2008年12月5日 作成

平成20年第4回吉田町議会定例会(平成20年12月5日開会)町長の行政報告

 平成20年第4回吉田町議会定例会の開会に当たり、町政運営の概況等についてご報告申し上げます。
 さて、現在の社会情勢は、サブ・プライム・ローン問題に端を発した世界金融危機や株式、為替市場の大幅な変動などから、混迷を極めており、企業においては大幅な減収減益を余儀なくされております。また、これらの社会情勢の激変は、当町の法人町民税などの税入見込みにも大きな影響を与え、平成21年度の歳入見込は大幅な減少を見込まざるを得ない状況にあります。
 他方、歳出におきましても、少子高齢化による社会保障費などの経常経費の増加など、種々の増加要因が山積しております。従いまして、これら歳入歳出面の諸事情を勘案しながら、限られた財源の中で必要な事業を効率的に実施し、住民サービスの低下を招かないよう努めることが喫緊の課題であります。
 それでは、当町の平成20年度事業進捗状況等についてご報告申し上げます。
 最初に、「ちいさな理科館事業」についてご報告申し上げます。
 先の行政報告会においても報告させていただきましたが、本年10月1日に設計業者が決定し、「ちいさな理科館」の設計業務を進めておるところでございます。
 設計に際しましては、建設委員の皆様から、ご意見等を頂戴し、より良いものを構築していきたいと考えております。
 また、「ちいさな理科館」の入り口に設置する看板についてでございますが、昭和25年に、当時の吉田町の中学生が島田市大代に植林した、学校林の樹木2本を活用し、東大総長、文部大臣を歴任され、現在、「科学技術振興財団理事長」という要職に就いておられる有馬朗人先生に、その揮毫をお願いし製作する予定であります。
 さらに、有馬先生には「ちいさな理科館」の名誉館長への就任とオープニングセレモニーの一つである中学生を対象とした理科の実験をお願いし、快諾を得ております。
 吉田町の将来を担う子供たちのため、引き続き、教育環境の充実を図ってまいりますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
 次に、「図書館」についてご報告申し上げます。
昨年10月から試行を続けております休館日と開館時間の変更につきましては、1年が経過し、開館日数は、1年間で285日となり、試行前と比較しますと、42日増加しました。開館日数の増加に伴い、経常経費も増えておりますが、主なものは、日常の清掃業務委託費、光熱費で約91万円の増額となりました。
 今後につきましては、引き続き試行を継続し、試行開始当初から要望があります平日の開館時間延長については、来年3月の開始を目途に、準備を進めてまいります。現在、週1日の開館時間の延長を検討しておりますが、これにより、会社帰りの人達の図書館利用が可能となり、少しではありますが利便性の向上が図れるのではないかと考えておりますので、ご理解、ご協力をお願いいたします。
 次に、「健康づくり事業」についてご報告申し上げます。
 腕の筋肉を積極的に使うストックウォーキングは、足腰に適度な負荷を与え筋肉や骨を安全に鍛えることができることから、生活習慣病や身体活動の低下の予防・改善が期待できます。当町では健康の保持増進を図る手段として、ストックウォーキングの推進を図っているところであります。
 9月23日にはスポーツキャスターの荻原次晴氏に講演とストックウォーキングの実技指導をしていただき、214人の町民の皆様方に参加していただきました。その結果、ストックウォーキングへの関心が高まり、ストックウォーキング実践教室には定員を上回る応募がありました。徐々にではありますが、町民の皆様方に浸透し、健康づくりの輪が広がっていることを実感しておりますが、今後、より一層の拡大を期待しているところであります。
 続きまして、「小中学生医療費助成事業」の実施経過についてご報告申し上げます。
疾病に際し、適切な療養を受けさせ、疾病の慢性化の予防と保護者の経済的負担の軽減を図るための医療費助成については、平成19年度は小学校6年生まで、平成20年度はさらに中学校3年生までを対象に医療費の補助を行っているところです。平成20年9月末現在の小学生の医療費補助は入院25件、通院3,118件、執行額は約1,053万円であり、昨年度事業開始からの6か月間と比較すると件数で1.4倍、執行額は1.3倍の伸びを示しており、本制度が町民の皆様方に浸透したものと受け止めております。今年度拡大した中学生の医療費の補助は同じく9月末現在で入院9件、通院530件、執行額約223万3千円という状況であります。今後の推移を見守るとともに、制度の周知を図っていきたいと考えております。
 次に、小学校における「フッ素洗口事業」についてご報告申し上げます。
 長寿社会を迎え、健康で文化的な生活を過ごすためには、歯や口腔の健康は重要となっております。平成19年度学校歯科保健調査結果によりますと、町内小学生の1人あたりの虫歯経験歯数であるDMFT指数は0.8で、県下でも高い数値であります。このため、本年度よりフッ素洗口事業を計画し、本年11月より町内各小学校1年生を対象に実施しております。
 実施内容としましては、児童一人当たり、0.2%のフッ化ナトリウム水溶液10ccを週1回、音楽に合わせ1分間「含みうがい」を行うというものでございます。
フッ素洗口は、永久歯の崩出時期に継続的に行うと効果があるとされており、歯の健康管理に役立つものと期待しております。
 次に、道路整備についてご報告申し上げます。
初めに、都市計画道路榛南幹線でございますが、現在、住吉幹線から海岸幹線までの区間を県と町の事業区間に区分けし、整備を進めております。本年度につきましては、県、町とも用地取得を進めておりますが、地権者の皆様のご協力により、既に本年度取得用地の大半について契約を取り交わしております。
 また、海岸幹線から坂口谷川を渡り牧之原市の150号との合流地点までの区間につきましては、県が事業主体となり着手しておりますが、本年度は既に隣地の境界立会も終了し、用地取得に入ると伺っております。
 一方、二級河川湯日川に架かる橋梁については、平成19年度から平成22年度までに下部工事を完成し、その後、上部工事に着手し、予定では平成25年度供用開始する計画と伺っております。
 続きまして、東名川尻幹線でございますが、東名吉田インターチェンジから国道150号までの区間につきましては、県が事業主体となり事業を進めておりますが、この内、東名吉田インターチェンジから富士見幹線までの区間につきまして、10月6日の夜に供用開始いたしました。工事期間中、町民の皆様方には大変ご迷惑をおかけしましたが、ご理解、ご協力をいただきありがとうございました。今後は、富士見幹線から国道150号までの区間を早期に完成できるよう引き続き県に要望してまいります。
 また、国道150号から南側につきましては、町が事業主体となり整備を進めておりますが、今年度は、側溝及び路盤工事を計画し、既に工事着手しております。
その他、大幡川幹線及び中央幹線、生活道路でありますカネマン大井線、中瀬高畑4号線及び日の出向原線につきましても、既に本年度の工事に着手にしております。地元の皆様方には、ご不便をおかけしておりますが、引き続き、ご理解、ご協力をお願い申し上げます。
 次に、「吉田町都市計画マスタープラン」についてご報告申し上げます。
 町では、都市計画法第18条の2に基づく都市計画マスタープランを策定するにあたり、町民の皆様方との協働により計画立案することを基本姿勢とし、平成17年度から、まちづくり委員会による種々の検討に着手し、その後、バブリックコメント等を実施し、平成20年12月2日に吉田町都市計画審議会の承認をいただいたところでございます。
 この都市計画マスタープランは、土地利用や都市施設の計画など町民の皆様方の日常生活に関わる都市計画の基本的方針をお示しするもので、平成37年を目標年次として吉田町の将来像を実現しようとするものでございます。
 今後は、この都市計画マスタープランに示される吉田町の将来像の実現に向け、また、都市づくりの目標であります「住みやすく活気のある 水・緑豊かなまち 吉田町」を目指して、様々な都市計画の施策を講じて参りたいと考えておりますので、皆様のご理解、ご協力をお願い申し上げます。
 続きまして、「公共下水道事業」についてご報告申し上げます。
 現在の整備状況を申しますと、299ヘクタールの事業認可区域のうち、昨年度末までに198.28ヘクタールの整備を完了し、整備率が66.3パーセントに達しております。また、本年10月末時点で2,013戸の下水道への加入があり、1日当たりの平均で約1,715立方メートルの汚水を処理しております。
 本年度の工事は、住吉地区では、吉田中学校の通学路である「町道東村上組2号線」、川尻地区では、通称大道の名で親しまれる「町道山通り浜河原線」を中心に面整備を進め、管延長にして約2.8キロメートル、いずれも開削工事で整備を進めております。
 町といたしましても、安全で快適な生活環境を維持する上で、極めて重要な都市施設であります下水道事業を今後も継続的に進めるために、町民の皆様方のご理解とご協力をいただき、より一層の加入促進に努めてまいります。
 次に、「上水道事業」についてご報告申し上げます。
 初めに、施設の整備でございますが、第6期拡張事業である除鉄除マンガン施設につきましては、除鉄除マンガン装置、送水ポンプ、非常用発電機の設置等を、第2浄水場の築造工事につきましては、管理棟の築造、送・配水ポンプ及び非常用発電機の設置等の工事を既に発注し、計画どおり進捗しております。
 次に、第6期拡張事業の関連工事としまして、大幡住吉線導・配水管布設替工事をはじめ他3本を6月に、東名大井川線外1路線配水管布設工事(第1工区)を11月に発注しております。
 また、配水管の新設工事としまして、中瀬下片岡線配水管布設工事を10月に、第8水源自家発電施設設置工事を11月に発注しております。
続きまして、老朽管の布設替事業として、毎年計画的に実施しております石綿管布設替事業でございますが、日の出線外1路線配水管布設替工事(第1・第2工区)を5月に、古川川尻線配水管布設替工事を12月に発注しております。
 最後に、他事業に伴う水道管の布設及び布設替工事でございますが、御前崎土木事務所関連としまして2本発注済みであり、うち榛南幹線管理道配水管布設工事につきましては既に完了しております。その他、都市建設課関連としまして4本の事業を発注済みでございます。今後も事業関係者と協議、調整を図り進めてまいりたいと考えております。
 今後につきましても、より安全でおいしい水の供給が行われるよう、計画的な水道施設の整備を推進してまいります。
 次に、ごみ減量化のための「レジ袋使用量削減」につきましてご報告申し上げます。
 レジ袋は1年間に国全体で約300億枚、当町においては約1,100万枚がごみとなっています。また容器包装全体の量は、容積で家庭ごみの6割を超えております。
 このような状況の中、ごみとして処理されるレジ袋を減量するため、国では平成18年6月に「容器包装リサイクル法」を改正して、小売業を営む事業者を対象とした「容器包装の使用の合理化のための取組」を義務化しました。この結果、全国各地で地方公共団体や事業者による様々なレジ袋削減に向けた取組みが進展しております。
 町では、消費者代表・小売店代表・行政で組織する「吉田町マイバック100%推進協議会」を設置して、地球環境の保全、ごみ発生量・ごみ処理費用の削減を目指し、レジ袋使用量削減への取組みを進めているところでございます。
 取組内容としましては、推進協議会の開催、小売店を対象としたアンケート調査、吉田町女性団体連絡協議会と連携しての町内スーパーマーケットに対するレジ袋削減のPR活動のほか、マイバック推進ののぼり旗を作成し、マイバック推進協力店等での掲揚等があります。また、マイバック持参については、広報等を通じ町民の皆様方に広く啓発活動を行っております。
 今後、循環型社会を実現するためには、消費者・事業者・行政が一体となり、ごみの減量・ごみ排出抑制と地球温暖化防止に向けた取組みが何よりも重要と考えておりますので、町民の皆様方のご理解とご協力をお願いするところでございます。
 続きまして、「集中改革プランの取組状況」についてご報告申し上げます。
 集中改革プランは、平成17年3月29日付け総務省事務次官通知「地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針」いわゆる「新地方行革指針」の助言を受けまして、平成17年11月に策定しました「第3次・吉田町行政改革大綱」と「吉田町行政改革実施計画」等を集約した形で、平成18年3月に策定したものです。
 平成19年度の取組状況の取りまとめについては、今年6月、事務局の企画課から各課に取組状況を照会し、8月7日に開かれた第19回・行財政構造改革推進本部会議において取りまとめ結果を報告いたしましたが、その後、町が出資、出えんする団体の情報を追加し、改めて10月31日に開かれた第20回・行財政構造改革推進本部会議に諮って内容を検証いたしました。
 この取りまとめ作業は、集中改革プランの進捗状況を可視化することにより職員の問題意識を高める効果も期待できます。
 また、これまで、平成17年度、平成18年度、平成19年度と3回の取りまとめ作業を行ってまいりましたが、当初の目的を達成できたのか、検討事項はどのように判断されたのかなど、検証を経るごとに精度を上げる工夫を凝らしております。
 「平成18年度の取組状況」と比較した「平成19年度の取組状況」の修正、追加は、過年度の言い回し修正などが18件、新たに追加された項目が58件ございました。
 集中改革プランは、平成17年度から平成21年度末までの5年間を計画期間としており、平成19年度はプランの中間地点でありますが、概ね順調に進捗していることをご報告いたします。
 町といたしましても、行財政改革なくして今後の行政運営はあり得ないとの認識の下、より一層の改善・改革に努めてまいります
 最後に、「入札契約制度」についてご報告申し上げます。
 議員の皆様もご承知のとおり、入札契約制度の見直しは、昨年度から2年間で進めることとしており、1年目は建設工事の発注に係る入札制度と入札情報の公表に関する制度改正により、公正で透明感ある体制が構築されたところであります。2年目となる本年度は、さらに契約実施の過程や契約内容の公表などの細部にわたる事務処理について見直しを行いました。
 取り組みの成果といたしまして、これまで、多岐にわたって一つの要綱等で規定していた内容を目的に合わせて細分化し、新たに「吉田町指名競争入札実施要領」、「吉田町入札参加者指名委員会設置要綱」、「吉田町随意契約実施要領」、「吉田町建設工事等の入札及び契約等に関する情報公表要綱」の4つの要領や要綱を11月13日に制定いたしました。
 特に、「吉田町随意契約実施要領」は、競争入札の方法によらない見積競争の方法である随意契約の事務の実施手順や契約の過程とその公表まで、一連の手続きについて見直し、より具体的な事務処理内容に改善しております。
 また、「吉田町建設工事等の入札及び契約等に関する情報公表要綱」では、町が締結する契約の過程やその契約の内容等の公表の基本原則を定め、公表の様式、方法まで細部について定めております。これらのほか、現在、制限付き一般競争入札に付する対象範囲についても検討を進めており、建設工事だけでなく建設工事に係る委託業務の一部を制限付き一般競争入札の対象案件に加えることができるように改正を進めております。改正後の要綱等は、いずれも平成21年1月1日に施行することとしております。
 これまで手掛けてまいりました入札、契約改革の取り組みにより、一連の事務が明らかな基準に則ったより適正なものとなったばかりでなく、町民の皆様方が、町の契約に関する事務処理の内容を容易に監視できるようになり、より一層の透明性を実感していただけるものと思っております。
 以上が、只今実施しております当局の行政運営の概況でございますが、今定例会におきましては、議会が、本年5月に設置されました中山三星建材(株)工場跡町有地特別委員会の最終の検査結果が報告されると聞き及んでおりますので、長い時間を費やしている重要懸案事項の処理に向けて大きく前進できるものと強い期待を抱いております。
 また、この議会の事務検査の一環として、地方自治法第98条第2項に基づく監査請求も行われましたが、この結果として、地方自治法第198条の3第1項に掲げる「公正不偏の態度を保持して、監査をしなければならない。」との監査委員の服務原則に反する前代未聞とも言うべき不適切極まりない監査結果報告書が公表され、行政事務担当者の適正な事務処理の概念を揺さ振られるという由々しき悪影響が出ております。
 今定例会では、監査請求を行った議会の責任として、この監査結果報告書の取扱にも決着をつけていただくとともに、監査委員が監査結果報告を導き出すために敢えて用いたと思われる「利害を調整する立場、或いは利害を調整するため」の文言が何を意味するのか、またこれを用いて何を意図したのか、議員の皆様に於かれましては、公人が行った事件については常に説明責任が伴うことに思いを致され、議会として、監査委員に直接説明させる機会を設けさせますよう重ねてお願い申し上げるものです。
 議会も、当局も、共に、吉田町のため、吉田町民の幸せのために邁進すべき使命がございます。私は、常に、吉田町が正論に裏付けされた良識で動くようになって欲しいと願っております。共に、是非の文化が定着した住みよい吉田町づくりの実現に向けて、ご協力賜わりますようお願い申し上げ、本定例会の行政報告といたします。