2008年3月4日 作成

平成20年第1回吉田町議会定例会(平成20年3月4日開会) 町長の施政方針

 平成20年第1回吉田町議会定例会の開会に当たり、所信の一端を申し述べますとともに、平成20年度の当初予算案及び事業計画案などの概要を申し上げ、議員の皆様方のご理解を賜りたいと存じます。
 さて、皆様方もご承知のとおり我が国は、本格的な少子高齢化・人口減少社会を迎え、社会経済の大きな転換点に直面する一方で、都市と地方の格差是正、地方の活性化などの緊急を要する課題が山積しております。また、年金問題、温暖化、原油の高騰、食品偽装問題などが、メディアを通して毎日リアルタイムに報じられております。
 このような社会情勢の中、財務省は、2月25日、国債や借入金などを合計した「国の借金」が2007年末時点で838兆50億円になったと発表しました。
 これは、昨年九月末に比べ4兆3,068億円増え、過去最大となり、国民一人あたりに換算すると約656万円になります。
 近年、社会経済は成熟状態に達し、目に見える経済成長は見込まれず、各自治体とも堅調な財政運営を維持していくのは難しい状況にあります。只今のところ、当町の財政は、大変恵まれた状況にあり、基盤整備も進んでおりますので、この状況を踏まえて、今後の町民の幸福を考えるという視点を持たなければなりません。
 地方自治体を取り巻く環境は、大きな変革期を迎えており、地方が自己決定・自己責任のもと、より地域の実情に合った事業を展開していかなければなりません。
 また、急速に進展する少子高齢化は、財政負担の増大や地域活力の低下ばかりでなく、町民の皆様方の生活全般に影響するものと思われます。近隣市町の人口が減少する中、幸いにも我が町の人口は、3万人を突破するなど、依然として増加傾向にあります。また、赤ちゃんの出生件数を見ましても、平成14年度の302件から逓減し、平成17年度に260件となりましたが、平成18年度には328件と回復し、平成19年度も本年1月末現在で266件あり、単純計算しますと約320件となり、300の大台を維持できるものと見込まれます。
 しかしながら、高齢化は確実に進んでまいりますので、将来に向けて引き続き、行政、地域、家庭が役割を分担しながら、安心して子どもを産み育てる環境、高齢者一人ひとりが生きがいをもって健康に生活できる環境をつくることが大切であると考えております。
 平成20年度の当初予算は、こうしたことを念頭に置きつつ、施策の充実と財政の健全化の両立を目指し、昨年度から実施しました一般財源をベースにした枠配分方式により編成いたしました。
 それでは、平成20年度の当初予算の概要と事業内容を申し上げます。
 平成20年度の一般会計予算は、平成19年度より4.4パーセント増の総額85億3,500万円を計上いたしました。
 歳入面を見ますと、町税が、平成19年度に続き60億円を突破し、2年連続で過去最高となる約60億1,500万円を計上することができました。
 また、歳入全体では、その78パーセントに当たる約66億6,000万円が交付金などの国や県に依存しない自主財源となっています。町税等の安定的な自主財源が見込まれる現下の経済社会情勢においても堅調な財政運営を維持するとともに、財政健全化の促進に努めなければなりません。このような観点から、平成19年度において、4,810万円の償還金を繰り上げて返済するなど、借金を減らす努力も行っております。そして、町税等に係る収納率を高水準に保つことの重要性も強く意識しながら、町政を運営してまいります。
 次に、歳出面でありますが、事業展開の構想を交えながら申し述べさせていただきます。
 最初に、子育て支援事業でありますが、当町におきましては、安心して子どもを産み、健やかに育てる環境を整備する上での一貫した経済的支援として、妊婦健康診査費助成制度や乳幼児、児童医療費助成制度を実施してまいりました。
 当町の妊婦健康診査費助成制度につきましては、平成18年4月から、国が示した2回の公費負担回数に加え、町独自の助成として8回を追加してまいりましたが、国は、少子化対策の一環として、妊娠・出産にかかる経済的不安の解消と妊婦健康診査の積極的な受診を図るため、平成20年4月1日から妊婦健康診査費公費負担回数を5回に増加する制度改正を公表しました。これにより、一応必要とする妊婦健康診査の回数は確保されますが、当町では、さらに出産に向けての安心・安全な環境を整えるため、妊婦健康診査回数を1ないし2回追加するとともに、う歯や歯周疾患に罹患しやすい状態にある妊婦に対する歯科健診を助成対象に加え所要額を予算計上いたしました。
 また、疾病への早期対応、疾病の慢性化の予防及び保護者の経済的負担の軽減を図るとともに、子どもを健やかに育てる環境を整備するために、平成19年4月町単独事業として発足した小学校6年生までの「児童医療費助成制度」を平成20年4月1日からはその対象を中学3年生まで拡大し、「小中学生医療費助成制度」として実施することとし、約3,400万円の予算を計上いたしました。
 なお、乳幼児も含め中学3年生までの医療費が完全無料化となりますが、小中学生医療費助成は、従来の児童医療費助成と同様に償還払い方式による実施を予定しております。
 次に、障害児放課後児童クラブについて、申し上げます。
 現在、町の小学校と中学校の特別支援学級や藤枝養護学校に通学している障害のある児童・生徒は、放課後に地域で自ら活動することが困難なうえ、監護している保護者は、片時も目を離すことができず、日常的に心身ともに疲労している現状にあります。このことから、保護者の負担を軽減し、児童・生徒の放課後の生活の場を確保し、遊びを通じ、自主性、社会性及び創造性の向上を図るため、障害児放課後児童クラブを6月から神戸集落センターで開始するよう準備を進めております。
 また、ハード面の子育て支援事業として、老朽化が著しいさゆり保育園建設事業費、約3億6,000万円を計上し、平成21年度の完成を目指しております。
 一方、社会教育の一環として進めております子育て支援事業でありますが、「人と人とのかかわり」の中で青少年を支援する体制づくりや健康で明るい生活を支えるスポーツの振興を目指した事業展開を行っております。
 平成20年度もこうした考えのもとで、学校休業日には、地域の大人が講師を務め、興味のあることにチャレンジし、地域の人々や自然とのふれあいを通して、心豊かでたくましい子どもを育むための「吉田町チャレンジ教室」など、子どもにかかわる事業の充実を図り、地域の子どもは地域で守り育てるための環境を整備いたします。
 続きまして、健康づくり事業について、申し上げます。
 平成19年度に、町の祭典で引き回す山車の掛け声を歌詞に取り入れた、パンチの効いたダンス曲「ヤーレコのSAY!」を町のオリジナルダンス曲と位置付け作成いたしました。町民の皆様方には、4月29日に県営吉田公園で開催される「第16回吉田町みどりのオアシスまつり」で披露させていただく予定でおります。この普及については、吉田町ダンス・健康づくり推進委員会のメンバーを中心に、一般町民を対象にした講習会、町内会や各種団体への出前講習会を行い、元気のある町づくりを進めてまいります。
 また、新たな事業として、運動の基本である走ることの楽しみを知り、誰もが気軽に参加でき、町民の交流の場ともなる「ソフトランニング教室」を4月から毎月2回、平日の夜間に開催いたします。
 さらに、高齢者向けの健康づくり事業といたしまして、平成19年度から全額公費負担として実施しております肺炎球菌予防接種事業につきましても、引き続き実施することとし、500万円の予算を計上いたしました。
 次に、医療制度改革について、申し上げます。
 国では、医療制度改革大綱に沿って、医療費適正化の総合的な推進、新たな高齢者医療制度の創設、保険者の再編・統合等所要の措置を講じるため、平成20年4月には、幼児の医療費を2割負担に軽減する対象年齢が、3歳未満から義務教育就学前までに拡大されるなど、いくつかの医療制度改正が行われます。
 その中で、医療費適正化の総合的な推進の観点から、各医療保険者に一定の予防健康診査が義務付けられ、40歳以上の被保険者等を対象とする、メタボリックシンドロームに着目した特定健康診査、特定保健指導が実施されることになっております。町においては、特定健康診査の受診率を向上させるため、国民健康保険の被保険者が特定健康診査を気軽に受診していただけるよう、これまでの基本健診での自己負担分を公費負担とするとともに、加えて、静岡県後期高齢者医療広域連合が、75歳以上の後期高齢者を対象に行う健康診査に要する自己負担分についても町が助成することを予定しております。
 国は、市町村に対して、平成24年度までに「特定健康診査受診率65%」という目標を示し、この基準に基づき、平成25年度から国が納付する後期高齢者支援金を加算、減算する調整を行うこととしています。
 次に、高齢者福祉及び介護保険事業について、申し上げます。
 平成20年度は、「第4期吉田町高齢者保健福祉計画及び第3期吉田町介護保険事業計画」の事業実施の最終年度に当たり、平成21年度から平成23年度までの3年間の「第5期吉田町高齢者保健福祉計画及び第4期吉田町介護保険事業計画」の策定を行う節目の年度でもあります。
 「第4期高齢者保健福祉計画及び第3期介護保険事業計画」では、予防重視型システムへの転換を柱とした平成17年の介護保険制度の改正を踏まえ、新予防給付事業、地域支援事業、地域包括支援センターの設置等を実施してまいりました。
 平成20年度には、平成19年度実施したアンケート調査の結果や本格的な高齢者社会の到来等の社会環境、福祉ニーズの変化を勘案し、実態に即した高齢者保健福祉計画・介護保険計画を策定いたします。計画の策定には、学識経験者、保健医療関係者、福祉関係者、被保険者代表の方々と行政機関職員で構成する策定委員会を設置し、必要な調査や検討をしていただくこととしております。
 高齢者の皆さんが、元気で住み慣れた町で健康で生き生きと暮らせるための各種事業の展開や介護保険サービスが円滑に実施できるための計画策定に努めてまいりたいと考えております。
 続きまして、学校教育関係について、申し上げます。
 はじめに、新たな奨学金制度についてでありますが、本制度は、向上心に富み、優秀な生徒で、かつ、経済的理由により高等学校への就学が困難な生徒を対象に、学資の貸付けを行い、もって将来社会に貢献し得る有為な人材の育成を図ろうとするものでございます。
 貸与の要件としましては、保護者が町内に住所を有すること、主たる家計支持者の収入が町で定める基準以下であること、中学校第1学年から第3学年2学期までの全教科における平均評定が3.0以上であること、若しくは中学校の部活動における全国大会への出場実績を有すること、さらに将来良識ある社会人として活動できる見込みがあることなどです。
 対象は、高等学校、中等教育学校の後期課程、特別支援学校の高等部及び高等専門学校に進学予定の生徒を対象とし、1人月額25,000円を3年間無利息で、4人以内に貸与する予定でございます。
 町としても、社会の多方面で活躍する若者を、吉田町からより多く輩出していこうというものでございますので、ご理解をお願いいたします。
 次に、学校における緊急連絡網整備事業について、申し上げます。
 最近、各地で子ども達の痛ましい事件が多発しております。また、大きな風水害も発生しております。このため、学校から家庭への連絡は、正確な情報を迅速に送ることが必要であります。現在、各学校における連絡網は、保護者間での言い継ぎ電話による連絡が主流でございますが、この方式は、不在により途中で連絡が途切れたり、連絡に時間がかかり過ぎたりするなどの問題点があります。これらの問題を解決するものとして、新年度において約250万円を計上し、電子機器を使った新たな情報伝達システムサービスを整備したいと考えております。
 これは、携帯電話のみならず、インターネットメール、ファックス、電話による音声システム等を使うもので、携帯電話を持たない保護者へも平等に情報伝達され、保護者の受信状況も確認できることになります。なお、登録される個人情報については、厳格な管理システムを採用したいと考えております。
 吉田町の各小・中学校において、子どもたちが犯罪に巻き込まれそうになった時、あるいは災害が発生した場合、いち早く保護者や地域の皆さんと情報を共有し、迅速に対応することにより、安心して暮らせ、住んで良かったと実感できるまちづくりを図ろうとするものでございます。
 続きまして、フッ素洗口事業について、申し上げます。
 平成18年度に静岡県歯科医師会が実施した学校歯科保健調査の結果によりますと、小学校1年生から中学校3年生までの9学年の、一人平均永久歯う触経験歯数、つまり1人当たりの虫歯の本数が、多いという結果が出ております。この結果によりますと、5歳児以降の児童に「う歯」が多く、歯磨き指導・食生活の改善・フッ化物の利用など、継続的な「う歯予防対策」が必要となります。このため、平成20年度から町内の小学校1年生を対象に、週1回程度のフッ素洗口を実施したいと考えております。
 フッ素は、歯の表面のエナメル質に作用し、酸に溶けにくい歯質にするとともに、エナメル質表面の再石灰化を促すなどの効果があることが実証されており、歯の生え変わりの時期に実施すると、う歯予防に効果的とされておりますので学校における歯科保健指導を充実させ、う歯罹患率の低下を図り、子どもたちにとっても健康で住みよいまちづくりに取組んでまいりたいと考えております。
 次に、中央小学校整備構想について、申し上げます。
 中央小学校校地につきましては、平成2年度より取組んでまいりました用地買収が、平成19年度をもって終了しました。同校の児童数は873人で町内小学校では最大であり、県下でも大規模校とされております。
 しかし、運動場面積は、住吉小学校12,400平方メートル、自彊小学校10,588平方メートルに対し、中央小学校は9,282平方メートルであり、町内小学校では最小の面積であります。このため買収した土地をあわせ、運動場の拡張整備が急務となっておりますが、一方で昭和42年建設の校舎の老朽化も進んでおり、校舎と運動場を総合的に整備するための構想を策定してまいりたいと考えております。
 策定に当たっては、地域の皆様、保護者の皆様、関係部局及び教育関係者などの意見を集約してまいりたいと考えております。
 続きまして、特色ある学校づくり推進事業について、申し上げます。
 現在、子どもたちを取り巻く環境は、社会の急激な変化の中で、いじめや不登校の問題の深刻化、青少年の非行の増加、家庭や地域の教育力の低下などの状況が生じております。
 教育吉田21の提言では、施策の基本方向の1つである「「夢をもち、実現に努力する子ども」の育成」において、特に子どもたちの夢を育む学校教育を実現するため、学校教育の発展的講座の開設、「心の教育」や、体験学習の推進といった提言が出され、子どもたちの個性を伸ばし豊かな心を育むための施策の実施を求めております。
 このため、地域の実情や学校環境にあわせて、各学校の自主性・自律性の確立と、従来の慣習に捉われないで、教職員が自らの創意工夫を凝らした特色ある学校づくりや教育活動に対して、活動助成をし、吉田町独自の「豊かな心」を育む教育事業の展開を図ってまいりたいと考えております。
 次に、町内小学校交流大会について、申し上げます。
 子どもたちは、社会環境や生活様式の変化などにより、運動の機会の減少や生活習慣の乱れが生じ、体力・運動能力は長期的に低下傾向にあるとされております。
 このため、町では、学校における体育や運動部活動などを通じて学校の体育・スポーツ活動の充実に取り組んでいるところでございます。心身の発達段階にある青少年期における体育・スポーツ活動は、単に体力を養うだけでなく、広く人間形成の上においても大いに役立つとされております。さらに、市町村駅伝大会や吉田町駅伝大会に見られますようにスポーツ大会の実施には町の活性化や、住民意識の高揚が期待できます。
 これらに鑑み、平成20年度において、町内小学校相互の交流の促進、小中連携、町民意識の高揚、町民スポーツの振興と青少年の健全育成を図るとともに、町及び各小学校の活性化に資するため、吉田中学校体育大会において各小学校児童代表による小学校対抗のリレーを実施することを検討しております。
 次に、「ちいさな理科館」について、申し上げます。
 「ちいさな理科館」事業につきましては、平成19年度に建設準備委員会を立上げ、委員会を開催し、2月3日には町立図書館で公聴会を実施したところであります。昨年7月の小・中学生、保護者へのアンケート結果、さらに公聴会でのご意見等には、理科館に期待する声が多く寄せられています。
 このため、平成22年度開設に向け、平成20年度当初予算には建設についての基本設計、実施設計に関する委託料として、約870万円を計上いたしました。さらに、この事業は建設のみならず、どのように運営していくかが大切と考え、平成20年度からは、その運営に関する検討をするための建設委員会と、建設委員会の下部組織として運営部会を立ち上げ、検討を行ってまいります。
 また、住民への啓発活動も大切でありますので、本年度に引き続き、理科に関する講演会も行いたいと考えております。理科教育の充実に関しては、本町の教育の重点施策としておりますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
 続きまして、吉田漁港の整備について、申し上げます。
 吉田漁港につきましては、漁業関係者の安全な職場環境の確保や、漁業経営の安定化、沿岸漁業及び地域振興の活性化を図るため、平成13年度から国と県の補助を受け、地域水産物供給基盤整備事業として、整備を進めているところでございます。
 平成19年度は、西側泊地の1号岸壁及び湯日川河口の河川護岸が築造から約40年経過し、腐食による耐力低下が懸念されているため、施設全体の健全度評価や補修・補強対策の必要性を整理するための測量調査を実施し、この調査結果を基に、最適な対策工法案に対する実施設計業務を現在実施しているところであります。西側泊地の2号・3号・4号岸壁については、平成18年度に実施した岸壁測量調査の結果を踏まえ、2号岸壁から順次防食工事を実施しております。
 また、漁港内へ流入する土砂の防御対策として、港口部をマイナス5メートルまで浚渫するとともに、船舶の航行の安全性を確保するための航路浚渫及び平成20年度に予定している防食工事を進めるための泊地浚渫工事を実施しているところであります。
 平成20年度の漁港の整備につきましては、8,000万円を計上し、平成19年度に引き続き西側泊地の老朽化した2号岸壁や4号岸壁の防食工事や、港内泊地浚渫工事を水産基盤整備事業で実施するとともに、漁業従事者等の安全を確保するための安全施設設置工事や、船舶の航行の安全性を確保するための航路浚渫工事などを実施する予定であります。
 今後も、漁業関係者と連携をとりながら、計画的に整備を進めていきたいと考えております。
 次に、安全安心なまちづくりを進める施策について、申し上げます。
 先ず、吉田漁港津波防災ステーションの整備についてでありますが、予想される東海地震での津波や台風での高潮による災害から吉田漁港背後地となる地域住民の生命と財産を守るため、陸閘と大幡川水門の一元的な遠隔操作・制御が可能となる防災上重要な施設を整備するため、平成17年度から国と県の補助を受け、津波・高潮危機管理対策緊急事業として進めているところでございます。
 平成18年度には、一定以上の地震動を感知した場合、第1陸閘・第2陸閘・第4陸閘・第6陸閘が自動的に閉鎖可能となったため、突発地震による津波災害にも即座に対応でき、地元の皆様の不安や負担が解消されたものと受け止めております。
 平成19年度の事業につきましては、遠隔操作システムを確立するための設計業務委託の実施、大幡川水門開閉の遠隔操作を可能とするための改良工事、津波防災ステーションの子局である現場の被制御所から親局となる役場庁舎を結ぶ光ファイバーケーブルの敷設工事を実施しております。また、システムの早期完成を図るため、無停電電源装置、監視カメラ制御装置、監視カメラの設置など現場設備工事などを実施する予定でおります。
 平成20年度は、1億4,500万円を計上し、最終的な庁舎内のステーション整備を行いながら、平成21年度完成を目指してまいります。
 続きまして、町の都市基盤整備関連事業について、申し上げます。
 初めに、道路網の整備でありますが、都市計画道路榛南幹線につきましては、現在、住吉地内において、都市局事業として住吉幹線から、海岸幹線までの
980メートル区間を事業着手しており、そのうち620メートルを県の事業区間、360メートルを町の事業区間に区分けし、同時に整備を進めております。町の事業区間においては、国庫補助事業として6,000万円の事業費を計上し、引き続き用地取得を行う計画となっております。
 県の事業区間におきましては、地権者の皆様方のご理解をいただきながら、用地取得完了を目指す予定となっております。また、県では道路局事業として、海岸幹線から坂口谷川を渡り、国道150号までの約1,500メートル区間につきまして、平成19年度から地元説明会を開催し、地権者の皆様方のご理解を得て、測量設計調査を進めてきており、平成20年度には、坂口谷川に架かる橋梁詳細設計と用地取得を進める計画と伺っております。一方、工事を進めている町道中臨港線から湯日川に架かる橋梁までの区間については、湯日川に架かる橋梁工事に着手する計画となっており、右岸堤の橋台1基を施工する計画であります。
 次に、都市計画道路東名川尻幹線の整備についてでありますが、第1工区、第2工区の東名吉田インターチェンジから都市計画道路富士見幹線までの
1,300メートル区間につきましては、主要地方道島田吉田バイパスと位置づけ、県が事業主体となり整備を進めているところであり、東名吉田インターチェンジへの取り付け道路などの工事を行い完成する予定となっております。第3工区である富士見幹線から国道150号までの1,200メートル区間につきましても早期に完成できるよう、県に対して要望活動を実施してまいりたいと考えております。
 また、国道150号から南側につきましては、町が事業主体となり整備を進めてきており、平成19年度には7,600万円の予算を計上し、水路の付替え工事を行いました。平成20年度には、5,000万円を計上し、道路側溝と舗装工を施行する計画であります。
 次に、川尻地内で整備を進めている都市計画道路大幡川幹線でございますが、国庫補助事業として3,500万円、起債事業として5,940万円、合計9,440万円の予算を計上し、用地取得と道路側溝工事などを行います。また、都市計画道路中央幹線につきましては、地権者の皆様方のご協力により、用地取得が完了いたしましたので、道路工事を計画的に進めてまいります。
 次に生活道路の整備につきましては、平成19年度において用地取得に取り組んできました、日の出向原線、中瀬高畑4号線でありますが、地権者の皆様のご理解とご協力により計画区間すべての用地取得が完了いたしました。平成20年度に工事に着手いたしますので、よろしくお願いいたします。
 また、現在整備中でありますカネマン大井線につきましても、引き続き用地補償、工事を行う計画となっております。
 新規事業としましては、住吉地内の西の坪大浜5号線の道路改良工事、学習ホール南側東村線道路改良工事、川尻地内の東向2号線道路改良工事、片岡地内のお夏橋左岸側町道高畑高島線の歩道拡幅工事、大幡地内の大幡川尻線道路改良工事等実施してまいりますので、ご協力をお願いいたします。
 次に、河川改修についてでありますが、下流から国道150号まで改修を進めてきた大窪川につきましては、平成20年度から整備を再開いたします。工事延長は、約40メートルでありますが、今後上流に向かって毎年、工事を進めたいと考えております。
 続きまして、公共下水道事業について、申し上げます。
 これまで平成17年度から、地域再生法に基づく汚水処理施設整備交付金事業を活用して、下水道事業と浄化槽事業の整備を進めてまいりました。目標として掲げていた汚水処理人口普及率を41パーセントから51パーセントに向上させることについては、ほぼ達成できる見込みとなっております。平成20年度から平成22年度までの3年間につきましても、既に新たな地域再生計画の認定をいただき、再び汚水処理施設整備交付金を活用した事業として実施していくものであります。
 3か年計画の初年度となる平成20年度は、面積で約12ヘクタール、管渠延長で約3キロメートルの整備を予定しており、住吉上組地区と川尻山通り浜河原線を整備する予定であります。
 また、新たな地域再生計画では、下水道事業と浄化槽事業を合わせた汚水処理人口普及率を、54.4パーセントから61.5パーセントに向上させるという目標を掲げており、この達成に向けて整備を進めてまいる所存であります。
 続きまして、上水道事業について、申し上げます。
 水道利用者の皆様に、安定した水の供給を推進するため、平成20年度においても、施設の整備、老朽管の布設替え、他事業の関連工事に伴う水道管の布設及び布設替え工事を計画しております。
 初めに、第6期拡張事業に伴う事業として、平成18年度から進めております除鉄除マンガン施設、第2浄水場の築造工事でございますが、平成20年度につきましては、除鉄除マンガン装置の設置、第2浄水場管理棟の建築、両施設の電気・計装設備及び送・配水ポンプの設置等を施工する予定でございます。
 次に、非常用発電機の設置工事でございますが、この事業は、災害等の緊急時において、より迅速かつ安全な給水を行うためのものであり、現在、第1・第2浄水場、第3配水場、第3水源に非常用発電機を設置しております。平成20年度、新たに第8水源に設置する予定であります。
 また、第6期拡張事業に伴う事業の関連工事でございますが、除鉄除マンガン施設築造関連としまして、大幡住吉線導・配水管布設替工事、第2浄水場築造関連としまして、東名大井川線導・配水管布設工事を計画しております。大幡住吉線につきましては、導水管10メートル、配水管175メートル、東名大井川線につきましては、導水管600メートル、配水管560メートルを施工する予定でございます。
 次に、老朽管布設替事業としまして、毎年計画的に実施しております石綿管布設替えでございます。平成20年度につきましては、日の出線外1路線配水管布設替工事、古川川尻線配水管布設替工事の実施により、約751メートルの石綿管を布設替えする計画でございます。
 また、他事業との関連工事に伴う水道管の布設や布設替え工事でございますが、公共下水道事業関連としまして531メートル、道路改良事業関連としまして160メートルの布設及び布設替えを計画しております。事業の実施につきましては、事業関係者と連絡を密にし、十分な協議、調整を図りながら事業を進めてまいりたいと考えております。今後も、水道施設の整備等を計画的に推進し、安全かつ安定な給水を行えるよう努めてまいります。
 次に、その他の事業としまして、住宅用火災報知器の設置及び地上デジタル放送受信アンテナの設置について申し上げます。
 平成16年6月の消防法及び石油コンビナート等災害防止法の一部を改正する法律により、広域施設組合火災予防条例が改正され、新築住宅については、平成18年6月1日施行から住宅用防災警報器又は防災報知設備及び維持が義務付けられました。また、既存住宅についても、平成21年5月31日までに住宅用防災警報器を設置することが義務付けられ、それに伴い、火災事故を未然に防止し、防災安全対策の充実化を図るため、既存の町営住宅に住宅用防災警報器を設置するものであります。
 現在、町営住宅は、さくら団地や松下団地など6団地145戸を管理運営しております。住宅用防災警報器は、条例による設置基準に基づき設置する部屋などが定められており、平成20年度には、火災予防条例に該当する松下団地など4団地94戸に計289器の住宅用防災警報器を設置する計画であります。
 また、地上デジタル放送については、平成23年から放送が開始されることが決定しておりますことから、町営住宅についても入居者が不便な環境にならないよう、平成22年度までに地上デジタル放送に対応したアンテナやブースター等の設置等の対応を計画してまいります。
 続きまして、職員の人材育成と組織体制の充実について、申し上げます。
 地方分権社会において、地域における総合的な行政主体として高度化・多様化する行政ニーズに対応し、町民の皆様方に身近な行政サービスを提供する地方自治体の役割は、益々増大しており、地域における様々な課題を自らの判断と責任において自主的・主体的に解決し、社会情勢の変化や住民ニーズを的確に対処していかなければなりません。
 そのためには、財政的な自立はもちろんのこと、職員のスキルアップが不可欠であり、職員一人ひとりが、常に目的意識と高い意欲を持って自らの能力開発や知識・技能の習得を図り、その能力を最大に引き出すことが必要であります。また、組織といたしましても、簡素で効率的な組織体制を構築し、地方分権に対応した機構改革の推進を図り、組織としての総合能力を高めていく必要があります。
 このため、職員の人材育成を積極的に推進するため、平成19年度から平成21年度までの3か年で、民間経営手法のノウハウや先進自治体における導入実績が豊富な学校法人産業能率大学の支援を受けながら、吉田町に合った人事評価制度の構築を図ってまいります。
 地方分権が進展する今日、「町は住民に最も身近な地方政府である」との強い意識を持つ職員を育て、自律した確固たる運営を持続させる行政体にしなければなりませんので、今後とも、人材の育成には力を入れてまいります。また、大きな変革期を迎えている今日、新たな行政課題も次々に提起されてまいります。「住んでよかったと実感できる町」を維持し続けるためには、こうした課題にも迅速かつ柔軟に対応していかなければなりませんので、引き続き組織力を充実させるための取り組みにも努力してまいります。
 最後に、公有財産の適正な管理を通して実施する財政健全化への取り組みについて、申し上げます。
 ご承知のとおり、現在、公有財産で最大の懸案となっておりますのは、中山三星建材(株)工場跡地であります。この財産につきましては、目下、企業への売却を進めるための条件整備を進めるとともに、購入希望者を公募しているところでございますが、残念ながら、これまで、町で希望している一括売却という条件に沿った交渉に応じてくださる企業は現れておりません。この財産の売却については、これまでも大変苦慮しながら対応している状況ではありますが、2月29日に公表した中山三星建材(株)工場跡地買収事務検証委員会の検証結果でも明確にいたしましたとおり、この土地は、先人の尊い営みを踏まえて用途指定された趣旨に沿う利活用を図ることが、最も町民の利益につながると確信しましたので、早期に、企業誘致を実現できるよう引き続き努力してまいります。
 なお、売却の相手方が決まりましたら、売却のための議案を上程させていただくこととなりますので、議案審議の際には、今回の中山三星建材(株)工場跡地買収事務検証委員会の検証結果をご参考にしていただければ幸いだと思っております。
 また、それ以外の町有地の管理につきましても、近々導入が予定されている新たな公会計に対応できる水準での管理手法に改めなければならない状況にあります。特に、未利用地につきましては、将来の利活用方針を明確に定め、売却可能資産とそうでない資産に分類しなければなりません。そして、すべての町有地に関し、資産価値の評価も含む詳細なデータベースを構築しなければなりません。
 平成20年度は、こうした大きな変革期にありますので、このための基礎的な事務を完了するとともに、新たに売却可能な土地と位置付けた土地につきしては、既に売却することを決定している土地とともに、販売促進を図りたいと考えております。そして、公有財産の適正管理を通して、相乗的に財政健全化を促進させるようにしたいと考えております
 以上が、平成20年度を迎えるに当たりまして計画しております事業概要や行財政運営の基本的姿勢であります。我が国の行財政のあり方が大きな転換期を迎え、地域の自主性が求められる中で、わかりやすい行財政運営はもちろんのこと、町民の皆様方が将来にわたって幸せを実感できるまちづくりを行わなければならないと考えておりますので、議員各位におかれましても、一層、ご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げ、平成20年度に向けての施政方針といたします。