2011年9月2日 作成

平成23年第3回吉田町議会定例会(平成23年9月2日開会)町長の行政報告

 平成23年第3回吉田町議会定例会の開会に当たり、町政運営の概況等につきまして、ご報告申し上げます。
 平成23年3月11日の東日本大震災から、半年が経過しようとしておりますが、被災地では未だ復旧はおろか復興のめどさえ立っていない状況にございます。また猛暑の中、未だに避難所での生活を余儀なくされている多くの被災者のご苦労を思いますと、居ても立っても居られないというのが正直なところでございます。
 さて、当町では、この未曽有の大惨事となった東日本大震災を境に、津波防災対策を最重点施策に位置付け、「津波防災まちづくり」の強力な推進を図っているところでございます。新聞、テレビなどのマスメディアを通じて、町民の皆様方の脳裏に深く刻み込まれた、東日本大震災の惨状による不安感を払拭することが急務であり、町民の皆様の生命の保護と財産の保全のため、地震・津波に対して可能な限りの対策を施し、安全・安心なまちを目指さなければなりません。とりわけ、6月の吉田町議会定例会におきまして、お認めいただいた補正予算に計上いたしました、津波ハザードマップ作成及び津波避難計画策定事業は、東京大学地震研究所の都司准教授の技術指導のもと、全国に先駆けて取り組んでいるところでございます。また、住吉小学校屋上への避難階段及びフェンスの設置、同報無線の個別受信機となる防災行政ラジオの全世帯無償配布につきましても、順次、進めているところでございまして、まずは、できるところから、着実に、効果的な施策を展開しているところでございます。
 しかしながら、総合的な津波防災まちづくり施策を展開していくためには、津波防災対策に係る直接的な事業だけではなく、他の分野の施策におきましても、防災の視点を取り入れる必要がありますことから、去る7月に、すべての課長・課長補佐を東日本大震災の被災地に派遣いたしました。これは、テレビ、新聞等のマスメディアによる限られた空間での被災地の情報だけでなく、実際に現地に行き、津波の被害を、目で見て、肌で感じることにより、津波被害等の全体的な状況を把握し、今後の各分野における防災対策に役立てることを目的に実施いたしました。その結果、今後は既存の各種計画の見直しをはじめ、事務事業を進める中で、防災の視点をより一層重視した事業展開が不可欠であることを実感いたしました。
 こうした施策の展開を図る一方、町民の皆様と情報を共有し、防災津波対策という共通の目的に向かっていくことが最も重要と考え、先般、7月16日に、東京大学地震研究所の都司准教授によります「東日本大震災の津波の教訓と約20年から30年後に発生が予想される東海沖巨大地震への有効対策」と銘打った防災講演会を開催したところでございます。今後、津波防災まちづくりを進めて行こうとする中で、多くの町民の皆様がご聴講くださり、この津波防災対策が、町民の皆様にとって、最も不安になられている事項であるということを再認識するとともに、この不安を取り除くことが、町政を預かる身としての使命であると改めて痛感した次第でございます。
 町民の生命、財産を守り、町民の皆様が安心して生活できるようにするため、国、県をはじめ様々な関係機関に対しまして、あらゆる手段を講じてまいりますので、今後ともご理解、ご協力をよろしくお願いいたします。
 それでは、今年度における事業の進捗状況等につきまして、ご報告申し上げます。
 まず、新しい公共の場づくりのためのモデル事業「大井川流域smileネット」につきまして、ご報告申し上げます。
 駿河湾に面し、平坦な地形が町土のほとんどを占める当町にとりまして、東日本大震災は、様々な生きた教訓を示してくれております。その中の一つとして、臨時災害FM局の活用がございます。
 先ほども申し上げましたように、同報無線とFM放送を受信できる防災行政ラジオを希望する全世帯に無償配付する事業を検討している中で、東日本大震災が発生し、被災地で大きな役割を果たしている臨時災害FM局の様子を目の当たりにいたしましたことから、配付を予定している防災行政ラジオの更なる活用を目指す取り組みを開始いたしました。事業計画の検討には、財源的な面も考慮しなければならないことから、国や県の補助制度の活用を念頭に置き、柔軟に思考いたしましたところ、内閣府所管の、「新しい公共の場づくりのためのモデル事業」として県が公募する補助事業に採択される可能性があると判断し、6月に、「大井川流域smileネット」という事業名で応募し、採択を得ました。
「大井川流域smileネット」という事業名は、大井川流域の全ての人が笑顔で暮らせる情報ネットワークづくりを進めようとの強い思いを込めたものでございますが、この事業は、コミュニティ放送であるFM島田を活用して、防災・災害支援情報ネッワーク及び大井川流域の地域間交流と富士山静岡空港の利活用促進のための情報ネットワークの構築を目指すものであり、国のモデル事業の趣旨に沿って、NPOや民間団体などと行政が会議体を構成して事業運営を行い、将来につながる事業として定着させなければならないこととなっておりますので、特に、FM島田の主たる放送エリアである島田市には当初から協力を求めたほか、株式会社FM島田とNPO法人しずかちゃんには、計画づくりの段階から参画していただいております。
 事業着手は、今定例会に上程させていただきました補正予算案をご承認いただいた後となりますが、既に、会議体への参画に同意をいただいている島田市、NPO法人しずかちゃん、株式会社FM島田のほか、吉田町商工会、ハイナン農業協同組合、吉田町漁業協同組合、静岡うなぎ漁業協同組合、吉田町煮干協同組合、吉田町観光協会、4自治会から、事業着手の状況が整い次第会議体に参画する旨の内諾を得ているところでございます。
この事業を通じ、FM島田の吉田中継局の設置、災害時における臨時災害FM局委託運営及び防災情報発信に関する株式会社FM島田との協定を含めた災害支援サポート体制の構築、ラジオを活用した大井川流域への様々な地域情報交流促進体制の整備などが図られ、平常時と非常時における役割を柔軟に変化させることができる情報ツールを確保するとともに、ひいては大井川流域の更なる連携強化にもつながるものと期待しております。
 この事業につきましては、平成23年度と平成24年度の2か年で実施することになりますが、本年度は、早速、大井川流域smileネットのキャンペーン事業として、本年10月7日から10日にかけて島田市と川根本町で行われます「SLフェスタ2011」と連携した事業展開を計画しており、官民挙げて島田市や川根本町との交流を促進し、地域間の連携強化を図りたいと考えております。そして、当町の全域でFM島田を受信できるように吉田中継局を設置し、遅くとも来年3月までには運用開始ができるように努めるほか、災害支援放送マニュアルづくりに向けた東日本大震災被災地取材なども予定し、平成24年度には、平常時におけるFM島田の活用を主とした取り組みを展開する計画でございます。
 3月11日を境に、これまで以上に安全安心なまちづくりに向けた行政運営に力点を移す必要があると痛感しておりますので、議員各位におかれましても、こうした新たな手法による新たな安全安心なまちづくり事業をご支援賜りますようお願い申し上げます。
 次に、夏期の電力需給対策に伴う保育園及び放課後児童クラブの対応につきまして、ご報告申し上げます。
東日本大震災や中部電力浜岡原子力発電所の運転停止に伴い、電力の供給力が大幅に減少しており、国が7月から9月までの「夏期の電力需給対策」を示したことから、大企業を中心に民間企業等は電力需要の比較的少ない早朝や夜間及び休日に就業時間を変更するなどの取り組みを行っております。
 こうした企業で働く保育園や放課後児童クラブの入園・入所児童の保護者の生活実態を受け、7月から9月までの夏期期間における特例措置として、保育園では日曜日を開所日とし、放課後児童クラブでは土曜日及び日曜日を開所日といたしました。対象児童は、保育園及び放課後児童クラブに入園・入所している児童で、企業の就業時間等の変更に伴い、電力需給対策期間に保育が必要な児童とし、保育料及び利用料は、利用日の振替を行ったものとして、徴収しておりません。
 現在の利用状況につきましては、保育園では4人、放課後児童クラブでは3人の利用者がおり、いずれもさくら保育園、中央児童館内の中央小学校区第1放課後児童クラブで保育する「センター方式」を採用しております。開設時間は、保育園が午前7時30分から午後6時30分まで、放課後児童クラブが午前7時30分から午後5時30分までとなっております。
 今後も働く親の保育への支援を行いながら、地域の子育て支援の拠点として充実を図ってまいりたいと考えております。
 次に、健康づくり事業のうち「特定不妊治療費助成事業」につきまして、ご報告申し上げます。
少子化対策の一環として、平成18年4月1日より実施されております本事業は、不妊治療のうち体外受精による治療を受けた夫婦に対し、その費用の一部を助成するもので、県の助成を受けた場合は、その額を差し引いた額に対して町が助成を行っております。事業開始からの5年間に助成を受けた方の4割が治療によって妊娠・出産に至っており、本事業の必要性を強く感じているところでございます。加えて、特定不妊治療には高額の費用負担を要するにもかかわらず、助成申請件数が年々増加している状況を鑑みますと特定不妊治療対象者が増加していると推察されます。従いまして、10万円を限度に治療費の2分の1となっている現在の助成金額を見直しすることにより、特定不妊治療を受けやすい環境の整備を図り、不妊に悩む夫婦の支援を一層進めてまいりたいと考えております。
 併せて、妊産婦や乳幼児の健診・相談事業につきましても、その推進の強化を図り、安心して産み育てられる環境の整備に努めてまいります。
 次に、高齢者福祉事業につきまして、ご報告申し上げます。
 当町では、高齢者の皆様が心身の健康状態や生活環境に応じた必要なサービスを受け、住み慣れた地域で引き続き安心して生活できる町、健康でいきいき暮らせる長寿の町を目指して、現行の事業計画に基づき様々な高齢者の保健福祉施策の推進や介護保険事業の安定した運営に努めてまいりました。
 当町の高齢化率は、平成23年4月1日現在で19.43パーセント、総人口30,503人に対して65歳以上の高齢者は5,927人となっております。平成27年には団塊の世代が65歳を迎え、国民の4人に1人が高齢者という社会が到来いたします。このため、高齢者の生活機能の低下を防止するとともに、維持・向上を図るためにも介護予防の推進や保健福祉サービスのあり方も大きな転換期を迎えるものと認識しております。現在、平成24年度から平成26年度まで3年間を計画期間とする「第6次吉田町高齢者保健福祉計画及び第5期吉田町介護保険事業計画」の策定を行っているところでございますが、第1回目の策定委員会を8月18日に開催いたしました。今回の計画策定上のポイントは、急速な高齢化の進展と高齢者を取り巻く環境の変化に対応するための方策の検討でございます。国からも示されているとおり、高齢者が要介護状態になっても、可能な限り住み慣れた地域において継続して生活できるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスを一体化して提供していくという「地域包括ケア」の考え方に基づき、計画策定に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、要援護高齢者を見守るための体制整備でございますが、昨年夏の高齢者所在不明問題や3月11日の東日本大震災によって、家庭や地域における人々の「絆」や「つながり」の重要性が再認識されたところでございます。当町といたしましても、県が実施する「ふじのくに安心地域支え合い体制づくり事業費補助金」を活用し、津波ハザードマップとリンクできることを視野に入れた、要援護者データマップを作成する計画でございます。これにより、高齢者への支援、災害時の避難等に役立ててまいりたいと考えております。
 次に、教育関連事業につきまして、ご報告申し上げます。
 昨年は、梅雨明けから30度を超える猛暑日が続き、9月に入っても、なお猛暑日が続く状態で、各小中学校児童生徒の健康管理が懸念されました。また、新学習指導要領の全面実施に伴い、授業時間数が増加し、子どもたちが教室で過ごす時間がより長くなってまいりますことから、児童生徒の健康保持と授業時間中の集中力を持続させるための方策として、教室内を適温に保つ環境を整えることが喫緊の課題でございました。このため、国の平成22年度第1次補正予算に計上された「安全・安心な学校づくり交付金」を活用して、吉田中学校の普通教室27教室と特別支援学級3教室の計30教室に空調設備の設置を行い、7月1日から運用を開始しております。
 空調設備の設置に伴いまして中学校では、生徒の健康の保持と学習への集中力の持続に効果を上げております。今後も教育環境整備につきまして、配慮してまいりたいと考えております。
 次に、吉田中学校第2グラウンドのナイター設備の設置状況につきまして、ご報告申し上げます。
 本年6月から設置工事を進めておりました吉田中学校第2グラウンドのナイター設備が完成し、「ウォーキング、ランニング専用」として夜間に利用していただけるようになりました。夜間の利用に関する申請手続きは不要で、町民の方であればどなたでもご利用いただけます。多くの町民の皆様が安全に安心してウォーキングやランニングを楽しんでいただき、その結果、体力向上、健康増進につながることを期待して止みません。
 次に、「親子元気アップ教室」につきまして、ご報告申し上げます。
 この事業は、近年、子どもの体力や運動能力の低下傾向が続いている現状から、保護者に子どもの体力や生活習慣の重要性について理解していただくとともに、家庭においても心身ともに元気な子どもの育成に努めてもらおうと、7月23日に町と教育委員会の共催で開催いたしました。講師には運動や創作活動など町内のレクリエーション講座で指導をいただいている方々に加え、ボランティアとして県立吉田高等学校の生徒の皆様にも協力していただいております。
 多くの方々にご参加いただき、親子で一緒になって遊ぶプログラムや保護者向けのセミナー、保護者同士が子育てについての情報交換をする「子育てしゃべり場」、子どもたちだけのニュースポーツなど盛りだくさんのプログラムを体験していただきました。参加者からのアンケートでは、「参加して大変良かった。」というご意見を多くいただくことができ、今後も実施を継続し、子どもの体力向上と健康増進につなげてまいりたいと考えております。
 次に、都市計画道路事業及び治水対策事業等につきまして、ご報告申し上げます。
はじめに、都市計画道路榛南幹線でございますが、住吉幹線から海岸幹線までの延長977メートルを、県施工部分622メートル、町施工部分355メートルと事業区間を定め、同時に整備を進めておりますが、町の事業区間につきましては、今年度中に未買収用地の全てを取得し、一部工事にも着手する計画でございます。なお、県の事業区間につきましては、今年度末までには完成すると伺っております。また、海岸幹線から二級河川坂口谷川を渡り、牧之原市に至る区間につきましても、静岡県が事業主体となり整備を行っておりますが、これまでに用地買収は完了し、昨年度末から一部排水路工事に着手している状況でございます。この榛南幹線をはじめ、東名川尻幹線の整備につきましても、平成25年度の完成を目途に、今まで以上に国、県の協力を得て事業を推し進めてまいりたいと考えております。
 県の助成を受け事業を進めております都市計画道路東名川尻幹線の町道高畑高島線との交差点の改良工事につきましては、県の設計審査が終了いたしましたので、今月発注する予定で準備を進めております。また、同じく県の助成を受けて進めております都市計画道路中央幹線につきましては、東名川尻幹線との交差点部分の用地取得に向けて、現在地権者の方と協議を進めております。
都市計画道路住吉幹線につきましては、一部未施行区間について地権者の内諾を得たことから、再度事業化いたしました。既に測量調査設計業務に着手しており、平成24年度からは用地買収及び物件補償、工事へと順次着手し、早期完成に向けて整備を進めてまいります。
 次に、生活道路の整備でございますが、道路からの転落や用排水路への転落を防止するための柵の設置、区画線設置など、地域の皆様から要望のございました工事につきましては、既に発注を終わり、来月上旬には完成する予定でございます。また、愛宕前2号線道路改良事業につきましては、耕作期の調整等から10月上旬までには工事を発注し、今年度末の完成を予定しております。
次に、治水対策等河川整備事業でございますが、川尻地内を流れます問屋川の治水対策に関する排水計画策定業務を7月に発注し、先月から現地での測量調査等を行い、11月末の完了に向けて業務を進めております。この排水計画策定業務により、排水不良等が確認された箇所につきましては、今後、改修工事等の対策を講じてまいりたいと考えております。大窪川の改修につきましても、昨年度の工事終点から上流に向けて延長約100メートルを施工する予定で、来月の工事発注に向けて準備を進めているところでございます。また、吉田町と牧之原市の市町境を流れる二級河川坂口谷川の河口への水門建設と堤防整備の促進を図るため「坂口谷川水門建設促進期成同盟会」を立ち上げ、去る8月4日に設立総会を開催いたしました。この同盟会は、以前から両市町住民から寄せられていた河口への水門建設の要望や3月11日に発生した東日本大震災の被災状況、予想される東海・東南海、南海地震の3連動地震に対応するために発足したもので、今後は、県や関係機関に要望活動を展開するなど、水門建設等の早期実現に向けて尽力してまいりますので、ご理解とご協力をお願いいたします。
次に橋梁の長寿命化修繕計画策定と長寿命化修繕事業につきまして、ご報告申し上げます。
 近年の国をはじめ地方自治体の財政状況を考えますと、既存の公有財産をいかに効率良く安全に維持管理し、将来の改築コストの削減を図ることが大きな課題となっております。平成21年度、22年度に実施いたしました15メートル以上の橋梁の点検結果から、本年8月に既存施設の長寿命化の推進事業として「吉田町橋梁長寿命化修繕計画策定業務」を発注いたしました。この事業では、長寿命化の基本方針、個々の橋梁修繕計画を策定するとともに、学識経験者の意見や計画の公表等を予定しております。また、東名高速道路を跨ぐ橋梁につきましては、平成21年度に4橋に主桁下面にひび割れ等が確認されたことに伴い、本年度は神戸前玉橋と中原橋の2橋の補修工事に係る業務委託契約を6月に締結し、本年度中に2橋の剥落防止等の補修工事が完了する予定となっております。今後は、策定された橋梁長寿命化修繕計画に沿って計画的な維持修繕を行い、橋梁の安全、安心度を高め、修繕費の平準化、効率化を図ってまいりたいと考えております。
 次に、公共下水道事業の整備につきまして、ご報告申し上げます。
 公共下水道事業につきましては、社会資本整備総合交付金を活用し、管渠建設と地震対策を併せた整備を進めているところでございます。
 本年4月1日現在における整備状況は、事業認可区域面積340ヘクタールに対し、232.59ヘクタールの整備を完了しており、町全体の人口普及率は36.4パーセントに達しております。また、現在の水洗化率は約84.7パーセントと順調に推移している状況でございます。
 本年度においては、住吉地区では榛南幹線に、川尻地区では西向地区を中心に、管延長にして約1.6キロメートルの布設工事を行う予定でおります。また、下水道総合地震対策事業では、管渠の耐震補強や浄化センターの耐震設計を予定しております。
なお、3月11日の東日本大震災では、多くの汚水処理場が被災し、汚水処理施設の処理機能に不具合を生じ汚水処理に支障をきたしました。このことを踏まえ、当町でも災害時の対策といたしまして、排水用可搬ポンプや発電機などを備えて、最低限の処理機能を確保したいと考えております。
 続きまして、上水道事業につきまして、ご報告申し上げます。
 町では、安定した水の供給のため、老朽管の布設替え、施設の整備、他事業に伴う水道管の布設及び布設替事業を毎年度計画的に実施しております。
 まず、最初に本年度の老朽管布設替事業のうち、石綿管布設替工事につきましては、坂部やまばと学園北側の坂部5号線外1路線を2工区に分け、第1工区は8月に発注を済ませ、第2工区も9月に発注する予定でございます。また、石綿管以外の布設替工事といたしましては、牧之原市円成寺南側の細江37号線外1路線を既に発注しております。
 次に、施設の整備に関する事業といたしましては、第5水源電気室新設工事がございます。これは、旧第2浄水場を解体工事し、そこに新たに第5水源電気室を建設するもので、既に測量及び設計業務は完了しており、工事を9月に発注する予定でございます。また、第3配水場進入路新設工事につきましては、8月に発注いたしました。
 次に、他事業に伴う水道管の布設及び布設替え事業でございますが、道路改良事業関連工事が榛南幹線外5路線、公共下水道事業関連工事が川尻山通り及び西向地区で予定されております。また、道路改良事業関連工事のうち、榛南幹線及び広域農道につきましては発注を済ませております。他事業関連工事につきましては、島田土木事務所、志太榛原農林事務所などの事業関係者と十分な協議、調整を図りながら進めております。
 次に、本年6月5日に崩壊した吉田漁港6号岸壁につきまして、ご報告申し上げます。
 吉田漁港6号岸壁は、昭和36年及び38年に漁船等の係留施設として整備された延長160メートルの鋼矢板式岸壁でございます。崩壊した状況といたしましては、老朽化による既設鋼矢板の座屈現象が生じたことにより、海側に最大3.5メートルの水平変位と矢板腐食口からの土砂流出によるエプロン部の陥没が延長35メートル区間において生じました。また、崩壊箇所と同時期に施工された区間につきましても、同様の事態が懸念され、その場合には、漁業活動に大きな支障を来たす可能性が大であると思われます。今回の事態の修復が最優先事項と受け止め、水産基盤整備事業の予算の組み替えを今定例会に上程させていただき、本年度施工予定しておりました水産基盤整備事業の河川護岸工事を見送り、早急に崩壊した6号岸壁の詳細な調査・改修方法を検討し、その後、工事を実施していきたいと考えております。
 次に、富士山静岡空港を活用した交流促進事業につきまして、ご報告申し上げます。
富士山静岡空港の開港によって生み出される多様な交流を地域の更なる活性化につなげるために、財団法人静岡県市町村振興協会の助成を受け、「富士山静岡空港を活用した交流促進事業」を昨年度から平成24年度までの3年間で実施しているところでございます。
昨年度は、福岡県八女市を交流相手先に選定し、快諾を得ることができましたことから、モニターツアーの実施に向けてのキャンペーン事業やアンケート調査などを実施いたしました。
 本年度は、10月19日から21日までの3日間の日程で、八女市の商工会議所、商工会、観光協会、農業協同組合、行政から10人程度のメンバーを選定していただき、実際にモニターツアーを体験していただくように調整を図っており、八女市では人選に入っているところでございます。一方、モニターツアーの受入先となる当町におきましては、その受け皿となる「吉田の魅力創造委員会」を設置する方針を掲げ、吉田町観光協会、吉田町商工会、ハイナン農業協同組合、吉田町漁業協同組合、静岡うなぎ漁業協同組合、吉田町煮干協同組合、吉田町菓子組合、NPO法人しずかちゃんに参画をお願いいたしましたところご理解賜り、8月5日に1回目の委員会を開催したところでございます。この会議では、構成団体のスキルを発揮することを前提としたモニターツアーの見学先や体験場所などを前向きにご提案いただくなど、早くも町の新たな魅力を創造できる手応えを感じ取った次第でございます。
 このモニターツアーには、意見交換会や交流会も設ける予定になっており、参加者からは、吉田の魅力づくりについて忌憚のないご意見をいただけることになっておりますので、平成24年度に策定を予定しております多岐にご活用いただける交流事業計画やモデルルートづくりに生かしてまいります。
 目下、事業実施の途中の時期ではございますが、この交流促進事業を通じて、八女市の方々との交流が実際に生まれ、町の中に対外的にアピールできる魅力を生み出そうとする機運が湧き上がっただけでも喜ばしいことではないかと感じておりますので、行政といたしましても、こうした新しい芽をみんなで成長させていけるように弛まぬ努力を重ねてまいりたいと考えております。
 次に、平成23年度の地方交付税における普通交付税算定結果につきまして、ご報告申し上げます。
 平成23年度の普通交付税の算定結果につきましては、8月5日に、総務省から発表されましたが、それによれば、当町の基準財政需要額は46億3,911万7千円、基準財政収入額は45億346万1千円となり、基準財政需要額から基準財政収入額を引いた差額は1億3,565万6千円となりました。平成23年度は、この差引額が普通交付税額として交付されることとなりますが、この額は、昨年度の普通交付税当初算定結果より2,687万3千円少なく、16.5パーセントの減少となります。
 また、基準財政収入額を基準財政需要額で除して得る財政力指数の状況でございますが、平成23年度の単年度財政力指数は、0.971となり、平成22年度の再算定後の指数0.957と比較すると0.014とわずかながら上昇しております。これは、町税の法人税割が平成22年度よりも増えることが主な要因でありますが、昨年度に引き続き普通交付税の交付団体となる厳しい財政状況が続いております。なお、単に財政力指数という場合には、3か年平均の財政力指数を指すことになり、この指数が多くの制度の適否の判断基準とされておりますが、この指数は0.994となります。平成23年度は、3か年の平均、単年度のいずれの指数も1.0を下回る結果となりましたが、この状況でも、県内35市町中5番目に高い財政力指数を保っております。
 次に、平成22年度決算に基づく健全化判断比率の結果でございますが、実質赤字比率と連結実質赤字比率は黒字であるため表示されず、健全な状態であるとの結果が出ております。また、実質公債費比率につきましては、15.2パーセントと起債許可が必要となる基準の18パーセントや早期健全化基準の25パーセントを大きく下回っております。そして、将来負担比率につきましても92.6パーセントと早期健全化基準の350パーセントを大きく下回る結果となっており、地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づいて行った平成22年度決算での算定結果のもとでは、当町の財政運営の健全性が実証されております。
 財政運営では、常に健全化を強く意識しながら全体を考えて慎重に取り組み、現在のところ健全性は保たれていると判断しておりますが、財源確保は、依然として厳しい状況が続いている上に、新たな防災対策の課題も浮上し、その対策につきましては、早期に、かつ、継続的に取り組まなければならないものと受け止めております。さらに、国の政策も目まぐるしく変わり、先を見通すことが難しい状況でもございますので、国や県の動き、そして経済情勢を注視するとともに、多様な財源確保の道を探りながら今後とも健全な財政運営のもとで町民のための町政運営に努めてまいる所存でございます。
 以上、町政運営の一端を申し上げましたが、国政におきましても新たなリーダーが誕生し、東日本大震災の復興と福島第一原発事故の収束という非常に重い課題を背負いながら出発したところでございます。わが町の運営は、町民の皆様に信頼される行財政運営であることはもちろんのこと、今後は津波防災まちづくりを最重点化施策の一つと位置付けた上で町政を運営していかなければならない状況にございます。町民の皆様が安心して生活ができる町を築いてこそまちの発展があると考えております。議員におかれましても、一層のご支援を賜りますようお願い申し上げ、本定例会の行政報告といたします。