2008年9月5日 作成

平成20年第3回吉田町議会定例会(平成20年9月5日開会)町長の行政報告

 平成20年第3回吉田町議会定例会の開会に当たり、町政運営の概況等についてご報告申し上げます。
 さて、皆様もご承知のとおり、現在、我が国においては、原油や原材料の高騰による物価上昇傾向が顕著となっており、国民の生活が脅かされる状況にあります。このような社会情勢の中、最近の国の財政改革の取り組みには、強い牽引力を感じることができず、8月22日に財務省が発表した2006年度末の国の貸借対照表によると、負債が資産を上回る債務超過額は、一般会計と特別会計を合わせて277兆3千億円であると、国の厳しい財政状況をあらためて報じております。
 当町では、活発な経済活動に下支えされるとともに、平成15年度以降積極的に取り組んできた行財政構造改革も功を奏し、比較的恵まれた財政運営を行うことができる状況にあり、町民の皆様方に提供させていただく行政サービスも他市町に比べ、高水準にあると自負しておりますが、今後も引き続き、より良い行財政運営に努め、町民の皆様方が「真に住んで良かった」と実感できるまちづくりを進めてまいります。
 それでは、当町の平成20年度事業のうち、最初に、行財政改革への取組みについて、ご報告申し上げます。
 現下の厳しい財政状況の中、国が進める地方分権の受け皿づくりのモデルたることを目指し、平成16年度には、全庁的な行財政構造改革推進本部を立ち上げ、672項目に及ぶ事務事業をゼロベースで検証するとともに、行財政構造改革推進方針・第1次を策定いたしました。
 また、国においては、平成16年12月24日に閣議決定された「今後の行政改革の方針」を踏まえ、総務省は平成17年3月29日に「地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針」いわゆる「新地方行革指針」が策定され、全ての地方公共団体に通知されました。
 この「新地方行革指針」では、全ての地方公共団体に対して「行政改革大綱」とその具体的な取組みを明示した「集中改革プラン」を策定し、その内容を住民に分かりやすく公表することを求めております。
 このため、当町では、平成17年11月に、平成18年度から平成22年度までを計画期間とする「吉田町行政改革大綱・第3次」を策定し、行政改革に取組む姿勢を町民の皆様方に提示させていただくとともに、行政改革大綱を受けた「吉田町行政改革実施計画」を策定いたしました。また、「定員管理計画」などを踏まえ、平成18年3月には「吉田町集中改革プラン」を策定いたしました。
 地方公共団体が行政運営上準拠すべき指針として、地方自治法第2条第14項には、「地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」と規定されております。この指針に沿った持続性のある柔軟な行政運営を行うため、当町では、平成19年度当初予算編成から枠配分予算方式を導入しました。
 また、平成20年度当初予算編成から、水道事業会計を除くすべての会計で、歳出のみ、予算科目上の事業について、さらに細分化して個別の事業単位で附表を作成して、目的、内容、予算を組み立てる新たな手法を導入いたしました。これらの取組みは、いずれも事務事業評価に取組むための準備作業であり、本年5月28日には、諸計画に掲げられた目標をより具現化するため、職員18人からなる「吉田町行政経営システム検討会」を設置し、検討会内には「人事評価システム部会」と「行政評価システム部会」を設けました。
 今後は、投資効果をPDCAサイクルに基づいて検証する新たな体制を構築し、効率的な行政運営を目指して、さらに行財政改革を推進してまいる所存でございます。
 次に、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」の公布、施行に伴う健全化判断比率について、ご報告申し上げます。
 「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」が昨年6月に公布され、健全化判断比率、即ち、「実質赤字比率」、「連結実質赤字比率」、「実質公債費比率」、「将来負担比率」の4つの比率の公表は、平成19年度決算から義務付けられることとなりました。これらの比率が早期健全化基準、財政再生基準を超えた場合には、平成20年度決算から財政健全化計画などを策定しなければならなくなりました。
 この健全化判断比率は、監査委員の審査に付した上で議会に報告し、公表することとなります。当町におきましては、平成19年度決算に基づき各指標を算定し、8月5日に監査委員の審査を受けたところでございますが、概要についてご報告申し上げます。
 最初に、「実質赤字比率」でございますが、この比率は、普通会計を対象とした実質赤字の標準財政規模に対する比率であり、この比率の、早期健全化基準は13.92パーセント、財政再生基準は20パーセントでありますが、当町の場合、平成19年度の収支は黒字となっておりますので、比率が算定されないという健全な状況にあります。
 次に、全会計を対象とした「連結実質赤字比率」でございますが、この比率の早期健全化基準は、18.92パーセント、財政再生基準は経過的基準により40パーセントであります。こちらも実質赤字比率と同様に黒字でありましたので比率は算定されませんでした。
 続きまして、「実質公債費比率」でございますが、これは、一般会計等が負担する元利償還金及び準元利償還金の標準財政規模を基本とした額に対する比率であります。この比率は、平成18年度から、地方債の協議制移行に伴って導入されたもので、18パーセント以上が地方債を借入れる際に許可を得なければならないことになります。当町では、一昨年が21.6パーセント、昨年が21.1パーセントと県下で最下位近辺の比率を記録するという不名誉な状況にありましたが、健全化への取り組みを強化する一方で、今年度からは、都市計画税を特定財源の対象とする比率の算定方法の一部見直しにより、平成17年度から19年度までの3か年の平均比率は、16.2パーセントと大幅に改善されました。なお、この比率の早期健全化基準は25パーセント、財政再生基準は35パーセントであり、目下、許可を必要とする比率の18パーセントにつきましても、短期間のうちにクリアいたしました。
 最後に、「将来負担比率」でございますが、これは、一般会計等が将来負担すべき実質的な負債の標準財政規模を基本とした額に対する比率で、早期健全化基準は350パーセントであります。当町の今回の算定比率は123.6パーセントであり、財政再生基準の対象にはなっておりません。以上、申し上げましたように、4つの比率はすべて早期健全化基準を下回っておりますが、この基準を下回れば、財政運営上問題がないということではございません。
 当町は、これまで、道路や公園そして下水道などの社会資本整備を積極的に進めてまいりました。他方、平成18年度からは地方債の借入れの抑制や、繰上償還などにより財政状況の改善に努めてまいりましたが、実質公債費比率や将来負担比率が示すように地方債残高が多い状況に変わりはありません。これらの財政事情については、町民の皆様方に分かりやすく公開するとともに、各課で共有し、財政運営の健全化をより一層進めてまいります。
 続きまして、新地方公会計制度について、ご報告申し上げます。新地方公会計制度とは、地方自治体の現金主義、単式簿記に基づく現行の会計処理に、発生主義、複式簿記といった企業会計的手法を導入するもので、「公会計改革」とも呼ばれており、財政の透明性を高めることが期待できる制度であります。
 なお、当町では、平成17年11月に策定した「第3次吉田町行政改革大綱」において、推進項目の1つに「財政健全化」を掲げ、これまでも健全な財政運営に努めてまいりました。自立した、持続可能な行政運営を行うためには、既存の経常収支比率など現金収支にかかる過去の情報を中心とした財務指標だけでなく、財政状況を総合的かつ長期的に把握するための企業会計的手法が必要であると考えます。「町民、納税者」といったより受け手側に立った視点をこれまで以上に重要視し、現在、公表されている「歳入歳出決算書」及び「財政状況一覧表」などの帳票に加え、資産や債務の適切な管理を中心とした公会計改革を行うことにより、説明責任を的確に果たす手立てを準備し、より効果的な行政運営に努めてまいります。
 次に、健康づくり事業について、ご報告申し上げます。
 生活習慣病や身体活動の低下を予防し、健康の保持増進を図る手段として、ストックウォーキングを中心とした「若返り貯筋塾」を開催しており、「サポーター養成講座」と第1回「実践教室」を終了し、毎月1回の「体験教室」を実施しているところです。さらに、10月には第2回「実践教室」の実施を予定しております。
 また、9月23日には、スポーツキャスターの荻原次晴氏をお招きし、「歩くことで続ける健康」の御講演とストックウォーキングの実技指導をしていただくことになっております。町民の皆様方に健康づくりの輪がより一層広がるよう多くの方々の参加を期待しているところです。身体の内側からの変化や肩こり、疲労回復などを体感するヨガ講座は、平日と日曜日にそれぞれ前期の1教室ずつを実施したところです。両教室とも定員以上の申し込みがあり、関心の高さがうかがえます。今回の教室参加者からは、継続して取り組みたいといった希望があり、平日教室、日曜日教室ともに自主グループが立ち上がり、活動を開始したところです。今後、ダンベル体操の自主グループのように継続し、地域に定着した活動になるよう支援してまいりたいと考えております。なお、ヨガ講座につきましては、10月から後期の教室を開講する予定にしております。
 次に、子育て支援事業について、ご報告申し上げます。
 最初に、吉田町立さゆり保育園の改築工事でございますが、本工事は、平成20年第2回吉田町議会定例会において、工事請負契約の締結についての議決をいただき、6月22日に、安全祈願祭が執り行われ、7月には保育園本体の建築確認の許可をいただきました。
 現在の工事の進捗状況でありますが、目下、園庭、駐車場、排水路などの外構の整備が完了しつつあり、開発区域内の雨水排水経路を確保できるまでになっております。
 一方、社会教育の一環として進めております子育て支援事業でございますが、町では、地域との連携により子どもたちの居場所づくりのために、「子どもをはぐくむ地域教育推進事業」や「ふるさと学級」などの事業を行っております。
 「子どもをはぐくむ地域教育推進事業」は、既に、川尻区や北区で行われておりますが、本年度から、新たに片岡区で事業を始めました。
 この事業の目的は、地域で活動する団体あるいは個人が、それぞれ行っている子どもにかかわる行事を調整して合同で行い、様々な体験を通して住民主導による地域の子どもをはぐくむ体制づくりを進めることであります。
 片岡区では、コミカレねっとわーく・町内会長・生涯学習推進員などの皆様が中心となり、「片岡きらめき塾」という名称で「子どもをはぐくむ地域教育推進事業」を行っております。8月2日の土曜日には、片岡会館や小山城駐車場で七夕づくり、スイカ割り大会、花火大会などの行事が盛り込まれた「片岡きらめき塾 夏まつり~涼のひととき~」を行い、約160人の親子が参加し、楽しいひとときを過ごしました。また、11月には、片岡会館で、凧づくりやお手玉づくりなどの仮称「昔の知恵・手づくり大会」を開催する予定と伺っております。
 「ふるさと学級」は、農業体験を通して、自然とふれあい、五感を働かせることによって、豊かな感性をはぐくむ。また、お米や野菜を育てることによって、その苦労を知り、食べ物の大切さや食べることのありがたさに気づく。さらに、異学年の友だち、違う学校の友だちと一緒に活動することによって、自分の役割に気づいたり、相手を思いやる気持ちに気づいたりすることを目的に教室を開催しております。
 本年度は、住吉小学校と中央小学校の3年生から6年生までの29人の児童が参加し、「竹炭と蛍の会」の方の田んぼや畑を利用して、会員の皆様の指導のもとで「自然を体全体で感じよう」をテーマに稲作づくりを中心にトウモロコシや枝豆づくりを体験し、今後、さつまいもの収穫やお正月かざりをつくる予定でおります。
 このように子どもたちがさまざまな体験を通し、地域の方々とのふれあいを大切にし、地域の子どもたちが安心して集える居心地のいい居場所づくりに今後も邁進してまいります。
 次に、「ちいさな理科館」事業について、ご報告申し上げます。
 先の6月議会定例会におきましても、ご報告申し上げましたとおり、本年度の「ちいさな理科館」事業につきましては、建設委員会、運営委員会をそれぞれ立ち上げ、2回の建設委員会と4回の運営委員会を開催いたしました。今後とも継続して理科館の基本設計・実施設計に取り組んでまいります。
 また、8月9日には図書館北側広場におきまして、運営委員会の委員と町内小学校教諭、合わせて5人の方々によるサイエンス教室が実施されました。
小学生160人の参加申し込みがありましたが、抽選による40人が、スライムづくり、わたがしづくり、ペットボトルロケット、モーターづくりに取組みました。今回のサイエンス教室の実施には定員の4倍という、大変多くの参加申し込みがあり、子どもたちの理科への関心が高いことが窺われるところであります。サイエンス教室の実施により、申込者の傾向や実験に係る器具の調達や実験に要する準備、必要とする人員等、今後の理科館運営に必要な情報の収集を行うことができ、大変有意義なものとなりました。引き続き、このような教室を実施し、「ちいさな理科館」運営につきまして検討を重ねてまいりたいと考えております。
 次に、道路整備について、ご報告申し上げます。
 はじめに、都市計画道路東名川尻幹線の整備でございますが、現在、東名吉田インターチェンジから国道150号までの区間につきましては、主要地方道島田吉田線バイパスと位置付け、県が事業主体となり事業を進めております。このうち、東名吉田インターチェンジから富士見幹線までの区間につきましては、9月30日に供用を開始する予定と伺っております。今後は、富士見幹線から国道150号までの区間につきましても、早期に完成できるよう県に対して引き続き要望してまいります。
一方、国道150号から南側につきましては、町が事業主体となり整備を進めておりますが、路面排水工及び路盤工を主体とした工事を9月下旬に発注する予定でおります。
 次に、都市計画道路榛南幹線でございますが、現在、住吉幹線から海岸幹線までの区間を県と町の事業区間に区分けし、整備を進めておりますが、今年度予定しておりました用地取得につきましては、地権者の皆様のご協力により完了することができました。また、海岸幹線から、坂口谷川を渡り国道150号との合流地点までの区間につきましては、県が事業主体となり事業に着手しておりますが、6月27日に地元説明会を開催し、今後の計画を地権者の皆様に説明いたしました。この区間につきましては、平成25年の開通を目標に、今年度から用地取得を進める計画と伺っております。
 その他の道路につきましても計画どおり順次整備を進めることとしており、大幡川幹線につきましては、中央幹線との交差点から横手橋までの区間について、すでに工事を発注いたしました。また、中央幹線につきましては、町道西の宮線から町道本田線までの区間の工事を10月下旬に発注する予定でおります。
 続きまして、榛南広域営農団地農道整備事業について、ご報告申し上げます。
 この事業は、広域農道の整備でございますが、静岡県志太榛原農林事務所が事業主体となり、国50パーセント、県40パーセント、町10パーセントの負担割合で事業を進めており、各種事業で整備された土地基盤及び農業施設相互の連絡を図り、流通機構の改善を図ることを目的にしているものであります。
 吉田町内の県道住吉金谷線から旧相良町の国道473号までの施工延長、1万586メートルについて、昭和57年度に着手し、平成18年度までに、9,532メートル、事業費ベースで91.8パーセントを整備し、完成箇所については供用を開始しております。
 吉田ル―トにつきましては、東名高速に架かる前玉橋から中原・向原地域を経て、県道住吉金谷線のサークルKの交差点までの1,054メートルを幅員7.5メートルで新設するものでありますが、都市計画公園青柳公園から終点である住吉金谷線の交差点までの470メートル区間につきましては、北側に2.5メートルの歩道を町単独で設置する計画であり、平成23年度の完成を目指しております。この本体道路部につきましては、平成18年度から用地取得交渉に入り、地権者の皆様のご理解、ご協力により現在事業用地の90パーセントを取得することができ、町単独事業で設置する歩道部の用地につきましても、平成19年度をもって、全て取得することができました。
 本年度は、前玉橋から120メートル区間の切土工事と町道向原線から終点サークルK交差点までの290メートル区間の盛土工事のほか、120メートルの附帯排水路工事を併せて実施する予定でありますが、稲刈りが終わりました後に、工事に着手することになると伺っております。
 次に、公共下水道事業の整備について、ご報告申し上げます。
 地域再生計画に基づく汚水処理施設整備交付金を活用し、平成20年度から平成22年度までの3か年計画で下水道事業と浄化槽事業の整備を進めているところであります。
 本年4月1日現在における整備状況は、事業認可区域面積299ヘクタールに対し、198.28ヘクタールの整備を完了しており、町全体の人口普及率は33パーセントに達しております。また、現在の水洗化率は、約80パーセントと順調に推移している状況であります。
 さて、本年度に整備を予定している箇所でありますが、住吉地区では、吉田中学校西側の通学路を中心とした住吉上組地区を、川尻地区では、通称・大道を中心とした東中地区を整備していく予定であります。
 続きまして、上水道事業について、ご報告申し上げます。
 初めに、施設整備でございますが、第6期拡張事業である除鉄除マンガン施設につきましては、除鉄除マンガン装置、送水ポンプ、電気設備の設置等の工事を、また、第2浄水場につきましては、管理棟の築造、送・配水ポンプ及び電気設備の設置等の工事をそれぞれ6月に発注し、両施設とも本年度内に竣工する予定であります。
 次に、第6期拡張事業の関連工事でございますが、除鉄除マンガン施設関連の大幡住吉線導・配水管布設替工事、第2浄水場関連の東名大井川線外1路線導水管布設工事、東名大井川線外1路線配水管布設工事(第2工区)、塩谷上川原線外1路線送・配水管布設工事につきましては、本体施設同様6月に発注いたしました。また、東名大井川線外1路線配水管布設工事(第1工区)につきましても、今後発注を予定しております。
次に、第8水源の非常用発電機設置工事でございますが、7月に設計業務委託を発注しており、本年度内に完了させる予定であります。
 続きまして、老朽管の布設替事業として毎年計画的に実施しております石綿管布設替事業でございますが、日の出線外1路線配水管布設替工事(第1工区・第2工区)につきましては、5月に発注しております。今年度は、このほか、古川川尻線配水管布設替工事を発注する予定であります。
 最後に、他事業に伴う水道管の布設及び布設替工事でございますが、5月に発注しております県関連の榛南幹線管理道配水管布設工事のほか、道路改良事業関連、公共下水道工事に伴う配水管布設替工事を発注する予定であり、各事業関係者と連絡を密にし、十分な協議、調整を図りながら、事業を進めてまいります。
 次に、旅券窓口交付事務について、ご報告申し上げます。
 平成18年3月の旅券法の一部改正に伴い、都道府県が処理する旅券事務を市町に委譲することが可能となりましたことから、県では事務処理特例条例を制定し、旅券の申請・交付事務を平成20年9月1日から市町へ委譲することとし、中部県民生活センター内の藤枝旅券センターが8月29日に閉鎖されることとなりました。これに伴い、当町でも、9月1日から町民課に旅券窓口を開設し、旅券の申請・受取事務を実施したところであります。
 取扱日については、月曜日から金曜日とし、取扱時間は、問い合わせや書類審査に時間を要することから、午前9時から午後5時までといたしました。日曜日につきましては、総務省の住民基本台帳ネットワークシステムが稼動していないことから、中部県民生活センターへの問い合わせができませんので、申請・受取事務は実施しておりません。なお、近隣市町でも、吉田町と同様の時間帯で開設しております。
 町で申請し、受取られる場合でも、必要な書類等は従来どおりですが、受取は、申請した日から数えて、土・日・祝日等を除いた8日目以降となります。
 なお、旅券窓口交付事務の開設については、既に8月の「県民だより」や「広報よしだ」でお知らせさせていただいております。
 近年、「修学旅行を海外に」という高校が増加していることや富士山静岡空港の開港が来年3月に予定されておりますことから、旅券の申請は今後、ますます増加することが予想されます。町では、町民の皆様方に対して、今後とも利便性と住民サービスの向上に努めてまいる所存です。
 次に、静岡空港の現状について、ご報告申し上げます。
 静岡空港の整備状況につきましては、空港の基本施設である滑走路、誘導路、航空灯火等が8月末に完成し、来年1月には旅客ターミナルビルの竣工を予定するなど、平成21年3月の開港に向け着々と整備が進められております。
 現在、静岡県では、空港基本施設の検査を受けるため、完成検査書類の作成を行い、10月、11月の2か月の間に、国土交通省航空局による地上検査と飛行検査を受ける予定と聞いております。町民の皆様方が大変関心をお持ちになられております飛行検査の時期等につきましては、詳細な内容が分かり次第、お知らせしていきたいと考えております。
 また、開港前のイベントでございますが、11月8日、9日の2日間に亘り「スカイ・レジャー・ジャパン&エアポートフェスタin2008」が空港建設地で開催されます。静岡空港開港への一層の期待感の醸成と開港後の利用促進を図ることを目的に開催されるイベントです。来場される多くの皆様に当町を知っていただく良い機会になると考えておりますので、関係団体と協力し、積極的に当町をPRしてまいりたいと考えております。
 最後に、中山三星建材(株)工場跡地買収事務検証結果報告に関する事項に係る監査結果報告についての当局の考え方や議会にお願いしたい事項などを述べさせていただきます。
 そもそも、当局が中山三星建材(株)工場跡地買収事務を検証することといたしましたのは、この土地の利活用を進めるために当時の事務処理を確認する必要に迫られ、書類を探しました結果、信じ難いようなずさんな処理経過であったことが分かり、議会に調査を要請させていただきましたが、議会がそれに応じなかったことに端を発しております。
 行政財産として議会の議決を経て取得した財産を売却することは、当時の議決に反することであります。このため、当局としては、過去の議決を尊重し、この土地を行政財産として活用すべきかどうかについて議会のご意見をお伺いしながら判断しなければならないと考え、その場合の議会の判断材料としていただくために事務検証を進めたわけであります。
 その検証の結果、利用目的も定めずに曖昧な形で購入したことが明らかになったばかりか、町が取得するようになった経過の中にも説明できないような多くの問題点が存在することが露呈してまいりました。
 議会では、こうした状況を踏まえ、本年5月15日に調査特別委員会を設置され、また同時に、監査委員に対して監査請求を行い、中山三星建材(株)工場跡地買収事務の調査に踏み切られましたので、これで、当町の事務が正常化され、町民の皆様方に説明できる状況のもとで安心して事務を進めることができるようになると大いに期待したわけであります。
 しかしながら、議会の監査請求に基づく監査結果報告書が6月20日に公表され、その内容を目にして愕然といたしました。
 本来公正中立な立場で、行政に対して間違いのない事務処理の遂行を指導しなければならない立場にある監査委員が、監査結果報告書の中で、自らの文章として、本来付与されるはずのない「利害を調整する立場から」の監査であり、利害を調整するために総括所見を述べたことを明記した報告書を公表されました。そして、取得後の行政上の利用目的も定まっておらず、一貫性のない取得目的であることについても許容し、PCBの処理問題も抱え込んだ建物や物件の取得についても、「町の利益になった」との不可解な見解を示し、最後には、「司法の手に委ねるような金銭の授受は見当たらない」と、監査委員の特異な感覚に基づく文脈を用いて、当時の一連の事務を容認する内容を綴っておられます。さらには、議案上程手続きや起債申請手続きなどの事務的な部分においても、明らかに一般常識と異なる見解を示されました。
 さらに驚愕したのは、可能な限り適正な事務処理に近づけようとする当局の試みを惑わすような不可解な報告を行った監査委員が、詳細な説明を求める当局や住民の声にも一切応じないという傲慢な振る舞いを目の当たりにいたしたことであります。民主政治が定着して幾久しく、さらに透明感のある行政運営を求める声が高まっている昨今において、今行われている当町の監査委員の対応や問題を直視しない議会の対応が現実の出来事であるのかと疑わざるを得ませんでした。
 当局は、この監査結果報告書は、法的又は実務的に誤りのある見解が多々記述された不適切なものであると確信しており、誤った見解が流布されることによって、行政事務に混乱をきたし、町民の利益が損なわれるような事態を引き起こすようなことがあってはならないと危機感を募らせております。
 このため、今定例会を前にして、議会でも、この監査結果報告書が、多くの不適切な内容が記述された信憑性に欠けるものであると認識され、当局が抱いている疑義を解き明かしていただき、正しい見解が広く町民に示されるよう早急に意見を付して公表していただくよう要望する内容の文書を議長宛てに提出させていただきました。
 目下、この監査報告書に関して、監査委員と当局とが直接話し合える場を持つことができない状況でありますので、監査委員が、どのような根拠に基づいて結論を導き出されたのか、どうして誤りのある見解を公表されたのかも不明のままでありますが、出来得ることならば、今からでも、監査委員に御教示賜わり、その結果として、当局が改めるべきものがありますれば、監査委員に正していただき、町民の皆様方の利益を損なわないようにしてまいりたいと存じますので、議会としても、趣旨をご理解いただき、特段のご配慮をお願いしたいと存じます。もし、これが叶わない場合においては、監査報告書を受け取られました議会が監査委員に代わって当局をご指導賜りますよう重ねてお願い申し上げます。
 目下、中山三星建材(株)工場跡地は、企業誘致のために売却しようとしており、購入してくださる企業を探しているところでございますが、現在のように、当局の検証結果報告と監査委員の監査結果報告とが相反する内容となっている状況では、当局としても、売却のための事務を進めるには一抹の不安があります。また、議会としても、今後提出される財産の売却に関する議案の審議が難しくなるのではなかろうかと心配もいたしております。議会も、当局も、町のため、町民のために行政運営を担っておるわけでございますので、いずれにいたしましても町民の皆様方が納得される選択を行わなければなりません。
 そのためには、町民の皆様方に分かり易い情報を提供し、それぞれの結論を持っていただくようにしなければなりませんので、是非とも、議会には、次の5点について明確な見解を町民の皆様方に披瀝していただく必要があると考えます。
 まず1点目は「中山三星建材(株)工場跡地の取得は、地方自治法などに定められた行政財産としての取得要件を満たしていたのか」、2点目は「中山三星建材(株)工場跡地を工場用地として売却することの是非は」、3点目は「売却は非であるとしたら、その具体的な利活用方策は」、4点目は「中山三星建材(株)工場跡地を取得したことによって町民は損害を被っていないのか」、5点目は「損害を被っているとしたら、その損害をどのような形で補填すればよいのか」でございます。
 当局としては、議会が、この5点についての見解を公表し、その見解を町民の皆様方が容認される状況となったときに、ようやくこの問題を収束できるのではないかと考えております。
 今後二度と基本原則を恣意的に捻じ曲げることがない信頼感のある行政運営が持続される町にするよう当局は精進してまいりますので、議員の皆様方も、こうした意識を当局と共有していただき、町民の代表として大いに奮闘されますことを切に期待しております。
 以上、現状の町政の一端を紹介させていただきましたが、我が国の行財政のあり方が大きな転換期を迎え、地域の自主性が求められる中で、わかりやすい行財政運営はもちろんのこと、町民の皆様方が納得し、将来にわたって幸せを実感できるまちづくりを行わなければならないと考えておりますので、議員の皆様におかれましても、町政運営の趣旨をご理解いただき、ご協力を賜りますようお願い申し上げ、本定例会の行政報告といたします。