2006年6月2日 作成

平成18年第2回吉田町議会定例会(平成18年6月2日開会) 町長の行政報告

 平成18年第2回吉田町議会定例会の開会に当たり、町政運営の概況等をご報告申し上げます。
 先月の15日、ワールドカップサッカーの日本代表メンバーが発表されました。選考された選手達を見ますと、能力の高いことは当然ですが、日頃から地道な精進を続け、良好なコンディションを保持することに努め、誰の目にも「頑張っているな」と映る選手が選ばれたのではないかとの印象を持ちました。日本チームは、6月12日に初戦を迎えます。地域づくりでも同じように、「頑張っている地方自治体が報われる世であって欲しい」と願いながら、私も、皆様と共に、国の誇りを背負って果敢に戦うワールドカップサッカー日本代表チームの健闘を祈りたいと思います。
 さて、ここで目を国政に転じますが、只今、国を挙げて、今月末にも閣議決定される予定の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」いわゆる「骨太方針2006」に盛り込む内容を固めるための論議が活発化しており、中でも、地方交付税制度改革に関する白熱した論議が目を引きます。こうした中、竹中総務大臣は、「3年以内に人口20万人以上の自治体の半分を不交付団体にする」との目標を示唆するとともに、「人口と面積を算定の基本とする新型交付税を平成19年度予算から導入する」ことや、「自治体の再生型破綻法制を3年以内に整備する」ことなどの私案を示しました。この一連の政府の動きを見ますと、合併論議が高まる前に声高に提唱していた地方分権は置き去りにされ、「目指すは国の財政再建のみ」という様相が露呈されてきたとの印象を受けております。
 今まさに、国の財政再建に真剣に取り組まなければならない状況にあることは明らかで、国家公務員の人件費や公共事業費などを圧縮し、早急に歳出を削減しなければならない状況にあることは疑うべくもなく、また、地方行政についても、総枠として歳出規模を圧縮するように努めることは喫緊の課題であると思います。
 しかしながら、地方行政を巡る論議は、それぞれの地方自治体の実態などまるでお構いなしに、国の歳出削減だけに主眼を置いた画一的な視点に終始しているという印象を強くしております。これまで自立した行政運営の実現を目指して日々精進し続けた地方自治体でも、国の仕送りを受けながら放漫経営を続けてきた地方自治体でも、何の斟酌もなしに同一視されることには憤りを感じないわけにはまいりません。今後国から打ち出される改革構想が、「頑張っている地方自治体が報われるシステム」を含んでいる内容であって欲しいと願っております。そして、「骨太方針2006」や「歳出・歳入一体改革」の中で政府が示すとしている中長期的な財政再建の道筋で、是非とも、今後における国の役割を国民に明らかにしていただくとともに、すべての国民の幸福を考えた多様な地方のあり方を示唆していただきたいと強く望むところです。
 それでは、当町の平成18年度の事業進捗などについてご報告申し上げます。
 まず、健康づくり事業について申し上げますが、昨年度、試行的に実施してまいりましたヨガ講座につきましては、今年度、本格的に事業化を図り、健康で笑顔いっぱいの女性のあふれる町づくりを目指して、5月から、「しあわせサンデー・ヨガ」と「健康づくりヨガ教室」を実施しております。いずれの事業とも、募集開始から短期間で定員を上回るご応募をいただき、女性の皆様方のニーズと一致した事業を提供できたとの実感を得ることができました。
 「しあわせサンデー・ヨガ」につきましては、第1クールとして、5月14日から7月23日までの隔週の日曜日に、午前と午後の2部構成で、全6回12コースを設定して事業を行っており、今年度は、第3クールまで実施する計画でおります。また、「健康づくりヨガ教室」につきましては、40歳以上の女性を対象に、5月2日から週1回の計8回で行っており、今年度は、これを2クール実施する予定です。
只今、当町では、町民の皆様方の健康づくりに特に力を注いでおります。今後とも、「健やかプラン吉田21」に沿って、ヨガ講座をはじめとする様々な健康づくりプログラムを実施してまいりたいと考えております。
 次に、「予防重視型システムへの転換」を目指している介護予防制度についてご報告申し上げます。
ご承知のとおり、当町では、制度改正の趣旨に沿って、4月から、庁舎5階に、保健師、主任ケアマネージャー、社会福祉士の3人の専門職を配した地域包括支援センターを設置いたしました。このセンターでは、介護予防として町が実施主体となる地域支援事業、介護保険の要支援認定者が利用する新予防給付のケアマネジメント、さらには福祉、医療、権利擁護に関する相談事業など、様々な面から高齢者を支援する業務を行っております。運営開始後間もない時点ではありますが、相談件数やケアマネジメント件数も次第に増加しており、順調に推移している状況です。
 一方、介護予防対策として実施する新予防給付につきましては、認定者の中の要支援1と要支援2の方に対し、状態の悪化を防止することや改善の可能性を引き出すため、運動器の機能向上、口腔ケア、栄養改善事業などを予定しており、既にサービスを開始しております。また、地域支援事業につきましては、介護保険対象までには至らない虚弱な高齢者の方が、要介護状態に陥らないように支援する事業を予定しておりまして、只今、出来る限り早くこれらの事業を実施できるように準備を進めているところであります。また、今回の介護予防制度改正には、これらに加え、高齢者の方々が住み慣れた地域で暮らし続けられるように地域密着型のサービス体制を整備し、家族的な雰囲気の中で、デイサービスやショートステイ、訪問介護を利用できる「小規模多機能型居宅介護」や「認知症対応型通所介護」といったサービスを受けることができる事業者を町が指定することも盛り込まれておりましたので、この地域密着型サービス事業者に、神戸地内で介護サービスを展開しております「アサヒサンクリーン株式会社」を指定いたしました。
 今後間もなく団塊の世代が高齢化を迎え、介護サービスを利用される高齢者の方々の増加が懸念されますが、明るい元気な町であり続けるためには、高齢者の皆様方も健康であり続けることが第一であると考えますので、介護予防事業とともに、健康づくり事業に力を注いでまいたいと考えております。
 次に、障害者福祉事業についてご報告申し上げます。
 ご承知のとおり、本年4月1日から、障害者の地域支援と就労を進め、自立を支援することを目的に、障害者自立支援法の一部が施行されました。これにより、障害程度の区分認定などを行う審査会を町に設置しなければならないこととなりましたが、障害程度の審査判定事務は、介護認定審査事務と類似するものであることから、牧之原市と協議し、介護認定審査事務と同様に、榛原総合病院組合において牧之原市と共同処理する事務に加える方向で考えており、今定例会に、同組合規約の一部を変更する規約を上程させていただきましたので、ご審議をよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、子育て支援事業についてご報告申し上げます。
 まず、放課後児童クラブでありますが、放課後児童クラブの利用者は年々増加しております。本年度も、前年度と比べ28人増加し、全体では109人の利用者になっており、これは、町内の小学校の1年生から3年生までの児童数の11パーセントを超える人数に当たります。今年度は、住吉小学校区放課後児童クラブ施設を小学校の敷地内に建設いたしますが、目下、7月末の完成を目指して工事を進めているところであります。
 続きまして、保育園の土曜保育でありますが、これまでは、それぞれの園で半日の保育を実施してまいりましたが、この5月から、土曜保育を実施する園を「さくら保育園」1園に集約し、通常日と同じように1日保育を実施することといたしました。土曜保育の申し込みは、5月に26人、6月に25人という状況でありますが、多様化する勤務形態や生活環境の中で、産み易く、育て易い環境づくりを促進するために、保育の形も時代に合ったものに柔軟に変えていきたいと考えております。こうした一環として、10月からは、日曜保育の実施も計画しておりますが、その実施会場となります「わかば保育園」の建設につきましては、予定どおり順調に進んでおり、目下、8月末の完成を目指して、屋内設備工事などに入っております。
 次に、子ども子育て応援ステーションについてでありますが、近年、発達障害の問題が顕在化してまいりました。この問題は、児童虐待につながったり、障害の高度化や重篤化に発展することも危惧されるなど深刻な問題であり、医療、保健、教育、労働の各分野が連携して克服するための施策展開を実現する必要があります。このため、当町では、子どもの発育や発達に不安を持つ保護者の方などが気軽に相談できる場を設け、専門相談員による育児についての助言や指導を通じて育児不安を解消するとともに、療育指導につなげていくことを目的に、「さくら保育園」を会場に、毎月1回「子ども子育て応援ステーション」を開設し、グループ指導による相談支援事業を実施しております。さらに、保育園における同様の問題を解消するため、療育の専門相談員による巡回指導も実施するとともに、保育士を専門施設に派遣し、療育体験研修も受講させております。この分野では、まだ十分なノウハウが蓄積されておりませんので、事業を実施しながら研究を重ね、より効果的な施策を取り入れるようにしてまいりたいと思います。
 次に、社会教育の中で進めている子育て支援事業「子どもの居場所づくり」についてご報告申し上げます。
 町では、土曜日を中心とした学校休業日に、自分の興味のあることにチャレンジし、地域の人々や自然とのふれあいを通して、心豊かでたくましい子を育むために「吉田町チャレンジ教室」を開いています。また一方では、地域社会の教育力を高めるため、地域の各団体や組織のネットワーク化を図るとともに、住民主導による地域の子どもを育む体制づくりを推進することを目的とする「子どもをはぐくむ地域教育推進事業」も行っています。
 今年度の「吉田町チャレンジ教室」は、これまで同様、地元の大人が講師を務めますが、新たに、こども料理教室やわんぱくキッズなどの教室が加わりました。教室数は全部で20教室となり、町内の小学生を対象に、今月から来年3月までの毎月1回、土曜日又は日曜日の午前中を中心に行われ、運営には、中学生ボランティアにもお手伝いいただく予定になっております。
次に、「子どもをはぐくむ地域教育推進事業」ですが、本年度も、川尻区では、NPO法人しずかちゃん、竹炭と蛍の会、川尻区自治会などが中心となって立ち上げた「川尻区地域教育推進協議会」が事業を運営してくださることになっており、それぞれの団体が連携し、協力して、「あつまれ!川尻っ子まつり」や「地域における通学合宿」を実施する予定になっております。一方、北区においても、自治会を中心に二葉会や地域ボランティアなどが、自彊館を拠点として、「自彊わくわく教室」を開設しており、放課後児童クラブと連携して、今月から毎週月曜日の放課後に、昔の遊びや自然体験などを行いながら、放課後における子どもたちの安全な居場所づくりを進めてくださっております。
 また、片岡区と住吉区におきましても、今後、同様の取り組みを行っていただける見込みであります。
こうした事業が各所で展開されるようになったことは大変喜ばしいことで、 “地域の子どもは地域で育てる”という意識が徐々に地域に浸透していると感じておりますので、こうした取り組みが町全体に波及するように地域と連携を強めてまいりたいと考えております。
 続きまして、学校教育関係の事業についてご報告申し上げます。
 学校教育関係では、今年度、住吉小学校に知的障害学級と難聴障害学級の2クラスの養護学級を新設いたしました。これは、住吉小学校の学区内に居住し、障害のある就学年齢に達した児童を持つ2人の保護者が、自分の子どもを住吉小学校に通学させようとする強い意志を示されたことから、町では、専門家の意見もお伺いして検討を行い、その結果を踏まえてこの学級の設置を決め、県に対する度重なる要望も行って実現したものです。この養護学級開設に当たりましては、トイレの改修と保健室へのトイレユニット設置を行うとともに、エアコンも設置し、受け入れに十分な体制を整えました。その甲斐あって、現在、養護学級の児童2人は、元気に通学しております。
 次に、国際理解教育推進事業についてご報告申し上げます。
当町では、小中学校における外国人講師の効果的な活用方法を検討しておりましたが、その結果、単に英語教育を目的とした授業を担当させることにとどまらず、小中学生が、世界各国の文化や、文化の違いから出てくる考え方の違いといったことまでを理解でき、広い視野を持ち、自分の考えや意思を表現できるような人材を育成する目的を持って活用することが望ましいとの結論に達しましたので、今年度は、この結論に沿って外国人講師を招致し、国際理解教育推進事業として事業展開することといたしました。この外国人講師による国際理解教育を契機として、子どもたちの間に、英語圏のみならず他の言語圏の文化に対する興味も湧き上がり、国際社会の一員であることの自覚が芽生えてくれることを大いに期待しております。
 今回招致いたしました外国人講師は、イギリス出身の青年でダニエル・ジェンクスさんです。ダニエル講師は、月、水、金曜日の3日間は吉田中学校へ、火曜日は中央小学校へ、木曜日は隔週で、住吉小学校と自彊小学校にまいります。なお、各団体から要請があるときなどは、積極的に派遣してまいりたいと考えております。
 次に、自彊小学校屋内運動場建設についてご報告申し上げます。
 現在、工事は6月20日の完成を目指し、順調に進んでおります。新しい体育館は、鉄筋コンクリート造りの2階建てで、延床面積は1,689.41平方メートルです。1階アリーナは、ミニバスケットボールで2面、バレーボールで2面、バトミントンで4面使用できる広さがあり、2階には、多目的ルームやギャラリーが設置され、一般開放なども念頭に置いた造りとなっております。落成式は、7月7日を予定しておりますので、その後、順次一般開放なども行いながら、地域の学習活動拠点としてご活用いただきたいと思っております。
次に、「教育吉田21」についてご報告申し上げます。
 昨今、急激な社会変革の時代を迎え、社会の発展を左右する人づくりの基盤である教育は、改革のときを迎えており、当町といたしましても、新しい時代を拓く教育体制の構築が重要な課題であると捉えております。このため、今年度、吉田町の家庭教育、学校教育、社会教育のそれぞれの役割と目標、必要となる学習環境の整備などについて、吉田町の10年後、20年後を見据えた構想となる「教育吉田21」を策定いたします。
 策定に当たっては、大学教授、高等学校長、小学校長、教育委員、小中学校教諭、教育委員会社会教育専門員、保護者代表など10人の方々に策定委員会の委員をお願いし、数回の会合とともに、幅広く町民の皆様方の意見をお伺いする機会を設定する予定にしております。策定委員会は、既に5月14日の日曜日に第1回目の会合を実施いたしました。この会合では、静岡県総合教育センター生涯学習推進センター長から「生涯学習について」という演題で講話をいただき、その後に委員会が開かれ、この委員会の会長には、常葉大学の鈴木三平教授が就任されることが決まりました。今後、委員の皆様方には、審議を尽くされた上でご提言いただき、それを基に、「教育吉田21」を取りまとめたいと考えております。
 続きまして、第2次吉田町国土利用計画の策定についてご報告申し上げます。
 当町では、平成18年度と19年度の2か年をかけて「第2次吉田町国土利用計画」を策定いたします。「国土利用計画」は、国土利用計画法に示される国土利用の基本理念に沿って、公共の福祉を優先させ、自然環境の保全を図りつつ、長期にわたって安定した均衡ある国土の利用を確保することを目的として策定するもので、国土に広がる空間や土地の利用に関する最も基本的な計画であり、全国計画、都道府県計画及び市町村計画から成っております。中でも、地域に最も密着している市町村計画の推進を図ることが特に重要でありますので、平成4年6月に策定した現計画の見直しも慎重に行いたいと考えております。
今年度の具体的な作業は、住民の意向を十分に反映させるための住民意識調査を実施するほか、土地利用の分析、現計画の検証などの基礎調査を行い、計画素案をまとめる予定にしております。平成19年度には、この計画素案をもとに、県の担当部局と十分調整して計画案を作成いたしますが、この計画は、議会の議決事項となるものでありますので、計画案がまとまりましたところで、その内容をご説明させていただきたいと考えております。
 次に、空港対策事業についてご報告いたします。
 空港関係では、只今、県から、島田市、牧之原市、吉田町の2市1町に対し、航空機騒音対策事業に係る協定書案が示されているところです。この内容につきましては、「広報よしだ」や町のホームぺージなどでお知らせしておりますが、住吉、川尻、片岡、北区の町内4箇所において開催された富士山静岡空港説明会でも、事業主体である県から、この協定書案の内容について説明がありました。
この協定書は、航空機騒音による障害の防止を図り、生活環境を保全するために実施する航空機騒音対策事業の内容などの基本的な事項を定めるもので、県と町と地元住民の代表である「吉田町空港対策協議会」との間で協議しながら内容を決定することとしており、今後、町民の皆様方からお寄せいただきましたご意見等も参考にするとともに、他市の動向も踏まえながら、具体的な内容についての協議を重ねてまいりたいと考えております。
 次に、都市基盤整備についてご報告申し上げます。
 まず、都市計画道路中央幹線の供用開始についてでありますが、本年2月23日に、東浜公会堂で「中央幹線供用開始に伴う説明会」を開催し、地元の皆様方のご意見などをお伺いしながら、これまで供用開始に向けての準備を進めてまいりました。この説明会によって新たに講じられることとなりました交通安全対策ですが、町で、標識、発光鋲、カーブミラーの設置、カラー舗装化などを実施するとともに、牧之原警察署で、中央幹線と大道通りの交差点部に、歩行者用押しボタン式信号機を設置していただくこととなりました。中央幹線の供用開始は、この信号機が稼動できる状態になり、交通安全対策上の条件が整ってからと考えておりましたので、環境が整う6月28日の正午をもって供用開始を行うことといたしました。
 次に、湯日川に架かるお夏橋架け替え工事についてご報告申し上げます。
 この工事は、静岡空港関連補助金をいただき、静岡県御前崎土木事務所が事業主体となって実施しております。事業内容でありますが、幅員は11メートル、橋長が39メートル、下流側に歩道を設置する計画となっております。工事期間は、平成19年9月までと聞いておりますので、地元の皆様方には、長期間大変ご不便をおかけいたしますが、ご理解をお願い申し上げる次第です。
 続きまして、吉田町都市計画マスタープランの策定についてご報告申し上げます。
 「吉田町都市計画マスタープラン」は、町の創意工夫の下に住民の意見を反映し、まちづくりの具体性のある将来ビジョンを確立して、地区別のあるべき市街地像を示すとともに、地域別の課題に応じた整備方針、地域の都市生活、経済活動などを支える諸施設の計画等を木目細かに、かつ、総合的に定める都市計画の町の方針となります。この計画の策定は、平成17年度から平成19年度までの3か年で行いますが、平成17年度では、概況、既存データの整理、住民意識調査の再分析、現地踏査などを行い、全体構想案まで作成いたしました。また、今年度と来年度には、住民の意見を反映するため、各地区に出向いて地区別会議を開催し、地区毎の課題や将来像などを検討した上で、庁内組織の「マスタープラン策定部会」や「マスタープラン策定委員会」で検討を重ね、成案をまとめたいと考えております。
 次に、浜田土地区画整理事業についてご報告申し上げます。
 本年度の事業計画といたしましては、都市計画道路榛南幹線内で支線成因寺川に架かる橋梁の橋台工事と、約100メートルの区間について榛南幹線の本体工事に着手するほか、区画道路及び雨水排水を考慮した暗渠水路の工事を実施していくと聞いております。
 浜田土地区画整理事業地内には、都市計画道路榛南幹線と東名川尻幹線の主要2路線が計画されており、当町全体の土地利用においても、この2つの道路を有効に活用した町づくりを行ってまいりたいと考えておりますので、町といたしましては、引き続き、浜田土地区画整理組合の活動を支援してまいりたいと考えております。
 次に、広域営農団地農道整備事業についてご報告申し上げます。
 広域営農団地農道整備事業は、榛南地域における広域営農の振興や流通機能の改善、農業基盤の整備を図るため、志太榛原農林事務所が事業主体となって実施している事業でありますが、当町内での事業進捗状況について申し上げます。
 昨年度、路線の測量設計が終了し、最終的な地元説明会を12月に開催いたしましたところ、地元から青柳公園南側附近の線形変更の要望がございましたので、現在、その見直し作業を行っております。また、用地取得状況でありますが、志太榛原農林事務所からは、東名高速道路付近の一部用地について、既に買収を終えたところがあると伺っております。また、町単独事業として実施いたします青柳公園から県道住吉金谷線までの歩道部につきましては、今年度から2か年で用地買収を進める予定にしており、この部分の工事につきましては、平成21年度完成を目指して県で実施していただく予定であります。
 続きまして、米の生産調整についてご報告申し上げます。
 米の生産調整につきましては、平成16年度から、従来の減反面積配分方式が変更され、需要に応じて作付けできる数量配分方式となりました。このため、生産目標数量を生産面積に換算し、部農会を通じて農業者に配分し、ご協力をいただいております。今年度の、米の生産目標数量は912トン、面積換算いたしますと171.1ヘクタールの配分となり、水稲作付率は60.2パーセントとなります。このようなことから転作の推進につきましては、「吉田町水田農業ビジョン」に掲げてある大豆やスイートコーンの栽培を奨励するとともに、担い手の育成や農地の利用集積を進めてまいります。また、平成19年度からは、農業者や農業者団体の自主的かつ主体的な需給調整システムに移行することになっておりますので、今年度から、円滑な移行に向けて検討を進めてまいります。
 次に、吉田漁港津波防災ステーションの整備についてご報告申し上げます。
 吉田漁港津波防災ステーションにつきましては、予想される東海地震での津波や台風での高潮による災害から吉田漁港背後地の住民の生命と財産を守るため、陸閘と大幡川水門の一元的な遠隔操作や制御が可能となる防災上重要な施設を整備するため、平成17年度から、国と県の補助を受けて、「津波・高潮危機管理対策緊急事業」として進めております。今年度から、本格的な工事に着手してまいりますが、まず、第2陸閘、第4陸閘、第6陸閘の電動化工事を実施いたします。また、東側泊地の出入り口となる第6陸閘付近に、現場機器の管理を行う「被制御所」の建築と受電設備機器の製作、被制御所から陸閘と水門までの配線工事を実施することとしております。
今年度末には、第2、第4、第6の各陸閘が電動で開閉できるようになりますので、現在緊急時に陸閘閉鎖の役割を担っていただいている漁協職員や地元自主防災会の皆様方のご負担を大いに軽減できるものと思っております。いつ発生してもおかしくないと言われている東海地震に備えて、吉田漁港背後地の住民の皆様方が安心して暮らせるよう、平成21年度完成に向けて着実に整備を進めてまいります。
 次に、防犯対策についてご報告申し上げます。
 最近、当町を含む牧之原警察署管内では、窃盗犯などの犯罪件数が急増しております。また、世相として、子どもが被害者となる凶悪犯罪が至る所で発生しておりますが、町では、現在、こうした状況を重く受け止め、犯罪を防止し、安心して暮らせるまちをつくるため、牧之原警察署や牧之原市と連携しながら、「防犯まちづくり条例」の制定に向けて検討を開始いたしました。この条例は、制定することが目的ではなく、地域に広く浸透させなければ意味のないものでありますので、住民の皆様方のご参加を得て素案を練り上げていただき、推進母体となる協議会や実施団体となる組織の育成も同時に手がけてまいりたいと考えております。この条例は、今年度内には議会に上程させていただき、平成19年4月には施行したいと考えております。
 一方、只今進めております防犯活動といたしましては、平成16年度から教育委員会が主体となり、黄色のベストを着用して子どもたちに声かけを行う「笑顔いっぱい運動」が定着しておりますが、これに加え、昨年度から、町の公用車のほか、牧之原警察署警察少年協助員連絡会や吉田町花の会などのボランティアの皆様方の車両に青色回転灯を装着して町内を巡回する「青色防犯パトロール」も実施しておりますので、こうした活動の輪が町内いっぱいに広がるよう、議員の皆様方におかれましても、ご協力賜わりたいと存じます。
 最後に、中山三星建材株式会社跡地である町有地についてご報告申し上げます。
 この用地につきましては、既に、議会におきまして、企業に売却する方針を打ち出させていただくとともに、売却を行うために必要な調査などを実施することを表明させていただき、平成17年度において、土壌調査等の委託経費に係る補正予算をお認めいただきました。その後、土壌汚染や水質汚染などの必要な調査を実施いたしまして、その結果が出ましたので、ご報告申し上げます。
まず、土壌汚染調査につきましては、土地の使用履歴などから、調査ポイントを合計20箇所に絞って実施いたしました。その結果、いずれの箇所でも、調査項目の全てについて基準値内であるとの結果が示され、第一段階の調査としては、土壌汚染は確認されませんでした。また、水質検査では、旧排水処理施設の貯水槽水の水質検査を行いましたが、この検査でも、全調査項目について排水基準値内であるとの結果となり、問題は見当たりませんでした。しかしながら、変電施設内にある4台のコンデンサと6台の変圧器の中の絶縁油についてPCBの含有量検査を行ったところ、6台の変圧器内に入っている絶縁油の全てから、基準値以上の濃度のPCBが検出されました。
PCBは、毒性のある有害物質で、保管や運搬などの取り扱いについては、法律等で厳しく規制されているばかりでなく、処理できる施設も、現在のところ国内に3箇所設置されているだけであります。しかも、処理する場合は、県で策定する処理計画の中に盛り込まれて、はじめて処理可能になるという極めて厄介なものであります。
当町では、目下、この結果に基づいて、県に対し、PCB保有に関する必要な手続きを行っているところですが、本来、こうした情報は、この土地を購入する時点で把握していなければならないものであり、現段階で行う手続きではないと思っております。いずれにしろ、今回のこの調査結果を得て、町としては、借金の返済と同様に、大変大きな荷物を背負わされたとの気持ちを強く抱いております。
 当町は、他の市町村と比較して、恵まれた財政状況にあると言っても、決して有り余る財源を有するような状況ではなく、今後、社会保障費をはじめとする経常経費の増加を考えますと、現在の行財政運営レベルを維持しようとすれば、かなり厳しい状況であると考えざるを得ず、義務的経費である公債費の支出などについては、極力圧縮しなければならないものと考えております。
 こうした考え方に立って、諸施策を展開しておりますので、議員の皆様方におかれましても、健全な行財政運営に結びつく良きアイデアがありましたら、ご教示賜りますようお願い申し上げまして、本定例会の行政報告といたします。