2013年12月2日 作成

平成25年第4回吉田町議会定例会(平成25年12月2日開会)町長の行政報告

平成25年第4回吉田町議会定例会の開会に当たり、町政運営の概況につきまして、ご報告申し上げます。
津波防災まちづくりの正念場であります平成25年度も、残すところ、あと4か月を切り、仕上げの時期に入ってまいりました。
町民の皆さまの「命を守る対策」として位置付け、最優先に建設を進めてまいりました津波避難タワーも、10月に供用開始をいたしました3基に加え、本年度末には、15基すべてが完成する運びとなりました。
当町の津波避難タワーにつきましては、確固たる被害想定データを基に、国、県の全面的な支援を受け、法律上及び技術上の諸課題に適切に対応した「津波避難タワーの標準仕様設計基準」に基づいて建設される全国初の津波避難タワーであり、堅固で安心できる津波避難タワーを実感していただけるものと、これまでも、ことあるごとに、皆さまにご説明してまいりました。
 また、去る9月23日に行われました3基の「津波避難タワー 一期工事 完成式典」に、太田国土交通大臣、静岡県知事をはじめ、多くの国、県の職員の皆さま方がご臨席をいただきましたことは、当町の歴史に残る出来事でありますとともに、当町が進めます「津波防災まちづくり」に対しまして、国及び県が、非常に注目していただいている証であると思っております。
 これも、議員各位をはじめ、地権者、町民の皆さまの多大なるご理解とご協力の賜物であると思っております。この場をお借りしまして、心より感謝申し上げる次第でございます。
当町の津波防災まちづくりは、まだ道半ばでございます。今後も引き続き、国、県のご支援をいただきながら、スピード感をもって、着実に事業を進め、日本一安全で、安心できる町を築くため、鋭意努力してまいります。
それでは、当町の現在における事業の進ちょくにつきまして、ご報告申し上げます。
まずは、町の重点課題であります「津波防災まちづくり事業」におけるハード事業でございます。
先ほども申し上げましたが、9月23日に行われました3基の「津波避難タワー 一期工事 完成式典」には、国土交通大臣や静岡県知事をはじめ、議員各位、自治会役員の皆さまなど、約100人の方のご臨席をいただきました。
この式典では、ご臨席いただきました皆さまと、真新しい津波避難タワーに昇り、堅固で安心感のあるタワーの完成を、共に祝うことができました。このことは、町民の皆さまの胸中に深く刻まれた津波に対する不安を払しょくし、町民の皆さまと一緒に、安全安心なまちづくりを進めるための大きな一歩であったと確信した次第であります。
完成した3基の津波避難タワーは、すでに、10月15日から供用を開始させていただいており、地元住民の皆さまに、ご活用していただいているところでございます。残りの12基のタワーにつきましても、今月から上部工の架設作業に取り掛かる予定でございまして、来年3月末の完成に向け、順調に工事が進んでおりますので、避難対象となる地域にお住いの町民の皆さまには、今しばらくのご辛抱をお願いしたいと思っております。
 次に、「津波防災まちづくり事業」のソフト事業について、ご報告申し上げます。
9月28日、29日及び10月5日、6日の4日間、当町におきまして、災害時における地域リーダーを養成することを目的とした「地域防災指導者養成講座」を開催いたしました。自主防災組織や消防団、企業の防災担当者の方など63人が受講され、11人の講師から、防災に関する様々な角度からの講義を受け、防災に対する知識を習得していただきました。この講座を受講された方の多くは、さらに「防災士資格」を取得されたと聞いております。改めまして、受講者の皆さまの防災意識の高さを強く感じるとともに、大変頼もしく思った次第であります。
当町の「津波防災まちづくり」は、町民の皆さまと一緒に作り上げていくものでございますので、この講座で習得されました知識を、それぞれの地域や組織でご活用していただき、当町の安全で安心なまちづくりを築くために、是非、お力添えいただけますようお願い申し上げます。
また、町では、津波防災まちづくり事業を強力に推し進めるための組織として「吉田町津波防災まちづくり推進会議」を設置いたしました。この組織は、国や県などの防災施策と整合性を図りつつ、当町の「津波防災まちづくり」に必要な施策を、横断的かつ計画的に実施していくための調整を行うものでございます。現在のところ、全ての課に津波防災まちづくりを推進するために必要な事業を取りまとめさせており、最終的には「地震・津波対策アクションプラン」を作成する予定でございます。また、この推進会議では、平成26年3月末を目標に「吉田町地域防災計画」の全面改訂を行うべく準備を進めており、素案がまとまり次第、パブリックコメントを実施させていただくなど、適時、町民の皆さまをはじめ、議員各位にご報告させていただきたいと考えております。
次に、「TOUKAI―0」事業についてでございます。
地震による住宅の倒壊から、町民の皆さまの生命と財産を守るために、国や県、関係団体と協力して事業を進めております「TOUKAI-0」事業でございますが、今年度も、耐震化が必要な住宅の所有者約300人にダイレクトメールの発送を行ったところでございます。この住宅の所有者の方が、制度を利用され、耐震性能の向上を図れるように、引き続き、きめ細かく対応してまいります。
続きまして、「健康でいきいき暮らせるまちづくり」を目指す「健康・福祉」関連事業についてご報告申し上げます。
はじめに、健康づくり事業でございます
 国の統計におきまして、「がん」は、昭和56年から死亡原因の第1位を占めており、現在は、3人に1人が、がんにより死亡している状況でございます。
 当町におきましては、国と同様に、死亡原因の1位は、がんによるものでありますが、その割合は、全国及び県を上回っている状況でありまして、町民の皆さまの生命と健康にとって重大な問題となっております。
 そこで、本年度から、受診しやすい環境整備の一環として、1回の受診で複数のがん検診を行うことができる「総合がん検診」や「複合がん検診」の体制を導入するとともに、検診日数につきましても、例年よりも多く設定するなど、受診環境を整えてまいりました。その結果、胃がん検診においては、仕事の合間に受診するといった利便性が高まったことから、35歳から54歳までの働き盛りの方の受診が増加いたしました。
 また、り患数の増加にも関わらず、受診者数が伸び悩む「子宮頸がん検診」や「乳がん検診」、「大腸がん検診」の対象者には、無料クーポン券を配布したところ、「子宮頸がん検診」及び「乳がん検診」を受診した4割の方が、前回未受診者であったことから、この無料クーポン券が受診のきっかけとなったものと推察しております。
今回、初めて受診された方が、この受診をきっかけに、継続的に受診されるような体制づくりを行っていくとともに、受診者数が伸び悩む検診項目については、引き続き、検診の必要性について周知を行うことにより受診者の増加を図ってまいります。
次に、子育て支援事業でございます。
子どもが健やかに育つ環境をつくるための施策として整備を進めております「すみれ保育園建設事業」につきましては、9月及び10月に発生した台風の影響により、工事の遅れが心配されましたが、建設現場付近の皆さまのご理解を得て、休日等も工事を行い、予定どおり基礎工事が完了したところでございます。現在は、保育棟、倉庫などの建物を、3工区に分けて工事を進めておりますが、いずれの工区も、ほぼ当初の計画通りに推移しておりまして、今月中には、鉄筋コンクリートの柱が立ち上がり、年明けには、外壁の塗装が始まる予定でございます。新しいすみれ保育園の完成を心待ちにしている園児と、その保護者の皆さまの期待にお応えするよう、年度末の完成に向けて確実に工事を進めてまいります。
 次に、「吉田町子ども・子育て会議」でございます。
安心して子どもを産み、育てることができる社会の実現を目指すため、幼児期の学校教育や保育、地域の子供、子育て支援を総合的に推進するために設置しました「吉田町子ども・子育て会議」でございますが、今月中に第一回目の会議を開催する運びとなりました。
 この会議は、子育てに必要な施策を検討する組織でございまして、本年度と平成26年度の2か年をかけまして「吉田町子ども・子育て支援計画」を策定する予定でございます。今年度は、子育ての実態や保護者が必要としている子育て支援サービスに関するニーズ調査を実施し、子育て支援の現状と課題を分析する予定でございます。この調査結果を踏まえ、きめ細やかな支援ができる計画を策定し、必要な体制を整えてまいります。
次に、高齢者福祉事業でございます。
 高齢者の安定的な雇用の確保を図り、年齢にかかわりなく社会参加ができる「生涯現役社会」の実現に向け、高齢者の雇用・就業環境の新たな拠点施設として整備を進めております「高齢者人材活用センター建設事業」でございますが、現在、片岡地内の建設予定地の測量調査を実施し、地権者の方や隣接する関係者の方々と、境界の確認を行い、用地の取得に向けた準備を進めているところでございます。また、既に委託しました同センターの建設工事及び造成工事に係る設計業務につきましても、本年度末には、完了する予定でございますので、予定通り平成26年度に、建設着工できる見通しでございます。今後も、引き続き「生涯現役社会」の実現に向けた拠点としての「高齢者人材活用センター」の建設を着実に進めてまいります。
続きまして、「安全で安心、快適なまちづくり」を目指す「生活環境」の整備についてご報告申し上げます。
まず、消防救急広域化でございます。
 近年、災害や事故が複雑化・大規模化するとともに、消防に対する住民ニーズが多様化しており、消防はこれらの様々な変化に的確に対応し、今後とも住民の生命、身体及び財産を守るという責務を果たしていく必要があります。
 また、市町における財政状況は厳しさを増していくと考えられることから、市町が今後も消防の責務を十分に果たしていくためには、行財政上の様々なスケールメリットを生かした、効果的・効率的な消防体制の確立が求められております。
 このような状況のなか、当町におきましても、静岡市、島田市、牧之原市、川根本町及び吉田町の3市2町で構成する静岡地域の枠組みにより、静岡市への委託方式で平成28年4月に広域化することが合意され、現在、準備を進めております。
 この広域化によりまして、当町の消防力に、より高度な技術と機材が加わり、また、近隣市町との強固な連携が構築されることで、町民の皆さまに更なる安心を提供できるよう環境整備に努めてまいります。
次に、上水道事業でございます。
地震災害時においても、安定した水を供給し続けるために、老朽管等の布設替えを実施しておりますが、本年度につきましては、坂口谷川配水管布設替工事や、舞台民附線配水管布設替工事など3件を発注したところでございます。
また、給水区域内に点在しております石綿管につきましては、片岡地内の旧水道課庁舎北側に残存しておりました62メートルの布設替え工事を、11月に発注いたしました。これにより、石綿管の残りは、532メートルとなり、平成27年度までに、給水区域内のすべての布設替えが完了する計画でございます。
このほかの水道管布設工事につきましても、計画的に事業を進め、町民の皆さまのライフラインの確保に努めてまいります。
続きまして、「心豊かな人を育むまちづくり」を目指す「教育・文化・交流」事業につきまして、ご報告申し上げます。
はじめに、学校教育でございます。
教育委員会では、平成25年度全国学力・学習状況調査の結果を受けまして、今後の町内小・中学校における児童生徒の学力の向上を図るため、「吉田町児童生徒学力向上委員会」を設置することといたしました。
この委員会では、今回の調査結果を基に、児童生徒の学力や学習状況を把握し、その実態を分析しながら、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図り、吉田町の教育における「確かな学力の育成」を目指すものでございます。委員会のメンバーは、児童生徒の教育に携わる委員17人と、アドバイザーとして依頼しました静岡大学の村山功教授で構成されております。
すでに、第1回目の委員会が11月5日に開催されており、教育委員会では、今年度内には、検証結果及び学力向上を図るための効果的な方策をまとめ、来年度以降の教育施策に生かしていく方針とのことでございますので、その成果に大いに期待しているところでございます。
次に、「静岡県市町対抗駅伝競走大会」でございます。
11月30日に開催されました「静岡県市町対抗駅伝競走大会」は、2時間24分41秒というタイムで、町の部第5位という成績を収めることができました。タスキをつないだ選手の皆さんは、郷土の誇りを胸に、日頃の練習の成果を十二分に発揮していただきました。
この大会に向け、ご指導いただきました役員の皆さまに感謝申し上げますとともに、出場した選手の皆さまのご健闘を心から讃えたいと思います。
次に、「吉田町立コミュニティ広場の整備」でございます。
吉田町立コミュニティ広場につきましては、吉田町空港対策協議会騒音対策部会建設委員会と調整を図りながら、空港対策事業の一環として、「静岡空港隣接地域振興事業費補助金」を活用し整備を進めておりますが、このほど、開発行為等の手続きも終了し、間もなく発注を行い、工事に着手できる見込みとなっております。
また、「静岡空港共同利用施設整備事業費補助金」を活用し、広場内に整備を行う管理棟につきましては、来年度中にすべて完成できるように整備を進めてまいります。
なお、「静岡空港隣接地域振興事業費補助金」と「静岡空港共同利用施設整備事業費補助金」の補助制度につきましては、いずれも静岡空港開港後5年度末が終期となっております。当町は、この期限内に配分された18億円の枠のすべてを消化できる見込みでございますが、目下、静岡空港の経営につきまして様々な議論があることから、今後の展開次第では、当町に多大な影響をもたらす場合も考えられますので、その場合には、現行の補助制度を引き継ぐ新たな対応を県に求めてまいりたいと考えております。
続きまして、「自然と調和した人にやさしいまちづくり」を目指す「都市整備」事業について、ご報告申し上げます。
はじめに、幹線道路の整備でございます。
平成25年度末の完成を目指して事業を進めております都市計画道路榛南幹線、東名川尻幹線の2路線につきましては、それぞれ順調に工事が進んでおります。
榛南幹線の町の事業区間につきましては、道路改良工事や舗装工事の発注を終え、今月中には、供用開始に向けて必要な安全施設工事を発注する計画となっております。
また、東名川尻幹線の整備につきましては、町の事業区間であります町道高畑高島線から国道150号までの改良工事の発注を終え、国道150号の交差点改良工事につきましても、舗装工事が順調に進んでおります。榛南幹線と同様に、東名川尻幹線につきましても、供用開始に向けて必要な安全施設工事を発注する計画となっております。
大幡川幹線につきましては、川尻地内の横手橋から南に向けて整備を行っていた工事が9月に完成し、供用開始することができました。国道150号との交差点改良工事につきましても、今月中に発注する計画となっております。
本年度末には、榛南幹線、東名川尻幹線の供用が開始される予定でございます。これにより、町内の交通の流れが大きく変化いたしますので、町民の皆さまへ十分に周知を行ってまいりたいと考えております。
次に、避難路整備事業についてでございます。
避難路として整備を進めております、高島4号線、中瀬高畑2号線、日の出線、平島8号線の4路線については、既に工事を発注し、中瀬北原1号線につきましても、今月中に工事を発注する予定になっております。いずれの工事につきましても、町民の避難路として確実に整備を進めてまいります。
次に、北区防災公園整備事業についてでございます。
早期完成を目指しております北区防災公園につきましては、昨年度から一部の地権者の方々から、用地を取得させていただいております。本年度中に、全ての公園用地が取得できるよう、現在、地権者の皆さまと用地取得に向けた話し合いを行っておりますので、準備が整い次第、用地取得を進めてまいりたいと考えております。
また、北区防災公園に隣接する富士見幹線につきましても、詳細設計及び用地取得の準備を進め、早期に工事が着手できるように努力してまいります。
最後に、「まちづくりの推進」に関し、効率的な行政運営を推進する事業についてご報告申し上げます。
当町では、津波避難タワーの建設をはじめ、「津波防災まちづくり」事業を完成させるために、様々な事業を計画しておりますことから、多額の費用が必要となってまいります。当然のことながら、財政の健全性を保持しつつ事業を進めていくことが求められることから、当町では、津波防災まちづくり事業に関し、その多くを国の社会資本整備総合交付金の中で都市防災総合推進事業に区分される補助制度の適用を受けて実施することとしております。
また、本年度は、国の平成24年度補正予算第1号に対応する追加公共事業等を実施する自治体に対して、国から交付される「地域の元気臨時交付金」を受け取ることができるという二重の効果を生み出しております。当町の「地域の元気臨時交付金」の交付額は、15億8,984万2千円で、政令市を除けば、県下トップという結果でございました。
町としましては、この貴重な財源を、次年度に有効活用するため、「吉田町地域の元気臨時交付金基金」を創設する予定でございます。
また、静岡県では、国の第4次地震被害想定の公表を踏まえ、本年度から平成27年度までの3年間に、市町が緊急かつ重点的に地震・津波対策を実施できるよう、新たな制度として「緊急地震・津波対策交付金」を創設したところでございます。
当町におきましては、1億500万円の交付内示額を受けており、必要な地震・津波対策事業に要する経費に充てるため、「吉田町緊急地震・津波対策事業基金」も合わせて創設する予定でございます。
これらの「地域の元気臨時交付金基金」及び「緊急地震・津波対策事業基金」は、大変貴重な財源ではございますが、終期が設定されているものでございます。このことから、今後、津波防災まちづくり事業を進めていくうえで、事業効果をより高めるべく、計画的に基金を活用することにより事業展開を図ってまいります。
 以上、行政運営の一端を申し上げましたが、当町が進めております「津波防災まちづくり」には、「命を守る対策」に加え、「財産・生産活動を守る対策」そして、「被災時の生活支援対策」と、まだまだ着手すべき事業は山積しております。
目下、町では、平成26年度から28年度に向けた実施計画をとりまとめるとともに、平成26年度に向けた予算編成作業がスタートしております。町民の皆さまに、「確かな安全安心」を提供させていただくべく、より効果的な方策を検討し、確実に、そして、スピード感をもって、これからも「津波防災まちづくり」に取り組んでまいりますので、議員各位におかれましては、現下の状況をご理解いただき、今後も、ご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げ、本定例会の行政報告といたします。