2012年12月3日 作成

平成24年第4回吉田町議会定例会(平成24年12月3日開会)町長の行政報告

平成24年第4回吉田町議会定例会の開会に当たり、町政運営の概況につきまして、御報告申し上げます。
さて、国政では、野田内閣総理大臣が、国民に信を問うため、衆議院を解散し、今月16日には、衆議院議員総選挙が行われる運びとなりました。国を挙げて取り組む予定でありました、経済対策や津波・地震対策等も一時凍結され、また、平成25年度の予算編成につきましても、年を越えることが確実視されるなど、先行き不透明な状況になっております。
一方、地方では国政の混乱の煽りを受けており、ほとんどの自治体が補助事業等を一時中断しながら、今は、ただ国政の行方を見守り、その結果を受けて、今後、どのような政策転換が図られていくのかを見極めようとしている状況ではないかと推察しております。
しかしながら、こうした混沌とした状況下にあっても、基礎自治体としましては、町民サービスの低下を招かないよう、常にアンテナを高く張り、国の正確な動向をしっかりと把握し、いち早く町の政策へ反映させる準備をしなければなりません。
とりわけ、現在、町民の生命、財産を守るための最重要施策に位置づけております「津波防災まちづくり」につきましては、国の確かな情報を、いの一番で収集し、一日でも早く町民の皆さまが安心していただけるような事業を展開していかなければなりませんので、引き続き、これまでと同様の御理解と強力な御支援をよろしくお願い申し上げます。
 それでは、当町の現在における事業進ちょくにつきまして、御報告申し上げます。
まずは、「津波防災まちづくり事業」における津波避難タワーの整備に向けた取組について御報告申し上げます。
さて、本年の第3回吉田町議会定例会の行政報告で申し上げました「津波避難施設(道路上)設計技術検討委員会」でございますが、津波避難タワーの設計に関する第3回目の技術検討委員会が、9月27日に当町で開催され、「道路上に設置する津波避難タワーの標準仕様設計基準」が定められました。
今回、定められました「津波避難タワーの標準仕様設計基準」は、国土交通省が初めて関与した津波避難タワーの標準仕様設計基準となるものであり、国の関与のもとで定められた、大変画期的なもので、他の先例となるものでございます。
国では、平成17年6月に、避難ビルの標準仕様設計基準に当たる「津波避難ビル等に係るガイドライン」を公表しておりましたが、津波避難タワーに係る標準仕様設計基準は、未だ示されておりませんでした。当町では、平成23年3月11日に発生した東日本大震災と同等の規模である、いわゆる1000年に一度の巨大地震及び大津波を想定した「津波ハザードマップ」をいち早く作成し、大津波による被害想定を行っておりましたことから、国の関与を得ることができ、1000年に一度の大津波を想定した津波避難タワーの標準仕様設計基準を定めることができたものでございます。
また、当町では、全国的にも例を見ない道路上の津波避難タワーを検討しておりましたので、国、県の関係機関の御支援をいただきながら、道路上に津波避難タワーを建設する場合の標準仕様設計基準も併せて御検討いただき、今回の「道路上に設置する津波避難タワーの標準仕様設計基準」を定めていただきました。このことは、道路上に津波避難タワーを建設する場合は、法的にも、構造的にも国のお墨付きをいただいたことになります。言い換えますと、道路上の津波避難タワーにつきましても、当町の津波避難タワーが、我が国における標準の仕様ということになります。
この標準仕様設計基準は、1000年に一度の巨大地震と大津波が同時に発生した場合でも、使用部材のすべてが弾性領域内に収まるばかりでなく、液状化にも対応した設計となっております。また、道路上に設置する津波避難タワーの場合は、通常時には歩道橋として、災害時には避難施設として利用できる道路法に基づいた「兼用工作物」となることも決定されました。また、道路上に津波避難タワーを設置するには、道路を占用する必要がありますが、現行の法令等の規定上、占用できるものは、政令で制限列挙されておりますことから、津波避難タワーの設置が不可能でありましたが、今般、国土交通省道路局が政令を改正して占用できるようパブリックコメントの手続きを進めており、来年の4月から占用物件と認められるように政令改正の手続きが行われる状況にあるとのことでございます。これは、当町が、国や県の支援を受けて「道路上に設置する津波避難タワーの標準仕様設計基準」を定めたことや国への要望活動の成果であると認識しております。
こうした国の関与をいただき定めました、「津波避難タワーの標準仕様設計基準」に従いまして、先ずは、住吉地内の2基と川尻地内の1基の津波避難タワーの設計を行い、このほど入札の準備が整いましたことから、今月7日に入札を執行する予定でございます。順調に行けば、今年度末には、町民の皆さまも、堅固で安心感のある津波避難タワーを御確認いただけるものと思います。
今後は、先の第3回吉田町議会定例会で補正予算をお認めいただきましたものも含め、残りの12基の津波避難タワーの建設に向け、スピード感を持って津波避難タワー整備に向けて取り組んでまいります。
このように、行政におきましては、津波防災まちづくりに向けて順調に事業を進めておりますが、他方、民間におきましても、津波防災まちづくりの推進に参画していただく、大変うれしいこともございました。
 この実例を御紹介申し上げますと、まず、津波ハザードマップにおいて浸水区域内に所在することとなりました川尻のレック株式会社では、従業員ばかりではなく地域住民も対象とした避難施設として、鉄筋コンクリート造り4階建ての防災倉庫を建設されました。建設に当たりましては、町にも声を掛けていただきましたので、町としても、予てから当町の津波避難施設として活用させていただくことを前提として津波避難計画をつくることができました。このほど、この施設が完成いたしましたことから、10月11日に、津波避難ビルに指定させていただく協定を締結させていただいたところであります。地域の皆さまも、この避難施設を活用した防災活動を定着させるべく、早速、昨日の地域防災訓練におきまして、倉庫4階の屋上まで避難する訓練を実施いたしております。
 また、11月25日には、住吉壮年会の皆さまが、町の防災対策を支援しようと、募金活動を実施されました。集まった9万6千円余の募金は、津波避難タワーの建設などに役立てることを前提として、11月27日、町に御寄附いただきました。
これらの尊い善行は、只今進めております町の津波防災対策を全面的に御支援いただいている表れであろうと受け止めており、大変心強く感じ、皆さまの思いに着実にお応えしなければならないとの使命感がさらに強まってまいりました。今後さらに、津波避難タワーの建設をはじめとする防災対策を全力で進めてまいりますので、一層の御支援をお願い申し上げる次第でございます。
続きまして、「健康でいきいき暮らせるまちづくり」を目指す「健康・福祉」関連事業について御報告申し上げます。
 まず始めに、健康づくり事業でございます。
当町では、健康づくり事業の一環として、ダンス・健康づくり推進委員によりオリジナダンスの普及を行い、ダンスを通して健康づくりを進める事業を実施しています。
 今年度、4回目となるダンス発表会「笑っしょいよしだフェスティバル」は、11月18日に実施し、延べ人数で約650人の方がダンスを披露し、応援者を含めると、1,000人を超す方々がダンスと触れ合い、健康を意識する良い機会となりました。今後も楽しく体力づくりに取り組める機会を町民の皆さまに数多く提供してまいりたいと考えます。
 次に子育て支援事業でございます。
当町では、産みやすく、育てやすい環境を整備するため、現在「すみれ保育園」の建設を進めているところでございます。
現在の事業の進ちょくでございますが、9月には保育園の設計業務を委託し、10月には保育園用地の地質調査の業務委託を行ったところでございます。
また、建設事業用地の取得の状況でございますが、地権者の皆さまの御理解、御協力をいただきまして、本年11月5日までに、すべての地権者の皆さまと仮契約を締結させていただいたところでございます。なお、この用地の取得に当たりましては、議会の議決が必要となりますことから、今議会定例会におきまして、議案を上程させていただいておりますので、よろしくお願い申し上げます。
現在は、保育園全体の位置や歳児別の部屋の配置、広さなど保育に必要とされる基本的な内容をはじめ、新たに併設します、一時預かりや病後児保育機能を検討しながら、設計を進めているところでございます。
また、建設するすみれ保育園は、従来の保育園機能に加え、発達が気になる子への支援を行う施設整備を予定しておりますことから、園長と園長補佐を除く保育士を、現在、発達支援事業を実施している施設へ派遣し、実習によるスキルアップを図りつつ、きめ細やかな支援体制の構築に向けた準備を進めております。
今後は、実習を通じて得た成果を生かしながら、施設整備を進めてまいりたいと考えております。
次に高齢者福祉事業でございます。
町では、高齢者の皆さまが、地域社会から疎外され孤独になることを未然に防止するための取組として、地域が一体となって支援する「吉田町高齢者見守りネットワーク事業」を、本年度中に立ち上げるため、現在、民生委員・児童委員協議会、自治会連合会、社会福祉協議会、さわやかクラブ、警察署などの関係団体をはじめ、町内の新聞、郵便、電気、ガス、宅配、金融機関などの事業所の皆さま方に対しまして、当事業への協力の要請をお願いしているところでございます。
事業所の皆さまは、これから急速に進展していく高齢化への対応を深く認識されており、当事業の趣旨に快く賛同していただいておりますことから、今年度、目標としていた30社の協力事業所の登録を達成できる見込みであります。
今後は、当事業を適正かつ円滑に運営していくために、関係団体や協力事業所で構成する「吉田町高齢者見守りネットワーク連絡会」を、今月19日に設置する予定でございます。この連絡会では、協力事業所証の交付式をはじめ、静岡福祉大学の清水教授を講師にお招きして研修会を開催し、問題意識の共有化を図るとともに、連絡体制の確認と高齢者を見守る対応マニュアルを作成してまいりたいと考えております。
また、来年の1月18日には、「五体不満足」がベストセラーになった作家の乙武洋匡氏をお招きし、「吉田町高齢者見守りネットワーク設立記念福祉講演会」を吉田町学習ホールで開催する予定でございます。
今後も、高齢者の皆さまが安心して生活できるよう、行政、地域、企業等が一体となって施策を展開していけるよう、引き続き努力してまいります。
続きまして、「安全で安心、快適なまちづくり」を目指す「生活環境」の整備について御報告申し上げます。
まずは、上水道事業の整備でございます。
町では、安全で安定した水の供給を図るため、老朽管の布設替え、配水管の新設等を、計画的に実施しております。
石綿管布設替工事につきましては、坂部45号線外1路線配水管布設替工事の準備が整いまして、10月に発注したところでございます。
また、石綿管以外の布設替工事につきましては、向原線外1路線配水管布設替工事を11月に発注するとともに、日の出向原線外1路線配水管布設替工事の発注に向け、現在、準備を進めております。
なお、道路改良事業に関連します、榛南幹線配水管布設工事ほか5本の工事につきましては、既に発注を終え、工事に着手しているところでございます。
次に公共下水道事業の整備でございます。
 現在の当町における下水道の整備状況でございますが、340ヘクタールの事業計画区域のうち、昨年度末までに239.58ヘクタールの整備を完了し、整備率が70.5パーセントに達しております。また、本年10月末時点で、2,721戸の下水道への加入があり、1日当たりの平均で約2,511立方メートルの汚水を処理している状況でございます。
本年度は、住吉地区の榛南幹線、県道吉田港線、県道住吉金谷線と、片岡地区の高島高畑線を中心に、管延長にして約1.6キロメートルの布設工事を行っているところでございます。
 続きまして、「心豊かな人を育むまちづくり」を目指す「教育・文化・交流」につきまして御報告申し上げます。
 まずは、静岡県市町対抗駅伝競走大会でございます。
一昨日の12月1日に開催されました「静岡県市町対抗駅伝競走大会」では、我が吉田町チームは、2時間21分24秒という過去最高タイムで、町の部第4位という好成績を収めることができました。
12月の寒空の下、郷土の誇りと期待を背負い懸命に走る選手の皆さんの姿は、とても凛々しく、また見ている者を感動の渦へと引き寄せ、目頭が熱くなるものでございました。沿道で応援をしてくださった皆さま、そしてテレビをご覧いただいた町民の皆さまも同じ思いであったのではないでしょうか。
この大会に向け、御指導いただいた吉田町体育協会の役員をはじめ、吉田町スポーツ推進員、また、小・中・高等学校の先生方には感謝申し上げますとともに、出場した選手の皆さまの御健闘を心から讃えたいと思います。
次に、芸術文化事業でございます。
 町では、吉田町文化協会の皆さまの御協力をいただきながら、地域に根差した芸術文化活動に親しみを持ち、心豊かな暮らしの創造に努めているところでございます。
去る10月20日から11月3日にかけまして、吉田町文化協会と吉田町教育委員会の共催により「吉田町文化祭」を開催いたしました。この文化祭は、日頃の学習成果を発表する場として「芸能祭」を皮切りに、「文化展」「囲碁大会」「将棋大会」「茶会」を開き、更には、「文集よしだ第17号」の発刊と盛りだくさんの内容となっております。特に「芸能祭」や「文化展」は、芸術に携わる町民の皆さまが年に一度、一堂に会して発表する場でございますので、「芸能祭」は40演目の披露が、また、「文化展」は、1,031点の展示があり、「芸能祭」には762人、「文化展」には2,117人が入場され、多くの町民の皆さまが地域に根差した文化芸術に触れられました。
今後も文化協会の活動を支援しながら、幅広い年代の皆さまが芸術・文化に触れ合っていただけるような機会を多くつくるよう、環境を整えてまいりたいと考えております。
次に、自然と調和した、人にやさしいまちづくりを目指す「都市整備」関連事業につきまして御報告申し上げます。
はじめに、国の補助を受け社会資本総合交付金事業として進めております榛南幹線の町施工区間である新田工区についてでございます。この工事は、本年6月に道路改良工事と排水路工事を発注し、現在、順調に工事が進んでおります。そして、第2工区として9月に発注いたしました道路改良工事につきましても、来年3月の完成を目指し順調に進んでいるところでございます。さらに、本年度から県費助成により事業実施を行っている榛南幹線水路事業につきましても、二級河川坂口谷川への樋門設置工事と道路内排水路設置工事を発注したところでございます。
これら一連の榛南幹線整備事業につきましては、国や県との連携をこれまで以上に図り、平成25年度末の完成に向けて努力してまいります。
 次に、東名川尻幹線でございますが、町施工区間である国道150号から高畑高島線までの本年度の施工部分につきましては、このほど完成を迎えたところでございます。また、この完成により、これより北側部分の国道150号を終点とする県道路局施工区間につきましても、現在工事を行っているところでございまして、順調に進んでいるとの報告を受けております。この東名川尻幹線につきましても、榛南幹線と同様に平成25年度末の完成を目指しております。
 続きまして、中央幹線の整備状況でございますが、8月に発注した交差点改良工事も順調に進み、来年3月中旬の完成を目指しておるところでございます。これを受け、関係機関との調整を行ったのち、町道西の宮線から東名川尻幹線と町道下片岡山通り線との交差点までの区間につきましては、供用開始を行う計画でございます。
次に、大幡川幹線の整備についてございますが、先月、工事発注を行ったところであり、本年度工事完成後には横手橋から南側へ町道大坪7号線までの約450メートル区間を供用開始する計画でございます。
 次に、県費助成事業の西の坪大浜5号線の整備でございますが、本年度に入り地権者の皆さまの御理解、御協力のおかげですべての用地を取得することができました。今後は、工事発注に向けて準備を進めてまいりたいと考えております。
 続きまして、準用河川大窪川の改修でございます。
 河川改修工事につきましては、例年出水期を避けた期間に実施しておりますことから、本年度も10月末に発注し、3月中旬までに約70メートルの護岸を整備する計画でございます。
続きまして、都市防災総合推進事業における避難路等の整備でございます。
 亀の尻線の整備につきましては10月に、高島4号線と中瀬高畑2号線工事につきましては、このほど工事を発注いたしました。また、日の出線につきましても今月中旬には工事を発注する計画でございます。
続きまして、橋梁補修工事について、御報告いたします。
 本年7月に橋梁補修工事の受委任に関する協定を締結いたしました。東名高速道路を跨ぐ2つの跨道橋、北原東橋と北原西橋につきましては、東名高速道路の集中工事期間中であります10月に足場の設置工事を終え、現在、この二橋からコンクリート剥離に伴う東名高速道路走行車両への第三者被害を防止するためのコンクリート剥落防止対策工事と、橋梁通行者の転落を防止するための高欄取替工事を進めている状況でございます。足場等の撤去工事を含め、来年3月には、工事が完了する予定でございます。
続きまして、魅力ある産業を振興し、活力あふれるまちづくりを目指す「産業振興」関連事業につきまして御報告申し上げます。
まずは、吉田漁港の整備でございます。
平成23年度繰越明許費としてお認めいただきました「水産基盤整備事業費」は、既に工事の発注を終え、12月上旬に発注予定の今年度の改修工事と併せて、来年3月に完成する予定でございます。これで、昨年6月に崩壊した吉田漁港6号岸壁の改修工事がすべて終了いたしますので、漁港関係者の皆さまの安全な職場環境を確保することができるようになりました。引き続き、沿岸漁業及び地域振興の活性化を図るよう環境整備に努力してまいります。
次に、都市防災総合推進事業における吉田漁港津波堤現況調査業務委託でございます。
この調査は、吉田漁港周辺にあります約1キロメートルの津波堤が、東海・東南海地震や地震の影響により発生する津波に堪え得るのかを調査するものでございます。この調査を行うために準備を進め、今月上旬に発注の目処が立ったところでございます。
海に面している当町にとりまして、現況の津波堤が、どの程度の地震動、液状化、津波力に堪えうるものなのか実態を把握する調査は、町民の皆さまの生命と財産を守るためには、必要不可欠なものでございます。今後は、この調査結果をもとに、巨大地震による津波に対しても効果を発揮するような構造への補強対策を検討してまいりたいと考えております。
以上、町政運営の一端を申し上げましたが、当町では、目下、平成25年度当初予算編成に向けて準備を進めているところでございます。予算編成では、東日本大震災の発生や南海トラフ巨大地震の被害想定を映し、津波リスクがある沿岸部の地価の落ち込みや、企業の新規投資意欲の鈍化などに伴い町税の減収が懸念される中で、子育て支援の充実、高齢化社会における社会保障などの行政需要はますます拡大していくことが予想されます。
また、当町の最重要施策であります「津波防災まちづくり事業」につきましても、町民の皆さまの生命と財産を守り、町内企業の皆さまが安心して生産活動を行えるよう、引き続き、様々な施策を展開してまいりますので、議員各位におかれましても、より一層の町政運営への御支援、御協力を賜りますことを願い申し上げ、本定例会の行政報告といたします。