2006年3月3日 作成

平成18年第1回吉田町議会定例会(平成18年3月3日開会) 町長の施政方針

平成18年第1回吉田町議会定例会の開会に当たり、新年度に向けての施政方針並びに各種事業に関する運営方針等について申し上げます。
 現在、我が国では、大多数の方が、国家の不健康さを感じ、不安を覚えているのではないかと思います。
本来、国の宝物として、大人が身を賭してでも守らなければならない子ども達が凄惨な目に合ったり、公の資格を持ちながら資格を活用するどころか悪用する不埒な者が多々輩出されたり、基本的な倫理観が欠落した企業人や公務員が反社会的な行為を行って世の中を混乱させるなど、あまりにも非常識な出来事が日常化している光景を目の当たりにし、言いようのない憤りを覚えるとともに、国の行く末に疑問と不安を抱いておられる方々が多いのではないでしょうか。
 日本は、いつの間にか安心して住める国ではなくなっており、今こそ我々は、「日本」という国家がどのようにあればよいのかを真剣に考えなければならないときを迎えていると痛感しております。
 大人は大人の責務を果たし、企業は企業としての社会的責任を果たし、専門家は専門家としての理念を全うし、政治家は政治家としての見識を持ち、当たり前のことが当たり前に行われる世の中にしなければなりません。そして、社会に不利益を及ぼす行為が自然に淘汰されるようにならなければなりません。我々は、今こそ、それぞれの持ち場で、それぞれの立場に相応しい当たり前の働きをすることによって、誰もが安心して暮らせる健全な社会を築かなければならないものと感じております。
 これは、激動する昨今、多様な選択肢の中から、町民にとって最良の道を選択しなければならない町政についても言えることで、今こそ、町政を担う者が、その責任の重さを自覚し、日々研鑽を重ねながら、町民の皆様方に「吉田町に住んでいて良かった」と実感してもらえるように将来につなげていくため、さらに努力しなければならないと自覚を強めたところであります。
 さて、皆様方御承知のとおり、我が国では、国の運営そのものが大きな変革期を迎えております。国の財政状況を見ますと、平成17年度末における国と地方を合わせた長期債務残高は約774兆円と試算されており、主要先進国では例を見ない深刻な状況となっております。こうした状況を受け、国では、平成14年度以降、財政構造改革路線を推進し、主に公共事業関係を中心に歳出の削減に努めてまいりましたが、巨額の長期債務残高の膨張には、なかなか歯止めがかからず、ここに至って、行財政改革のみならず、税制改革や社会保障制度改革などの各種の改革を矢継ぎ早に打ち出しております。
 こうした改正の柱として進められている三位一体改革は、「地方が決定すべきことは地方が自ら決定する」という地方自治本来の姿の実現に向けた改革であり、「小さな政府」「国から地方へ」というスローガンを具現化するため、国庫補助負担金を削減し、税財源を地方に移譲するとともに、地方交付税制度を改革し、地方自治体の自主性や自律性を高めることを目的に進められております。
 現在は、三位一体改革を進める途上にありますが、平成18年度の国の一般会計を見ますと、総額約79兆7千億円のうち、歳入不足となる4割に近い約30兆円を公債金で補う予算となっております。また歳出では、社会保障関係費の約20兆6千億円、国債費の約18兆8千億円、地方交付税交付金等の約16兆1千億円が大きな割合を占めております。
三位一体改革により、国庫補助負担金は、平成16年度から3年間で累計4兆7千億円縮減され、地方交付税につきましては、平成16年度から3年間で累計5兆1千億円縮減されましたが、依然として30兆円弱の借入金を見込んでおり、まだまだ国の財政運営が改善されたと言える状態ではなく、今後さらに財政健全化に向けた動きは加速するものと感じております。中でも、地方交付税制度改革につきましては、国の財政再建にとって重要なポイトであると言われております。御承知のとおり、地方交付税は、地方全体の歳入と歳出を見積もり、その上で収入不足となる分を穴埋めするため、所得税などの国税5税の一定割合を財源とし、その94パーセントを普通地方交付税、残りの6パーセントを特別地方交付税として交付するものでありますが、交付総額につきましては、国が毎年度定める地方財政計画の中で決定されます。地方財政計画の総額は、この5年間連続して減少しておりますが、国では、地方財政の中に、まだまだ歳出削減の余地が残されていると考えており、今後さらに、地方財政計画の歳出額を見直して国の財源不足の解消につなげようとしている姿勢がうかがえます。
地方交付税交付金を算定する場合、国の示した算定方式により標準的な収入額と標準的な支出額を求め、その収入額が支出額を上回るときは、普通地方交付税が交付されない「不交付団体」となります。現実に、地方財政計画の歳出額が圧縮されますと、各地方公共団体に係る標準的な支出額も減ることとなり、収入不足の状況にあると算定される団体数も減少し、総じて地方交付税総額も圧縮されることになります。こうした傾向は既に表れており、人口比率で不交付団体の割合を見ますと、平成12年度には11.5パーセントであったものが、平成17年度には18.4パーセントと増加しております。国では、この比率をさらに引き上げ、「2010年代初頭までに人口の3分の1程度を不交付団体にしたい」との意向を表しておりますので、この意向に向けた動きが促進されますと、交付団体から不交付団体に転じる団体が急増することになり、現在、大多数の地方公共団体で主要な財源となっている普通地方交付税が交付されず、移譲された税財源で賄うか、新たな財源を確保するか、歳出を削減するかなどの手当を余儀なくされることになります。
また、減税に係る財源不足を補うために、平成11年度から交付されている地方特例交付金につきましても、国では、概ね、平成18年度は8,000億円、平成19年度は4,000億円、平成20年度は2,000億円と逐次削減し、平成21年度に廃止することを打ち出しております。平成17年度における当町の地方特例交付金の決算額は約1億8千万円ですので、当町にも影響があります。
当町の場合は、三位一体改革が開始される以前から継続して不交付団体となっておりますので、交付団体と異なり、税源移譲されることによって財政運営の自律性はさらに高まるようになるものと思っておりますが、税源移譲があるとはいえ、国庫補助負担金が縮減され、減税に係る地方特例交付金などが交付されない事態を迎えますと、慢性的な財源不足となるのではないかといった不安感は拭い切れず、三位一体改革の結果によっては財政運営を抜本的に見直す必要があると考えております。しかしながら、交付団体の場合は、国庫補助負担金が縮減され、さらに地方交付税の交付額が大幅に削減されているため、現時点においてでさえも、財政運営に相当苦慮している様子がうかがえ、この先、深刻な事態に陥るのではないかと懸念されます。
また、社会構造の変化などから社会保障に対する公費負担が著しく増加しており、これまでのような右肩上がりの財政運営は難しく、住んでいる市町村が、これまで必要な社会資本整備を実施せずに先送りしていたかどうか、そして、この先その整備に必要な財源を確保できるかどうかによって、住民の負担は大きく異なってくるものと思っております。そして、これからは、地方公共団体の財政的格差はますます広がるものと予想され、それを裏付けるように、総務大臣の私的懇談会である「地方分権21世紀ビジョン懇談会」では、財政悪化に見舞われた自治体に対し、執行部の経営責任を明確にしながら、国の関与の下で資産や負債の管理など必要な措置を行って財政を再建させるための環境整備として、自治体の破綻法制を導入することについて真剣に論議されており、財政力の脆弱な地方自治体にとっては極めて難しい状況を迎えていると感じております。
平成18年度当初予算は、こうした厳しい状況の中で編成することになったわけでありますが、当町の平成18年度の一般会計は、平成17年度より1.9パーセントの伸びとなる総額87億8,700万円の予算を計上いたしました。この歳入予算では、町税が、前年度と比べて、伸び率で7.5パーセントに当たる約3億9千万円多い収入額を計上することができ、大変恵まれた状況にあると感じております。町税収入の確保につきましては、今後ますます重要性を増してまいりますので、租税負担の平等性と公平性を堅持するように努め、平成17年度から町税徴収指導員を配置して上昇傾向にある収納率をさらに向上させるように努めてまいります。一方、町債につきましては、前年度より41.1パーセントに当たる約4億1千万円減額した額を計上するに留めております。
 また、事業運営では、平成16年度から取り組み始めました町の行財政構造改革の成果を具現化したものもあり、財源の配分が変わったものもあります。現在、行政改革の取り組みは、国の方針によりまして、一般に公表されることとなっておりますが、先駆的に取り組んでおります当町は、公表対象項目では、いずれも改善されたとの評価を得ております。具体的には、行政改革大綱の策定の項目では、県内41団体の中で6団体しかない策定済みの団体に入っております。次に、定員管理の適正化計画策定の項目では、8団体しかない策定済み団体の中に入っております。また、特殊勤務手当の見直しの項目では、平成18年1月1日現在で全ての手当について改善され、退職時特別昇給につきましても、平成17年7月に廃止いたしました。当町の行財政構造改革は、こうした国の公表対象項目に限らず、全項目をゼロベース検証し、行財政構造改革推進方針を定め、さらに、平成18年度から平成22年度までの5年間の行財政改革の指針となる行政改革大綱及びその実施計画を策定しておりますので、これらを念頭に置いた予算編成を実施いたしました。
 行財政運営につきましては、今後ますます厳しい対応を余儀なくされると予想されますので、一層効率的な運営に努め、地方分権時代に相応しい地方自治体の確立を目指すとともに、町民の皆様方に、「できる限り少ない負担で住み易さを実感できる町」を築くために努力してまいります。
 また、平成18年度は、第4次吉田町総合計画の初年度に当たる年であり、その中でお示ししました町の将来都市像「人と人、心やすらぎ 健康で住みやすいまち吉田町」に向かい、まちづくりの3つの基本理念に沿って動き出す年となります。その基本理念でありますが、1つ目は、「誰もが健やかで安心して暮らせる快適なまちづくり」で、誰もが健康寿命を延ばすことができ、元気な高齢者が子どもや青年などとともに、地域の中で活躍できる地域福祉社会となるようなまちづくりを目指そうとするものであります。2つ目は、「心豊かな人を育み生かすまちづくり」で、世代や国籍、性別や地域などを越えた人と人との交流やふれあいを通じて豊かな人間性を育み、生涯にわたる学習やスポーツ活動を通じて心身の健康を保っていけるようなまちづくりを目指そうとするものであります。3つ目は、「地域の特性を生かした、産業と都市機能が充実したまちづくり」で、吉田町に住んでよかったと思えるような生活環境のもと、活発な経済活動を展開して物心両面の豊かさを実感できるようなまちづくりを目指そうとするものです。これらの指針に基づき、平成18年度では、特に、少子化社会を意識して「産みやすく、育てやすい環境づくり」、高齢化社会を意識して「健康を維持しやすく、社会に参加しやすい環境づくり」、また、精神的抑圧の多い社会に対応するためには「打ち明けやすく、手を差し伸べやすい環境づくり」を目指しております。
 それでは、平成18年度の主な事業につきまして、個別に紹介してまいります。
 まず、健康づくり事業でありますが、平成17年度には、町民の健康増進と疾病予防を目指す「1次予防」を積極的に進めるため、「健康づくり吉田21」行動計画を策定いたしました。これにより、それぞれのライフステージを領域別に分類し、課題を明らかにしながら、17項目の新しい健康づくり事業を考案いたしました。具体的な事業を申し上げますと、乳幼児期については、食生活と心の健康づくりの領域を対象とした親子料理教室や子育てセミナー、学童期については、栄養教育事業を進める中で、食育推進連絡会も立ち上げたいと思っております。青壮年期については、活動、運動、心の健康づくりの領域として、通年にわたるヨーガ講座の開催やヨーガ公開講座を含めた健康フェスティバルの開催などを予定しております。そして、当町のオリジナルダンス「パンサー」の普及を通して行う健康増進、各種スポーツ大会や総合体育館のトレーニングルームでの健康指導、ストレッチ体操教室のストレス解消講座などの実施を予定しております。このように健康づくりを考えていただく機会を増やし、町民の皆様方に、健康に対する意識を強めていただくように事業展開を図ってまいります。
 次に、少子化社会への支援策についてでありますが、安心して子どもを産み、健やかに育てる環境を整備するため、未就学児の医療費完全無料化のほか、妊婦健康診査費の助成拡大、不妊治療費助成の開始など、いずれも県の基準に町独自の助成内容を上乗せする経済支援策といたしました。その他の支援策といたしましては、現在建設中であるわかば保育園の完成を待って日曜日の保育や放課後児童クラブ施設の整備なども実施するようにいたします。
また、高齢社会への支援策では、高齢者向けヨーガ教室や健康づくりのための指導員育成など、高齢者の方々が社会の中で生き生きと御活躍される活気ある町となるように、「健康寿命」を延ばすためのメニューづくりを進めるほか、平成
18年4月1日から、介護保険法の改正を受けて導入される「地域包括支援センター」につきましては、町が直接運営することといたしました。地域包括支援センターは、介護予防事業を重視するもので、自立者は要介護状態に陥らないように、また、要介護者は重度化しないように、町が責任主体となって総合的なマネジメントを行い、それに基づいて、高齢者の介護予防事業の実施や権利の擁護などを実践いたします。なお、介護予防事業といたしましては、要介護になりそうな虚弱の高齢者を対象にした地域支援事業、軽度の新規要介護者の方を対象とした状態悪化防止や改善のための新予防給付を行いますが、主に、運動器の機能向上、栄養改善、口腔機能の向上など、介護予防の成果が上がる事業への取り組みを重点的に行ってまいりたいと考えております。
次に、障害者などへの支援策についてでありますが、平成17年度から開始いたしました知的障害者デイサービスセンターの運営を継続して行うほか、平成18年度から、保健センターや保育園の巡回などで、子どもの発育段階に不安を抱いている方々の相談を受ける「子ども子育て応援ステーション事業」を開始いたします。一方、障害者の地域生活と就労を進め、自立を支援する観点から、個別の支援をより効果的かつ効率的に進めることを目的として改正障害者自立支援法が平成17年10月31日に公布され、平成18年4月から段階的に施行されることとなりました。この法改正では、平成18年度中に、障害福祉サービスの必要量の把握に努めながら、そのサービスを提供する環境づくりと人材育成を行うことを盛り込んだ障害福祉計画を策定することが義務付けられており、この計画づくりを目指して、目下、対象となる方々の意向調査を実施しておりますので、4月から、より当町の実情に沿った実践的な計画を策定するように努めてまいります。
 続きまして、教育関係について申し上げます。
 はじめに、自彊小学校屋内運動場の建設についてでありますが、本事業は、平成17年度からの2か年事業で実施しており、平成18年6月末の完成を目指しております。昨年8月に着工し、これまで、旧屋内運動場の解体及び撤去工事、新しい建物の基礎躯体工事、建物本体1階部分の躯体工事を終え、現在、2階部分の躯体工事を進めております。そして、屋根部分の工事にも取り掛かろうという状況となっており、平成17年度末までには、建物の外観全体が分かるようになってまいります。また、平成17年1月に入札を行った太陽光発電設備工事につきましては、建物本体工事の進捗に合わせて進めているところであります。完成予定まで4か月弱となっておりますので、今後は、各種設備工事や内外装の仕上げ工事などが本格化してまいります。これまでにも、学校関係者や児童、保護者、また、地元の皆様方には、何かと御不便や御迷惑をおかけしておりますが、新しい屋内運動場が完成いたしますと、これまで以上に充実した施設の利用が可能となりますので、今しばらくの間、御容赦いただきますようお願い申し上げます。
 次に、小中学校の児童・生徒教育用パソコンの整備についてでありますが、当町では、児童・生徒の情報活用能力を育成する重要性を考え、小中学校にIT教育を行うための環境を整えるよう、平成7年度から、順次、整備を進めましたが、IT関連の機器類は、ハード、ソフトともに、日々、急速に性能を高めており、時代に即した学習を行うことが難しいばかりでなく、セキュリティや個人情報保護といった情報管理の観点からも、更新が必要であるとの認識を持っておりました。このため、平成18年度予算には、各小中学校の児童・生徒用パソコンの整備に係る事業費を計上させていただき、より充実した学習環境の整備推進を図りたいと考えております。
 次に、住吉小学校の養護学級の新設についてでありますが、住吉小学校には、平成18年4月から、2クラスの養護学級を新設する予定で、これまで県教育委員会をはじめ、関係機関と調整を図ってまいりました。新設予定の養護学級は、知的学級が1クラス、難聴学級が1クラスの2学級でありますが、新年度に、それぞれの障害を持つ児童が1人ずつ新一年生として入学する予定でございます。
 社会にとりまして、子どもは大切な宝物であると認識しておりますので、今後とも、児童、生徒や保護者の方々の御要望などに耳を傾け、より充実した教育環境を整えてまいりたいと考えております。
 その他の教育環境の充実につきまして申し上げますと、現在、各小学校に配置しております補助教員でありますが、平成18年度には、町単独で中学校にも配置し、よりきめ細かな対応を行えるようにしてまいります。そして、各小学校の補助教員の勤務時間も拡大するように考えております。また、小中学校における児童、生徒の国際理解教育を推進するため、外部から外国人講師を招き、英語教育を通じて、世界に目を向けた児童、生徒を育成できるように必要な支援を行う予定にしております。
 さらに、「教育吉田21策定委員会」を設置し、将来の教育の在り方を見据え、確かな教育を推進するための町の教育指針づくりに取り組みます。これは、いつの世も、より良い社会を築くのは人であり、その人をつくるのはより良い教育であり、教育指針も時代とともに変化すべきものであろうと思っているからであります。このため、社会構造が急激に変化し、国をあげて構造改革が推し進められている現在、新たな時代をひらく町独自の教育指針を構築していくことが必要であると感じておりますので、新たに「教育吉田21策定委員会」を組織し、吉田町の教育の方向性や方針を具体化させる計画づくりに取り組むものであります。
 次に、社会教育関係についてでありますが、現在、町では、静岡県教育計画の「『人づくり』2010プラン」の基本目標である「未来をひらく『意味ある人』づくり」を達成すために、生涯学習の場の拡大と質の向上、青少年を取り巻く社会環境の整備、多様なニーズに対応した学習機会の充実を目指して事業展開を行っております。さらには、地方分権の時代に入り、これからの社会教育は、自立した住民と行政とが、今まで以上に協働して地域に合った活動を行っていくべきであると考えております。
 平成18年度でも、こうした考えのもとで、黄色のベストを着用しての「吉田町笑顔いっぱい運動」や吉田町オリジナルダンス「パンサー」の普及を図るとともに、地域コミュニティの推進を図り、次世代を担う青少年の自己開拓や自己実現を促し、心の通う仲間づくりができる場を広めてまいりますが、特に、「パンサー」のダンス教室や筋肉トレーニング教室などを開催し、その卒業生を講師として町内の様々な場所に送り出し、まず「やってみせ、言って聞かせて、させてみせる」ことから始め、町民の皆様方の健康づくりと人づくりにつなげる事業に力を傾注したいと考えております。
 続きまして、図書館による生涯学習支援についてでありますが、図書館は、乳幼児期から老年期に至るまで、あらゆる年代の方々が自由に集い、気軽に利用できる施設であります。従いまして、地域の皆様方が図書館を通じて、生涯にわたり学び続けていただくためには、幼児期から中学生の時期に図書館を利用する習慣を身に着けることが特に大切な意味を持ってまいります。町立図書館では、子どもが健やかに成長していくための環境づくりに向けて、保健師、幼稚園や小中学校の教諭、地域ボランティアの皆様方などと連携して、協働による事業運営を行っております。
 まず、学校との連携についてでありますが、学校教育の現場における調べ学習や総合的な学習を積極的に支援してまいりたいと思います。町立図書館が所蔵する資料や情報を各学校で活用できるよう、町立図書館と各学校間におけるコンピューターネットワークの整備を進めるとともに、町立図書館の資料を活用した教材作成への支援や資料提供のための相談事業を実践し、学校図書館や司書教諭のパワーアップに努めてまいります。その根幹となる町立図書館の所蔵図書等の各学校への貸し出しと返却について、町立図書館と各学校、さらには各学校間の物流を町立図書館の職員が担うシステムを構築するほか、自宅から町立図書館まで遠い距離にある児童・生徒のためには、学校図書館を経由して、町立図書館の資料の貸し出しを受けることができるようにするなど、機動性に富んだ資料や情報の流れの確立に向けて努力してまいります。
 次に、乳幼児期における教育や学習への支援についてでありますが、町内に限定した幼稚園や保育園などの公共機関に対する図書上限200冊、紙芝居上限20セットの町立図書館資料の貸し出しについて、貸し出し期間を2か月まで延長した「団体貸し出し制度」の一層の拡大、促進に努めてまいります。
 また、社会人に対する支援についてでありますが、現在、町立図書館には、20歳代以降から働き盛りの年代に至る方々で、自分の将来に向けて、あるいは社会参加に向けて、資格や免許の取得といった実利的知識や技能の習得によるキャリアアップを目指す皆様方の御利用が増加しております。このようなニーズに対応すべく、町立図書館では、就職、転職、職業能力開発などに関連した資料収集に努めておりますが、資料の提供に加えて、点字図書館から講師をお招きして点字資料作成の技能講座も開催しています。平成18年度は、この講座を4回増やし5回にするように計画しております。
 続きまして、都市基盤整備について申し上げます。
 まず、道路網の整備についてでありますが、都市計画道路榛南幹線につきましては、現在、住吉幹線から町道中臨港線までの1,100メートル区間について、暫定2車線で供用を開始しております。海岸幹線から住吉幹線までの980メートル区間につきましては、620メートルを県事業区間、360メートルを町事業区間と区分し、同時に整備を進めることとしており、平成18年度は、どちらの区間につきましても、本年度に引き続き用地取得を進める予定であります。また、町道中臨港線から二級河川湯日川右岸提までの250メートル区間につきましても、工事を一時中断しておりましたが、平成18年度と平成19年度の2か年で完成させ、二級河川湯日川に架かる橋梁につきましては、平成21年度に着工する計画であるとのことであります。
 次に、都市計画道路東名川尻幹線の整備についてでありますが、東名吉田インターチェンジから都市計画道路富士見幹線までの1,300メートル区間につきましては、県が事業主体となり、主要地方道島田吉田線バイパスと位置付け、平成19年度末の完成を目指して工事を進める予定であると伺っております。また、国道150号から南側の440メートル区間につきましては、町が事業主体となって整備を進めているところでありますが、用地につきましては、地権者の皆様方全員に御了解をいただける状況となり、平成17年度をもって取得を完了しますので、平成18年度から工事に着手いたします。
 また、都市計画道路大幡川幹線につきましては、大窪川に架かる横手橋から都市計画道路中央幹線の交差点までの750メートル区間について事業を進めているところでありますが、平成18年度につきましても、引き続き用地取得と一部の工事を実施する予定であります。
 次に、生活道路関係でありますが、新規事業として平成17年度から取り組んでおります町道西の坪大浜4号線でありますが、平成18年度から用地取得に取り掛かってまいります。また、継続事業であります町道カネマン大井線と町道西川原北原線につきましては、引き続き用地取得と工事を進める計画であります。
 そして、橋梁整備についてでありますが、平成18年度には、県営事業として、二級河川湯日川に架かるお夏橋の整備に着手いたします。計画では、片側歩道付きの橋梁となり、工事期間は2か年を予定しておりますが、完成するまでの間、通行止めとなります。皆様方には大変御迷惑をおかけいたしますが、安全安心な交通網を整備するためでありますので、御容赦願いたいと思います。
 次に、都市公園でありますが、これまで整備を続けておりました小藤路公園につきましては、平成18年度に、多目的広場、駐車場の整備などを行い、整備を完了することとなります。
 続きまして、浜田土地区画整理事業でありますが、平成18年度には、幹線道路になる部分を主体として事業展開し、都市計画道路榛南幹線の本体工事に着手するほか、附帯の道水路改良工事を実施する予定になっております。この事業は、川尻浜田地区の住環境の向上や交通網の整備につながる重要な事業でありますので、今後とも、土地区画整理組合の活動を支援してまいりたいと考えております。
 続きまして、公共下水道の整備について申し上げます。
 公共下水道事業は、現在、299ヘクタールの整備を進めておりますが、平成17年度から平成19年度までの3か年は、地域再生法に基づく汚水処理施設整備交付金事業として、下水道と浄化槽の2つの事業を組み合わせながら、町内全域の汚水処理を進めております。平成18年度には、面積で約16ヘクタール、管渠延長で約4.4キロメートルの整備を計画しており、住吉東村地区周辺と川尻の南部地区周辺を上流に継続して延伸する予定であります。住吉地区につきましては、面積で約9.4ヘクタール、管渠延長で約2.7キロメートル、川尻地区につきましては、面積で約6.6ヘクタール、管渠延長で約17キロメートルの整備を計画しております。
次に、上水道の整備について申し上げます。
 町では、安定した水の供給を推進するため、平成18年度におきましては、老朽管の布設替えなどのほか、第6期拡張事業計画の中に盛り込まれている第2浄水場築造に係る事業に着手する予定であります。老朽管の布設替えにつきましては、早期解消を目指してこれまでも努力してまいりましたが、平成18年度においても、さらに更新を進め、約1.1キロメートルの布設替えを実施いたします。これにより、平成18年度末の老朽管残延長は約4.6キロメートルとなる予定であります。また、第2浄水場築造に係る事業といたしましては、用地取得と浄水場整備に係る設計業務を予定しております。
 続きまして、吉田漁港の整備について申し上げます。
 吉田漁港の整備につきましては、平成13年度から国と県の補助を受け、地域水産物供給基盤整備事業として進めており、平成17年度末において、総延長80メートルの港内防波堤が完成したところであります。平成18年度につきましては、整備後約40年が経過する西側泊地岸壁の修築に係る調査、設計業務委託と湯日川河口部から旧西防波堤までの航路の浚渫を予定しております。
 次に、吉田漁港津波防災ステーションの整備について申し上げますが、この事業につきましては、国と県が9割を補助する津波危機管理対策緊急事業として、平成17年度から事業着手いたしました。この津波防災ステーションは、予想される東海地震等での津波被害から吉田漁港の背後地となる地域住民の生命と財産を守るために計画されたもので、吉田漁港の陸閘と、大幡川水門の一元的な遠隔操作を可能とする防災上、重要な施設であります。これまで、陸閘6基と大幡川水門を津波防災ステーションで遠隔操作・制御する計画で進めておりましたが、津波想定高を考慮して、大幡川水門の南北に設置されている第8と第9陸閘については整備対象からはずし、第1、第2、第4、第6陸閘の4基と大幡川水門について、遠隔操作を可能とするように整備を図り、平成21年度までに津波防災ステーションの完成を目指してまいります。
 続きまして、農業基盤整備となる広域営農団地農道整備事業について申し上げます。
 この事業は、榛南地域における広域営農の振興や流通機能の改善などを図るため、県が事業主体となって実施しておりますが、平成17年度には、路線の測量設計が終了し、12月に最終的な地元説明会を開催いたしましたところ、地元から、青柳公園南側附近の線形変更を要望する声が上がりましたので、現在、見直し作業を行っております。今後、地権者の皆様方に御理解を賜われるように努めながら、用地取得を進め、平成21年度の完成を目指しているところであります。
 一方、平成18年度には、町の土地利用計画の根幹を成す国土利用計画吉田町計画の見直しと吉田町都市計画マスタープランの策定を手掛ける予定もあります。
 まず、国土利用計画吉田町計画でありますが、国土利用計画は、国土利用計画法に基づき、公共の福祉や自然環境の保全に配慮しつつ、長期にわたって安定した均衡ある国土の利用を確保することを目指して策定するもので、国土利用に関する行政上の指針となるものであります。そして、市町村計画は、全国計画や県計画に即して策定されることになりますが、現在、国及び県では、平成19年度の策定を目指して新たな計画づくりに着手しておりますので、当町でも、平成4年6月に策定した国土利用計画吉田町計画を平成18年度と平成19年度の2か年で見直しを行う予定にしております。
 また、吉田町都市計画マスタープランでありますが、このマスタープランは、都市計画法に基づき、町の都市計画に関する基本的な方針を定めるもので、住民に最も近い立場にある市町村が、その創意工夫の下に住民の意見を反映し、まちづくりの具体性のある将来ビジョンを確立し、地区別のあるべき市街地像を示すとともに、地域別の整備課題に応じた整備方針、地域の都市生活、経済活動等を支える諸施設の計画などを定めるものであります。当町では、平成17年度から策定作業に取り掛かっておりますが、平成18年度には、各種調査の実施やデータ解析などを行うとともに、現地踏査などを行い、全体構想案をまとめてまいります。
 このほか、平成18年度には、片岡区自治会が事業主体となって進めている会館建設を支援するほか、地域コミュニティを尊重し、地域力を高めていただくように町民の皆様方の自主的な活動を支援するとともに、平成17年度に引き続き、自治会と連携を図り、防犯灯の整備促進に努めるなど、みんなで安全安心な暮らしやすいまちづくりを進める施策も多々計画しております。
 このように、平成18年度も盛りだくさんの事業を予定しておりますが、当町は、先人の御努力の恩恵を受け、本当に恵まれた状態にあり、自主的な判断に基づく予算措置も比較的容易に行うことが可能な状態にあります。
 静岡県が平成18年2月21日に発表した2月1日現在の人口動態では、県内の市町のうち、前月より人口が増えたのは6市町だけであり、37市町が減少しています。当町は、増加している6市町に入っており、3番目に多い増加数となっております。また、平成17年国勢調査の速報値と平成12年の国勢調査人口との比較でも、人口減少となる団体が多い中、当町は、4.2パーセントの伸びを示し、長泉町、袋井市に次いで3番目に高い伸び率になりました。
 全国的に、財政危機が深刻化し、人口減少傾向が一般化している中にあって、当町は、平成18年度一般会計予算において、70.7パーセントの自主財源比率を計上しており、静岡県が行った小規模市町村等行財政運営診断の結果では、試算したいずれのケースでも、試算対象とした平成27年度までの間に歳入額が歳出額を上回る状態、つまり実質収支が赤字になる状態に陥ることはないとの結果が公表されました。また、人口についても、少子化と高齢化と減少化傾向が進む中、今もって人口増加基調を崩していない状況でありますので、平成18年度には、町民の皆様方に、こうした当町の優位性を十分に御理解いただいた上で、今後の町の運営方針などを町民の皆様方にお考えいただけるように情報提供等を行いたいと考えております。
 現在、我が国は、あらゆるシステムが見直され、町でも、自らの選択で、町の行く末を決定しなければならない難しい時代を迎えております。町行政を担う者は、これまで以上に、当町の姿を冷静に分析し、それぞれが専門性を発揮し、英知を結集しながら、すべての吉田町民の幸福のために責任ある行政運営を行わなければならない大変重要な時期を迎えておりますので、議員の皆様方におかれましても、一層、御支援と御協力を賜わりますようお願い申し上げ、平成18年度に向けての施政方針演説といたします。