2012年9月3日 作成

平成24年第3回吉田町議会定例会(平成24年9月3日開会)町長の行政報告

平成24年第3回吉田町議会定例会の開会に当たり、町政運営の概況につきまして、ご報告申し上げます。

「津波防災まちづくり元年」としてスタートしました平成24年度も、半年が経過しようとしております。この間、町では、本年3月に策定しました津波避難計画に基づきまして、津波避難タワー、避難路、そして防災公園の整備など、津波防災等対策事業を迅速かつ着実に事業を進めているところでございます。とりわけ、町民の皆さまの「生命を守る」津波避難タワーの整備につきましては、住民説明会を開催するとともに、3基の建設予定地につきましても、地元のご理解が得られましたことから、現在、建設箇所の地質調査を実施しているところでございます。
この津波防災等対策事業を進める上で、根拠となる「被害想定」は、昨年
11月に東京大学地震研究所准教授でありました都司嘉宣博士の技術指導のもと策定しました「吉田町津波ハザードマップ」のシミュレーション結果でございまして、最大震度「7」、海岸域に到達する最大津波高「8.6メートル」、津波到達時間「約5分」、浸水域は町の面積の「約40パーセントにあたる約8.6平方キロメートル」という被害想定でございます。
町では、この「被害想定」を根拠として、津波防災等対策事業を進めているわけでございますが、8月29日に、内閣府が公表しました「南海トラフ巨大地震」による当町の被害想定は、最大震度「7」、最大津波高は「小数点以下を切り上げた9メートル」、浸水域は町の面積の「約30パーセントにあたる約6平方キロメートル」というものでございました。この結果は、本年3月に内閣府が発表しました第1次報告に続き、当町が根拠とする町独自の「被害想定」と、ほとんど誤差がないものでありましたので、現行の計画どおり津波防災対策事業を推進していく所存でございます。しかしながら、人的・物的被害につきましては、県単位での被害概要のみの公表でありましたので、今後、県が策定する第4次被害想定の発表を待って、当町の防災計画等に盛り込んでいきたいと考えております。

また一方で、私が参加しております、国土交通省中部地方整備局所管の「地震・津波災害に強いまちづくり検討委員会」では、8月24日に名古屋市で開催された第2回会議におきまして、地震・津波災害に強いまちづくりを計画する上でモデルとなる地区を選定しましたが、その中で「海岸平野部」におけるモデル地区に当町が選定されました。このモデル地区に選定されましたことは、当町が掲げる「津波防災まちづくり」が先進的事例として、中部圏の主導的役割を果たすことを期待されている表れであり、今後より一層の事業推進を図ってまいりたいと考えております。
なお、この検討委員会では、現状と課題を整理するため、今後、モデル地区に選定された当町を含む3地域で現地調査を進めるとともに、地域条件に応じた「まちづくり計画」の基本方針及び基本施策等の検討を行い、今年度末には「地震・津波災害に強いまちづくりガイドライン」の中間報告をとりまとめ、平成25年度中に、同ガイドラインが策定される予定でございますので、事業の進ちょくに応じ、その都度、ご報告させていただきたいと考えております。

このように、当町の「津波防災まちづくり」におきましては、特に津波避難タワーや避難路等の整備などのハード面は、順調に事業が展開されようとしているところでございますが、いざ災害が発生した場合、その被害を最小限に抑えるためには、ハード面の整備と合わせて、町民の皆さんの個々の防災意識の高揚が不可欠となります。また、被害を受けることとなった場合、被災の拡大を防ぐためには、いかに地域を含めた配備体制を迅速に機能させるのかが重要になるものでございますが、当町はこれまで、大きな災害を経験したことが無いことから、災害復旧を行う上でのノウハウが不足しているのではないかと感じております。このことは、本年7月に九州北部を襲った豪雨によりまして、死者2人、断水世帯600戸、避難生活者200人などの深刻な被害を受けた福岡県八女市の状況を目の当たりにし、改めて強く感じたことでございます。
この福岡県八女市と当町は、平成22年度から交流定住促進事業を通じて交流を深めているところでございますが、八女市では土砂災害等により、一部の集落が孤立し避難所生活を余儀なくされている市民がいる状況でありましたことから、7月30日から8月10日までの間に、災害復旧作業に従事するため、職員8人を派遣いたしました。この派遣された職員の献身的な活動に、八女市長はいたく感心され、感謝の言葉をいただきました。帰庁後の派遣職員からは、「想定外の事態では、職員一人ひとりが状況を把握し、正しい判断と迅速な対応をすることによって、町民の皆さまが安心できるような体制を採らなければならない」という報告を受け、今回の職員派遣は、八女市民の一助となったほか、災害経験が乏しい当町にとっては、貴重な経験を積む得難い機会となりました。今後、この貴重な経験を町の災害対策に生かしてまいりたいと考えております。
被害に遭われました八女市民の皆さまには、一日も早い復旧を願うものでございます。

それでは、「津波防災まちづくり事業」における津波避難タワーの整備に向けた取組について、ご報告申し上げます。
当町独自の津波ハザードマップにおけます浸水区域に居住する、約1万7千人の町民の皆さまの生命を守るため、現在、3基の津波避難タワー整備に向けて事業を進めているところでございます。
この津波避難タワー整備にあたりましては、工期の短縮やコスト削減、公共空間の利活用などの観点から、道路上の空間を活用した津波避難タワーの整備を計画しております。しかし、津波避難タワーの構造につきましては、設計に際して準用する基準や安全率の考え方などの明確な基準がなく、また町の技術力だけでは検討が困難な状況でございます。また、津波避難タワーの構造に関しまして、各種の特許や認定工法などの技術的な課題のほか、設置に関しては、道路管理者をはじめ警察、消防など、国県等の関係機関との協議が必要となります。このようなことから、町が整備しようとする道路上の津波避難タワーについては、建築物、道路上の占用物、道路構造物の各観点を取り入れた上での設計条件や設計手法に関する検討を行い、今後の道路上の津波避難タワーを設計する上での指針を取りまとめるため、学識経験者、国土交通省、静岡県そして吉田町の委員で構成する「津波避難施設(道路上)設計技術検討委員会」を、本年7月30日に設立したところでございます。この検討委員会の委員構成につきましては、学識経験者として、一般財団法人日本建築防災協会、国土技術政策総合研究所の2人を、国関係者として、国土交通省道路局環境安全課道路交通安全対策室課長補佐、中部地方整備局道路部路政課長、建政部都市整備課長の3人を、静岡県関係者として、建築安全推進課長、道路保全課長、都市計画課長、静岡県警察本部交通部交通規制課・交通規制指導管理官の4人を、町関係者として、吉田町牧之原市広域施設組合消防本部・消防次長兼吉田榛原消防署長、そして、当町の梅村理事の計11人を、それぞれ選任させていただき、国土交通省の全面的な協力のもと、静岡県、静岡県警等の関係機関のご協力をいただいております。
この検討委員会は、これまで東京で2回開催しておりまして、7月30日の第1回会議では、町の防災対策や検討委員会の目的を説明するとともに、建築物に関係する法令等の整理、基本要件及び設計条件についての協議を行い、8月29日の第2回会議では、津波避難タワーの設計条件及び設計手法の確立のための協議を行っております。今後は、今月下旬に、第3回検討委員会を当町で開催し、津波避難タワー着工に向けて詳細設計を行ってまいりたいと考えております。
このように、津波避難タワーの整備につきましては、着実に事業が進んでおり、いずれは町民の皆さまが可視化できるものでございます。しかしながら、津波防災対策は、ハード面が整備されれば、万全というものではありません。やはり、町民一人ひとりが防災意識を高め、災害に対する知識はもちろんのこと、皆で助け合うという共助の精神があって、はじめて津波防災対策事業の有効性が発揮されるものと思っております。
防災は、町民の皆さまと一緒に考えなければならないものでございますが、そのような機会の一つとして、一昨日の9月1日に、総合防災訓練が実施され、約7,500人の町民の皆さまにご参加いただきました。今回の訓練では、「吉田町津波ハザードマップ」で想定津波浸水区域となった町民の皆さまは、避難施設等の計画案でご説明をさせていただいた避難街区を単位として、訓練用に町が指定した避難場所へ避難する訓練を新たに実施いたしました。改めて、町民の皆さまの意識の高さに感心したところでございますが、「津波防災まちづくり」の主役は町民の皆さまでございます。
今後も町民の皆さまお一人おひとりの防災意識をさらに高めていただくとともに、今後とも様々な情報の発信と訓練の実施に努めてまいりたいと考えております。

続きまして、「健康でいきいき暮らせるまちづくり」を目指す「健康・福祉」関連事業について、ご報告申し上げます。
厚生労働省は、本年6月に、初めて「健康寿命」を算出し公表しました。
この「健康寿命」とは、生活の質を重視する考え方に基づき、平成12年にWHO「世界保健機関」が提唱した指標でございまして、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間とされています。都道府県別の「健康寿命」を見ますと、静岡県の女性は75.32歳で全国第1位、男性は、71.68歳で全国第2位となり、その結果として人口割合で計算した男女の総合で、静岡県が全国第1位という結果でございました。

また、静岡県では、本年7月に、介護を受けたり病気で寝たきりになったりせず、自立して健康に生活できる平均自立期間、いわゆる「お達者度」を市町別に算出して公表しました。この「お達者度」は、65歳を過ぎた後で要介護度2から5にならない期間を表すもので、吉田町の女性が21.67年で県内第1位という誇らしい結果となりました。
健康寿命とお達者度では、定義が若干異なりますが、いずれも「健康で生活できる期間が長い」という指標において、全国第1位の静岡県内で吉田町の女性が第1位ということは、日本一ということにもなります。大変喜ばしいことでございます。その要因を特定するには、科学的な分析が必要ですが、気候・風土などに加え、日頃からの食生活、生活習慣の改善、そして健康づくり施策・介護予防施策、スポーツ振興策、さわやかクラブの活動等、当町における様々な活動が実を結んだ成果だと感じております。なかでも、介護予防事業は、65歳以上の高齢者の皆さまを対象に「かんたん体操教室」、「パワーリハビリ教室」、「認知症予防はつらつ講座」など、80歳代、90歳代になられた方や、体力に自信のない方でも気軽に参加できる事業を数多く実施し、幾つになっても心身の機能が維持できる体制の整備に努めており、参加者は年々増加している状況でございます。
また、自主的に活動のできる元気な高齢者の皆さまには、運動会や演芸会、高齢者スポーツ等の推進、高齢者同士の友愛訪問事業等さわやかクラブやシルバー人材センター事業の支援を通じて、高齢者間の仲間づくりや、就労を通じた生きがい対策を推進しております。特に、シルバー人材センターは、平成23年度の一年間で、会員数が32パーセント、受注件数が24パーセント増加しており、今後も、就労を希望する高齢者が増加することが見込まれることから、高齢者の生きがい対策事業を積極的に推進していくたいと考えております。
また、町では、病気の早期発見、早期治療を目的としたがん検診や生活習慣病の改善を目的とした国民健康保険の特定健康診査等を受診しやすくするために、受診環境の整備を進めてまいりました。とりわけ、国民健康保険の特定健康診査につきましては、平成20年度から自己負担を無料とするとともに、特定健康診査の結果により、その後の支援が必要な方には、管理栄養師など専門の職員が個々の結果を基に、健康の維持、増進の手助けを行っております。
さらに、平成23年度からは集団健診日に土曜日を加えるとともに、新たに個別健診を導入するなど、受診率の向上に向けた更なる取組を図っております。
健康とは、それ自体が目標ではなく、心豊かに生活していくための手段の一つであると考え、今後とも健康増進計画を進め、どの年代においても積極的な健康増進事業を推進してまいりたいと考えております。
次に、子育て支援事業でございます。
当町では、産みやすく、育てやすい環境を整備するため「すみれ保育園」の建設を進めているところでございます。現在の事業の進捗でございますが、建設予定地の鑑定評価が終了し、測量調査、境界立会を済ませ、取得する面積が確定いたしました。今後は、用地取得を行い、建設に係る基本設計・実施設計を順次進めていく予定でございます。
また、新たな機能として予定をしております発達が気になる子への支援につきましては、専門の機関への実習や研修などに保育士を派遣し、スキルアップを行いながら、すみれ保育園完成を目指して建設事業と並行してソフト面についても充実を図ってまいりたいと考えております。
次に、高齢者福祉事業でございます。
近年、地域社会から孤立した人が、医療や家族など周囲の誰にも看取られずに亡くなり、日数が経過してから発見される、いわゆる「孤独死」という大変痛ましい事件が報道されております。
当町の平成24年4月1日現在の総人口は、30,532人で、そのうち、65歳以上の高齢者人口は6,049人、高齢化率は19.84パーセントでございます。この数値は、県の平均であります23.8パーセントを大きく下回っております。しかし、ひとり暮らしの高齢者及び高齢者のみの世帯で生活する高齢者人口は、65歳以上の高齢者人口の30.6パーセントを占めており、これは、約3人に1人が高齢者のみの世帯で生活しているという状況でございます。
今後、さらに一人暮らしの高齢者世帯や高齢者のみ世帯が増加していくと考えられることから、高齢者の皆さまが、地域社会から疎外され孤独になることを未然に防止するための新たな取組として、本年度中に、地域が一体となって支援する「吉田町高齢者見守りネットワーク事業」を立ち上げてまいります。
この事業は、民生委員・児童委員協議会、自治会連合会、社会福祉協議会、さわやかクラブそして、シルバー人材センターなどの関係団体、新聞、郵便、電気、ガス、水道、宅配などの事業所、在宅介護・福祉サービス事業所、医療機関、消防署や警察署などの関係行政機関などが協力・連携し、日常生活や業務中におきまして、例えば、一人暮らし高齢者世帯や高齢者のみ世帯で、新聞や郵便物が溜まっているなどといった異変を早期に発見し、必要な支援が迅速に図られるような体制の構築を目指すものでございます。
具体的な事業内容につきましては、今後、検討していくものでございますが、先ずは、関係団体や協力事業所等で構成される「吉田町高齢者見守りネットワーク連絡会」を設置し、高齢者を見守るマニュアルづくりや啓発パンフレットの作成等行ってまいりたいと考えております。
 今後も、高齢者の皆さまが安心して生活できるよう、行政、地域、企業等が一体となって施策を展開していけるよう努力してまいります。

続きまして、「安全で安心、快適なまちづくり」を目指す「生活環境」の整備についてご報告申し上げます。
まずは、上水道事業の整備でございます。
町では、安全で安定した水の供給を図るため、施設整備、老朽管の布設替え、配水管の新設等を、計画的に実施しております。施設整備につきましては、災害等緊急時の給水対策事業としまして、第5水源の自家発電施設設置工事を実施しております。老朽管の布設替事業につきましては、旧水道課事務所北側の配水管布設替工事、牧之原市坂部地区の交番南側の坂部45号線配水管布設替工事等を、実施する予定でございますので、現在、工事発注に向けて準備を進めております。この他にも、新たな水需要に対応するため配水管の新設工事として、東名川尻幹線の自彊館南側付近から国道150号までの歩道西側に口径100ミリ、東側歩道に口径150ミリの配水管を布設する予定でございます。
次に、公共下水道事業の整備でございます。
公共下水道事業につきましては、社会資本整備総合交付金を活用し、管渠建設と地震対策を併せた整備を進めているところでございます。本年度に整備を予定しております住吉地区の榛南幹線、県道吉田港線、県道住吉金谷線、片岡地区の高島高畑線、日の出町片岡辻線につきましては、布設工事を行うために、現在準備を進めております。また、下水道総合地震対策事業につきましては、主に処理場の沈砂池・管理棟の耐震工事を進めるとともに、来年度施工予定の汚泥処理棟などについても耐震設計を進める予定でございます。
上下水道の整備は、住民生活に欠くことができないライフラインとして、安全で安定した水環境の保全に努めるよう、引き続き、事業関係者と十分な協議、調整を図りながら進めていきたいと考えております。

続きまして、「心豊かな人を育むまちづくり」を目指す「教育・文化・交流」につきましてご報告申し上げます。
去る7月31日に「ちいさな理科館」の名誉館長であります有馬明人先生をお迎えし、「放射能と津波について、東日本大震災を踏まえて」と題しました講演会を学習ホールで開催いたしました。この講演会では、町内の教職員をはじめ、自治会役員、一般の町民の皆さま約250人が参加され、放射線の利活用から、人体に与える影響まで、放射能についての細部にわたるお話を伺うことが出来ました。
また、その後、ちいさな理科館におきまして、町内の各小学校から6年生18人を受講生として、「力学」振り子の等時性をテーマとした模擬実験が行われました。この模範実験に参加した子どもたちからは、「とてもわかりやすかった」、「理科が好きになった」などの感想を聞くことができ、学校の授業とは異なる大変貴重な機会を与えることで、子どもたちの探究心を刺激し、理科に対する興味を高めるための一助になったのではないかと思っております。
今後も「ちいさな理科館」では、子どもたちの夢と希望が育まれるような事業を展開してまいります。

続きまして、「自然と調和した、人にやさしいまちづくり」を目指した「都市整備」につきまして、ご報告申し上げます。
初めに都市計画道路榛南幹線の整備でございます。
平成23年度繰越明許費としてお認めいただきました「公共榛南幹線整備事業費」の工事も順調に進みまして、このほど完成を迎えたところでございます。本年度分の工事につきましても、既に道路改良工事と排水路工事を発注し、現在、12月末日の完成に向けて整備を進めているところでございます。
次に、都市計画道路東名川尻幹線の整備でございます。
町の事業区間であります町道高畑高島線から国道150号までの区間におきましては、既に工事を発注し10月中旬までに完成する計画でございます。また、静岡県道路局が整備する町道日の出向原線から町道中瀬北原線までの区間につきましては、この秋に道路整備に着手するとの報告を受けております。
榛南幹線と東名川尻幹線の整備につきましては、平成25年度末の完成を目指して、国や県と連携を図り、今まで以上に事業を推し進めてまいりたいと考えております。
次に、都市計画道路中央幹線の整備でございますが、東名川尻幹線及び町道下片岡山通り線との交差点改良工事を8月上旬に発注し、来年3月の完成に向けて整備を進めているところでございます。また、この交差点改良工事の完成にあわせて、町道西の宮線から東名川尻幹線及び町道下片岡山通り線との交差点までの約200メートル区間の供用を開始したいと考えております。
続きまして、都市防災総合推進事業における避難路整備についてでございますが、町道日の出線、町道高島4号線そして町道中瀬高畑2号線の3路線につきましては、いずれも9月末には測量設計業務が完成しますので、順次工事を発注していく予定でございます。また、町道舞台民附線測量設計業務は今月中に、町道亀の尻線道路改良工事は来月の発注に向けて準備を進めているところでございます。
次に、北区防災公園整備事業及び都市計画道路富士見幹線整備事業でございますが、この二つの事業は、早急に完成させることはもとより、地理的にも一体性を持たせることが重要であるため、相互に連携をとりながら事業を進めているところでございます。
北区防災公園整備事業につきましては、「吉田町津波ハザードマップ」におけるシミュレーション結果において津波被害のない北区地域に、地域の公園と併せて、北区地域の避難地及び津波による浸水被害や地震災害に遭われた方々の災害時の拠点として整備するものでございまして、去る7月25日に地元説明会を開催したところでございます。今後は、ワークショップを通じ、地元の皆さまのご意見等お聞きしながら、公園整備を進めていく予定でございます。
また、北区防災公園整備事業と併せて整備を行います都市計画道路富士見幹線整備事業でございますが、北区防災公園付近には、防災に対して有効な道路が存在しないため、富士見幹線を進入路、避難路として位置づけ、今月中には測量等を発注する予定で、公園と共に早期完成を目指し防災機能の充実を図ってまいりたいと考えております。
次に橋梁補修工事でございます。
町は、東名高速道路を跨ぐ北原東橋と北原西橋2つの跨道橋につきまして、7月に橋梁補修工事の受委託に関する協定を、中日本高速道路株式会社と締結いたしました。
工事の主な内容といたしましては、コンクリートの剥離を防止するための対策工事と転落防止用に設置している鋼製高欄の取替工事であり、東名高速道路の集中工事期間である10月から工事に着手する予定でございます。

最後に、「まちづくり計画の推進」に関し、効率的な行政運営を推進する事業につきまして、ご報告申し上げます。
まず、平成24年度の地方交付税における普通交付税算定結果につきましてご報告申し上げます。
7月24日に、総務省から発表されましたが、その結果、当町の状況は、基準財政需要額が45億4千676万2千円、基準財政収入額が43億6千668万2千円となり、基準財政需要額が基準財政収入額を上回る普通交付税の交付を受ける交付団体となりました。
原則として、基準財政需要額が基準財政収入額を超える額が普通交付税となりますが、平成24年度におきましては、全国の地方公共団体の財源不足総額が国の普通交付税総額を上回ったために、交付団体の基準財政需要額に全国一律の調整率を乗じて得た額を財源不足額から減額した額が普通交付税の額となり、当町は、1億7千187万9千円が普通交付税として交付されることになりました。この額は、昨年度の普通交付税当初算定結果より3千622万3千円多く、26.7パーセントの増加となります。
また、基準財政収入額を基準財政需要額で除して得る財政力指数の状況でございますが、平成24年度の単年度財政力指数は、0.960となり、平成23年度の再算定後の指数0.971よりわずかに下がっております。
これは、平成24年度評価替えに伴う土地及び家屋や企業の設備投資の減少による固定資産税の減額が主な要因でございまして、平成22年度から引き続き普通交付税の交付団体となる厳しい状況が続いております。なお、単に財政力指数という場合には、3か年平均の財政力指数を指すことになり、この指数が多くの制度の適否の判断基準とされておりますが、この3か年平均による指数は0.964となりました。
平成24年度は、3か年平均、単年度のいずれの指数も1.0を下回る結果となりましたが、こうした厳しい状況の中でも、これらの指数は県内35市町の中で高いほうから7番目に位置するものです。
次に、平成23年度決算に基づく健全化判断比率の結果でございますが、実質赤字比率と連結実質赤字比率は黒字であるため表示されず、健全な状態であるとの結果が出ております。また、実質公債費比率につきましては、15.4パーセントと起債許可が必要となる基準の18パーセントや早期健全化基準の25パーセントを大きく下回っております。そして、将来負担比率につきましても86.2パーセントと早期健全化基準の350パーセントを大きく下回る結果となっており、地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づいて行った算定結果のもとでは、当町の財政運営の健全性が実証されております。
財政運営では、常に健全化を強く意識しながら全体を考えて慎重に取り組んでおり、現在のところ健全性は保たれていると判断しておりますが、行政需要は益々拡大する傾向にあり、とりわけ当町では、「津波防災まちづくり」を迅速かつ強力に推し進めて、町民の皆さまの安全・安心を確保し、企業活動をはじめとして、あらゆる経済活動を停止させることのないような対策に取り組まなければならないため、今後も国・県の施策や動きに注視するとともに、多様な財源確保の道を探りながら健全な財政運営を持続させるように努力してまいる所存であります。

以上、町政運営の一端を申し上げましたが、国政では東日本大震災の復興、福島第1原子力発電所の事故処理、さらに領土問題など、問題山積の中で、民意を問う動きが活発化し始めるなど、極めて厳しい運営を強いられております。
町政運営につきましても、長引く不況により厳しい財政状況でございますが、「町のため、町民のため」を大前提として、事業の必要性をさらに吟味し、町の最重要施策である「津波防災まちづくり」事業をはじめ、様々な施策を展開し、町民不在の行政にならぬよう鋭利努力してまいりますので、議員各位におかれましても、ご理解、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。