2011年3月2日 作成

平成23年第1回吉田町議会定例会(平成23年3月2日開会)町長の施政方針

 平成23年第1回吉田町議会定例会の開会に当たり、新年度に向けての施政方針並びに各種事業の運営方針について申し上げます。
 町長としての任期4年目の満了を間もなく迎えようとしておりますが、平成22年度は、私の公約実現の集大成の年と位置付け、各種の施策を展開してまいりました。私が町長に就任して最も重要と考えたものは、町民の皆様に信頼される行財政運営でございます。行政の透明性の確保と利便性の向上を図るための新たなシステムを取り入れることによって、町民の皆様の一定レベルの信頼を得ることができたのではと受け止めております。世界的な経済不況や政権政党の交代など社会経済情勢が激動する中、厳しい行財政運営を強いられながらも、常に町政運営に係る情報収集を行うとともに、町民の皆様にとっての最善の道を選択しながら、持続可能な福祉社会の実現に向けてまちづくりを進めてまいりました。
 さて、皆様もご承知のとおり、計画的な町政運営を進めるための指針として総合計画がございます。第4次吉田町総合計画は、平成18年度から平成27年度までの10年間を計画期間とするものでございますが、前期基本計画の最終年度である平成22年度において平成23年度から平成27年度までの5年間を計画期間とする後期基本計画を策定いたしました。
 この後期基本計画は、基本構想で定めた目指す将来都市像の「人と人、心やすらぎ 健康で住みやすいまち 吉田町」を前提とし、これを達成するために定めた施策の大綱や行財政運営の指針に沿って具体的な施策展開の方向性を掲げている部分を見直したものでありますが、見直しに当たっては、住民アンケート、タウンミーティング、団体ヒアリングなどを実施して町民の皆様のご意見をお伺いし、現状におけるまちの課題や住民ニーズの把握などに努めるとともに、吉田町開発審議会の委員の皆様のご意見も賜わりながら、内容を固めてまいりました。
 前期基本計画は、どちらかというと社会経済情勢は将来的にも発展するとの認識の下、多方面にわたる総花的なものでありましたが、後期基本計画の策定にあたっては、少子高齢化の進展、人口減少社会の到来といった現状を見据え、今までとは異なる視点で施策展開を構想する必要がございました。このため、後期基本計画対象期間中に、特に推進すべき重点項目を定め、その重点項目を主体とする計画にすることを目指し、重点化の方向についてもタウンミーティングなどでご意見を頂戴いたしました。さらに、前期基本計画は、施策の進行管理を行う指標設定などがなかったことから、概念的な評価しか行えないものでございましたので、今回策定いたしました後期基本計画では、町民の皆様が客観的に基本計画の事後評価を行うことができるように、各分野に主観指標と客観指標をそれぞれ設定するとともに、施策項目ごとに、施策展開によって想定される5年後の姿を表し、目指す方向をイメージしやすくし、実施計画で設定する事業目的をより明確にできるようにいたしました。平成23年度から平成25年度までの3年間の実施計画は、後期基本計画に掲げました重点化項目の推進を意識しながら、それぞれの分野における施策を具体化するようにしており、さらに、それらの事業に確かな財源を裏付けを付して、平成23年度当初予算に盛り込む事業を決定いたしました。
 このような経過を踏まえて成しました平成23年度の当初予算と事業の概要につきまして申し上げます。
平成23年度吉田町一般会計当初予算の総額は、歳入歳出それぞれ89億5,300万円といたしました。前年度当初予算と比較いたしますと、2億8,300万円、約3.3パーセントの増となりました。これは、普通建設事業費が減額となっているものの、物件費や扶助費などの増額により予算全体としては、増加要因が勝り増額となったものでございます。限られた財源の中で、第4次総合計画後期基本計画の重点化項目に配慮した予算編成となりました。
 それでは、歳入の特徴から申し上げます。
我が町の歳入の根幹をなす町税につきましては、54億3,515万円余と見込みましたが、前年度と比較しますと、約3.4パーセント、1億7,685万円余の増収となります。そのうち、個人町民税につきましては、前年度比約6.5パーセント、8,489万円余の増額を見込み、法人町民税につきましても、前年度比約45.6パーセント、1億6,941万円余の増額を見込んでおります。固定資産税につきましては、家屋が3,590万円余の増額、償却資産は、減価率を上回る設備投資が見込めないため、前年度比約10.1パーセント、9,252万円余の減額を見込むなど、固定資産税全体では、前年度比約2.3パーセント減の30億3,289万円余を計上しております。また、町たばこ税につきましても、喫煙者の減少や値上げによる販売本数の減少を見込み、前年度比約6.7パーセント減の1億4,085万円余を計上しております。
 地方交付税につきましては、平成22年度において、当初見込んでおりませんでした普通交付税につきまして、その算定の基礎数値である、基準財政需要額に平成21年度までとは異なる算定要素が盛り込まれた結果、基準財政需要額が増額となる一方で、基準財政収入額は、景気後退の影響を受け、減額となったため、当町においても平成13年度以来、9年振りに普通交付税が交付されることになりました。平成23年度につきましても、基準財政収入額を上回る基準財政需要額が見込まれるため、普通交付税1億円を計上いたしました。また、特別交付税につきましては、地方交付税の算定方法の見直しの一環として、交付税総額における特別交付税の割合が段階的に引き下げられることを勘案いたしまして、前年度比30パーセント減の7,000万円を計上しております。財政調整基金からの繰入れは、2億6,000万円にとどめております。
 一方、歳出の特徴でございますが、「福祉、子育て、健康づくり、幹線道路、教育」に配慮し、予算計上したところでございますが、これは、第4次総合計画後期基本計画に沿った予算配分となっております。
 まず、健康・福祉関連事業でございますが、子どもを産みやすく育てやすい環境整備を図る事業を予定しております。
 保育園の整備につきましては、さくら保育園、わかば保育園、さゆり保育園の施設整備が終了し、残るすみれ保育園の改築に向けて、平成23年度にプロジェクトチームを立ち上げ、子育て支援センター、療育支援センター等多様な保育のニーズに対応できる保育園とするための検討を進めてまいります。なお、あやめ保育園につきましては、他の4園との統合を予定し、平成21年度から新たな入園希望を制限させていただいております。平成23年度には4歳児5歳児の保育を行う予定でございましたが、あやめ保育園への入園希望者がございませんでしたので、あやめ保育園は休園とし、町内4園体制で保育を実施してまいります。
 次に、子育て支援施策でございますが、近年共稼ぎの家庭の増加や就労形態の多様化などに伴い、延長保育や一時保育、土曜保育、日曜保育など様々な保育需要が生じているため、それらに対する保育サービスの提供に努めてまいりました。また、0歳児保育につきましては、長期の育児休業を取得することができないなどの理由で、0歳児保育の月齢を早めてほしいとの要望がございました。町では、働く若いお母さん方の要望に応えるべく0歳児保育の月齢を段階的に引き下げていく取り組みを行うこととし、まず、最初の取組みとして、平成23年度からさゆり保育園において、従来の11か月児からの保育を10か月児からとし、働くお母さん方の要望の実現に向けての体制づくりを図ってまいります。
 次に、子育てに関する悩みなどを打ち明ける相談支援事業でございます。
 近年における家族構成の核家族化や地域における繋がりの希薄さから、家庭における子育ての不安や悩みを抱えているお母さん方が増え、ひいては子供への虐待に繋がってしまう心配なケースも現れています。平成22年9月から週3日の勤務体制で家庭相談員を配置して、子育て支援の相談や要保護児童の見守り支援を行ってまいりましたが、平成23年度は週5日の勤務体制に変更し、家庭における子育ての悩みや相談を受け付け、打ち明けやすく手を差し伸べやすい体制の充実を図ってまいります。
 続きまして、総合障害者自立支援施設「あつまリーナ」について申し上げます。
 「あつまリーナ」は、昨年10月1日の開所以来5か月余が経過しましたが、その間指定管理者の社会福祉法人牧ノ原やまばと学園により安全で安心できる管理運営がなされております。
 障害福祉サービス事業の展開状況でございますが、通常の事業所で働くことが困難な方に就労の機会や生産活動の機会を提供する就労継続支援事業では、25人の登録者の方々が、洗濯作業や内職作業に加え、本年2月からはパンの製造販売を始めました。通所者の方々は、これまで以上に物を作る喜び、自分たちが作った物を買っていただける喜びを実感されるとともに、自信を持って自立に向けての歩みを進めておられるものと受け止めております。
 次に、常に介護が必要な方に排泄や食事の介護を提供する生活介護事業では、19人の登録者の方々が、仲間と共に社会生活を営んでいくために必要な様々な知識と経験を身につけるために日を重ねておられます。
 さて、昨今の社会経済状況の下では、障害のある方の一般企業への就労は厳しい状況にありますが、他方、地域社会における障害のある方への意識の変化や障害者雇用制度等によって、一般企業でも障害のある方の雇用に対する関心が高まりつつあります。このようなことから、あつまリーナでは、本年4月から障害のある方と一般企業との橋渡しを行う就労移行支援事業の実施を予定しております。町といたしましても、「働く場」の開拓の必要性は十分認識しておりますので、指定管理者と共にハローワーク、近隣企業等と連携して、障害のある方の企業への就労の実現を図ってまいりたいと考えております。
 今後、「あつまリーナ」利用者をはじめ、地域で暮らす障害のある方の個々の自己選択・自己決定の実現のために在宅障害者福祉事業の更なる向上に努め、悩みを打ち明けやすく周囲が手を差し伸べやすい環境整備を進めてまいります。
 次に、健康づくり事業について申し上げます。
 誰もが健やかに暮らせる社会を実現するために、様々な事業を実施しておりますが、その一つとして、平成23年2月から実施しております子宮頸がん等ワクチン接種事業がございます。子宮頸がん等ワクチン接種につきましては、予防接種に対する理解と接種の安全性の確保の観点から、予防接種に関する説明会を1月から開催し、同時に接種券を交付いたしました。接種券の交付状況は、子宮頸がんワクチン接種対象者580人に対して約88パーセントの510人、ヒブ・小児用肺炎球菌ワクチン接種対象者1,499人に対して約85パーセントの1,272人となっておりますが、説明会以降も随時予防接種券の交付を続けております。平成23年度においては、本格的な予防接種が見込まれるため、事業費7,191万円余を計上しております。
 次に、がん検診でございますが、がんは早期発見早期治療を行えば治癒する確率の高い病気ですので、がん検診の大切さを町民の皆様に認識していただくとともに、子宮頸がん・乳がん・大腸がん検診につきましては、昨年度と同様重点的に受診率の向上に努めてまいりたいと考えております。また、当町で最も受診率の低い胃がん検診についても、平成23年度は新たに35歳から64歳までの女性の皆様全員に受診券を送付し、受診率50パーセントを目指し周知に努めてまいります。
 次に、吉田町オリジナルダンスを活用した健康づくり事業では、平成23年度も「ダンスで健康 ストレス解消!」を合言葉にダンス練習会を開催いたします。平成23年度は振付を変更し、より多くの若い方々にも踊っていただけるよう吉田町オリジナルダンスの普及に努め、昨年と同様に「笑っしょい よしだ フェスティバル」を開催し、町民の皆様の健康づくりに寄与したいと考えております。
 次に、健康づくりと関連いたします高齢者福祉及び介護保険事業、国民健康保険事業につきまして申し上げます。
 平成23年度は「第5期吉田町高齢者保健福祉計画及び第4期吉田町介護保険事業計画」の事業実施の最終年度に当たり、平成24年度から平成26年度までの3年間の計画となる「第6期吉田町高齢者保健福祉計画及び第5期吉田町介護保険事業計画」の策定を行う節目の年度でもあります。現計画では、前期計画の基本理念である「健康長寿のまちづくり」「支えあって暮らせる地域づくり」「安心して暮らせる介護サービスの提供」を継承するとともに、高齢者保健福祉施策、介護保険サービスや地域支援事業の利用実績、介護保険制度などを踏まえた上で、高齢者の暮らしの充実を図るための事業を実施してまいりました。新たな計画につきましては、平成22年度に実施したアンケート調査の結果や地域の高齢者をとりまく社会環境、福祉ニーズの変化を勘案しながら、実態に即した内容を盛り込むことを予定しております。また、学識経験者、保健医療関係者、福祉関係者、被保険者代表の方々と行政機関職員で構成する策定委員会を設置し、必要な調査や検討を重ねていくこととしております。
 高齢者の皆様が、住み慣れた町で安心して生活でき、健康でいきいき暮らせるための各種事業の展開や介護保険サービスが円滑に実施できるための計画策定に努めてまいりたいと考えております。計画策定のための事業費として364万円余を計上しております。
 計画策定と併行いたしまして、「救急医療情報キット配布事業」や平成23年3月から75歳以上の高齢者を対象に開始いたします「救急連絡カード配布事業」などを、高齢者の安全安心対策事業として推進してまいります。また、平成23年2月から実施しております「ひとり暮らし高齢者世帯調査」の結果をもとに、高齢者の外出・食事・孤立不安等を解消するための支援策を探り、平成22年11月から開始しました「高齢者移動支援事業」を引き続き進めながら、高齢者が社会に参加しやすい環境を整え、時代に即したより効果的な高齢者福祉施策を推進してまいりたいと考えております。
 次に、国民健康保険事業につきまして申し上げます。
国民健康保険制度では、平成20年度から保険者に特定健康診査の実施が義務付けられたことに伴い、40歳以上の被保険者の皆様に特定健康診査を無料で実施し、特定保健指導により生活習慣の改善を支援することで、疾病の早期発見及び発症予防に努めているところでございます。
 こうした中、平成23年度の特定健康診査につきましては、更なる受診率の向上を目指し、これまでの平日だけの集団健診に加えて、被保険者の皆様が受診していただきやすくするため土曜日健診を実施いたします。さらに新たに個別健診を導入するために健診実施機関の拡大を図り、被保険者がより受診しやすい環境の整備を進めてまいります。また、町ではこれまで国民健康保険事業の一つとして、人間ドック受診費助成事業を実施しておりますが、疾病予防への関心の高まりなどから、利用者が年々増加する傾向にありますことから、被保険者の皆様が人間ドック受診の機会を得て、自らの健康づくりを進めることができるように、人間ドック受診の実施機関の枠を拡大するとともに、特に若い年齢層に対し受診を勧奨しながら早期からの健康づくりを進めてまいります。
 保健事業を充実させることは、被保険者の健康を維持増進するとともに、増大する医療費の抑制につながり、ひいては医療費の適正化を図ることとなると考えております。国民健康保険事業は相互扶助で成り立つ制度であり、医療給付と保健事業により健康の保持増進を図るという制度の趣旨を踏まえ、今後とも医療費の抑制に努めるとともに保険税の収納率の向上を図り、国保財政運営の安定化と健全化を図ってまいる所存でございます。
 続きまして、教育関連事業について申し上げます。
 町の将来を担う子どもたちの学力向上に向けた教育環境の整備の一つである学校施設における生活環境の整備として、吉田中学校屋内運動場のトイレ改修を行ってまいります。今や家庭においても、あるいは外出先においても、私たちのまわりは清潔で快適なトイレに囲まれております。しかし、吉田中学校のトイレに対する生徒たちが持つイメージは、臭い、汚い、暗いといったもので、生徒たちの中には学校でトイレに行くことを我慢する生徒もいると聴いております。そこで、町内各学校のトイレを清潔で明るく快適なトイレに改修し、すべての児童・生徒が学習に集中でき、子どもたちが通いたいと感じる学校施設における生活環境を整えてまいりたいと考え、平成23年度は吉田中学校の屋内運動場トイレを改修し、順次計画的に町内各学校のトイレの改修に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、各学校では学習指導要領の改訂に伴い、平成21年4月から新指導要領への移行措置を順次行い、小学校では平成23年4月から全面実施することとなりました。町では、平成21年度の移行措置開始から、学習指導要領改訂に合わせた各種備品等の配備に取り組んでまいりましたが、平成22年度において、平成23年度以降に使用する小学校の新たな教科書の採択が決定されたことから、平成23年度には、新たに小学校教員が使用する各教科の指導書及び参考資料を整え、すべての子どもの学力の向上に繋げてまいりたいと考えております。
また、平成22年度に実施いたしました学校図書館図書の充実でございますが、平成23年度も同様に小学生につきましては一人当たり1,500円、中学生につきましては一人当り2,500円と県下でトップクラスの図書費を計上し、子どもたちの読書力の向上を図ってまいります。事業費としまして500万円余を計上しております。子どもたちの学力、体力の向上を図り、社会を支えていける人材をより多く育てていくためには、教育環境の整備は最も重視しなければならないものであると受け止めております。
 次に、「おやこ元気アップ事業」について申し上げます。
 近年、子どもたちの体力や運動能力の低下が懸念されております。そこで、親子で楽しく運動する場の提供と子どもの体力向上を目指し、保護者と児童・幼児を対象に「おやこ元気アップ事業」の実施を計画しております。この事業は、子どもの体力向上を目指すばかりでなく、子どもを元気にさせるためには、家庭の役割が大切であるということを保護者の方に認識していただき、子育てに関する情報交換の場としても活用していただくことを目指して実施してまいります。
 次に、吉田中学校第2グラウンドのナイター設備新設工事について申し上げます。
 昨今の健康志向の高まりにより、町内では町民の皆様が夜間にウォーキングやランニングをしている姿を多く見かけるようになりました。しかし、特に夜間の道路沿いでのウォーキングやランニングは、交通事故に巻き込まれる危険性が危惧されます。足腰への負荷も少なく、また、走行中の自動車等を気にすることなく、安全にウォーキングやランニングなどの運動を行える場所として小中学校のグラウンドを利用していただくことが最適な選択ではないかと思っております。現在、小中学校のグラウンドのナイター設備につきましては、吉田中学校の第1グラウンドと住吉小学校の2か所に設置されておりますが、利用を希望する団体等が多いため、新規利用者の参入は困難な状況にあります。このため、この状況を改善するとともに、夜間に利用できる運動場の確保に関する町民の皆様の要望にお応えする方策として、吉田中学校の第2グランドにナイター設備を設置することといたしました。平成23年度当初予算には、その新設工事費として1,173万円を計上しております。これによりウォーキングやランニングなどの運動をする人たちがより一層増加し、町民の皆様の更なる体力向上と心身の健康増進が図られることを期待しております。
 次に、図書館事業について申し上げます。
 平成22年度より実施しております、町内の介護福祉施設等への施設配送貸出サービスをさらに充実させ、平成23年度は、保育園、放課後児童クラブなど、子どもたちが集まる施設への施設配送貸出サービスを新たに開始したいと考えております。今後も、町民の皆様のニーズを的確に把握し、さらに利用しやすい図書館として、吉田町の「知の拠点」となれるよう、司書の資質・能力の向上に努めながら、図書館サービスの充実に取り組んでまいります。
 続きまして、町の都市基盤整備関連事業について申し上げます。
 町の発展と町民の皆様の豊かな生活を維持するためには、道路網の整備が不可欠なものと言っても過言ではございません。10年先、20年先を見越した上で、継続的に道路整備を行い、町の更なる発展に繋げてまいりたいと考えております。
 はじめに、都市計画道路榛南幹線でございますが、現在、住吉地内において、住吉幹線から海岸幹線までの980メートルのうち620メートルを県の事業区間、360メートルを町の事業区間に区分けし、整備を進めております。町の事業区間につきましては、平成23年度に残りの用地の取得や物件補償とともに、一部工事を計画しております。県の事業区間につきましては、地権者のご理解のもと、用地取得が全て完了したことに伴い、現在平成23年度中の完成を目指し整備を進めて行くと伺っております。
 一方、工事を進めている二級河川湯日川に架かる橋梁でございますが、すでに下部工が完成いたしましたので、平成23年度から上部工に着手すると伺っております。また、海岸幹線から二級河川坂口谷川を渡り牧之原市までの区間につきましては、平成23年度に吉田町側の残りの用地を全て取得し、工事を進めて行くと伺っております。
 次に、都市計画道路東名川尻幹線の整備でございますが、現在、東名吉田インターチェンジから国道150号までの区間につきましては、主要地方道島田吉田バイパスと位置付けられ、県が事業主体となり事業を進めております。このうち、東名吉田インターチェンジから富士見幹線までの区間につきましては、既に供用開始しておりますが、富士見幹線から国道150号までの区間につきましては、平成22年度に再度、北区、片岡地区の地権者の皆様に対する説明会を開催し、用地取得に向けて同意を得るための折衝を進め、平成23年度内に用地を全て取得し、平成24年度には工事に着手する予定と伺っております。なお、国道150号から南側につきましては、町が事業主体となり整備を進めているところでございますが、平成23年度は、町道高畑高島線との交差点改良工事を計画しております。
 また、都市計画道路中央幹線につきましては、残る1件の用地の取得と建物補償を予定しております。大幡川幹線につきましては、引き続き横手橋南側の工事を実施し、一部用地の取得を進め、平成24年度には完成する計画でございます。住吉幹線につきましては、一部の区間について用地の取得が難航しておりましたが、昨年、地権者の同意をいただきましてので、平成23年度には測量業務委託を予定し、完成に向けて用地、物件補償及び工事を行い、全区間の完成に向けて事業を進めてまいります。
 榛南幹線及び東名川尻幹線につきましては、県は平成20年代半ばの供用開始を目途に整備を進めていくと伺っておりますので、町が事業主体となる区間においても同様に進めていく計画でございます。また、浜田土地区画整理事業の中にもこの2本の幹線道路整備区間がございますが、平成23年度においては、この2本の幹線道路整備を主に進めていくと伺っております。
 一方、生活道路の整備でございますが、平成22年度から事業着手しました町道愛宕前2号線でございますが、計画区間の用地の取得が完了いたしましたので、平成23年度は工事を進め、単年度での完成を予定し、事業費3,400万円を計上しております。
 次に、榛南広域営農団地農道整備事業でございますが、この事業は、榛南地域における広域営農の振興や流通機能の改善、農業基盤の整備を図るため静岡県志太榛原農林事務所が実施主体となって整備を進めております。当町内の事業区間につきましては、東名高速に架かる前玉橋から中原・向原地域を経て、県道住吉金谷線との交差点までの1,054メートルを幅員7.5メートルで新設するもので、そのうち青柳公園から住吉金谷線までの区間400メートルにつきましては、歩道を設置する計画でございます。
 地権者の皆様や地域住民の皆様のご協力をいただき、平成20年度から工事に着手し、平成21、22年度における工事も順調に進捗し、平成23年度末には全線が開通する予定と伺っております。
次に、河川改修でございますが、準用河川大窪川の整備につきましては、国道150号から上流の改修を平成20年度から進めておりますが、平成23年度も引き続き上流に向けて約75メートルの工事を予定しております。
 次に、生活環境の整備事業でございます。
 まず、橋梁の長寿命化修繕計画でございますが、国の補助事業として平成21年度と22年度に15メートル以上の橋梁の点検を行い、平成23年度はこの点検結果を基に、橋梁の長寿命化修繕計画を策定する予定でございます。その後は、この修繕計画に沿って、計画的に橋梁の維持修繕を行い、通行の安全を図ってまいりたいと考えております。
 また、東名高速道路を跨ぐ橋梁4橋につきましては、平成21年度の打音調査の結果、主(しゅ)桁(げた)下面(かめん)にひび割れ等が確認されました。これらの橋梁は、架設後40年以上経過しておりますので、早急に補修する必要があることから、平成23年度に前玉橋と中原橋の補修工事を行うこととし、4,500万円の事業費を計上しております。
 次に、台風や集中豪雨による河川の氾濫を防ぐ治水対策について申し上げます。
 台風や集中豪雨により甚大な被害を受けるケースが国内でも多発し、当町においても中小河川の氾濫が以前に比べ多くなったと感じております。また、予測が困難な突発で局地的なゲリラ豪雨でも河川の氾濫が起きております。このような河川の氾濫による被害を根本的に解消するためには、当町全域の治水計画の策定が急務であると考えております。この治水計画に基づき、河川の氾濫を防ぐ整備計画を策定し、災害に強く、町民の皆様が安心して暮らせる生活基盤の整備を図ってまいります。このため、平成23年度は川尻地区の問屋川水系排水計画の業務委託費として794万円を計上しております。また、現在整備をすすめております住吉西部地区の榛南幹線沿いに、排水路及び坂口谷川に水門を設置する予定でございます。これは、この地区の河川の氾濫や湛水をできるだけ防ぐことを目的に整備を計画しているもので、この事業につきましては、県の事業としてお願いし、平成23年度の事業負担金としまして5,000万円を計上しております。
 次に、災害に強く町民の皆様が安心して暮らせるためには、これから起こり得る東海地震に備えた対策を強化していかなければならないと考えております
 例年実施しております静岡県総合防災訓練につきまして、平成23年度は、8月28日の日曜日に、島田市、牧之原市、吉田町、川根本町を中央会場として、2市2町の共催による実動訓練を実施することとなりました。この静岡県総合防災訓練の中央会場型訓練の設定につきましては、自主防災組織の構成員を含む多くの町民の皆様をはじめ、中学生・高校生などの参加を期待しての日曜日開催とした経緯がございます。
 訓練全体の共通テーマは、「大井川流域の協力・連携」「減災への新たな出発」とし、富士山静岡空港や新東名高速道路を生かした災害対策の訓練と検証など、陸・海・空のネットワークが整いつつある大井川流域地域の特性を踏まえ、地域間の連携強化を図る訓練を予定しております。当町としましては、町、自主防災組織及び防災関係機関等の連携強化に重点を置き、初動対応の検証、避難所運営の検証、海からの支援の受け入れなど、実践的な訓練を実施し、町民の皆様に「自助」「共助」の大切さを再認識していただき、地域防災力を高めたいと考えております。
 訓練の概要でございますが、訓練会場を3つのエリアに区分し、地域の特徴や課題を考慮した実践的な訓練を実施いたします。1つ目のエリアは、「初動対応・拠点エリア」とし、役場、吉田中学校、総合体育館及び健康福祉センターを使用し、自主防災組織を中心とした救出・救助・救護訓練を実施するとともに、ボランティア本部の立ち上げ訓練の実施を予定しております。2つ目のエリアは、「救援エリア」とし、自彊小学校において、避難所の開設・運営訓練などの実施を予定しております。3つ目のエリアは、「海エリア」とし、吉田漁港周辺において、海からの支援物資の受け入れや搬送訓練など、牧之原市と連携した訓練の検証を予定しております。今後、詳細な訓練内容につきましては、県や防災関係機関などと調整し、計画して行くこととなりますが、町民の皆様の防災意識を高め、災害に対して的確な行動がとれるような実りある訓練にしたいと考えております。
 他方、訓練以外にも、実際にご家庭におきましても、自らの命は自ら守る必要性から備えを十分にしていただきたいと考えております。
 静岡県は市町と協力して既存の木造住宅の耐震診断、補強工事等の推進を図る「TOUKAI(とうかい)―0(ぜろ)」事業を展開しております。阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅を対象に、住宅の耐震化に対して補助を行っております。町民の皆様がこのような制度を活用しながら、自らの命は自ら守る意識を持ち、災害に備えていただくよう願っております。
 続きまして、公共下水道事業について申し上げます。
 平成23年度につきましては、社会資本整備総合交付金を活用して、管渠整備と地震対策事業を進める予定でございます。
 まず、管渠整備につきましては、住吉上組地区と川尻西向地区を中心に、管渠延長で約2.5キロメートル、面積で約9ヘクタールを整備する予定でございます。新たに事業区域の拡張を認可される見込みであります片岡地区の一部につきましては、設計委託を進める予定でございます。地震対策事業につきましては、既存管渠の耐震化とマンホールの浮上防止対策のほか、吉田浄化センターの耐震補強実施設計を進める予定でございます。
 次に、上水道事業でございますが、平成23年度におきましても、安定した水の供給を推進するため、老朽管の布設替え、水道施設の整備、他事業に伴う水道管の布設及び布設替え工事を計画しております。
 まず、老朽管布設替事業につきましては、毎年度計画的に実施しております石綿管布設替事業として、牧之原市坂部やまばと学園北側の坂部5号線外2路線配水管布設替工事の実施ににより、約220メートルの石綿管を布設替えする予定でございます。その他の老朽管布設替事業としまして1事業の実施を予定しております。
 次に、水道施設整備に関する事業でございますが、平成23年度は2事業の実施を予定しております。耐震性に問題がある旧第2浄水場の解体と第5水源に電気室を新設する事業及び第3配水場に進入路を新設する事業でございます。
 続きまして、産業振興でございますが、地の利を生かした産業振興と既存資源の充実による観光振興を進めてまいりたいと考えております。
 まず、吉田漁港の整備について申し上げます。
吉田漁港につきましては、漁業関係者の安全な職場環境の確保や、漁業経営の安定化、沿岸漁業及び地域振興の活性化を図るため、平成12年度に策定した吉田漁港整備計画に基づき、平成13年度から国と県の補助を受け、地域水産物供給基盤整備事業として、整備を進めているところでございます。
 平成23年度におきましても、湯日川河口の河川護岸改良工事を実施してまいります。これは、湯日川河口の河川護岸が築造から約40年も経過し、腐食による耐力低下が懸念されているため、補修・補強対策を行うもので、一昨年、昨年に引き続き実施する事業でございます。また、船舶の航行の安全性を確保するための航路浚渫、泊地浚渫でございますが、平成23年度におきましても同様に事業を進めてまいります。これらの事業費として7,020万円を計上しております。
 次に、「富士山静岡空港を活用した交流促進事業」について申し上げます。
富士山静岡空港が開港したことによりまして、町には空港を核とした新たな人や情報の流れが生まれました。この流れの中に身を置く手立ての一つとして「吉田カムカム補助金」を創設し、町の賑わいの創出や、地場産業の活性化などの効果が期待される大規模イベントの開催を支援しているところでございます。そして、今回、富士山静岡空港の開港によって生み出される多様な交流を地域の更なる活性化につなげるために、財団法人静岡県市町村振興協会の助成を受け「富士山静岡空港を活用した交流促進事業」を実施することといたしました。
 本事業は、平成22年度から平成24年度の3年間で実施するものでございまして、富士山静岡空港の就航先の都市と連携してモニターツアーを行い、外部から見た吉田町の魅力や観光資源を発掘するとともに、観光モデルルートや交流事業計画の作成を行おうとするものでございます。
 交流先には、富士山静岡空港から就航便数が最も多い福岡空港を利用する地域にあり「茶のくに 八女・奥八女」」をキャッチフレーズとして観光推進組織を立上げ、地域における人材の掘り起こしや、FMラジオを活用した情報発信を行っていることなど、本町にとりまして参考となる観光交流促進施策に取り組んでおります福岡県八女市を選定いたしました。2月17日には、交流先であります八女市を訪問し、本事業に対する協力をお願いしてきたところでございます。
 今後は、3年間をかけまして、八女市との交流を通じて、外部からみた吉田町について評価、ご意見をいただきながら、既存の地域資源の魅力を一層高めるとともに、新たな観光資源の発掘や吉田町の魅力づくりの構築に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、計画の推進についてでございます。
 第2次の吉田町男女共同参画プランについて申し上げます。
 目下、少子高齢化の進展や人口減少社会の到来、家庭や地域社会の変化、経済的な低迷と閉塞感の高まりなどの社会経済環境の変化を踏まえ、国や県においては、男女共同参画に関する基本計画の見直しが行われているところでございます。
 当町におきましては、平成18年3月に「人権の尊重とあらゆる活動への男女共同参画」を基本理念とした「吉田町男女共同参画プラン」を策定し、男女共同参画社会の実現に向けて推進を図ってまいりましたが、平成22年度をもって計画期間が終了することから、今回、新たなプランづくりを行っております。策定に当たっては、庁内におきましてプランの総括を行い、住民アンケート、パブリックコメントなどを実施して町民の皆様のご意見をお伺いし、静岡県立大学教授の犬塚協太先生をはじめ、町内の教育・企業・福祉・地域などの分野の方々で組織された策定委員会の委員の皆様のご意見も賜りながら、当町の実態を踏まえた、当町独自のプランに仕上げております。
 これまでのプランは、5年間を計画期間として計画の推進を図ってまいりましたが、激動する社会情勢に迅速かつ的確に対応するため、計画期間を3年間とし、短期間で効率的に施策を推進することといたしました。さらに、これまでのプランは、進行管理を行う指標設定などがなかったことから、プランの具体的な進捗状況や成果を確認するために評価指標を設定し、各施策ごとのにプランの最終年度の目標値を定め、その実現のための施策の展開を推進するようにいたしました。
 人口減少により労働力が減少する中、女性の労働力の重要性も高まっておりますので、子育て環境を整えることなどにより、女性の社会参加を支援する必要があると考えております。平成23年度から始まります吉田町総合計画後期基本計画の中でも、子どもを産みやすく育てやすい環境整備を重点項目として掲げ、子育て支援の充実を重点施策として計画の中に盛り込んでおります。さらに、まちづくりには生活者の視点、特に女性の視点が大変重要であるとの観点から、女性から見た生活目線でのまちづくりに対するご意見をいただく場として、井戸端会議やまちづくり機構の立ち上げといった具体的な施策も後期基本計画の中で重点施策として盛り込まさせていただきました。
 このことと相まって、今回のプランの中にも女性が地域活動に参画していくために、「女性が地域活動や行政運営などあらゆる分野における政策・方針決定の場へ参画していくための環境整備に努めます。」との方向を示させていただいております。
 今後プランを進めていく上で、教育・職場・家庭で男女共同参画が推進されるのはもちろんのこと、特に地域において女性が地域活動や行政運営などあらゆる分野における政策・方向決定の場に参加していることが常態化しているようプランの推進に努めてまいりたいと思っております。
 次に、行財政構造改革への取り組みについて申し上げます。
 当町では、「地方分権の受け皿のモデル」を目指して、全庁的に行財政構造改革に取り組むため、平成16年度に吉田町行財政構造改革推進本部を立ち上げ、672項目に及ぶ全ての事務事業をゼロベースで検証するとともに、事業仕分けの根幹となる「第1次行財政構造改革推進方針」を策定いたしました。また、平成17年度には、国から示された「新地方行革指針」に沿った「第3次吉田町行政改革大綱」や「吉田町集中改革プラン」を策定いたしましたが、計画期間最終年度であります平成22年度に、第3次大綱の総括と併せ、平成23年度から平成27年度までの5年間を計画期間とする「第4次吉田町行政改革大綱」と「行政改革プラン」を新たに策定いたしました。
 平成20年9月の米国における大手証券会社の経営破たんを契機とした、世界同時不況がもたらした社会的、経済的不安は未だ解決されず、国をはじめとする各自治体の財政は厳しい状況にあります。そのような中で、町民の皆様の理解と信頼を得ながら地方分権型社会あるいは地域主権型社会を確立するためには、今後も、地域の実情に即した新たな計画に基づき、より一層行財政改革の徹底を図っていく必要があります。
 第4次大綱は、第3次大綱において掲げた7つの重点項目が、一過性の課題ではなく、不断に検証していかなければならない課題であることから、この考え方を継承するとともに、新たな行政課題を加味した9つの推進項目を掲げました。「事務事業の合理化」、「高度情報化への対応」、「町民参画型のまちづくり」、「多様な主体・形態の活用による戦略的な業務の推進」、「定員管理の適正化・給与の適正化」、「人材育成基本方針の推進」、「健全財政への取組」、「時代の要請に即した新たな行政経営手法の検討」、「地方公営企業の経営健全化」でございます。
 今後につきましても、継続して、絶え間ない改善改革を推し進めてまいりますが、「地方分権の受け皿のモデル」づくりは、一朝一夕に実現するものではなく、不断の努力と議会や町民の皆様方のご理解とご協力なしに進めることはできないものであると認識しておりますので、是非とも、ご理解ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
 以上が、平成23年度を迎えるにあたり計画しております事業の概要や行財政運営の基本的な姿勢でございますが、先ごろ、平成22年10月に実施いたしました国勢調査の結果が報告され、当町は県下で人口増加率が2番目に高く、世帯数の増加率では最も高い町でございました。この結果からも、わが町は住みやすく勢いのある町であると感じております。今後とも町民の皆様が住んで良かったと思えるまちづくりを全力で進めてまいる所存ですので、議員各位におかれましても格段のご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げ、施政方針といたします。