2009年3月3日 作成

平成21年第1回吉田町議会定例会(平成21年3月3日開会)町長の施政方針

 平成21年第1回吉田町議会定例会の開会に当たり、所信の一端を申し述べますとともに、平成21年度の当初予算案及び事業計画案などの概要を申し上げ、議員の皆様方のご理解を賜りたいと存じます。
 さて、皆様もご承知のとおり現在の社会経済情勢は、昨年秋以降、世界の金融資本市場が未曽有の混乱に陥っており、外需に依存してきた我が国の経済は、世界経済の減速に伴い、景気後退局面に入っており、今後は、下落局面が長期化・深刻化することが指摘されています。
 このような社会情勢の中、内閣府は、2月16日、2008年10月から12月期の国内総生産速報値が、年率換算で12.7パーセント減になったと発表しました。これは、今日の日本経済が歴史的な大不況に見舞われていることを数字で裏付けていることになります。
 当町では、行財政運営、住民生活の質をどのように向上させ、最少の費用で最大の効果を挙げるためにはどうしたら良いかを考慮し、予算編成に枠配分方式を導入するとともに、予算科目上の事業について、さらに細分化して個別の事務事業単位の附表を作成して、目的、内容、予算を組み立てるようにいたしました。
 これらの取組は、本年度から取り組む事務事業評価のための準備作業であり、今後は、試行中の事務事業評価システムの検証とともに、予算投入による成果をPDCAサイクルに基づき検証する制度と体制をさらに検討する必要があると考えております。
 また、新地方公会計制度につきましては、平成21年1月9日に開催されました「第21回・吉田町行財政構造改革推進本部会議」において、平成18年5月に総務省から公表された2つの開示モデルのうち、当町は、「総務省方式改訂モデル」を採用し、平成18年8月31日付け総務事務次官通知「地方公共団体における行政改革の更なる推進のための指針」に基づき、平成22年度の決算を対象に平成23年度に公表することを、推進本部会議を経由して全職員に周知したところであります。
 新地方公会計制度の整備に向けての準備として、平成21年度においては、各課で管理している資産の洗い出し及び評価を行い、減価償却制度にも対応できる固定資産台帳の作成を予定しております。また、公表する際には、納税者の視点をより重視し、町が取得した資産の額や、町が提供するサービスに要したコストを目的別に分類し、「財政状況のわかりやすい開示」を心がけ、また、作成した書類を分析することで、町の財政面の特徴や課題を的確に把握し、職員が町の財政状態、運営状態を理解・認識することで、より効果的な行政運営ができるよう努めてまいります。
 それでは、平成21年度の当初予算の概要と事業内容を申し上げます。
 平成21年度吉田町一般会計における当初予算の総額は、歳入歳出それぞれ85億6,700万円を計上いたしました。 前年度当初予算と比較しますと、3,200万円、約0.4パーセントの増となりました。
これは、歳入、歳出両面の諸事情を斟酌した結果であります。歳入面においては、アメリカの金融恐慌に端を発した世界同時不況が、国内産業に多大な影響を及ぼし、当町の税収も大幅な減少を余儀なくされました。他方、歳出面では経営状況が悪化の一途をたどる榛原総合病院に対する財政支援が喫緊の課題として生じたことから、「障害者自立支援施設整備事業」及び「ちいさな理科館建設事業」を平成22年度までの2か年とする事業に見直すなど普通建設事業費を前年度比約35パーセント減と大幅に減額するとともに、その他の事業費についても圧縮し、歳出の抑制を図っております。榛原総合病院に対する貸付金3億4,000万円の財政支援を除けば前年度当初比約3.6パーセントの減となります。
 まず、歳入面の特徴からご説明いたしますと、歳入の根幹となる町税は、56億5,340万2千円を見込み、前年度当初と比較しますと、3億6,148万6千円の減収となります。そのうち、特に法人町民税につきましては、前年度当初比約31パーセント減の5億1,386万9千円を見込んでおります。また、固定資産税につきましては、土地及び家屋が、3年に一度の評価替えの時期と重なり約5,500万円の減額、償却資産が、減価率を上回る設備投資を期待しえないことから、約1億911万円の減額を見込み、固定資産税全体では、前年度当初比約5.2パーセント減の30億9,833万8千円を計上しております。
また、町たばこ税についても、販売本数の減少を見込み、前年度当初比約13パーセント減の1億6,660万8千円を計上しております。
 なお、町税以外の歳入項目においても前年度当初比で減額計上となったものが数多くありますが、主だったものとしては、前年度当初比約82パーセント減の180万円を見込んでいる株式等譲渡所得割交付金、約69パーセント減の1,500万円となる地方交付税、約65パーセント減の450万円を見込んでいる配当割交付金などが上げられます。
 平成21年度当初予算の枠配分については、景気後退による町税等の減収を見込み、抑制した額を一般財源額として、各課に配分しましたが、その後の経済情勢等の急激な悪化に伴い、予想を大幅に上回る減収を見込まざるを得なくなり、財政調整基金の取崩しや臨時財政対策債などの地方債の増額により歳入を確保している状態であります。
 次に、歳出面でありますが、事業展開の構想を交えながら申し述べさせていただきます。
 最初に、「子育て支援事業」でありますが、当町におきましては、安心して子どもを産み、健やかに育てる上で、一貫した経済的支援を図るため、妊婦健康診査費及び妊婦歯科健診費の助成並びに乳幼児から中学校3年生までの医療費の完全無料化を実施してまいりましたが、平成21年度においては、国の施策の見直しを踏まえ、妊婦健康診査費の助成回数を現行の5回から、妊婦が健診を受けることが望ましいとされる14回に拡充することとし、約3,070万円を計上いたしました。この拡充により、妊婦は妊娠週数に応じ望ましい健診が受診でき、出産に備えることができるようになりますので、安心して子供を産み、健やかに育てる環境がより充実することとなります。
 さらに、昨年度から医療費の助成対象を中学3年生までに拡大しました、「小中学生医療費助成制度」に3,300万円計上し、引き続き、疾病への早期対応、疾病の慢性化の予防及び保護者の経済的負担の軽減を図ってまいります。
 また、当町では平成17年度に、「次世代育成支援対策推進法」に基づく平成17年度を始期とし平成21年度を目標年度とした5か年の「吉田町次世代育成行動計画」を策定いたしました。
 この計画は、「子どもたちが、健やかに、生き生きと育つよう、みんなで子育てできるまち」を基本理念として策定され、特に、地域の実情に応じて取組みが求められている特定14事業については、平成21年度における目標値を定め、推進してまいりました。この計画における、「地域における子育て支援」や「子育てと仕事の両立」のための施策として、わかば保育園とさゆり保育園の改築整備や日曜保育の実施と子育て支援センターの充実を図り、さらに、増え続ける需要に対応した2つの放課後児童クラブ室の建設も実施してまいりました。平成21年度には、この5か年計画を全体的に見直し、新たに平成22年度を始期とし、平成26年度を目標年度とする後期の行動計画を策定いたします。
 国においては、急速な少子化の進行や児童虐待の問題等にかんがみ、児童福祉法の一部改正(平成20年12月3日法律第85号)を行い、子育て支援の充実、要保護児童に対する家庭環境における養育の充実、また、地方公共団体及び事業主の取組みの強化を講じるべく施策を推進しております。今後、こうした国の施策の動向を見極めながら、当町独自の後期行動計画を策定しなければならないと考えております。
 また、地域の子育て支援の拠点としての保育所に関しまして、「町全体の保育所で保育する。」という発想に基づく町立保育所の再編計画でありますが、平成21年度から3か年をかけ、課題等を検証し、改善しながら進めてまいります。
 さらに、平成19年度の定率減税の廃止を主とした税制改正は、保育料の算定に影響を与え、税法改正前の保育料水準を下回る結果をもたらしました。このため税制改正による影響を元に戻すとともに、近隣市町との均衡を考慮した中で、平成21年度に保育料の算定方法の見直しを行う必要があると考えておりますので、ご理解くださるようお願いいたします。
一方、社会教育の一環として進めております子育て支援事業でありますが、学校休業日や放課後に、地域の大人が講師を務め、地域の人々や自然とのふれあいを通して、心豊かでたくましい子どもを育むための「吉田町チャレンジ教室」など、引き続き、子どもにかかわる事業の充実を図り、地域の子どもを地域全体で守り育てるための環境を整備いたします。
 また、平成18年に、知的・身体・精神の3障害者に対し一元的に障害福祉サービスを提供し、障害者の自立を支えることを目的とした障害者自立支援法が施行されてから3年が経過しようとしておりますが、この間には、1割の「応益負担」や、サービス給付量の地域間格差の問題等が社会的に顕著化し、これらのことから、法の円滑な施行を促すため利用者負担の軽減措置や事業者に対する激変緩和措置等、国の特別対策が講じられてまいりました。
 当町においても、障害程度区分審査会の区分判定に基づいて障害者が必要とする障害福祉サービスを決定し給付してまいりましたが、これからは、法的にも必要とされる障害者の就労への支援と地域移行への支援に努めていかなければなりません。
 このような現状を踏まえて、現在、小規模授産施設として運営しております「吉田町さくら授産所」について、平成21年度からは、障害者自立支援法に基づく障害福祉サービスを提供する県指定の障害福祉サービス事業所に移行し、一般企業等で就労が困難な方に働く場を提供するとともに、知識や技能能力の向上のために必要な訓練を行う就労継続支援の障害福祉サービスを提供してまいります。
 この障害福祉サービス事業所の管理運営については、地域において利用者に信頼されている経験の豊富な社会福祉法人を指定管理者に指定することにより、サービス管理責任者をはじめとする専門スタッフが配置されることから、質の高いサービスが提供されることを期待しております。
 また、「暮らしやすく、人と環境にやさしい施設」を基本理念とし、現在、実施設計を行っております「総合障害者自立支援施設」でありますが、平成21年度から平成22年度にかけて2か年で建設することを計画しており、平成21年度は、1億390万円を計上いたしました。
 この施設においては、障害福祉サービスのうち、就労継続支援、生活介護を基本に、現在も実施しております地域生活支援事業のうち相談支援事業、地域活動支援センター事業や障害児の放課後児童クラブ事業も行い、県下でも例を見ない多機能型の施設として運営していくことを計画しております。
 今回建設を予定しております、さゆり保育園跡地の周辺には、健康福祉センター、老人福祉センター、児童館そして保育園が連なっており、この障害者自立支援施設ができることにより、この一帯が障害者・健常者を問わず、また幼児から高齢者までが交流することができる一大福祉交流ゾーンを形成することとなります。
 また、国際条約であります「障害者権利条約」の一般原則の中に、「障害者の社会への完全かつ効果的な参加とインクルージョン」ということが謳われており、この「インクルージョン」、即ち「包みこみ共生する」ことが、これからの地域社会に求められており、この「共生」の理念が、この自立支援施設から、また、この福祉交流ゾーンから町内全域に発信され、吉田町が真に「共生するまち」となると同時に、吉田町民の共生感覚が自然に養われることが期待できるものと考えております。
次に、「健康づくり事業」について、申し上げます。
昨年から実施している、運動の基本である走ることの楽しみを知り、誰もが参加でき、町民の交流の場ともなる「ソフトランニング教室」やオリジナルダンス「ヤーレコのSAY」の普及、若返り貯筋塾、ヨガ教室などを引き続き実施するとともに、平成16年度を初年度とし、平成22年度を目標年度として策定した保健計画「健やかプラン吉田21」を見直し、新たな健康増進計画「健やかプラン吉田21」を策定するために、策定委員会、ワーキング部会を設置するとともに、計画策定に必要となるデータを収集するための実態調査費として約320万円を計上いたしました。平成22年度の計画策定に向け、町民の皆様方に「健康でいきいき暮らせるまちづくり」を目指すためのご意見をいただき、計画に反映させたいと考えております。
 さらに、高齢者向けの健康づくり事業といたしまして、全額公費負担で実施しております肺炎球菌予防接種事業も引き続き実施するため、約250万円を計上いたしました。
 また、平成21年度から23年度までの3年間を計画期間とする「第5期吉田町高齢者保健福祉計画」及び「第4期吉田町介護保険計画」を策定するための委員会を昨年9月に立ち上げ、両計画の内容を検討していただき、本年3月末までに策定される予定であります。
前期計画の「健康長寿のまちづくり」「支え合って暮らせる地域づくり」「安心して暮らせる介護サービスの提供」の3つの基本理念については、今計画においても、踏襲することとし、この理念の実現のために、町では計画期間3年間の重点課題として、介護予防の推進、地域包括ケアの推進、サービスの質的向上と情報提供、地域福祉の推進に取り組んでまいります。高齢者人口の増加に伴い高齢者のひとり暮らしや高齢者世帯が増加する中で、地域で高齢者を支えるための支援や壮年期からの中長期的な期間を見据えた各種健康づくり事業を進め、町民それぞれの状態に対応した介護予防事業や、高齢者自身が地域活動の担い手となり、積極的に参加することにより一人ひとりが生きがいを持ち活動的に暮らしていくことができるような、施策を展開してまいりたいと考えております。
 次に、「吉田町国民健康保険税の税率改正」について、申し上げます。
 当町では、毎年度増加傾向にあった医療費等を勘案し、健全な国保事業の運営を確保するために、国民健康保険運営協議会からの答申と議会のご承認をいただき、平成16年度からの適用税率を改正させていただいたところであります。
 改正後の医療費の状況は、被保険者の皆様方が健康管理に留意されたこと、及び町が推進してまいりました「人間ドッグ検診事業」をはじめとする各種健康づくり事業の効果と相挨って医療費の増加傾向は鈍化しております。
 平成16年度以降の決算の状況を分析しますと、実質収支は黒字となり、支払準備基金保有高も順調に伸びていることなど、財政運営は安定したものとなっております。
 今回、支払準備基金保有高の目標達成の見通しも立ったことから、国民健康保険運営協議会に諮問し、答申をいただいた中で、国民健康保険税の税率改正に係る条例改正議案を上程させていただくものであります。
今後も国民健康保険税の収納率の向上と医療費の抑制を図り、財政運営の安定化と健全化を図っていく所存でありますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
続きまして、「学校教育関係」について、申し上げます。
 はじめに、「小中学校における新学習指導要領の改訂」について、申し上げます。
文部科学省は、平成20年3月28日に新学習指導要領を告示し、小学校は平成23年度から、中学校は平成24年度から新しい学習指導要領を完全実施することとなりました。特に今回は内容の増加が伴うため、移行期間における措置が必要とされ、総則を含めた一部の教科内容等は平成21年度から移行措置が始まります。このため、吉田町といたしましても、教育委員会との連携の下に、各小・中学校において新学習指導要領への円滑な移行が実施されるよう指導・支援体制の充実を図ってまいります。
 次に「ちいさな理科館事業」について、申し上げます。
 この「ちいさな理科館」建設事業につきましては、平成21年度と平成22年度の2か年事業として実施したいと考えております。平成21年度当初予算には初年度分の建設費3,400万円を計上させていただきました。
 現在は、建物の基本設計、実施設計業務がほぼ完了し、引き続き、「ちいさな理科館」も含めた図書館用地全体の土地利用及び建築確認の申請業務を進めております。建物の概要を申し上げますと、鉄筋コンクリート造り2階建て延べ床面積266平方メートルで、外観は町立図書館のデザインに調和するよう片流れの屋根を採用した構造であります。建設費は総事業費で約9,800万円を予定しております。
 吉田町の子ども達の理科教育の充実を目指し、着実に事業を推進していく所存でございますので、ご理解をお願い申し上げます。
 次に、小学校における「フッ素洗口事業」について、申し上げます。
 12月議会でもご報告いたしましたが、昨年11月から町内各小学校1年生を対象にフッ素洗口事業を開始いたしました。開始当初は、保護者への理解、教育課程への影響等様々な問題が懸念されたわけでございましたが、対象となる小学校1年生は、既に幼稚園・保育園でフッ素洗口を経験してきた子どもたちが多く、比較的スムーズに開始でき、順調に事業を進めることができております。
 この事業は、継続的に行うことにより、その効果があらわれてくるものでありまして、保育園・幼稚園及び小学校において10年以上集団によるフッ素洗口事業を実施している場合は、一人平均の虫歯の数が低下しているというデータもございます。
 このため、平成21年度は小学校3年生までを対象にフッ素洗口事業を実施する計画であります。平成22年度からは対象学年を順次引き上げ、出来るだけ早期に中学校3年生までの義務教育すべての学年を対象とした事業展開を図ってまいりたいと考えております。
吉田町の将来を担う子どもたちが虫歯のない健康で快適な生活を送ることを目指して行うものでございます。ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
 次に、「図書館」について、申し上げます。
 休館日及び開館時間の変更につきまして、本年3月からは、毎週木曜日の開館時間を1時間延長し、午後7時までとする新たな試行を開始いたします。
 また、7月には開館10周年を迎えますので、記念事業を実施し、これを契機として、より町民の皆様方に親しまれ、利用される図書館を目指すべく、さらなる資料の充実と利用者サービスの向上に努めてまいります。
 続きまして、「吉田漁港の整備」について、申し上げます。
 平成21年度の漁港整備事業につきましては、湯日川河口の河川護岸地盤改良工事と泊地浚渫工事を実施するため水産基盤整備事業費として、約7,000万円計上するとともに、漁業従事者等の安全を確保するための安全施設設置工事や船舶の航行の安全性を確保するための航路浚渫工事などを実施するための事業費、約800万円を計上いたしました。
 また、今日まで水産基盤整備事業等により、総合的かつ計画的に施設整備を実施してまいりましたが、近年、整備後の施設の老朽化とともに、更新を必要とする施設が増加してきていることから、施設の長寿命化を図りつつ、更新コストの縮減を図るための計画的な取り組みが必要となってきております。このような施設の老朽化診断や対策工法を検討するため、国の補助事業である「水産基盤ストックマネジメント事業」を活用し、機能保全計画の策定業務を実施する予定でございます。
 今後も、漁業関係者の皆様と連携をとりながら、計画的に整備を進めていきたいと考えております。
次に、「吉田漁港津波防災ステーションの整備」について、申し上げます。
 吉田漁港津波防災ステーションにつきましては、平成17年度から国と県の補助を受け、津波・高潮危機管理対策緊急事業として進めているところでございます。
 現在までに、陸閘の電動化、自動化工事をはじめ津波防災ステーションの子局となる被制御所関連工事、光ケーブル敷設工事及び親局となるセンターの機器類の製作工事を実施するとともに、センターを設置するために庁舎6階和室の内装・電気設備・空調設備などの改修工事も実施しているところでございます。
 平成21年度への繰越事業として、津波防災ステーションセンター内に設置する遠隔操作に必要な機器類の製作、据付工事等を予定しておりますが、本工事をもって津波防災ステーションは完成し、運用できるものと考えております。これにより、自主防災会の皆様方の不安や負担が解消され、地域住民が安心して暮らせるものと確信しております。
 続きまして、「町の都市基盤整備関連事業」について、申し上げます。
 活力ある地域づくりを推進するとともに、快適な生活環境の確保を実現するためには、その基盤として、幹線道路の計画的な整備に取り組んでいかなければならないと考えております。
 初めに、東名川尻幹線の整備についてでありますが、東名吉田インターチェンジから国道150号までの区間につきましては、県が事業主体となり事業を進めており、吉田インターチェンジから吉田大東線までの900メートル区間が昨年10月に供用開始いたしました。残りの富士見幹線から国道150号までの1,200メートル区間につきましては、本年度に測量、設計の再調査を行う計画と伺っております。
 なお、国道150号から南側につきましては、町が事業主体となり、町道高畑高島線までの440メートル区間の排水工及び舗装工事を計画しております。
 また、現在整備中であります、大幡川幹線につきましては、引き続き用地補償を行う計画であり、中央幹線につきましても、引き続き道路工事を行う計画となっております。
 次に、榛南幹線についてでありますが、住吉幹線から海岸幹線までの980メートル区間のうち、県の事業区間620メートルにつきましては、平成21年度に残っている用地取得を終了した後に、工事に着手すると伺っております。また、残りの町区間につきましては、引き続き用地補償を行う計画となっております。
 また、県では道路局事業として、海岸幹線から坂口谷川を渡り、国道150号までの約1,500メートル区間につきまして、用地取得を行う計画と伺っております。現在、整備を進めている、町道中臨港線から湯日川に架かる橋梁までの区間につきましては、平成19年度から下部工事に着手しており、平成25年度供用開始に向けて整備を進めて行くと伺っております。
 一方、身近な生活道路の整備につきましては、平成20年度に川尻地区の東向2号線、住吉地区の西の坪大浜5号線の測量調査を実施し、計画線を決定いたしましたので、平成21年度からは用地買収を進め、地元の生活道路として可能な限り早く利用できるように計画的に事業を進めてまいります。
 また、現在整備中であります、神戸地区のカネマン大井線、日の出向原線、住吉地区の東村線道路改良につきましても引き続き用地補償及び道路改良工事を行う計画となっております。
 次に、河川改修についてでありますが、平成20年度から改修しております片岡中瀬地域の準用河川大窪川につきましては、住民の生命財産を守るため災害に強い河川として引き続き改修を進めてまいります。
続きまして、「橋梁の長寿命化修繕計画の策定」について、申し上げます。
 地方公共団体が管理する道路に存する橋梁の高齢化は、今後急速に進行すると予測されています。このため、橋梁長寿命化修繕計画の策定を積極的に推し進め、従来の事後的な修繕及び架替えから、予防的な修繕及び計画的な架替えへと円滑な事業転換を図り、費用の縮減、道路の安全性、信頼性の確保を図る必要がございます。当町では平成22年度に橋梁長寿命化修繕計画の策定を予定しており、そのために必要な、主要町道の橋梁の点検を平成21・22年度の2年間で実施いたします。
 次に、「公共下水道事業」について、申し上げます。
 平成20年度から平成22年度までの3年間において、2度目の地域再生計画の認定をいただいて、再び汚水処理施設整備交付金を活用した事業を実施しております。平成21年度は、住吉上組地区と川尻西向地区を中心に、管渠延長で約3キロメートル、面積で約11ヘクタールを整備する予定でおります。
 現在の地域再生計画では、下水道事業と浄化槽事業を合わせた汚水処理人口普及率を、54.4パーセントから61.5パーセントに向上させるという目標を掲げており、今後も目標達成に向けて整備を進めてまいる所存でございます。
 続きまして、「上水道事業」について、申し上げます。
 町では、水道利用者の皆様方への安定した水の供給を推進するため、平成21年度においても、施設の整備、老朽管の布設替え、他事業に伴う水道管の布設及び布設替え工事を計画しております。
 まず、施設の整備でございますが、災害等の緊急時に、より迅速かつ安全な給水を可能とするための事業として、各施設に非常用発電機を随時設置しておりますが、平成21年度につきましては、第1浄水場の既設発電機の改良及び第4水源に新規に設置する予定でございます。
 次に、老朽管布設替事業といたしましては、毎年計画的に実施しております石綿管布設替えがございます。平成21年度につきましては、吉田高校西側の塩谷上川原線配水管布設替工事(第1工区)及び県道吉田港線から中臨港線までの東浜2号線外1路線配水管布設替工事の実施により、約418メートルの石綿管を布設替えする計画でございます。その他、石綿管以外の老朽管布設替としまして3本、水道管布設としまして3本の工事を予定しております。
 また、他事業に伴う水道管の布設及び布設替え工事についてでございますが、島田土木事務所、志太榛原農林事務所関連で2本、都市建設課関連で2本、計4本の布設を計画しております。また、公共下水道事業に伴う布設替工事も計画しております。他事業の関連工事につきましては、事業関係者と十分な協議、調整を図りながら進めていきたいと考えております。
 今後も、安全でおいしい水を提供するため、より効率的な事業運営に努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
次に、「定額給付金事業への取り組み」について、申し上げます。
 ご承知のとおり、定額給付金事業は、景気後退下での生活者の不安にきめ細かく対処するため家計への緊急支援として実施するものであり、あわせて、家計に広く給付することにより、消費を増やし景気を下支えする経済効果を有するものとして、1月27日に国会における審議を経て、予算が成立しております。
 原則として、すべての人に定額給付金が配られることになり、町の住民基本台帳か外国人登録原票に登録している人、約3万人、世帯数で約1万戸が当町での給付の対象となっております。
 給付金額は、1人当たり1万2,000円でございますが、18歳以下の子どもと、65歳以上の高齢者には、8,000円追加され2万円となります。
 町では、国の方針等詳細が依然不明確な中、職員による定額給付金事業準備委員会を立ち上げ、本年度内の給付開始を目指し準備を進め、今議会に上程される平成20年度補正予算(第3号)に必要額を計上しておりますが、本事業は年度を越えての実施が避けられない状況にありますので、予算とあわせて繰越明許もお認めいただきたくお願いする次第でございます。
 また、本事業を悪用した振り込め詐欺等の犯罪を防ぐためには、町民の皆様方に対し定額給付金制度について正しく周知することが極めて重要でございますので、各種キャンペーンや広報などを有効に活用し、警察とも歩調を合わせて取り組んでまいりたいと考えております。
 定額給付金事業は、今まさに準備が進められている段階でありますが、この事業が町民の皆様方にとってより一層効果的なものになりますよう、ご協力をよろしくお願いいたします。
 次に、「緊急雇用・生活支援相談窓口の開設」について、申し上げます。
 雇用情勢の急速な悪化に伴う雇用危機及び町民の生活不安の解消に向け、労働者の雇用確保や生活相談に対応するため、「緊急雇用・生活支援相談窓口」を2月1日から開設いたしました。
 この事業の総合的な窓口は産業課でありますが、相談内容によっては各担当課において対応することとなりますので、全庁的に周知したところであります。
 相談内容としましては、「中小企業・小規模事業者支援」「再就職・労働相談」「住宅相談」「福祉・児童、生活相談」「学校教育相談」「町民税、国民健康保険税等の納税相談」などが考えられますが、平日及び日曜開庁の日の午前8時15分から午後5時15分まで、業務を実施しております。
 現在のところ、相談はわずかでありますが、今後も社会情勢を見守りながら、必要な時期まで実施していきたいと考えております。
 続きまして、「静岡空港の現状」について、申し上げます。
 現在、空港では、6月4日の開港日に向けて国の飛行検査が実施されています。この飛行検査は、滑走路や進入灯などの地上検査の他に、航空保安施設の航空無線等に与える影響等を検査機により上空から検査するもので、3月中には、すべての検査が終了する予定であると県から伺っております。
 また、開港前のイベントについてでございますが、空港建設への地元の皆様方のご協力に対する感謝の意を込めて、県、地元市町、就航航空会社が協力して「富士山静岡空港開港記念 地元感謝デー」を3月20日に空港内において開催いたします。イベント当日は、地元の特産品の展示・販売をはじめ、管制塔庁舎屋上の見学会や空港用化学消防車の展示など、様々な催しが予定されております。また、ステージイベントでは、当町から2団体が出演し、会場全体を大いに盛り上げてくださることと思いますので、是非、会場にお出掛けいただき熱き声援を送っていただきたいと思います。
 なお、「地元感謝デー」に関する詳しい内容につきましては、新聞折込や町のホームページ等を通じて町民の皆様方へお知らせしていきたいと考えております。
 次に、「組織・機構改革」について、申し上げます。
 団塊の世代職員を含む多くの職員の退職による職員数の減少は、組織全体の能率低下と住民へのサービス低下に繋がりかねないものと危惧し、より効率的な行政サービスを提供するためには、組織力の充実、強化を図ることが必要であると考え、今回、組織機構の改革を予定させていただきました。
 まず、一つ目の変更点でありますが、集中的に改革を推進するために設置しました「契約管理課」を、分掌事務の成果や吉田町機構改革検討委員会の検討結果を踏まえ、同課の業務全般を総務課に包括し、新たに「契約管理部門」を設置しようとするものであります。
契約管理課は、平成19年4月に、2年間の期限付きで、極めて高い透明性を持つ入札契約制度の構築と新地方公会計制度を見据えた公有財産管理システムの構築を特命事項として設置した課であります。
 この2年の間に、入札契約制度につきましては、建設工事における通常指名競争入札方式の廃止をはじめとする全般的な入札契約手続きを改正するとともに前金払及び部分払対象の拡大、長期継続契約に関する制度の導入、情報公表レベルの向上、決裁区分の整理など多岐にわたる見直しを行い、制度化を図り、当町の入札契約制度を集大成した内部資料「吉田町契約事務の手引き」を11年振りに改訂いたしました。また、只今、平成21年度初めの施行を目指し、新たな工事検査要領及び監督要領の整備も手掛けており、これが整備されますと、発注段階から引渡しを受けるまでの一連の事務の適正化が、一段と促進されることとなります。
 一方、公有財産管理につきましては、平成19年度の途中から中山三星建材(株)工場跡地買収事務検証に関する一切の事務を担当したことから、この2年間で、公有財産管理の在り方というものについて根本的に見直すことができたと実感しております。そして、その結果につきましては、新地方公会計制度に対応する財産管理システムづくりに反映させていただいており、目下、そうしたノウハウも生かしながら、平成21年度に導入を予定している財産情報管理システム用の基礎データ集積を着実に進めようとしているところでございます。公有財産管理事務につきましては、当初予定した事業進捗よりも、多少遅れ気味ではありますが、一方において、中山三星建材(株)工場跡地買収事務検証に端を発して、「個別外部監査契約に基づく監査に関する条例案」を今定例会に上程させていただくという、当初予定していない成果も生み出すことができました。
 この2年間で、契約管理課設置の所期の目的は一応達成できましたので、同課の事務は、本年4月以降、総務課に引き継ぎ、今後も、これらの事務の適正化をさらに促進させるように努めたいと考えております。
 なお、「吉田町個別外部監査契約に基づく監査に関する条例議案」につきましては、ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
 次に、二つ目の変更点でありますが、統一的な事務処理体制と効率的で円滑な教育行政の実現を目指し、「学校教育課」と「社会教育課」を統合し、教育委員会を「事務局制」とするものであります。ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
 最後に、「吉田町町制施行60周年記念事業の実施」について、申し上げます。
 平成21年度は、吉田町が誕生してから60年、そして吉田町の前身である吉田村が誕生してから120年の節目を迎えます。当町が歩んできた歴史を振り返り、先人たちの業績に感謝するとともに、未来に向けて町のさらなる発展を喚起することを目的に記念事業を実施するため、庁内の「町制施行60周年記念事業実行委員会」で検討し、「記念式典」「記念イベント」「広報・宣伝」など、さまざまな事業を計画しております。
 主な事業といたしましては、本年7月5日に予定しています「記念式典」に併せ、陸上自衛隊富士学校音楽隊による記念コンサートを、また「記念イベント」では、4月29日の「吉田町みどりのオアシスまつり」を皮切りに、「吉田町港まつり・花火大会」や「小山城まつり」など既存事業の拡大や、1月下旬には「NHK公開番組」を予定しております。
 「記念イベント」の実施に当たりましては、各既存事業の実行委員会で記念事業として盛り上がる内容のご検討を期待しております。このほか、各種団体、企業、個人等が独自に企画・実施する記念事業や行事等において、町が定めた一定の要件を満たした場合には、「吉田町町制施行60周年記念」の冠を使用できることとしましたので、ご活用いただきたく、ご案内申し上げます。
 また、この節目の新たなる飛躍の年を記念して、「プレミアム付き商品券」を発行する予定でございます。
 事業主体として、産業4団体による実行委員会を立ち上げ、事務を進めておりますが、商品券につきましては、1,000円券11枚綴りを1セットとし、額面11,000円分を10,000円で発行したいと考えております。
 現在のところ、実行委員会で商品券の仕様や発行方法、町民の皆様方への周知方法、取扱店の募集方法、商品券の回収方法など、さまざまな事項を詳細に検討しているところでございますが、町民の皆様方の笑顔と元気を創出し、地域の活性化が図れるよう、平成21年6月頃の発行を予定しております。
 町民の皆様方には、町の広報やホームページ等を通じてお知らせし、町民の皆様方とともに「町制施行60周年」をお祝いし、当事業を成功させ、当町の「まちづくり」としての活性化を図ってまいりたいと考えておりますので、議員各位におかれましても、一層、ご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げ、平成21年度に向けての施政方針といたします。