2013年6月3日 作成

平成25年第2回吉田町議会定例会(平成25年6月3日開会)町長の行政報告

 平成25年第2回吉田町議会定例会の開会に当たりまして、町政運営の概要等についてご報告申し上げます。
本年度は、国の平成24年度補正予算第1号に対応する国庫補助事業を前倒し実施することにより、現在進めている当町の「津波防災まちづくり」が大きく進展することになりますが、この取組は、国の進める緊急経済対策に呼応するものでありますことから、国の平成24年度補正予算第1号に対応する追加公共事業等を実施する自治体に対して国から交付される「地域の元気臨時交付金」を受けることができるという二重の効果を生み出しております。
この「地域の元気臨時交付金」は、国において、追加公共事業等に係る地方負担額の8割相当額に当たる1兆3,980億円が予算措置され、このうち、今の時点で把握できる地方負担額を基に、財政力に応じて70パーセントから90パーセントの範囲で設定した交付率を乗じて算定された1兆2,095億円の第1次分の交付限度額が、5月27日に公表されましたが、当町につきましては、財政力の高い団体に適用される下限の70パーセントの交付率で算定され、15億8,984万2千円の交付限度額の提示を受けた次第でございます。国の平成24年度補正予算第1号に限って特別に設けられた緊急経済対策のための新たな国の財政支援措置として自治体に交付されるものであり、平成26年度までに実施する公共事業等に充当できるものでございますので、計画している事業の中の貴重な財源として活用し、津波防災まちづくりを進める中で、他の必要欠くべからざる公共事業等の早期完成に資するようにしてまいります。
 それでは、新年度に入りまして、2か月が経過したところでございますが、本年度の事業の進ちょくにつきまして、ご報告申し上げます。
 まずは、当町の最重点課題であります「津波防災まちづくり事業」におけるハード事業につきまして、ご報告申し上げます。
 「命を守る対策」として、最優先で整備を進めております「津波避難タワー」でございますが、昨年12月に発注をいたしました、住吉地区の2基及び川尻地区の1基につきましては、現在、基礎杭の打ち込みが終了し、今月中旬には、基礎となる下部工が出来上がる予定でございます。7月からは、上部工の架設作業に入ってまいりますので、町民の皆さま方には、徐々に津波避難タワーがその姿を現し、強固で安心感のある津波避難タワーを実感していただけるものと思っております。
 これら3基の津波避難タワーは、9月30日の完成を予定しておりますが、より実践的な避難と効果的な訓練を実施するため、9月1日の総合防災訓練には、建設中の津波避難タワーの一部を開放し、実際に、町民の皆さまに避難をしていただき、避難行動の検証をしたいと考えております。
空想的な「たら、れば」ではなく、いち早く目的地に到達するためには、どのような経路で、どのような行動をし、そして、どのような助け合いが必要なのかなど、迅速な避難行動の定着化を図るとともに、避難時における地域の課題を抽出し、その対策につきまして、皆さま方と一緒になって検討してまいりたいと考えております。
 また、残り12基の津波避難タワーにつきましては、自治会、町内会をはじめ町民の皆さまのご理解とご協力のおかげで、スムーズに建設予定地が決定され、それぞれの建設場所におけるタワーの整備概要等の地元説明会を経て、今月中には、すべての津波避難タワーの建設に着手できるように鋭意努力しております。
いつ発生するかわからない南海トラフ巨大地震における大津波から「命を守る対策」となる津波避難タワーの整備は、高層建築物が無く、平坦な当町にとりましては、行政の責任において、スピード感を持って、着実に事業を進めていかなければならないものでございますので、今後ともご理解、ご支援をよろしくお願い申し上げます。
 次に、「津波防災まちづくり」のソフト事業につきまして、ご報告申し上げます。
 自治会役員の皆さまや自主防災会の皆さまが、発災から2年が経過した被災地の状況を、ご自分の目で見て、肌で感じてもらうとともに、被災した方からお話を聞く貴重な機会を提供し、今後の自主防災会の活動に生かしてもらうために、6月27日から29日までの3日間、岩手県の釜石市、宮古市、普代村を中心に、「吉田町自主防災組織視察研修」を実施する予定でございます。
 この視察研修には、地元自主防災会の代表者をはじめ、約30名の参加を予定しておりますので、今後、この研修に参加された方々が、各自主防災会などで、被災地の現状を町民の皆さまへ報告していただくことなどによりまして、防災意識が伝播されていくものと考えております。
また、視察研修とは別に、災害時において地元住民を守るリーダーを養成するための「地域防災指導者養成講座」につきましても、9月28日、29日及び10月5日、6日の合計4日間の日程で、当町において開催する計画でございます。今後、自主防災組織や企業の防災担当者の方を中心に、幅広い方の参加を呼び掛け、より多くの方に受講していただくよう、周知してまいりたいと考えております。
平成25年第1回議会定例会における施政方針でも述べさせていただきましたとおり、私は、当町が進める「津波防災まちづくり」の主役は、町民の皆さまお一人おひとりであると考えております。「自分たちの地域は自分たちで守る」という意識の醸成を図り、地域の防災意識の高揚と防災力の向上を、更に高める事業の展開を図ってまいりたいと考えております。ソフト事業の核となるのは、「人を育てる」ことでございます。ハード事業のように、すぐに可視化できるものではございませんが、「津波防災まちづくり」に向けて、議員各位をはじめ、町民の皆さまと一緒に「災害に強いまち」を築いていく所存でおりますので、ご理解、ご支援をよろしくお願いたします。
続きまして、「健康でいきいき暮らせるまちづくり」を目指す「健康・福祉」関連事業について、ご報告申し上げます。
はじめに、健康づくり事業でございます。
健康づくりを進める上で、自己の健康状態を確認し、早期発見と早期治療、さらに予防をすることはとても重要なことでございます。特に、主要死因の代表である「がん」につきましては、がんに罹患することが生命に係わり、生活そのものを大きく左右することだけに、早期発見、早期治療が欠かせないものでございます。そこで、本年度から、受診しやすい環境整備として、1回の受診で複数のがん検診を行うことができる「総合がん検診」や「複合がん検診」の体制を導入いたしました。現在、6月中旬から始まる「総合がん検診」につきまして、受診券のほか一定の年齢の方には無料クーポン券を配布したところであり、8月に始まります「複合がん検診」につきましても、順次配布する予定でございます。町民の皆さまが気軽にがん検診を受診できるよう、6月から12月の期間に、各地区の会場を検診車が巡回いたしますので、お一人でも多くの方が、ご自分の健康を意識し、いつまでも健康で元気に暮らせる社会の実現のために、受診していただきたいと願っております。また、今後につきましても、受診しやすい環境作りや、検診のPRを積極的に行いながら事業を進めてまいりたいと考えております。
次に子育て支援事業でございます。
「子どもが健やかに育つ環境をつくる」ための施策として整備を進めております「すみれ保育園建設事業」でございますが、4月下旬に造成工事に着手いたしました。本体工事につきましては、5月31日に請負契約の締結のご承認をいただいたところでございますので、本年度内の完成を目指して工事を進めてまいります。
また、新しいすみれ保育園に併設されます、発達支援施設の運営に関しましては、各保育園の保育士で組織しましたプロジェクトチームを発足させ、現在、定期通園の具体的な支援、運営の仕方など、開園に向けて具体的な検討を重ねているところでございます。
今後とも発達が気になる子に対しまして、きめ細やかな支援ができるよう体制を整えてまいります。
続きまして、「安全で安心、快適なまちづくり」を目指す「生活環境」の整備につきまして、ご報告を申し上げます。
まず「上水道事業」でございます。
地震災害に強い安全で安定した水を供給し続けるため、本年度におきましても施設整備や老朽管の布設替等の工事を順次、発注できるように、準備を進めているところでございます。
施設整備につきましては、各配水系の水量比率の標準化と水源の確保を目的として、第9水源の新設を計画しているところでございます。現在、その新設に当たっての測量設計業務委託に向け準備を進めているところでございます。
老朽管の布設替につきましては、本年度、延長460メートルを実施する予定でございます。
また、道路改良工事等に伴う布設事業等につきましては、東名川尻幹線及び榛南幹線配水管布設工事を含め、延長3,745メートルを実施する予定でおりますので、順次、発注を行い、災害に強いライフラインの確保に努めてまいります。
 続きまして、「心豊かな人を育むまちづくり」を目指す「教育・文化・交流」事業につきまして、ご報告申し上げます。
はじめに、「通級指導教室」についてでございます。
本年度の教職員の人事異動により、静岡県から通級指導教室の運営のために教職員が自彊小学校に配置されましたので、4月から自彊小学校の会議室を利用し、児童3人の通級指導を行っております。現在は、自彊小学校の児童だけを受け入れておりますが、7月からは、他校からの児童の受け入れを実施するため、現在、準備を進めております。
また、来年度の本格的な開設を目指して、自彊小学校の1階会議室の改修工事を計画しておりますが、この改修工事は、子どもたちの良好な学習環境を阻害することがないよう、夏休み期間を中心とする工期を設定して整備を進めてまいります。
次に、住吉小学校の校舎補強についてでございます。
住吉小学校の校舎補強につきましては、平成25年第1回吉田町議会定例会終了後に、県が独自に定めました耐震診断基準を満たすべく、校舎の耐震補強対策の調査を行ってまいりまして、このほど、補強工事の入札の準備が整いましたので、現在、制限付き一般競争入札の手続きを進めているところでございます。この補強工事につきましても、子ども達の良好な学習環境を阻害することがないように、夏休み期間を中心として12月までの土日及び祝日を活用して整備を進めてまいりたいと考えております。
住吉小学校の校舎は、学校に通う児童が、安全で良好な環境の中で学習するための施設でありますが、災害時には、避難場所としての機能も併せ持つ施設でございますので、子どもたちのために良好な学習環境を提供するとともに、周辺住民のために避難施設として必要な補強工事を早急に実施してまいります。
 続きまして、「自然と調和した、人にやさしいまちづくり」を目指す「都市整備」事業につきまして、ご報告申し上げます。
はじめに、避難路整備事業についてでございます。
災害時において、町民の皆さまがいち早く安全な場所に避難できるよう都市防災総合推進事業を活用し、避難路として整備を実施しております町道中瀬北原1号線、町道西の坪大浜1号線、町道東向2号線、町道平島8号線につきましては、4月に測量設計業務委託を発注いたしました。
次に、幹線道路の整備でございます。
平成25年度末の完成を目指して事業を進めております都市計画道路榛南幹線、東名川尻幹線の2路線につきましては、それぞれ順調に工事が進んでおります。
榛南幹線の町の事業区間につきましては、道路改良工事や排水路工事の発注を終え、これらの工程を考慮しながら、仕上げとなる舗装工事を発注する予定でございます。
また、東名川尻幹線につきましては、町の事業区間であります町道高島線から国道150号までの区間の舗装工事や、国道150号との交差点の改良工事を8月中に発注する予定でございます。
また、大幡川幹線につきましては、川尻地内の横手橋から南側の整備を進め、5月13日に車道部分を開通いたしました。町道本田線や本田線を交差する町道大幡川尻2号線を含めまして、7月末までには工事を完了する予定でございます。
 次に、北区防災公園の整備でございます。
北区防災公園につきましては、5月に設計業務委託を発注したところでございます。また、平成25年3月には、6名の地権者の方のご協力により、10筆5,854平方メートルの用地を取得させていただきました。残る用地につきましても、年度内の取得を目指し、地権者の皆さまにご協力いただけるよう、丁寧にご説明させていただきます。
次に、河川改修でございます。
平成20年度から改修を進めております、準用河川大窪川につきましては、国道150号から上流部の河川改修工事を進めてまいりましたが、本年度は、工事を一時休止して、大窪川の改修事業計画を策定することとし、5月に河川整備事業計画策定業務を発注したところでございます。今後は、策定された河川整備事業計画を基に、平成26年度以降の国庫補助事業として、採択されるよう諸手続きを進めてまいります。
一方、4月6日の大雨では、町内の道路が冠水に留まらず、家屋や車の浸水被害も発生いたしました。被害に遭われました皆さまには、大変不安な夜を過ごされたことと存じます。
1時間当たりの最大降水量は66ミリで、特に6日午後7時頃からは1時間当たりの降水量が50ミリ前後の降雨が3時間続くという過去に例を見ない大雨でありましたが、今後は、こうした事態が起きましても、被害が発生しないような対策を段階的にでも講じる必要がございます。
このため、「宮裏川」、「問屋川」そして、「大幡川」に堆積しております土砂や水草等を取り除く浚渫工事や、今回の大雨のように河川の排水能力を超えるような事態になった場合に、水中ポンプや発電機を借上げ、強制的に排水ができるような体制を整えるための費用を、今回、補正予算に計上させていただきました。
今後は、河川ごとに整備計画を策定し、町民の皆さまが安心して生活できるような河川改修に努めてまいります。
最後に、吉田町内陸のフロンティアを拓く総合特区推進本部についてご報告申し上げます。
県が主導する「防災減災・地域成長モデル総合特区(内陸のフロンティアを拓く取組)」につきましては、平成25年2月15日に内閣府から総合特区の指定を受け、現在、当該地域における規制の特例措置等や地域ニーズを実現するための代替措置、新たな支援措置などを協議する「国と地方の協議会」において協議が実施されているところでございます。
また、一方で、民間においては、経済界が中心となり、「内陸のフロンティアを拓く取組」と連携して、安全・安心で魅力ある静岡県の実現に向け、民間企業のビジネスチャンスの拡大に資する情報の集約・発信を行うとともに、民間企業の立場から見た政策提言を行うことを目的として、「内陸フロンティア推進コンソーシアム」が5月10日に設立されたところでございます。
このように、内陸のフロンティアを拓く取組は、官・民それぞれの動きが加速してきており、今後、協議がまとまり、制度化された特例措置、支援措置を活用する事業等を記載した「総合特区計画」を作成し、国の認定を受けますといよいよ実行段階に移ってまいります。
 こうした状況のなか、当町におきましても全体構想に基づいた取組を進めていくため、副町長を本部長とした庁内組織、「吉田町内陸のフロンティアを拓く総合特区推進本部」を5月10日に設置いたしました。
 今後は、推進本部において実務的な部分である規制の特例措置や新たな支援措置の検討を重ね、計画の熟度を向上させるとともに、各種関係者に参画いただく総合特区推進協議会の設立を目指し鋭意努力してまいる所存でございます。
 以上、行政運営の一端を申し上げましたが、本年度は「津波防災まちづくり」において、正念場の年でございます。町民の皆さまが抱いている地震や津波に対しての不安を打ち消し、吉田町に住み続けていただくためには、町が行う事業だけでなく、国や県が関与した「津波防災まちづくり」を完成させる必要がございます。それは「暴風雨の中で小さな針の穴に糸を通すようなもの」でございますが、必ずやり遂げなければならないものでございます。
議員各位におかれましては、現下の重要課題に対する行政の取組をご理解いただき、今後もご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げ、本議会の行政報告といたします。