2006年9月4日 作成

平成18年第3回吉田町議会定例会(平成18年9月4日開会) 町長の行政報告

 平成18年第3回吉田町議会定例会の開会に当たり、町政運営の概況等をご報告申し上げます。
 さて、本年7月7日に閣議決定された「骨太の方針2006」では、名目成長率3パーセント程度を前提として、2011年度には国と地方の基礎的財政収支を黒字化するものとし、財源不足となる額16兆5千億円のうち、11兆4千億円から14兆3千億円を歳出削減で埋めることが明記されるとともに、地方交付税に依存しない自治体の増加を目指すことなども明記されました。これによって、大幅な歳出削減基調の中で、普通地方交付税の不交付団体を増加させようとする路線が明確化されたわけであり、国が主導する改革の進展に伴い、地方自治体の行政運営手法も大幅な変革を求められるようになることは容易に想像できるところであります。特に、現在において地方交付税を主要財源とする行政運営を行っている地方自治体につきましては、かつて経験したことがないような大規模な転換期を迎えるのではないかとも想像しており、これまでサービスの増大化や施設整備を競っていた地方自治体は、必然的に、自身の体質改善に努め、収入に見合った行政運営を着実に進めることが求められていると感じております。
 こうした難しい情勢を迎えている昨今、当町の状況を見ますと、本年8月17日に静岡県が公表した平成17年度国勢調査の確定値では、県内の26市町が前回比較で減少している中、当町の人口は4.2パーセント増加しており、長泉町、袋井市に次いで県下3番目の人口増加率となりました。また、財政面では、平成17年度の一般会計歳入歳出決算で、町税収入が55億3千万円と前年度比で5.5パーセントの伸びを示し、単年度実質収支は5億6千万円となりました。さらに、平成18年度の単年度の財政力指数は1.234となり、静岡県下で4番目に高い指数を記録することができました。大変有難い恵まれた状況にあります。
しかし、先月28日に、静岡県が公表した当町の実質公債費比率は21.6パーセントと高く、堅調な中とはいえ、決して余裕のある状況というわけではなく、引き続き自立した行財政運営を目指して鋭意努力しなければならない状況にあることは言うに及ばないことであります。
 さて、実質公債費比率でありますが、これは、国が考案した新たな財政指標の一つとなるものです。これまで、国は、地方公共団体が公共サービスを安定的に提供できるようにするため、地方財政制度の中に、地方債許可制度を設け、公債費等の負担割合が一定限度を超えた団体に対し、起債制限措置を講じてまいりました。これが、地方分権一括法の制定によって、地方債の許可制が廃止され、今年度からは、協議制に移行されることになり、地方公共団体は、総務大臣等の同意を得なくとも地方債を発行することができるようになりました。しかし、実質公債費比率が一定の率を超える団体については、引き続き許可を必要とします。この実質公債費比率は、その算定の対象に公営企業会計や一部事務組合の元利償還金等、いわゆる準公債費などが加えられたことにより、従来の指標である起債制限比率に比べ、高い数値となっております。この比率だけをもって、債務の重さを的確に把握することはできないため、数値が高いからといって、必ずしも財政が悪化しているとはいえませんが、県下で最も高い数値であることは、真摯に受け止めなければならず、さらなる行財政構造改革の推進に努めなければならないと決意を新たにした次第であります。
 それでは、こうした難しい環境の中で現に事業を展開しております当町の現状の事業進捗などについてご報告させていただきます。
 まず、子育て支援の一環として取り組んでおります放課後児童クラブについてご報告申し上げます。
放課後児童クラブの入所状況を申し上げますと、平成18年度には110人となり、平成15年度と比較すると約2.8倍に急増しております。特に、住吉小学校区では、入所者数が6人から22人と増え、新たな施設の設置が急務となっておりましたので、教育委員会や学校、PTAなど関係の皆様方のご理解を賜り、今年度開始早々から住吉小学校敷地内に放課後児童クラブ室建設に着手し、7月25日に完成させることができました。完成いたしました施設は、延べ床面積99平方メートルで、広々と有効に使えるようにワンフロアとし、45人まで収容できるものといたしました。8月1日に開所いたしました住吉小学校区放課後児童クラブ室は、今後ますますニーズが高まる子育て支援のサービス拠点として有効に活用してまいります。
 続きまして、「しずおか子育て優待カード事業」についてご報告申し上げます。
 この事業は、静岡県が、子育て支援策の一環として、市町と協働するとともに、地域・企業・行政が一体となって、子育て家庭を支援する気運や子育て家庭の安心感を醸成するほか、子どもと保護者とのふれあいを深める機会を提供することを目的として、本年4月から始めたものです。具体的な事業としては、18歳未満の子どもを持つ保護者及び妊娠中の方に優待カードを配布し、18歳未満の子どもを同伴した保護者や妊娠中の方が、静岡県内の協賛店舗や施設でこのカードを提示すれば、特典や割引などを受けられるというものです。9月1日現在、県下13市町で実施されておりますが、当町におきましても、この趣旨に賛同し、10月1日から「しずおか子育て優待カード事業」を開始することを目指して、7月には、商工会や商工関係団体等の皆様方に事業説明会を開催し、目下、協賛店舗の募集や取りまとめを行っているところであります。今後、当町では、こうした事業にも積極的に参加し、「地域ぐるみで子育て家庭を支え合う、より子育てに優しいまち」にするよう努力してまいります。
次に、町独自の子育て支援活動として、多くの皆様方にご協力いただいております「吉田町笑顔いっぱい運動」についてご報告申し上げます。
この運動の趣旨は、地域の子どもたちに、周りの大人の誰もが温かいまなざしを向け、耳を傾け、声を掛け、積極的にかかわることを通して、子どもたちの健やかな成長を手助けすることであり、地域の大人が積極的に子どもたちにかかわり、地域の子どもたちの健全育成に努めるとともに、「地域の子どもは、地域で守る」という意識を高めるために行っております。そして、この運動の趣旨に賛同していただいた町民の皆様方には、「吉田町笑顔いっぱい運動」と書かれた黄色のスタッフベストを配布して、活動に参加していただいております。具体的な活動としては、黄色のスタッフベストを着用した皆様方に、児童が登校する間、通学路や交差点に立って子どもたちの安全な登校を見守っていただいたり、ウォーキングや犬の散歩をしながら、下校する子どもたちを見守り、声掛けをしていただいております。また、中学生の保護者の有志が、0と5のつく日の朝、中学校の正門前で「あいさつ運動」を行ってくださっております。そして、大変嬉しいことに、中央小学校PTAの皆様方が中心となり、「学校安全ボランティア」を募集して、地域の子どもたちを健全に育み、犯罪から守る取り組みを行おうとする動きもあるなど、最近、子どもたちを見守っていただける町民の皆様方が急激に増えております。今後とも、吉田町の子どもたちが心身ともに健全に成長することができるように、「吉田町笑顔いっぱい運動」を多くの町民の皆様にご理解いただき、運動にご参加いただけるように努力してまいりたいと考えております。
 続きまして、学校教育関係についてご報告申し上げます。
 まず、親のための「算数おもしろ講座」について申し上げますが、この事業は、吉田町教育会と協力して行っているもので、小学校2年生から4年生の親を対象として6月29日、7月7日、7月14日の3回にわたって実施いたしましたところ、延べ104人の方々の参加がありました。この講座の内容は、子どもたちに、確かな学力と学習する習慣を身につけさせるため、算数科目において子どもたちがつまずきやすいポイントを示し、自宅学習方法やアドバスの仕方などを町内小学校に勤務する教職員が分かりやすく解説するというものです。特に、この年代における親の役割は、その子どもの人間形成を大きく左右するもので、家庭における学習指導は、コミュニケーションを行う機会を増加させ、子どもたちの学力を向上させる効果が期待されますので、今後とも、こうした企画を多く取り入れてまいりたいと考えております。
 次に、国際理解教育推進事業について申し上げますが、現代社会においては、人、物そして情報が国境を越えて活発に交流し、国家間や国民相互の依存関係がますます強まってまいりました。このようにグローバルな社会においては、国際的な視野で物事を考え、行動し、異文化を理解できる人の育成が肝要であると考え、今年度から、国際理解教育事業を開始することといたしましたことはご承知のとおりであります。この事業の講師として招致したイギリス出身の、ダニエル・ジェンクス氏は、その誠実で優しい性格が子どもたちに親しまれており、子どもたちに分かりやすい授業を企画するなど、期待に違わぬ着実な事業展開を行っております。授業は、1週間のうち3日を中学校で、残りの2日のうち火曜日は中央小学校、木曜日は住吉小学校と自彊小学校で交互に実施しております。さらに、小中学校教職員を対象に国際理解を深める研修を今月予定しており、中学校英語科教職員はもとより、他教科教職員や小学校教職員も身近に異文化に触れる機会を得ることができるようになり、全体的に国際理解が深まる素地ができつつあります。
 次に、情報教育についてご報告申し上げますが、今日、情報化社会の進展は著しく、既に我が国では社会のあらゆる分野に情報化が浸透し、情報技術革新は、私たちの生活様式を急速に変えつつあります。現代社会を生き抜くためには、このように私たちの生活に大量にもたらされる情報を活用する能力と正しい判断力が求められてまいります。このようなことから、当町におきましても、情報教育に力を入れ、各小中学校にパソコンを整備してまいりました。しかし、これらの教育用パソコンは、多数の生徒が使用するため消耗が著しく、機器に不具合が生じてきたこと、また、取り扱う情報量が増加し、現状機器では能力不足となってきたこと、さらに、一部にはメーカーサポートが終了しているソフトウエアもあり、今年の夏休みの間に、全ての小中学校の教育用パソコンを更新いたしました。今回、設置したパソコンは、各小学校へ21台、中学校へ41台、計104台で、情報教育基盤の大幅な充実を実現いたしました。
 次に、学校図書館資源共有ネットワーク推進事業についてご報告申し上げます。
 最近、子どもの「読書離れ」が指摘されておりますが、読書活動は、子どもが言葉を学び、感性や表現力を高め、創造力を豊かなものにしていく上で欠くことのできないものであります。このため、町内各小中学校へ司書を派遣するとともに、平成16年度から3か年事業で文部科学省の「学校図書館資源共有ネットワーク推進事業推進地域」の指定を受け、児童生徒の図書を活用した学習を推進しております。この事業は、町内の学校図書館や町立図書館等の蔵書の共同利用を促進し、自校にない本を活用した読書活動や調べ学習の充実、あるいは教育実践の共有化を図ろうという事業であります。これにより、各学校の校長、教頭、司書教諭、図書館長あるいは司書をまじえた学校図書館支援センター委員会を立ち上げ、町内の学校図書館図書の共有化の促進や教職員の意識啓発のための研修会やボランティア研修の実施など、限られた予算内での図書の有効活用に取組んでまいりました。今年度は、公開授業の実施、ボランティア研修の実施等を行うほか、11月には、石川県で実施される文部科学省主催の中部地区学校図書館活用フォーラムにおいて、活動発表を行う予定になっております。文部科学省の指定が終わった後におきましても、引き続き図書を活用した児童生徒の学習を推進してまいりたいと考えております。
 続きまして、広域通信単位制高等学校の設置についてご報告申し上げます。
 この高等学校の設置につきましては、昨年11月22日に総理大臣より吉田町教育特区計画の認定を受けてから、広報や地元説明会を通じて、町民の皆様方にご報告させていただくとともに、12月22日には、吉田町通信単位制高等学校審議会を設置し、学校設置等に関し審議を重ねていただきました。特区計画における学校の設置認可は、特区に認定された自治体の長が行うことになっております。すなわち、吉田町教育特区における株式会社立の広域通信単位制高等学校の認可は、吉田町長が行うことになり、さらには、学校教育法によって、町長が文部科学大臣に学校設置認可の届出を行うことになっております。このため、開校を予定する校舎の整備も完了し、審議会からも、学校設置は適当であるとの内容の答申をいただきましたことから、文部科学大臣に対し、高等学校設置認可の届出書を提出いたしました。既に、この届出を文部科学大臣が受理したとの連絡をいただきましたので、申請者に対しまして、9月7日に、広域通信単位制高等学校設置の認可を行う予定であります。
ご承知のとおり、設置される学校は、株式会社立の広域通信単位制高等学校で、県内初となります。新しい理念を持った学校を町内に設置でき、新たな人の交流が生まれることは、当町を広く全国に知らしめることにもなり、町を、より一層活性させる一助になるものと確信しております。
 次に、商店活性化事業についてご報告申し上げます。
 商工会では、商店活性化事業として、平成17年度にプレミアム商品券を発行いたしました。このプレミアム商品券については、額面1万1千円のお買物券を1万円で発行したもので、町内外の方々にご購入いただき大変好評を博しました。この事業に対しまして、町では、150万円の補助を行ったわけでありますが、この事業によって、町内の商店の消費量が増加したことを考えますと、経済的な波及効果はあったものと思っております。商工会では、今年度も、「吉田小山城小判」と銘打ち、おまけ付商品券を発行し、9月1日から12月31日までを利用期間として事業展開を図るようにしておりますが、町としても、地元での購買を促進して商店の活性化を図るために、今年度も同様に事業を支援してまいります。
 次に、町民の交通手段の一つである路線バスの退出意向についてご報告申し上げます。
 現在、本町周辺地域を運行している路線バスは、焼津吉田線、藤枝相良線、初倉線、特急静岡御前崎線の4路線22系統あります。しかし、これらの路線の多くは、自家用車の普及や各高等学校の専用バス運行などの影響を受け、バス利用者が激減している状況にあり、この度、運行事業者である、しずてつジャストライン株式会社は、県の生活交通確保対策協議会に対し、平成19年4月1日から、焼津吉田線の「大島新田」と「吉田町役場」との間の路線運行から退出したいとの意向を申し立てました。また、平日復路3便運行されている特急静岡御前崎線の住吉系統については、平成18年10月1日のダイヤ改正において廃止されるとともに、藤枝相良線が平日復路28便から21便へ減回され、初倉線が平日復路28便から23便へ減回されることが決定されました。この運行便の減回につきましては、事業者が通常行うダイヤ改正であり、利用者の実態に応じた運行回数に見直されることから、止むを得ないものと認識しております。しかし、焼津吉田線につきましては、通勤・通学をはじめ焼津駅へのアクセス、焼津市立病院への通院など、町民の日常生活の足として欠くことのできない生活路線でありますので、当町では、町民の皆様方が従来どおりの生活交通の利便性を確保できるよう、藤枝相良線への乗り継ぎが可能となる「宗高新町」までの運行を要求し、事業者に対し「要望書」を提出しております。しかし、しずてつジャストライン株式会社からは、この要望に沿い難い旨の回答が寄せられており、9月13日に開催が予定されている県の生活交通確保対策協議会でも、残念ながら、こうした方向で決定されるのではないかと危惧しております。
 続きまして、本年4月から予防重視型の制度となった介護保険事業についてご報告申し上げます。
 今回の制度改正では、施設給付の見直しによる「食事と居住費」が自己負担になったほか、「予防重視型システムへの転換」に伴い、要介護認定区分に要支援1及び要支援2が設けられ、介護予防給付が始まりました。また、新たに地域密着型サービスも開設されました。昨年10月から「食費と居住費」が自己負担になりましたが、低所得者の施設入所者等については、「利用者負担額の軽減」を行っており、この軽減分は、「特定入所者介護サービス費」として給付費に計上しています。しかし、施設入所者の増加に伴い、軽減対象の施設入所者も、当初見込みよりも大幅に増加している状況で、今回、給付費の補正をお願いせざるを得ない状況となりました。また、新しいサービスとして4月に指定した地域密着型サービスの「小規模多機能型居宅介護」の状況ですが、利用登録者25人、1日の利用者数15人の基準に対し、6月は登録者が14人、利用者は延べ227人、1日当たり7.6人でした。このサービスは、「通い」を中心として、利用者の状態や希望に基づき、随時「訪問」や「泊まり」を組み合わせて利用できるサービスですので、より有効にサービスが利用されるように事業の推移を見守ってまいりたいと考えております。
 次に、4月に設置いたしました地域包括支援センターについてご報告申し上げます。
 新予防給付の介護予防ケアマネジメント事業及び総合相談支援事業も日増しに増加しており順調に推移している状況であります。地域支援事業では、特定高齢者に対して行う心身の状態の悪化防止や改善の可能性を引き出すための介護予防として、運動器の機能向上事業、口腔機能の向上事業、栄養改善事業があります。「運動器の機能向上事業」には、トレーニング機器を使用したものと簡易な器具を利用したものがありますが、このうちトレーニング機器を使用したものにつきましては、委託先の社会福祉協議会が5月から実施しており、既に2つの教室が終了しております。また、これ以外の事業につきましても、今後順次実施していく計画になっております。地域の高齢者が、住み慣れた地域で安心して生活を営むことができるようにするため、さらに介護予防に重点を置き「健康長寿の町づくり」を目指すとともに、介護保険事業のより円滑な運営に努めてまいります。
 続きまして、国民健康保険被保険者証の個人カード化につきましてご報告いたします。
これまで、国民健康保険被保険者証は、被保険者世帯1世帯について1枚ずつ交付しておりましたが、次の更新時期となる本年10月から、加入している被保険者1人につき1枚交付されるようになります。これにより、今まで旅行や就労などにより長期にわたって住所地を離れ、他の家族と別れて生活するときや修学のため住所地を離れるときなどに、申出によって発行しておりました被保険者証につきましては、交付の必要がなくなります。そして、被保険者証の大きさも、これまでのものより小さくなりますので、その取り扱いは大変楽になります。
 続きまして、町民の安全と安心を確保するための施策についてご報告申し上げます。
 まず、吉田漁港津波防災ステーションの整備についてでありますが、この事業は、予想される東海地震での津波や台風での高潮による災害から吉田漁港背後地となる地域住民の生命と財産を守るため、陸閘と大幡川水門の一元的な遠隔操作が可能となる防災上重要な施設を整備するため、平成17年度から国と県の補助を受け、津波・高潮危機管理対策緊急事業として進めております。今年度からは、本格的な工事に着手してまいりますが、今年度内には、第2陸閘、第4陸閘、第6陸閘の電動化工事のほか、現場機器の管理を行うステーションとなる被制御所内の受電設備機器の製作、被制御所から陸閘と水門までの間の配線工事、そして、東側泊地の出入り口となる第6陸閘付近への被制御所の建築工事を実施することとしております。災害発生に対する地元自主防災会の皆様方の大きな不安や負担を解消し、安心して暮らしていただける環境を整えるよう、平成21年度の完成を目指して整備を進めているところです。
 次に、吉田町洪水ハザードマップ作成の取り組みについてご報告申し上げます。
 近年、全国各地で異常な降雨や度重なる台風の上陸により、大河川のみならず、中小河川の氾濫が相次いでおり、河川堤防決壊などによる人的被害を未然に防ぐことを目的とした洪水ハザードマップを作成する必要性がクローズアップされております。これに伴い、当町では、国、県、自治会、消防団、小中学校代表などからの委員で構成する「洪水ハザードマップ検討委員会」を設立し、国と県の補助金を受けて、来年1月末を目途に住民の意見を反映させた洪水ハザードマップ作成に取り掛かっております。洪水時の浸水状況と避難に係る情報を地図上に分かりやすく表示し、町民の皆様方の人命、生活及び財産を守るために、より充実したものを作成したいと考えております。
 次に、国民保護計画についてご報告申し上げます。
 本年3月に、吉田町国民保護対策本部及び緊急対処事態対策本部条例と吉田町国民保護協議会条例を可決していただきましたので、3月24日に、これらの条例を施行いたしました。その後、条例に基づき、国民保護協議会を設置し、7月26日に初会合を開催し、当町の国民保護計画の骨子についてご審議いただき、結論を出していただきましたので、只今、この骨子に沿って計画づくりを進めております。そして、今年度末までには、吉田町国民保護計画を策定したいと考えております。
 次に、第2次吉田町国土利用計画の策定についてご報告申し上げます。
 計画策定に向けての進捗状況でございますが、本年6月から基礎調査を開始するとともに、町の将来の土地の使い方などについて、住民の皆様方の意向をお伺いし、7月には、住民基本台帳より無作為に抽出した20歳以上の方2千人を対象として「吉田町の土地利用に関する住民意向調査」を実施いたしました。そして、8月には吉田町開発審議会を開催し、国土利用計画の概要説明と住民意向調査などの結果についてご報告させていただきました。この計画は、議会の議決を経て策定するものでありますが、今後の予定といたしましては、土地利用の分析や現計画の検証などを行いながら、計画策定に向けての検討を重ね、今年度末までに「計画素案」をまとめ、平成19年度に入ってから、県の担当部局と調整を行って「計画案」を練り上げていきたいと考えております。
 続きまして、都市基盤整備事業についてご報告申し上げます。
 まず、都市計画道路榛南幹線の進捗状況についてでありますが、榛南幹線の整備につきましては、御前崎土木事務所と当町とで事業を進めているところであり、住吉幹線から町道新田西の坪線までの620メートル区間については県事業工区として整備を進める計画であります。また、町道新田西の坪線から都市計画道路海岸幹線までの360メートル区間については町事業工区であり、どちらの工区も地元説明会を開催し、地権者との理解が得られましたので、用地取得に着手しているところであります。県では、平成23年度の完成を目指しておりますので、町の工区につきましても、県の完成時期に遅れないよう事業を進める予定であり、その後につきましては、都市計画道路海岸幹線から二級河川坂口谷川に向かって整備を進めていただくよう、県に対して要望を行ってまいりたいと考えております。
 次に、都市計画道路中央幹線についてでありますが、川尻中央幹線につきましては、平成8年度に事業着手し、大幡川幹線から町道本田線までの区間を完成させ、供用開始いたしております。現在、町道本田線から東名川尻幹線までの間の用地取得に取り掛かっているところであり、以前から懸案となっておりました大口地権者のご承諾を得ることができる見込みとなりましたので、今回増額補正をお願いし、事業進捗を図るものでございます。今年度内に契約が整いましたら、平成19年度から、工事に着手したいと考えております。
 次に、広域営農団地農道整備事業についてでありますが、この事業は、榛南地域における広域営農の振興や流通機能の改善、農業基盤の整備を図るため、志太榛原農林事務所が事業主体となって実施しておりますので、当町内における事業の進捗についてご報告申し上げます。
 平成17年度に路線の測量設計が終了し、地元説明会を12月に実施いたしましたところ、青柳公園南側付近の線形変更のご要望が出されましたので、今年度に入りましてから、変更部分の用地測量を行い、只今、設計修正のための見直しを進めているところです。また、農林事務所では、東名高速道路付近から主要地方道吉田大東線までの区間について、既に一部の用地買収を進めております。一方、町単独事業として実施いたします青柳公園から県道住吉金谷線までの歩道部につきましては、今年度から2か年で用地買収を進めたいと考えておりますが、この部分の工事につきましては車道部と合わせて志太榛原農林事務所で実施していただくこととなっており、平成21年度の完成を目指しております。しかし、この路線が完成いたしますと、交差する町道について、従来どおりに通行することができなくなる路線が幾つか出てまいりますので、町といたしましては、県と連携し、地域の皆様方に十分な説明を行って、ご理解とご協力を賜われるように努めてまいります。
 次に、吉田漁港の整備についてご報告申し上げます。
 吉田漁港につきましては、平成13年度から国と県の補助を受けて、漁業関係者の安全な職場環境の確保や漁業経営の安定化、沿岸漁業及び地域振興の活性化を図るための地域水産物供給基盤整備事業として、整備を進めております。今年度の事業でありますが、整備してから約40年が経過し、老巧化が心配される西側泊地の2号岸壁、3号岸壁、4号岸壁について、修築のための測量調査業務委託を発注したところであります。また、船舶の航行の安全確保を図るため、湯日川河口部から旧西防波堤までの港内泊地において2万4千立方メートルほどの浚渫を実施するとともに、西側泊地2号岸壁の実施設計業務も実施いたします。
 次に、公共下水道事業についてご報告申し上げます。
 当町では、昨年度、地域再生法に基づく国の認定を受け、平成19年度までの3か年計画で、汚水処理施設整備交付金を活用し、下水道と浄化槽の整備を進めているところでありますが、本年4月1日現在における整備状況を申し上げますと、事業認可面積299ヘクタールに対し、161.8ヘクタールの整備を完了しており、町全体の人口普及率は27.8パーセントに達しております。また、水洗化率は、約75パーセントと順調に推移している状況であります。今年度は、昨年度に引き続き、住吉東村地区周辺及び住吉上組地区の県道住吉金谷線と川尻浜河原及び東向地区を整備し、受益地の拡大を図ってまいります。
 次に、上水道事業についてご報告申し上げます。
 今年度も、毎年計画的に進めております石綿管の布設替えを中心に事業展開を図る予定でありますが、今月初旬には、中臨港線配水管布設替工事や青柳北原4号線配水管布設替工事をはじめ7本の工事を発注し、主要地方道島田吉田線の配水管布設替工事は10月に発注を予定しております。また、他事業関連の工事では、公共下水道事業関連で、今月初旬に5本の工事発注を予定しているほか、都市計画街路事業、牧之原市施行事業、御前崎土木事務所施行事業等に関連して発生する工事につきましても、それぞれ調整を図りながら順次発注してまいります。なお、第2浄水場建替事業につきましては、目下、用地取得に係る事務を進めており、今年度内に造成工事に着手できる見込みであります。
 続きまして、空港対策事業についてご報告申し上げます。
 今年度5月末から6月初めにかけて、空港周辺市町である当町と島田市、牧之原市で、「航空機騒音対策事業に係る協定書(案)」の説明会をそれぞれ開催いたしましたが、当町では、4箇所で実施し、住吉区で90人、川尻区で59人、片岡区で19人、北区で81人と延べ249人の皆様方にご参加いただきました。この説明会の中で出されましたご意見等につきましては、現在、広報よしだ“富士山静岡空港”の欄でご紹介させていただいております。また、この説明会の中で、静岡空港の環境対策に関する説明を求めるご発言がありましたので、町から県当局に依頼し、8月27日に、公募に応じられた町民の皆様方を対象とする「静岡空港建設工事における環境対策説明会」が開催されました。「航空機騒音対策事業に係る協定書」につきましては、今後、各市町で開催された説明会の状況を踏まえながら、さらに慎重な協議を重ね、協定内容を固めてまいりたいと考えております。
 最後に、中山三星建材株式会社跡地である町有地についてご報告申し上げます。
 ご承知のとおり、この用地取得の財源確保のため、当町では、平成14年度に金融機関から11億6,610万円の借り入れを行い、平成14年度から平成24年度までの間、元金均等の方法でこれを償還することになっており、昨年度には、元金と利子を合わせて約1億4,200万円を支出しております。町としては、こうした町財政の硬直化を招く義務的経費の負担を圧縮することを目指しておりますことからも、早期に売却したいとの方針を打ち出させていただきました。
 目下、この方針に基づき、効果的な企業誘致を実現するための準備を進めておりますが、その過程の中で、PCBの問題、土壌の客観的な安全性の確認の問題、現存する建築物や構造物などの処理の問題、設定されている都市計画法上の用途の問題など、クリアしなければならない重大な問題があまりにも多く、迅速な処理ができない状況となっております。また、これらの問題を解決するためには、さらに多額の費用を要することは明白でありますので、町民の皆様方に積極的に情報をお伝えし、ご理解いただける努力を怠らないようにしながら、一日も早く民間への売却を実現し、財政の健全化を促進したいと考えております。
 以上が、現状の主な町政運営の概況でありますが、日本の国家運営は、これからの数年間さらに激変するのではないかと予想しており、それにつれて地方自治体の運営も大きく揺さ振られる可能性が強く、こうした状況下では、多様な選択肢の中から責任ある選択を行い、町民の皆様方が将来にわたって幸せであることを実感できるまちづくりを行わなければならないとの信念を持って町政を担っておりますので、議員各位におかれましても、今後、「将来にわたる町民の安全安心な暮らし」につながる施策を町当局にご提言いただきますれば有難く思います。
 以上をもちまして、本定例会の行政報告といたします。