウォーキングコースを皆さまにお知らせし、健康づくりのためのウォーキングの普及をさらに広めるとともに、昨年度完成した津波避難タワーを巡るウォーキングコースを利用したイベントや、地域と一体となって健康づくりを展開する「健康マイレージ事業」を実施し、地域ぐるみの健康づくりを進めてまいります。
次に、母子保健の充実についてでございます。
当町では、子どもを産みやすく育てやすい環境整備を進めるための重点事業の一つとして、母子保健の充実に取り組んでいるところでございますが、その中でも、不妊に悩む方への支援として、平成18年度から「特定不妊治療費助成制度」を、平成26年度から「一般不妊治療費助成制度」を開始しております。
 特に「特定不妊治療費助成制度」につきましては、これまで、より良い制度となるよう見直しを行ってきましたが、平成27年度は、さらに制度の拡充を図るとともに、不妊に悩む方が相談しやすい環境を整備し、精神的な支援の充実も図ってまいります。
 また、核家族化が進み、妊娠、出産、子育てについての不安や悩みを抱える保護者が増えていることから、これまでの母子保健事業に加え、妊婦・産婦健康相談、7か月児健康相談を実施し、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援を行い、母子保健サービス体制を強化してまいります。
 次に、子ども・子育て支援事業についてでございます。
本年4月からスタートする子ども・子育て新制度では、保育園への児童の預け入れの条件が緩和され、より預けやすくなります。
 保護者の就労時間を例にとりますと、月に120時間、1日当たりに換算しますと6時間以上働いている場合は、お子さんを最長で朝7時30分から夕方6時30分までの11時間保育園に預けることが可能となり、月に64時間、例えば1日4時間のパートを週に4日勤務されているような場合でも、最長で午前8時15分から午後4時15分までの8時間預けることが可能となります。
また、就労状況等により通常の保育時間内にお子さんの迎えが困難な保護者のために、現在午後6時30分までとして開所している保育時間を30分延長し、午後7時までとする延長保育事業を開始いたします。
 このような受け入れ条件の緩和や保育時間の延長につきましては、保育園の利便性を高めることを目的とした事業でございますが、一方、保育の質を高める事業としましては、保育園において数量や文字にかかわる感覚を豊かにする教育をこれまで以上に充実させてまいります。
 次に、放課後児童クラブについてでございます。
これまで、放課後児童クラブでは、小学校3年生までを受け入れ対象としておりましたが、平成27年4月からは対象を6年生にまで拡大し、さらに、中央第2児童クラブにおきましては、学齢児を対象とした一時預かりを実施いたします。
 町では、新制度に先駆けて平成26年度から一時預かり事業や病後児保育事業に取り組んでまいりましたが、平成27年4月からは、すみれ保育園に併設する子育て支援センターを土曜日及び日曜日にも開所し、保護者の方がより働きやすい環境を整えるとともに、平日には乳幼児を対象にした1時間程度の緊急的な一時預かりにも対応するなどして、子育て世代の多様なニーズに応えるようサービスの向上を図ってまいります。
次に、高齢者支援事業についてでございます。
団塊の世代の方が65歳を迎え、当町の高齢者人口は2月末現在で6,723人、高齢化率は22.53パーセントとなり、当町におきましても高齢化率は徐々に上昇しております。このような状況の中、高齢者の皆さまが住み慣れた地域で安心して生き生きと暮らしていけるよう施策を進めてまいりますが、はじめに、間もなく完成いたします「高齢者人材活用センター」の運営についてご説明申し上げます。
高齢者の生きがいづくりや社会参加活動を支援し、年齢にかかわりなく働くことができる「生涯現役社会」の実現に向け、建設を進めてまいりました「高齢者人材活用センター」が本年度末をもって完成し、4月から施設管理に指定管理者制度を導入しながら新たな事業として「高齢者人材バンク事業」を展開してまいります。
「高齢者人材バンク事業」は、高齢者の皆さまが長年培ってこられた豊富な知識と経験、技能をバンクに登録していただき、そのお力を必要としている町民や地域団体とを結びつけ、そこで高齢者の皆さまがボランティアとして地域で活躍していただく事業でございます。
依頼を受けた高齢者には、各種スポーツの指導、園芸や絵画などの趣味を生かした教室の講師、当町の歴史や伝統文化の継承、介護や認知症予防教室のお手伝いなど幅広い分野でボランティアとして活動をしていただき、それぞれの活動実績を評価ポイントとして付与するボランティアポイント制度を導入することにより、地域での活動の励みとなるよう付加価値をつけて高齢者の地域社会での活動をサポートしてまいります。
また、「高齢者人材活用センター」での活動として、介護予防のための教室や作品づくり、レクリエーション、教養の向上を図る事業を実施し、交流の場を提供することにより、高齢者の皆さまが、社会参加することで生きがいを持ち、健康を維持し、活力ある生活が送れるように事業展開を図ってまいります。
続きまして、「安全で安心、快適なまちづくり」を目指す「生活環境」関連事業につきましてご説明申し上げます。
はじめに、当町が強力に進めております「津波防災まちづくり」についてでございますが、先に申し上げましたとおり、目下、「町民の皆さまの財産、企業の皆さまの生産活動を守る対策」の実現に向けて、海岸防潮堤や吉田漁港周辺のハード整備に向けた取組に着手しております。
吉田漁港の整備につきましては、L2クラスの津波への対策として、既存の防波堤等の漁港施設や胸壁等の海岸保全施設を活用した多重防護により、漁港をはじめ漁港背後地の財産・生産活動を守る施設整備を進めていくことを計画しております。
 また、防波堤の粘り強い構造化の実施につきましては、国の漁港施設機能強化事業により、東防波堤と西防波堤、内防波堤の3つの防波堤を強固なものとし、大津波に対する低減効果を高めるよう粘り強い構造に整備していくものでございます。平成27年度につきましては、既存施設の現況調査や耐震性能照査等を実施してまいります。
 吉田漁港は、吉田町地域防災計画におきましても海からの輸送拠点という大変重要な施設に位置付けられており、「津波防災まちづくり」の一つとして漁港の施設強化は急務であると考えておりますので、平成27年度からは津波対策における漁港の本格的な整備に着手し、町民の皆さまの安全・安心を一日でも早く確保していくよう努めてまいります。
 一方、地震・津波防災のソフト対策といたしましては、平成25年度に実施しました「吉田町地域防災指導員養成講座」を平成27年度も実施いたします。この養成講座は、本年度に実施した「ジュニア防災士養成講座」の実施と同様に、幅広い年代から地域防災リーダーとなる人材の育成を図るものでございます。
当町といたしましては、地域防災力を更に高めるため、こうした講座を受講された方々のなかで、今後、地域防災指導員としてご活躍いただける皆さまには、町から認定証を交付するとともに、地域防災指導員の活動時に着用する帽子とベストを支給することにより、地域での自主防災活動を支援してまいります。
また、大規模災害に備え、避難生活用間仕切り、毛布、非常食及び簡易トイレを整備し、非常時に対応するための資機材の充実を図ってまいります。
平成27年度の「津波防災まちづくり」につきましても、町が主体で行うハード整備はスピード感を持って着実に行い、ソフト対策につきましては町民の皆さまの協力を得ながら、きめ細やかに事業を進めてまいります。
 次に、上水道事業についてご説明申し上げます。
平成27年度に予定している施設整備は、第2配水池にある電気室の耐震化工事のほか、老朽管の布設替事業として塩谷上川原線配水管布設替工事や大幡川尻線配水管布設替工事、その他の布設又は布設替事業として東名川尻幹線配水管布設工事、富士見幹線配水管布設工事及び住吉幹線配水管布設替工事などでございます。
また、平成27年度には、工事しゅん工図や給水台帳などの膨大な資料を一元管理し、効率的な維持管理と緊急時の迅速な復旧体制の確立を目指し、「上水道管路台帳システム」を導入いたします。
次に、下水道事業についてでございます。
下水道事業につきましては、合併処理浄化槽の普及等汚水処理を取り巻く環境や土地利用等も変化していることから、平成27年度と平成28年度の2か年で、全体計画の見直しを進めてまいります。
また、総務省が、平成26年8月に地方公営企業法に基づく公営企業会計の適用拡大に向けたロードマップを公表し、下水道事業を公営企業会計とする必要性が高い「重点事業」に位置付けをし、平成27年度から平成31年度までを集中取組期間とした中で、3万人未満の団体についてもできる限り移行すべきとする考えが示されました。このことを受け、当町におきましても下水道事業の公営企業会計への移行の取組として、平成27年度から、移行に必要な業務の検討や調査を行い、準備を進めてまいります。
管渠整備につきましては、道路整備が予定されている東名川尻幹線、住吉幹線の道路工事に合わせた汚水管渠の布設を行うほか、県道住吉金谷線及び町道片岡辻線につきましては、国道150号を横断して汚水管渠の整備を進める予定でございます。
耐震化対策につきましては、避難地に向かう主要管渠のマンホール継手の耐震化を図るほか、東日本大震災の知見を反映して平成26年度に改訂された下水道施設の耐震対策指針を踏まえた下水道施設総合地震対策計画を策定してまいります。
その他の主な事業としましては、浄化センター施設の長寿命化計画に基づく、電気・機械設備の改築・更新を実施いたします。この事業につきましては、ライフサイクルコストを踏まえ、効率的かつ効果的に、国庫補助金で設備の改築・更新を行うものでございます。
 次に、地球温暖化防止対策についてでございます。
当町では、平成22年度から住宅用太陽光発電システム設置費補助金を交付しておりますが、平成27年度からは、発電による電力を安定的かつ効率良く使用できる蓄電システムを住宅に設置する方に対し、新たに補助を実施し、新エネルギー機器の普及を図り、環境への負担が少ない新エネルギーへの転換を促進してまいります。
 続きまして、「心豊かな人を育むまちづくり」を目指す「教育・文化・交流」事業につきまして、ご説明申し上げます。
 はじめに、学力向上施策についてでございます。
 教育委員会では、児童・生徒の学力向上を図るため、吉田町ラーニングプランを策定し、学力向上に向けた事業を展開しております。
 平成26年度は、事業の一部を静岡大学に委託し、町独自の学力調査を取り入れ、授業改善や放課後、土曜日等の補充学習を実施してまいりました。平成27年度は、平成26年度事業で培ったノウハウを生かしつつ、引き続き静岡大学と連携し、吉田町ラーニングプランの成果目標でございます「平成29年度の全国学力・学習状況調査の小中学校の国語・算数・数学の平均正答率が全国平均以上」を目指し、取り組んでまいります。
 次に、「教育に関する大綱」の策定及び「総合教育会議」の設置についてでございます。
 「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」が一部改正され、平成27年4月1日から施行されることに伴い、当町の教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の大綱の策定が義務付けられましたので、住民の皆さまにとってより魅力のある教育施策を提供するための大綱とすべく、策定に向けた取組を進めてまいります。
また、平成27年度から、町長と教育委員会による「総合教育会議」を設け、教育の条件整備など重点的に講ずべき施策及び緊急の場合に講ずべき措置の協議や調整を行い、町の教育施策の方向性を共有しつつ、それぞれの役割分担の下、教育の振興を図ってまいります。
 次に、いじめ防止施策についてでございます。
 平成25年9月に「いじめ防止対策推進法」が施行され、同年10月に国の「いじめ防止等のための基本的な方針」が策定されました。
 当町といたしましても、いじめの防止、早期発見及びいじめへの対処を町全体で円滑に進め、いじめを無くし、子どもたちが安心して生活し、健やかに成長することができる町を実現するため、今議会定例会に「吉田町いじめ防止条例」の議案を上程させていただきます。
 この条例により、いじめ防止に向けた基本理念、町の取組、家庭や地域の役割を定め、いじめ防止基本方針を策定し、いじめ問題に関わる組織を設けるとともに、学校や家庭だけでなく、町全体でいじめを防止するという意思を示すことにより、「いじめは絶対にしてはいけない」という自覚を子どもたちに醸成できるよう努めてまいります。
 次に、小中学校の屋内運動場天井等落下防止工事についてでございます。
 学校施設は、児童生徒が一日の大半を過ごす学習・生活の場であるとともに、災害発生時には地域住民の避難場所となる重要な役割を担っております。東日本大震災では、建物の被害は構造体のみならず、天井材や照明器具の落下など非構造部材にまで及び、屋内運動場の天井材が全面的に崩落した例もございました。文部科学省では、平成25年度に「学校施設における天井等落下防止対策のための手引」を作成し、構造体の耐震化と併せ、対象となる屋内運動場の吊り天井等についても、平成27年度までの速やかな対策の完了を推進しております。
 このような状況の中、文部科学省の手引に基づく調査を実施しましたところ、町内小中学校4校全ての屋内運動場の天井等落下防止対策が必要であることが判明いたしましたことから、平成26年度に4校の屋内運動場天井等落下防止対策工事設計業務委託を実施し、準備を進めてまいりました。平成27年度には、同工事を速やかに実施し、安全安心な学校教育環境を整備するとともに、避難施設としての安全性の向上を図ってまいります。
 次に、ちいさな理科館事業についてでございます。
 平成22年8月に開館しましたちいさな理科館は、平成27年8月で開館5周年を迎えることとなりましたが、平成27年度は、同一敷地内にある「心の池」のビオトープ環境を生かし、「ホタルの里づくり」に取り組み、ホタルが棲みつく環境づくりを通して、子どもたちが自然に触れ、観察することで、子どもたちの心に豊かな感性が育まれ、自然への関心が喚起できるよう、環境教育を進めてまいります。
次に、今後の福岡県八女市との交流事業につきましてご説明申し上げます。
 福岡県八女市とは、平成22年度から5か年にわたり、富士山静岡空港を活用した交流事業を進めてまいりました。この間、民間の方々にもご参加いただきながら継続的に交流を促進してまいりました。その中で、首長の相互訪問を実現させることができたほか、平成24年度には、八女市の集中豪雨災害に際して当町の職員を派遣して災害支援も行いました。
 こうした実績を踏まえ、両市町間で、今後における交流のあり方を検討いたしましたところ、今後、この交流を定着させる方向で合意いたしました。
平成27年度からの交流でございますが、「八女市・吉田町未来創造の翼交流フォーラム」をスタートさせ、行政的な側面では「首長懇談」や「職員協働事業」を予定し、民間交流の側面では、産業、観光、スポーツ交流などを想定する「交流まちづくり事業」を展開したいとの方向で合意しております。
 富士山静岡空港を活用した交流促進事業では、八女市との交流促進とともに、町のPRキャラクター作成にも取り組んでおりますが、この取組では、デザインを公募し、多様な立場から小中学生を含む幅広い年齢層の方にご参加いただいた選考委員会において慎重にご審議いただき、デザインと「よし吉」の名称のほか、使用ルールも決定していただきましたので、八女市との交流事業には、この吉田町PR部長「よし吉」を十分に活用してまいります。
 なお、吉田町PR部長「よし吉」につきましては、着ぐるみやピンバッチなども作成し、町の宣伝に活用してまいりますが、今後、町内の皆さま方にも、様々な形でキャラクターのデザインを活用していただき、町のPRが促進されることを期待しております。
 続きまして、「自然と調和した、人にやさしいまちづくり」を目指す「都市整備」事業のうち、都市防災総合推進事業関連の取組につきましてご説明申し上げます。
都市計画道路富士見幹線につきましては、本年度3件の工事を進めておりますが、このうちの一部が平成26年度中の完了が見込めないことから、今議会定例会におきまして繰越明許のご承認をいただき、平成27年度の工事と併せまして早期の事業完了を目指してまいります。
平成27年度の主な工事内容は、島田吉田線バイパスから町道塩谷上川原線までの道路改良工事と町道塩谷上川原線から大幡川幹線までの舗装工事でございます。
 都市計画道路住吉幹線につきましては、本年度用地交渉を進めておりますが、建物の移転の関係から年度内に完了が見込めず、富士見幹線と同様に繰越明許のご承認をいただき、平成27年度に事業を完了する予定でございます。
次に、防災公園についてでございますが、関連します富士見幹線と同様に繰越明許のご承認をいただき、施設や植栽の工事を実施いたしますが、併せて建物の建築工事を実施し、平成27年度に事業を完了する予定でございます。
また、防災公園の西側に位置し、主要地方道吉田大東線と富士見幹線をつなぐ、町道青柳田中線の拡幅整備でございますが、用地買収を本年度で完了し、平成27年度は工事に着手し、完成の予定でございます。
次に、避難路として整備を進めております町道西の坪大浜1号線と町道下片岡16号線でございますが、同じく平成27年度での完了を目指し、事業を進めてまいります。
次に、街路事業として整備を進めております東名川尻幹線でございますが、平成27年度末での榛南幹線交差点までの供用開始を目指し、浜田土地区画整理組合施行による土地区画整理事業と合わせ、事業を進めてまいります。
また、このほかには、町内の舗装修繕事業としまして、大幡堤3号線を含む、特に傷みの激しい合計5路線の舗装修繕を行い、町道の長寿命化を図ってまいります。
続きまして、「魅力ある産業を振興し、活力あふれるまちづくり」を目指す「産業振興」事業について、ご説明申し上げます。
 はじめに、「プレミアム商品券発行事業」についてでございますが、この事業は国の「地方創生」政策の推進に伴う「地域活性化・地域住民生活等緊急支援のための交付金」制度を活用し、地域振興に貢献する商店等におきまして、共通して使用できるプレミアム商品券を発行することにより、地元消費の拡大や地域経済の活性化に資することを目的として実施するものでございます。
この事業につきましては、国の「地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金」に町独自の財源を加え、より大きな事業規模にするとともに、プレミアム率を20パーセントにして魅力ある商品券に仕立て、より消費喚起効果が高まり、町の経済が活性化されるようになることを期待して積極的に取り組む予定でございます。
 事業主体は、「吉田町プレミアム商品券発行事業実行委員会」という名称で、当町の産業四団体や自治会等による実行委員会方式をとっており、2月23日に第1回目の実行委員会を開催したところでございます。
このプレミアム商品券は、販売価格1セット10,000円に対し、20パーセントのプレミアムを付けまして、額面12,000円の15,000セットを発行いたします。なお、商品券の有効期間は、平成27年4月1日から9月30日までの6か月間を計画しております。
現在は、商品券取扱い加盟店の募集のほか、商品券やチラシ等印刷物の作成を進めているところでございますが、商品券の販売日につきましては、3月29日から町民の皆さまを対象としました先行販売を行い、4月1日からは一般販売をする予定でございます。
なお、この事業は、出来る限り早期に着手し効果を発揮させることが望まれるため、補正予算をお認めいただきました際には、即座に事業展開を図り、本年度内にプレミアム商品券の発売を開始したいと考え、準備を進めさせていただいておりますので、状況をご賢察賜りよろしくお願い申し上げます。
続きまして、行財政構造改革への取組について申し上げます。
 平成27年度は、平成23年度からスタートいたしました「第4次吉田町行政改革大綱」の対象期間最終年度となりますことから、現在の行政改革大綱の総括に着手しながら、次期の行政改革指針づくりを行ってまいりますが、この指針づくりには、当町独自の「まちづくりステップアップ行政評価」との連動を検討してまいります。
次に、国勢調査についてでございます。
 本年10月1日には、大正9年を初回とする国勢調査から数えて20回目の国勢調査が実施されることになりますが、今回の国勢調査は、東日本大震災発生以降初めての国勢調査となります。
 当町の人口の推移でございますが、前回となる平成22年10月1日の国勢調査人口は29,815人であります。その後の推移を住民基本台帳の登録人口で見ますと、東日本大震災直後となる平成23年8月末に30,605人の最多を記録し、以来減少傾向が続き、平成26年9月末に29,824人となり、その翌月からは少しずつではありますが、増加傾向を示す月が増えてまいりました。
 国勢調査人口は、町にとりましても将来を展望するために最も重視すべき情報の一つであり、目下、当町は、次期総合計画策定に向けての人口推計に取り組んでいるとともに、「まち・ひと・しごと創生」の人口ビジョンの作成にも取り組むこととしておりますので、本年10月1日の国勢調査の結果には、十分な注意を払ってまいりたいと考えております。
 最後に、政府主導のもとで、地方が自らの課題を解決するロードマップを描きながら、国と地方とが一体となって進めようとしている「まち・ひと・しごと創生」への取組についてご報告申し上げます。
 国におきましては、昨年11月21日に「まち・ひと・しごと創生法」を成立させ、引き続き、国の「長期ビジョン」と「総合戦略」を公表するとともに、本年2月3日には、地方自治体が「まち・ひと・しごと創生」に向けて、「地方消費喚起・生活支援型」と「地方創生先行型」との2つの側面から早急に取組を開始することができるようにするための「地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金」の措置を含む総額3兆1,180億円となる平成26年度補正予算(第1号)を決定いたしました。
 こうした状況を受け、当町でも、町の喫緊の課題を解決しながら地域創生を目指す総合戦略づくりに着手することといたしますが、国の補正予算の効果を出来る限り早く発揮させることができるように、町の平成26年度補正予算(第5号)に、国の「地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金」に対応する事業を予定するとともに、平成27年度には、「人口ビジョン」の作成と平成31年度を目標年次とする「総合戦略」の策定を行います。
 平成26年度補正予算(第5号)に措置して早期に着手する事業でございますが、「地方創生先行型」につきましては、次期総合計画と整合を図りながら「人口ビジョン」を作成するほか、国家の課題となっている人口減対策に通じる事業として、妊娠から子育てまでの支援を行う母子保健室を運営する事業にいち早く取り掛かるとともに、海岸部の防災機能強化を含む賑わいづくりと雇用創出を図るための取組に着手し、総合戦略に反映させるようにしてまいります。 
また、「地方消費喚起・生活支援型」につきましては、先にご説明申し上げましたとおり、町内に店舗を有する商業者の皆さま方などのご協力を得ながら、総額1億8,000万円分の消費を喚起するプレミアム商品券の発行を予定しております。
以上、平成27年度を迎えるに当たり、吉田町を「豊かで勢いのあるまち」であり続けるために実施いたします各種施策の方針や概要並びに基本姿勢について述べさせていただきました。
この町が、引き続き「豊かで勢いがあるまち」であり続けるためにも、今、手がけております「津波防災まちづくり」は、まさに町の存亡をかけた事業であり、必ず完成させなければならない事業でございます。
冒頭で申し上げましたとおり、本年度末までに「町民の皆さまの財産、企業の皆さまの生産活動を守る対策」の実現に向けた見通しを得ることができましたので、その実現に向け、引き続き全力で取り組んでまいります。そして、その先にある「豊かで勢いがあるまち」に、さらに「心を魅了する要素」を加えた新たな吉田町を創り出したいと考えております。
是非とも、議員各位におかれましては、当町の「まちづくり」に対しまして、ご理解をいただき、今後も格段のご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げ、施政方針といたします。