2007年3月5日 作成

平成19年第1回吉田町議会定例会(平成19年3月5日開会) 町長の施政方針

 平成19年第1回吉田町議会定例会の開会に当たり、新年度に向けまして、所信の一端を申し上げます。
 今、我が国では、様々な局面において構造的な破綻を目の当たりにしております。
ここで、私が町長に就任した約4年前を思い起こしていただきたいと思います。その頃、私は、「今から財政破綻する地方自治体が出ますよ。」と申し上げ、町民の皆様方に訝られたことを覚えております。そして、一般の目から見て不透明感のある入札制度の改革を訴え、「談合を行えない抽選型の入札制度を導入する」ことを表明して、業者の方々から猛反発を受けたことを思い出します。
 しかしながら、今の日本に起っていることは、正に私が4年前に皆様方に申し上げたことです。こうした状況は、中央政界の動きを凝視しながら政治に携わってきた者であれば、誰もが予想できたことなのです。当町では、4年前から、これからの町政運営に影響を及ぼす情報の収集を活発に行い、国が進める行財政改革や地方分権に対する影響を予測し、独自に、現在目の当たりにしている地域間競走を生き抜くための備えを行ってまいりました。今の地方自治体のリーダーには、経営力が求められております。そして、講じる施策の方向性は、確実に住民の幸福に直結するものでなければなりません。その方向性を誤れば、自治体そのものを窮地に追い込むことになりかねない大きな岐路に立っております。そして、その路は、それぞれの地方自治体によって異なります。只今のところ、当町の財政は、大変恵まれた状況にあり、基盤整備も進んでおりますので、この状況を踏まえて、今後の町民の幸福を考えるという視点を持たなければなりません。そして、将来を展望して、「吉田町に住むみんなが幸福になれる道」を歩むことができるように町政運営を考えていくことが大切だと考えます。
 平成19年度の当初予算は、こうしたことを念頭に置きつつ、財政運営の健全化を促進するとともに、町の体力を総合的に高めることを目指した予算といたしました。施策的には、特に、「子育て」、「健康づくり」、「教育」の三点を重視したほか、「安全」、「地方分権時代を担える人材育成」などにも配慮しながら編成いたしました。そして、「身の丈に合った予算」を確実に達成するため、これまでのような歳出を積み上げて全体の財政規模を決定する編成方法を取り止め、予め歳入の規模を見積もり、その歳入総額の範囲内で各課に予算枠を配分し、事業担当課において事業の優先順位を決定する方法に改めました。この方法であれば、過剰な歳出を予定することができず、無秩序な地方債の発行や基金の取り崩しが発生せず、予定できる収入の中で、必要な事業を効果的に執行することができることになります。こうしたことができるのも、町税が、収入全体の72.7パーセントと高い割合を占めている当町ならではのことであると自負しております。
 それでは、平成19年度当初予算の概要と事業内容を申し上げます。
 平成19年度当初予算の総額は、平成18年度より約7.3パーセント減となる81億7,400万円といたしました。
 歳入の特徴を申し上げますと、平成19年度は、好調な景気に加え、国税である所得税から地方税である住民税への税源移譲が達成されたことなどから、町税収入が前年度と比較して約4億円多い約59億4,000万円という過去最高額を計上させていただいた反面、税源移譲に伴って所得譲与税が廃止されたことから地方譲与税が2億2,700万円減額となったほか、自彊小学校体育館建設事業などが終了したことから、国・県支出金が2億1,500万円減額となっております。また、枠配分方式で予算編成を行った効果などから、町債の発行額を前年度と比較して2億3,630万円減額できたことに加え、基金の一部を取り崩し財源の一部に充当する、いわゆる基金繰入金を予定していないことが大きな特徴と言えます。
 次に、歳出面でありますが、事業展開の構想を交えながら申し述べさせていただきます。
最初に子育て支援事業でありますが、当町におきましては、安心して子どもを産み、健やかに育てる上での一貫した経済的支援を行うため、乳幼児医療費の完全無料化、妊婦健康診査費の助成、不妊治療費の助成を次々と実施してまいりましたが、疾病の慢性化の予防と保護者の経済的負担の軽減を図るため、平成19年4月からは、乳幼児医療費助成制度をさらに拡大し、現行の対象者を小学校6年生まで引き上げ、町単独で、児童医療費助成制度をスタートさせることといたしました。この制度発足により、現行の乳幼児医療費と同様、小学校6年生までの医療費につきましても完全無料化となりますが、小学生の医療費に係る助成金の支払いについては、医療機関での混乱を避けるために償還払いとすることを予定しております。この事業拡大分として、約3,400万円を計上いたしました。
次に、働く親御さんの子育て支援である放課後児童クラブ室の建設でありますが、平成19年度には、自彊小学校区への建設を予定しております。放課後児童クラブ室は、平成13年度の開設以来、年々需要が高まっており、地域子育て支援センター事業や土日保育などとともに、総合的な子育て支援事業の一環として定着しております。児童や保護者が安心してサービスを享受できる放課後児童クラブ室につきましては、今年度、住吉小学校区への設置を終わり、中央小学校区では、中央児童館がその役割を担っておりますので、自彊小学校区への建設が終わりますと、すべての小学校区に町の施設が整うことになります。自彊小学校区への放課後児童クラブ室の建設事業費として約2,500万円を計上いたしました。
その他のハード面の子育て支援事業といたしましては、さゆり保育園の耐震化改築事業の着手を予定しており、平成19年度の当初予算には、約1,000万円の設計委託料を計上させていただきました。さらに、わかば保育園に、地域子育て支援センターを設置する予定であります。このセンターでは、子育て不安の解消を目的とした育児相談や専門相談員による発達障害児相談、そして、家族の支援などを行うとともに、親子が自由に集うことができ、交流のできるスペースを提供するほか、子育てボランティアなどのサークル活動の場としても活用していただくなど、身近な地域の子育て支援の拠点にしてまいりたいと考えております。
 一方、社会教育の一環として進めております子育て支援事業でありますが、平成19年度においても、「人と人とのかかわり」を通した青少年への支援体制づくりを進めるため、多くの町民の皆様方に黄色のベストを着用していただきたいと考えております。地域の大人の多くが黄色のベストを着用し、青少年に対して温かい眼差しを向け、耳を傾け、声を掛け、積極的にかかわっていただき、「吉田町笑顔いっぱい運動」の輪をさらに大きく広げていただけるように努力したいと考えております。また、学校休業日には、地域の大人が講師を務め、子ども達が、趣味や興味のあることにチャレンジし、地域の人々や自然とふれあい、心豊かで逞しくなることを期待して実施する「吉田町チャレンジ教室」などの事業内容もさらに充実を図り、地域の子どもは、地域で守り育てる環境を醸成してまいりたいと考えております。
 続きまして、健康づくり事業について申し上げます。
 まず、平成19年度には、新たに老若男女を問わず、誰もが踊れる町のオリジナルダンスの創作を予定し、約1,000万円の創作費を計上させていただいております。このオリジナルダンスが出来上がりましたら、吉田町ダンス・健康づくり推進委員会のメンバーや吉田町キッズダンスチームを中心に、定期講習会や出前講習会を開催して、パンサーやペコリナイトとともに町内に普及させ、みんなの元気を醸し出すようにしたいと考えております。
 また、女性を対象に平成18年度から始めました「幸せサンデーヨガ」を継続するとともに、平成19年度には、中高年の皆様方を対象に、大学と提携して組織的かつ科学的に健康づくりをサポートする事業をスタートさせる予定であります。
さらに、高齢者向けの健康づくり事業といたしましては、新たに肺炎球菌予防接種料金の一部公費負担を予定しております。高齢になるほど体力が低下し、免疫力が弱まりますので、肺炎は、高齢者の死亡原因の代表的なものとして上げられております。このため、ワクチンを接種し、肺炎球菌に対する免疫を高めることは、高齢者の健康を保持するために有効な手立てといえます。しかし、予防接種法では、この肺炎球菌の予防接種は任意の予防接種となっておりますので、本来は、全額自己負担となりますが、健康づくりを推進する当町では、70歳以上で希望される町民の皆様方が肺炎球菌の予防接種を受けられた場合には、その料金の一部を公費負担するという特化したサービスを展開してまいりたいと考えております。この予防接種の効果は、5年以上持続するということですので、高齢者に肺炎球菌の予防接種を普及することによって、肺炎の感染率を飛躍的に低下させ、元気で活動的な高齢者が集うまちの実現のために大きな役割を果たしてくれるはずであります。そして、この予防接種が、結果として医療費の抑制につながるものと確信しております。
 次に、健康づくり関連の事業として、高齢者福祉及び介護保険事業について申し上げます。
 平成18年4月に改正されました介護保険制度では、介護予防重視型システムへの転換が柱になっておりますが、この制度改正を受け、介護保険事業は、要支援者への介護予防給付の実施や地域支援事業にも大きなウエイトを置くようになり、当町でも、将来要介護状態に陥るおそれがあると思われる特定高齢者の把握に努めるとともに、介護予防サービスメニューの充実などを進めてまいりました。
そして、地域包括支援センターでは、介護予防プランの作成、高齢者虐待や権利擁護に関する相談などの地域ケア事業を展開しております。当町では、平成19年度の当初予算で、介護保険事業特別会計に約2億円の繰り出しを予定しておりますが、虚弱な高齢者やその介護者が不安を抱くことがないような環境づくりを進めるとともに、介護保険サービスを受給しない元気な高齢者が集うまちづくりを目指す、両面のサービス体制をさらに充実させてまいります。
 次に、後期高齢者医療制度についてでありますが、平成18年6月に健康保険法等の一部が改正され、平成19年度をもって現行の老人保健制度がなくなり、平成20年度から75歳以上の方につきましては、新たに創設された後期高齢者医療制度で医療を受けるようになってまいります。この制度は、都道府県ごとに設置される後期高齢者医療広域連合で運営されることになっており、ご承知のとおり、当町も、静岡県内の市町が加入する広域連合に加入いたします。平成19年1月15日には、県内全市町の首長の連名で、静岡県知事に対して設置許可申請を行い、1月23日に許可を得て、2月1日に、静岡県後期高齢者医療広域連合が設置されました。この制度では、保険料を徴収することになりますが、この徴収事務などにつきましては市町が行い、財政運営や保険給付などにつきましては広域連合が実施することとなりますので、平成19年度につきましては、町民の皆様方が不安を抱かないような円滑な制度移行に努めてまいりたいと考えております。
次に、障害者施策について申し上げます。只今、当町では、独自に障害者施策に取組むための指針となります障害者基本法に基づく「吉田町障害者計画」と障害者自立支援法に基づく「吉田町障害福祉計画」の策定を進めており、間もなく出来上がろうとしております。さらに、平成19年度には、住民と行政とが協働し、地域福祉を推進するための新たな体制を築くことを基本理念とする「吉田町地域福祉計画」の策定を目指しております。こうした計画を策定していく中で、計画を具現化するための拠点施設の設置を望む声が上がっておりますので、平成19年度当初予算には直接的に反映しておりませんが、関係する諸団体の皆様方などのご意見も十分に拝聴しながら、今後において、身体、知的、精神の三障害に係る皆様方を支援できる拠点施設の建設に向けて、前向きに取組んでまいりたいと考えております。
 次に、教育関係について申し上げます。
はじめに、当町の教育指針となる「教育吉田21」についてでありますが、今年度は、常葉大学の鈴木三平教授を会長とする策定委員会を組織し、原案づくりを行っていただきました。この原案には、教育施設の充実、家庭教育を初めとする生涯学習の充実など多様な内容が盛り込まれており、早急に対応しなければならないメニューや将来を展望してのメニューなど大所高所に立ったものであります。只今、教育委員会では、この原案をもとに「教育吉田21」の策定を進めておりますので、策定後におきましては、広く町民の皆様方にお示しし、実現可能なものから順次実施してまいりたいと考えております。
なお、平成19年度当初予算には、「教育吉田21」の原案に盛り込まれている「ちいさな理科館」の建設に向け、300万円の調査費を計上しております。「最近の子ども達は理科が苦手」と言われ、マスコミなどでも、子ども達の理数系科目に対する苦手意識が取り沙汰されております。しかし、理科の実験や観察を行うときの子ども達の目は好奇心にあふれております。理科の観察や実験は好きでも、「それを考察することは嫌い」ということではないでしょうか。そこで、子ども達の探求心に刺激を与えるような実験の機会を、より多く与えることにより、子ども達に少しでも理科に対して興味を持たせ、当町の子ども達の理科離れを減らし、子ども達がより多様な道を選択することができるような環境をつくってまいりたいと考えております。
次に、学校図書館事業についてでありますが、本は子ども達の感性を育み、知性を育て、人生を豊かにするものであります。また、現代のような、めまぐるしく変化していく情報社会を生き抜くためには、あらゆる情報を読み取る「読解力」を子ども達の身につけさせることが必要であると考えます。このため、当町の小中学校では、図書を利用した「調べ学習」を積極的に推進しております。平成
16年度には、国の3か年事業でございます学校図書館資源共有ネットワーク推進事業の地域指定を受け、町内4小中学校と町立図書館による図書等の相互利用の促進を図る体制づくりを進め、図書を利用した事業実践を行ってまいりました。今年度をもってこの指定は終了いたしますが、平成19年度には、これまで取組んできた図書を活用した授業の充実に加え、子ども達が読書に集中できる環境を整えるため、各学校の図書室に空調設備を設置する工事費約1,200万円を計上しております。
次に、小中学校施設などの教育施設への除細動器設置についてでありますが、学校施設は、学校教育や社会教育の活動の場として、多くの皆様が利用しております。このような施設において、突然人が倒れ、呼吸をしていない、脈がない、こんな状況が生じた時、周囲の人たちにできることは、気道確保、人工呼吸、心臓マッサージといった心肺蘇生法を施しながら救急車の到着を待つことであります。この場合、1分以内に除細動を行うと約9割の方が、そして、3分以内に行うと約7割以上の方が社会復帰できるといわれております。このため、各学校のほか、総合体育館と中央公民館に除細動器を設置するための予算約200万円を計上しております。
続きまして、特別支援教育についてでありますが、平成18年6月15日の衆議院本会議において、「学校教育法等の一部を改正する法律案」が可決、成立し、本年4月より、特別支援教育が開始されます。今までの障害者教育は、障害のある子に対し、単にどう教えるか、どう学ばせるかという視点で、養護学校、養護学級に在籍する子どもを対象として捉えておりましたが、今回の改正は、さらに踏み込んで、障害をひとつの個性として捉え、「支援を必要としている子」が、年齢とともにどう成長、発達していくか、そのすべてにわたり、本人の主体性を尊重しつつ、普通学級に在籍する子どもも含め、一人ひとりに対応した教育の一層の充実を図ろうとするものであります。また、従来の学校教育法の規定においては、障害児の定義は狭く、言語障害児や情緒障害児はもとより、学習障害や注意欠陥多動性障害の子ども達は含まれておりませんでしたが、今回の改正では、そういう子ども達に加え、不登校、不適応、身体虚弱者までをも含めて、発達の支援をしていこうとするもので、発達支援には、学習のほかにも生活面での支援、進学及び就職支援なども含めて、個々のニーズに応じた配慮と支援をしていくこととなりました。町においても、近年、児童生徒の障害の重複化や多様化に伴い、支援を必要としている子ども一人ひとりへの木目細かな対応や学校と福祉や医療機関等との連携の強化が求められている状況に鑑み、専門的知識を持つ就学指導員の設置を予定しております。また、子どもやその保護者が気軽に相談できるように、各小学校に配置しております「子どもと親の相談員」を中学校にも配置し、相談体制の充実を図ることも計画しております。
次に、確かな学力育成事業についてでありますが、内閣府設置の経済財政諮問会議が出しました、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」においては、基礎・基本の十分な定着、習熟度別少人数指導、地域の実情や子供の個性に応じた多様な教育・指導方法の工夫を進め、学習意欲の向上等、児童生徒の「確かな学力」の向上が求められているところであります。我が国の子どもたちの学力は、国際的に見て成績は上位にあるものの、勉強が好きだと思う子どもが少ないなど、学習意欲が必ずしも高くはないこと、また、学校の授業以外の勉強時間が少ないなど、学習習慣が十分身に付いていないことなどが問題とされております。このため「確かな学力」を身につけるための方策として、家庭教育の充実が効果的であると考え、平成18年度から吉田町内の小中学校に勤務する教職員で組織する吉田町教育会の主催で、子ども達の家庭学習の充実、家庭における親子の積極的な関わり、さらに、教員の能力向上につなげることを目的として、小学校の2年生から4年生の子ども達が算数でつまずきやすいポイントをわかりやすく保護者の皆さんに解説した「親のための算数おもしろ講座」を実施してまいりました。平成19年度には、この企画の対象をさらに中学生の保護者にも広げることを予定しております。
続きまして、図書館についてでありますが、図書館は、開館後8年目を迎えようとしております。当初の資料整備計画における目標蔵書数は10万冊であり、平成19年1月末現在の蔵書数が112,440冊となりましたので、目標を達成することができました。しかし、図書館資料の平均的な寿命は、概ね5年といわれておりますので、町の資料収集方針や除籍基準に合わせて、文化、教養、研究、趣味、娯楽に役立つ資料を幅広く収集し、適宜更新を行いながら、一層充実した学習環境を整えてまいります。また、平成19年度には、「子どもの読書活動の推進に関する法律」に基づき、2010年までに達成したい読書環境、読書活動の努力目標などを定める「吉田町の子ども読書活動推進計画」を策定することとしております。幼稚園、保育園、小中高等学校、健康づくり課、図書館協議会などから委員を募り、多様な見地からの意見を反映したより良い読書環境づくりを目指したいと考えております。
 続きまして、町の都市基盤整備関連事業について申し上げます。
 まず、道路網の整備についてでありますが、都市計画道路榛南幹線につきましては、現在、住吉地内において住吉幹線から町道中臨港線までの1,100メートル区間について、暫定2車線で供用開始しております。そして、只今整備に着手しております住吉幹線から海岸幹線までの980メートル区間につきましては、その620メートルを県の事業区間、360メートルを町の事業区間と区分けし、同時に整備を進めております。平成19年度におきましては、どちらの事業区間でも、平成18年度と同様に用地取得を行う計画となっており、当町では、国庫補助事業として5,000万円の事業費を計上いたしました。なお、県では、平成19年度に、海岸幹線から牧之原市にかけての区域の調査を行う計画を国に上げていると伺っております。また、県で施行しております町道中臨港線から二級河川湯日川右岸堤までの250メートル区間につきましては、平成19年度末までに工事が完成する予定であり、平成20年度から湯日川に架かる橋梁整備に着手すると伺っております。そして、川尻地内の問屋川から大幡川幹線までの区間におきましても、平成19年度末で工事完成と伺っており、県では様々な手法を使って、榛南幹線の早期完成を目指しているということが実感として伝わってまいります。
 次に、都市計画道路東名川尻幹線の整備についてでありますが、東名吉田インターチェンジから都市計画道路富士見幹線までの1,300メートルの区間につきましては、主要地方道島田吉田線バイパスと位置付けながら県が事業主体となって整備を進めているところであり、平成19年度末までの完成を目指して工事を進めていると伺っております。一方、国道150号から南側につきましては、町が事業主体となって整備を進めておりますが、平成19年度当初予算には、約6,700万円の事業費を計上し、水路の付け替えなどの工事を行う予定にしております。
 続きまして、都市計画道路大幡川幹線でありますが、目下、川尻地内において整備を進めておりまして、平成19年度には、約1億円の事業費を計上し、引き続き用地取得と一部の工事を計画しております。
 平成19年度におきましては、これら幹線道路の整備を図るため、平成18年度と比べ約3,000万円増額し、合計で約2億2,800万円の事業費を計上いたしました。
 一方、生活道路の整備につきましては、平成18年度において用地取得に取り組んできました町道西の坪大浜4号線でありますが、地権者の皆様方のご理解とご協力を賜り、計画区間のすべてにおいて用地取得が完了しましたので、平成
19年度に工事を実施し完成させる計画となっております。また、平成19年度の新規事業といたしましては、町道日の出向原線、町道中瀬高畑線の2路線の整備を計画しております。
 次に、河川整備についてでありますが、下流から国道150号まで改修を進めてまいりました大窪川につきましては、平成19年度当初予算に約1,600万円の事業費を計上して、改修事業を再開することといたしました。工事延長は、約50メートルでありますが、今後、上流に向かって毎年工事を進めたいと考えております。また、県施行となっております二級河川湯日川に架かるお夏橋の橋梁整備工事につきましては、完成の時期が平成19年10月頃になると伺っております。工事期間中、地域の皆様方には大変ご迷惑をおかけしておりますが、今しばらくお待ちいただきたいと思います。
次に、浜田土地区画整理事業についてでありますが、浜田土地区画整理組合の平成19年度の事業計画は、幹線道路沿いを主体とした事業展開を行っていただけると伺っております。事業の内容といたしましては、平成18年度に発注した都市計画道路榛南幹線の本体工事である支線成因寺川に架かる橋梁の下部工事を繰越工事として施工し、引き続き、この橋梁の上部工事を発注する計画であると伺っております。また、事業の進捗に合わせ、仮換地指定の作業も進める予定であるとも伺っております。町でも、これまでと同様、浜田土地区画整理組合に対する金銭的な助成や技術的援助を行い、事業推進に向けての支援を行ってまいります。
 次に、広域営農団地農道整備事業についてでありますが、この事業は、榛南地域における広域営農の振興や流通機能の改善、農業基盤の整備を図るため、志太榛原農林事務所が事業主体となって実施しておりますので、当町内での事業展開に限って申し上げます。農林事務所では、既に東名高速道路に架かる前玉橋付近から、町道向原3号線までの間の用地買収を進めておりますが、平成17年12月の地元説明会において、青柳公園南側附近の線形変更のご要望がございまして、今年度、用地測量及び設計の修正業務委託を発注いたしました。現在、作業が終了し、この区間につきましても、平成19年度から用地買収に入る予定であると伺っております。町では、県が施工する本体部分の買収に併せ、平成18年度と平成19年度の2か年で、青柳公園東側の町道向原線から県道住吉金谷線までの歩道部分の用地について買収を進めてまいります。この歩道部分の工事は、車道部と合わせ、農林事務所が一体施工することで経費の削減を図り、平成21年度の完成を目指しております。
 続きまして、公共下水道事業でありますが、地域再生法に基づく汚水処理施設整備交付金事業を活用し、平成17年度から平成19年度までの3か年計画で、下水道事業と浄化槽事業の整備を進めているところであります。3か年計画の最終年度となる平成19年度は、事業費に約6億1,100万円を計上し、面積で約19ヘクタール、管渠延長で約4.1キロメートルの整備を予定しており、住吉東村地区及び住吉上組地区と川尻東中及び西中地区を整備する予定であります。住吉地区につきましては、面積で約12.1ヘクタール、管渠延長で約1.7キロメートル、川尻地区については、面積で約6.9ヘクタール、管渠延長で約
2.4キロメートルの整備を計画しております。これにより、下水道事業と浄化槽事業を合わせた汚水処理人口普及率を41パーセントから51パーセントに向上させるという地域再生計画に掲げた目標は達成できる見込みとなりました。
 次に、上水道事業でありますが、平成19年度では、第6期拡張事業計画に基づく事業といたしまして、第2浄水場建替えに伴う配水池の築造工事と除鉄除マンガン施設築造工事を予定しており、資本的収支の建設改良費が約8億8,400万円と、平成18年度と比較して45パーセントほど増加しております。そして、老朽管の布設替えにつきましては、町道日之出町片岡辻線の国道150号交差点部から総合体育館までの492メートルの鋳鉄管の布設替えをはじめ、石綿管につきましても、全体で584メートルの布設替えを計画しております。石綿管につきましては、平成19年度末の予定残延長は3,681メートルとわずかになりますが、一日も早く布設替えを完了するよう努力してまいります。町民の皆様方の健康の源となる水道水の水質を良好に保つことは、大変重要なことでありますので、皆様方に安心していただける供給基盤を築くように積極的な取り組みを行ってまいります。
 次に、吉田漁港の整備についてでありますが、漁港の西側泊地岸壁は、築造後40年余りが経過しており、岸壁本体部の腐食による耐力低下が懸念されておりますので、平成18年度に、施設全体の健全度評価を行い、補修等の必要性を検証するための測量調査を実施いたしました。目下、この調査結果をもとに、最適な対策を講じるための工法を検討しているところであります。平成19年度につきましては、約8,000万円の事業予算を計上し、西側泊地2号岸壁の防食工事や、漁港内の航路及び泊地の浚渫工事、東側泊地の岸壁への安全施設設置工事、第9陸閘から東防波堤までの区間の道路補修工事などを実施する予定であります。
 続きまして、町の土地利用の基本概念を定義付ける「国土利用計画・吉田町計画」の見直しでありますが、ご承知のとおり、町では、平成18年度と平成19年度の2か年を費やして、平成4年6月に策定した「国土利用計画・吉田町計画」の見直しを進めております。平成18年度には、基礎調査、土地利用の分析、目標値の設定などを行い、計画素案作成までを実施いたしました。なお、この計画素案を作成するに当たりましては、「吉田町土地利用に関する住民意識調査」を実施し、住民の土地利用に関する意向を考慮しながら、県の国土利用計画を基本として、民間の開発動向、土地が有する自然的、社会的条件など様々な角度から分析し、検討を加えました。平成19年度につきましては、この調査の結果等を踏まえて作成した計画素案を、より地域の実状に即した質の高い内容になるよう修正し、県との調整を経て議会にお諮りしたいと考えております。
 また、町では、健全な土地利用を促進するためのもう一つの計画として、平成17年度から19年度にかけて「吉田町都市計画マスタープラン」の策定を目指しております。平成17年度には、住民アンケート調査と都市概況のまとめを行い、平成18年度には、公募による一般住民の皆様や各種団体の代表者に参画いただき、住吉、川尻、片岡、北区の4地域において、それぞれの地域ごとに地域別会議を開催させていただきました。地域別会議は、それぞれの地域のまちづくり提案をまとめていただくことを目的に計16回開催し、現況や課題を確認しながら意見の交換などを行い、目下、それぞれの提案を取りまとめる作業を進めております。平成19年度におきましては、平成17年度と平成18年度の活動を踏まえながら、4地区の地域別構想を策定し、さらに町全体の将来像や都市づくりの方向性を定めていくことになっております。今後のプランづくりには、平成18年度に参画いただいた都市計画マスタープラン地域別会議の代表者や他の有識者の方にも参画いただくように考えており、提案内容やプランの素案などにつきましては、広報やホームページで情報発信させていただきたいと考えております。
 次に、安全安心なまちづくりを進める施策について申し上げます。
まず、吉田漁港津波防災ステーションの整備についてでありますが、吉田漁港津波防災ステーションにつきましては、予想される東海地震での津波や台風での高潮による災害から吉田漁港背後地となる地域住民の生命と財産を守るため、陸閘と大幡川水門の一元的な遠隔操作や制御が可能となる防災上重要な施設を整備することとし、平成17年度から国と県の補助を受け、津波・高潮危機管理対策緊急事業として着手いたしました。平成18年度には、第1、第2、第4、第6陸閘の電動化工事の実施、現場機器の管理を行うステーションとなる「被制御所」内の受電設備機器の製作や被制御所から陸閘や水門までの配線工事の実施、東側泊地の出入り口となる第6陸閘付近への「被制御所」の建築工事の実施、地震計や遠隔制御子局の製作と据え付けなどの電気設備工事を実施しております。平成18年度の工事がすべて完了いたしますと、震度5以上の地震動を感知した場合、第1、第2、第4、第6陸閘が自動的に閉鎖するため、突発地震による津波災害にも即座に対応出来るようになります。これまで、地元町内会の皆様方に命がけのボランティアを期待するという大変苛酷な前提から、無人化への転換を図ることができ、地元の皆様方に安堵していただけるのではないかと思っております。平成19年度の整備につきましては、当システムの親局となる津波防災ステーションの遠隔操作システム詳細設計業務委託、被制御所からステーション親局となる役場までの光ケーブル敷設工事、大幡川水門の遠隔操作を行うための改良工事、現場設備工事などを実施する予定であります。
次に、同報無線子局設置についてでありますが、非常時の場合には、地震発生などの情報が正確かつ瞬時に町民の皆様方に伝達されることが大切でありますので、平成19年度当初予算には、約600万円の工事費を計上して、湯日川親水公園付近と北区日の出公民館付近の2か所に新たな同報無線子局を設置して、情報伝達機能を高めてまいります。国民保護法の施行などにより、町に集約される情報は、質量とも格段に豊富になり、到達速度も速まっておりますので、その情報を町民の皆様方に、適切に還元できる環境を整えるように努力してまいりたいと考えております。
続きまして、吉田町防犯まちづくり条例についてでありますが、町では、すべての町民が安全で安心して暮らせるまちづくりを推進するため、今定例会に条例案を上程させていただきました。この条例では、行政の責務はもとより、町民の皆様方や事業者の方々、土地や建物の所有者や管理者、建物の建築主など様々な立場の方に、それぞれ立場に応じた責務を担っていただき、みんなが協力して、犯罪のない安全で安心して暮らせるまちにしたいと願って定めるものであります。この条例の主役は、町内に居住し、又は町内で働き、学ぶすべての皆様方ですが、具体的な施策を進めるために、吉田町防犯まちづくり推進協議会を設置することとしておりますので、平成19年度におきましては、協議会の設置を行うとともに、実際に活動を実践してくださる方々を組織化する防犯まちづくりネットワークの構築を目指したいと考えております。
次に、地方分権時代を担う職員の育成についてでありますが、私は、町長に就任してから、常に職員に対し、「既に、我が国は地方分権の歩みの中にあり、地方が自ら考え、自ら事業を実施し、公の目で検証される時代にある。それに堪え得る地方自治体にならなければならない。そのためには職員のスキルアップが欠かせない。」と言い続けてまいりました。財政的な自立も極めて大事ですが、質の高い行政運営能力も兼ね備えていなければ、地方分権時代に町民の皆様方の負託にお応えすることは叶わないと思っております。このため、平成16年度以降、毎年職員研修予算を増やしてまいりましたが、平成19年度当初には、1,000万円の予算を計上いたしました。平成18年度でも、第三者機関を利用した研修や研修機関に自発的に出向いて必要な知識や技術を修得する研修などが活発に行われておりますが、平成19年度には、質の高い組織的な研修が実施できるように、また、職員の研修意欲に十分に応えることができるように予算を増額いたしました。
 さて、昨年来、当町では、かつて身近に感じたことがないような内容の様々な事件や出来事が発生し、これまで培われた価値観が一挙に揺らいだという印象を持たれた方も多いのではないかと思います。私も、このグローバルな社会の中にあって、地域の価値観だけで事の善し悪しを判断できる世の中ではなくなっていることを痛切に感じた次第であります。全ての手続きや判断基準が、公衆の感覚に適合するものでなければなりません。役場の事務につきましても、すべてのプロセスが合理的に説明できるものでなければならず、こうした感覚をすべての職員が共有する職場にしていくことが急務であると感じております。
 また、行政運営は、町民の皆様方にとってより良いものでなければなりません。町民の皆様方がそれを判断するためには、施策を決定し、実施し、その結果を検証するまでのプロセスを容易に見ることができなければなりません。高い透明性が求められます。これまでの当町の行政運営は、決して透明度が高いと言える状態ではないと感じておりますので、実際の事務処理に当たっては、そうした意識をすべての職員に定着させるとともに、保有する行政情報につきましては、公開できるものは積極的に開示し、行政運営の透明度を高めたいと考えております。
 続きまして、平成19年度における役場機構などの一部変更についてでありますが、まず、助役と収入役につきましては、地方自治法の一部が改正されまして、助役と収入役が廃止され、平成19年4月1日から、これまでの助役については、副町長となります。また、収入役の廃止に伴いまして、一般職の職員の中に会計管理者の職務が新たに設けられることとなりましたので、会計課長を以って充てたいと考えております。
一方、事務処理を担う組織機構の変更点でありますが、自治体の契約事務につきまして、国や県にとどまらず、市町村でも官製談合で摘発される例が頻発しております。こうした状況に鑑み、全国知事会では、都道府県と政令市については、1,000万円以上の入札は原則として一般競争入札によることや市町村でも当面1年以内に取り組み方針を定め、速やかに実施するように求める決議をしております。また、総合評価方式の導入についても、国や県から強力に要請を受けているところであります。当町では、平成15年度から、抽選型指名競争入札を導入し、談合防止に努めるとともに、制限付き一般競争入札も実施しておりますので、同じような規模の他の自治体と比較すると極めて透明性が高いわけですが、今後とも、談合防止を大前提とする姿勢は堅持しつつ、国や県の要請にも応える制度の構築を目指さなければならないと考えております。また、町には、中山三星建材株式会社跡地や住吉新田多目的広場用地のように、これまで、町民共有の資産であるとの意識を持って適正に管理されていない公有地があることは、厳に反省しなければなりません。町の資産について、普通財産はもちろんのこと、行政財産についても強い管理権限を持つ管理部門を設置する必要があると痛感いたしました。このため、平成19年度には、新たに契約管理課を新設し、概ね2年間でこれらの事務を整理する特命を与えることを予定しております。また、その他の事務処理体制の中でも小幅な修正は行いたいと考えております。
役場の組織機構につきましては、時代の要請に応じて臨機に変わるべきものであり、この激動の中にあって、また、行政運営が町民の皆様方の将来の満足度に大きな影響を与えようとしているときでありますので、絶えず、必要な修正を行って、より機動性を高めなければならないと考えております。
地方自治体は、税源移譲と権限委譲が進み、これから先、さらに格差が広がってまいります。さらに、合併を行った地方自治体が検証される時期も到来します。幸いにも当町は、町税が、収入全体の72.7パーセントを占める財政基盤のしっかりした町でありますが、一方では、平成18年度の実質公債費比率が21.6パーセントという県下で最も高い数値となった地方自治体でもあります。この実質公債費比率は、普通会計の公債費以外に、企業会計や一部事務組合の会計に対して繰出金や負担金として支出した公債費分も含めて算定されるものですが、当町の場合、自主財源が豊富であるが故に都市基盤整備などに積極的に投資した結果であり、その成果は、公共財という公の資産として残されております。また、石綿管の布設替えや学校の耐震化などもほとんど終わっておりますが、他の多くの地方自治体では、これから多額の経費を支出しなければならない事業が残っているのです。借金が多いと言って決して悲観する状態ではありません。しかし、できる限り早く、実質公債費比率を18パーセント未満に引き下げることを目標としなければなりませんので、平成19年度当初予算では、起債を抑えるとともに、5,000万円の繰上償還を予定いたしました。そして、財政運営の弾力化を図るため、他の多くの地方自治体が財政調整基金を取り崩して一般財源に充てている中、平成18年度において、財政調整基金に約3億7,800万円の積み立てを予定し、財政調整基金残高を約9億1,000万円にするように努力しております。さらに、平成19年度中には、中山三星建材株式会社跡地の売却を実現させ、一挙に財政の健全化を促進させたいと考えております。また、既に数件の実績を上げております企業誘致にも一層力を注ぎ、さらに財政力を高め、財政的な自立を確固たるものにするよう積極的な施策展開を行ってまいりたいと考えております。
以上が、平成19年度を迎えるに当たりまして計画しております事業概要や行財政運営の基本的な姿勢であります。議員各位におかれましても、高邁な見識のもと、真に町民の皆様方が幸福を実感できるまちづくりに向けて格段のご協力を賜りますようお願い申し上げ、結びといたします。