平成28年第1回吉田町議会定例会の開会に当たり、新年度に向けての施政方針並びに各種事業の運営方針等につきまして申し上げます。

当町は、これまで、自然がもたらす恵みを享受しながら、先人たちのたゆまぬ努力によって、人と人との交流を深め、文化を育み、産業を根付かせ、豊かで勢いのあるまちとして発展を遂げてまいりました。

 しかし、現在、当町におきましても、少子高齢・人口減少社会の本格的到来をはじめとする幾多の新たな課題が顕在化しており、当町を取り巻く社会経済情勢は大きく変化しております。

 その課題の中でも、とりわけ、平成23年3月に発生した東日本大震災による津波被害への危惧は特に深刻であり、沿岸域に位置する平坦な地形が特徴の当町に、津波災害に対する早急な対策の必要性を突き付け、また、これを一因とする同年8月の30,605人をピークに始まった人口減少も相まって、当町のまちづくりは、今までにない大きな変革期を迎えております。

平成28年度は、こうした地域特性の悪循環の連鎖に歯止めをかけ、好循環を確立する取組となる、国の「まち・ひと・しごと創生法」に基づいて、平成27年10月に次期総合計画に先行して策定した「人口ビジョン」と「創生総合戦略」を包含した、第5次吉田町総合計画の初年度に当たる年でございます。

今議会定例会では、町の目標とする将来都市像及びこれを達成するために必要な施策の大綱を掲げる第5次吉田町総合計画の基本構想につきまして、ご審議いただくこととなっておりますが、この中でお示しする将来都市像「人が集い 未来へはばたく魅力あふれるまち 吉田町」に向かい、当町は、まちづくりの3つの基本理念に沿って動き出してまいります。

 基本理念の1つ目は、「安全で安心して住み続けることのできるまちづくり」でございます。津波をはじめとする自然災害や事故・犯罪などの危害から守られているとともに、人々の優しさと健やかさが満ち溢れ、不安なく住み続けることのできるまちづくりを進めてまいります。

 2つ目は、「賑わいが生まれ、活力がみなぎるまちづくり」でございます。人々の多様な価値観やニーズに対応した魅力的な取組により、生活者や来訪者が増加するとともに、多様な交流や活発な経済活動により、賑わいが生まれ、活力がみなぎるまちづくりを進めてまいります。

 3つ目は、「豊かな心を育み、愛する郷土を守り、次代につなげるまちづくり」でございます。誰もが郷土の歴史・文化を学び、高い教養を身につけることにより豊かな心を育み、先人から受け継いだ愛する郷土を守るとともに、次代に継承していくまちづくりを進めてまいります。

 そして、誰もが安心できる新たな安全を構築する「津波防災まちづくり」やこの取組と賑わいづくりを一体的に進める「シーガーデンシティ構想」を継続し、確固たる安全・安心な町土を構築しつつ、これまで培ってきた歴史や文化の継承を図り、さらには、次代を担う人づくりに努めるとともに、輝く未来につながるまちの魅力を創出しながら、人と人が相和して心豊かに暮らすことができる、さらに豊かで勢いのあるまちを目指してまいります。

「人が集い 未来へはばたく魅力あふれるまち 吉田町」を目指す平成28年度吉田町一般会計当初予算は、漁港環境整備事業の多目的広場盛土工事に2億6,000万円、多目的広場護岸実施設計業務委託に1千400万円、防災公園整備事業費に2,130万円など「シーガーデンシティ構想」推進のための予算に加え、企業立地促進事業費に5,200万円、同報無線操作卓更新工事に4,565万円、総合体育館耐震補強計画業務委託・実施設計に2,947万円、橋梁点検業務委託に2,200万円など、その他の新規事業のための予算も計上いたしましたことから歳入歳出それぞれ95億9,200万円となり本年度より1憶1,700万円多い、単年度規模では過去4番目の額となる予算を編成いたしました。

 それでは、平成28年度の主な事業につきまして、第5次吉田町総合計画の施策体系に沿ってご説明申し上げます。

はじめに、「災害に強く安全・安心に暮らせるまちづくり」に関連する事業についてでございます。

 東日本大震災以降、町全体を包んでいた津波への恐怖に対しまして、町民の皆さまへ1日も早く安全・安心を提供するという決意からスタートしました「津波防災まちづくり」は、津波避難タワーの建設を中心とする「町民の皆さまの命を守る対策」が概ね完了し、「町民の皆さまの財産、企業の皆さまの生産活動を守る対策」の実現に向けて、海岸防潮堤や吉田漁港周辺のハード整備着手に向けた取組をはじめております。

 吉田漁港における津波対策につきましては、既存の防波堤などの漁港施設や胸壁、陸閘などの海岸保全施設を活用した多重防護により、漁港をはじめ漁港背後地の財産・生産活動を守る施設の整備を進めてまいります。

 平成28年度は、本年度から進めております国庫補助事業の漁港施設機能強化事業により、防波堤を粘り強い構造にするための基本設計と陸揚げ岸壁の機能診断を実施いたします。

 また、海岸保全施設である胸壁等につきましては、安定照査と基本設計を実施し、地震や津波に対する既存施設の状態確認や基本方針等を検討してまいります。

 これらの結果及び昨年度から本年度にかけて実施いたしました県や町による津波シミュレーションの結果に基づき、平成28年度には防波堤や胸壁などの整備方針を決定する予定でございます。

漁港東側に計画しております多目的広場の整備につきましては、現在、国土交通省等からのご支援により公共工事発生土を搬入しておりますが、平成28年度には漁港環境整備事業としまして、この公共工事発生土を利用した盛土工事に着手するほか、護岸の詳細設計を実施いたします。

 防潮堤の役割を担う多目的広場につきましては、防波堤と同様に大津波に対する低減効果を期待するとともに、国土交通省の防潮堤部に計画されている海浜回廊と合わせてシーガーデンの核となる施設として、継続的な水産業の振興や賑わいの創出を図ってまいります。

吉田漁港は、吉田町地域防災計画におきましても海からの輸送拠点という重要施設に位置付けられていることに加え、漁港及び漁港背後地の安全を確保する観点からも、漁港施設や海岸保全施設の強化は急務であると考えておりますので、今後も「津波防災まちづくり」を強力に推し進め、町民の皆さまの安全・安心を確保できるよう努めてまいります。

次に、静岡地域消防救急広域化事業につきましてご説明申し上げます。

 平成22年8月に静岡地域消防救急広域化運営協議会設立準備会を設置し、事業を進めてまいりました静岡市・島田市・牧之原市・川根本町・吉田町による消防救急広域化が、本年4月1日から開始する運びとなりました。

 既に、消防指令につきましては2月9日から広域化後の体制で運用が開始され、これまで問題なく執り行われているところでございます。

 この消防救急広域化により、各消防本部の総務部門及び指令部門が統合されましたことから、現場要員である消防隊及び救急隊に配置可能な人員が生まれ、また、消防隊等の災害出動につきましては、静岡地域全体を捉え、市町及び消防署の区域を越えた出動体制となります。

 このことにより、近年の大規模・複雑多様化している災害から町民の皆さまの生命と財産を守るための消防体制の充実、強化が図られます。

続きまして、「誰もが健康でいきいき暮らせるまちづくり」に関連する事業につきましてご説明申し上げます。

はじめに、「健康づくり事業」についてでございますが、「健康でいきいき暮らせるまちづくり」の実現に向けて、町民の皆さまに心身ともに健康に暮らしていただけるよう、平成23年2月に吉田町健康増進計画と食育推進計画とを併せて策定しました「健やかプラン吉田21」につきましては、中間評価、計画の見直しを本年度に行い、平成28年度から平成32年度までの5年間の当町の健康増進と食育推進の取組の方向性を示した計画を本年3月末までに策定いたします。

本計画は、町民の皆さまお一人おひとりが実践する健康づくりを社会全体で支えるため、行政や関係機関、団体が町民の皆さまと連携して健康づくりを推進することを目指すものですので、完成した計画につきましては、計画の概要版を各戸に配布し、皆さまにお知らせする予定でございます。

 計画では、健康寿命の延伸を目指した健康づくりのため、実態調査や各種統計データなどから明らかとなった町の健康課題を皆さまにわかりやすくお伝えし、町民の皆さまお一人おひとりが何に取り組んでいけばよいのか、一緒に考え実践していくことができるよう、町民の皆さまの身近なところまで保健師、栄養士などが出かけ、学習会を開く「地区健康度アップ事業」を実施していく予定でございます。

次に、母子保健の充実についてでございます。

平成28年度から新たに実施いたします「妊娠・出産包括支援事業」につきましては、妊娠期から子育て期までの母子保健や育児に関する様々な悩みなどに円滑に対応するため、保健師、助産師が専門的な相談支援をする拠点として「子育て世代包括支援センター」を保健センター内に設置し、これまでの母子保健事業に加え、産前、産後の母親のための「産前産後サポート事業」や「産後ケア事業」を新たに開始し、安心して子育てができる支援体制を強化してまいります。

「母子保健事業」につきましては、榛原総合病院の産婦人科の分娩休止により、他市の医療機関への受診を余儀なくされる妊産婦の精神的、経済的負担を軽減するための「出産等支援交通費助成事業」を新たに実施いたします。

また、「特定不妊治療費助成事業」につきましても、男性不妊治療助成部分も含めまして、さらなる制度の拡充を図ってまいります。

その他、母子に対する感染症対策としまして、妊娠を希望する女性が安心して妊娠期を過ごし、母子ともに健康な出産ができることに加えて、赤ちゃんも母体から免疫をもらって生まれてくることで乳児期を健康に過ごせるようになることを目的に、妊娠を希望する女性に対して、麻しん、水痘、おたふくかぜの3種類の感染症の抗体検査費用を助成し、さらに抗体価が低い場合に予防接種費用も助成する「妊娠前麻しん等感染予防助成金事業」を実施してまいります。

 母子保健につきましては、より安全に安心して妊娠・出産・子育てができるよう、関係機関と一層の連携を図り、切れ目ないサービス体制を構築してまいりたいと考えております。

 次に、子ども・子育て支援事業についてでございます。

急速な少子高齢化の進行は、就労環境の変化をはじめ、地域社会の活力の低下、結婚や子どもを生み育てることに対する意識等の変化をもたらしています。

吉田町におきましても、子どもや子育て家庭を取り巻く環境は大きく変化しており、子育てを社会全体で支援していくことが必要となっております。

国では、平成27年度から、「子ども・子育て支援新制度」をスタートし、「子どもの最善の利益」を実現する社会を目指すことを前提に、将来の子育て支援に関する制度や財源を一元化した新しい仕組みを構築いたしました。

このような状況の下、町では、これまで幼児期の保育・教育の一体的な提供による質の向上と、延長保育による保育の量的拡充を進めるほか、地域子育て支援センターにおきましては、家庭における養育等を総合的に支援してまいりましたが、さらに平成28年度からは、児童の一時預かりや塾などへの送迎を担う、ファミリーサポートセンターの設置を目指してまいります。

ファミリーサポートセンターの設置により、仕事をしている子育て中の親だけではなく、専業主婦等も含め、子育ての援助を受けたい人と援助を行いたい人を結ぶ支援システムが構築され、子育てを社会全体で支援することが可能となります。

また、多子世帯への経済的負担の軽減策としまして放課後児童クラブ利用者に対し、第3子以降の利用料無料化を新たに実施いたします。

これまでは、現に放課後児童クラブを利用する兄弟姉妹がいる場合に1人目の利用料は7,000円、2人目以降の利用料は5,000円としていたものを、1人の利用であっても第2子であれば利用料を5,000円、第3子以降であれば無料とするものでございます。

今後も、様々な事業展開により子育てしやすい環境の実現を目指してまいります。

次に、高齢者支援事業についてでございます。

本年1月1日現在における当町の高齢化率は、23.14%に達し、ひとり暮らし高齢者や認知症高齢者の増加など、超高齢社会の進行に伴って多くの課題に直面しております。

 このため、平成28年度に実施する高齢者福祉事業につきましては、高齢者の皆さまが住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるように、医療、介護、予防、住まい及び生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を目指してまいります。

 具体的に申し上げますと、生活課題の解決に重点を置き、買い物、掃除、外出支援などの生活支援サービスの充実や、医療と介護を一体的に提供するための在宅医療と介護の連携、認知症の方とその家族を支えるための認知症施策の推進のほか、地域包括支援センターの相談支援体制の強化を図ってまいりたいと考えております。

一方、国では、一億総活躍社会の実現に向けて「介護離職ゼロ」を掲げ、在宅・施設サービスの整備、介護人材の確保を重点的取組に位置付けておりますが、当町における施設サービスの整備といたしましては、昨年から建設が始まりました地域密着型小規模特別養護老人ホーム「よしだアスカの里」がございます。この「よしだアスカの里」が整備されることで、入所を希望し、自宅で待機されている高齢者や介護する家族への支援に繋がるものと考えております。

また、介護人材の育成・確保につきましても、地域包括支援センターが基幹的な機能を担い、介護支援専門員への助言や介護職員を対象に職場環境の改善を図るための研修会を開催するなど、新たな取組を展開してまいります。

介護が必要になったときに家族が離職することなく働き続けることができ、介護保険サービスが滞りなく利用できるよう、介護保険の内容や手続きについて町民の皆さまへの更なる周知を図り、支援体制を充実してまいりたいと考えております。

続きまして、「活力あふれる産業振興のまちづくり」を目指す「水産業振興事業」につきましてご説明申し上げます。

国の地方創生加速化交付金を活用し実施いたします「広域連携による水産物を活用した産業活性化事業」につきましては、吉田町をはじめとする駿河湾沿岸の静岡市、焼津市、牧之原市、御前崎市の4市1町の持つ様々な水産物、各地の観光資源を連携させ、顧客が求める新たな商品やメニュー、観光コースを開発するものでございます。そして、多くの観光客を誘致するとともに東京や大阪、名古屋などに販路を広げることにより、水産業の振興を図るとともに、産業を活性化させることを目的としております。

 事業内容につきましては、首都圏の消費者に対する嗜好モニタリング調査や旅行業者へのヒアリング、産品や観光資源のPRを実施するとともに、協議会を立ち上げ、商品の開発やイベントの開催、広告、マップ作成なども行う予定でございます。

 この広域連携による事業は、今後、吉田漁港の東側に整備する多目的広場をはじめ、計画しております水産振興施設にも大いに役立つことと確信しておりますので、積極的な事業展開を図ってまいります。

続きまして、「魅力あふれる多様な交流を生むまちづくり」に関連する事業につきましてご説明申し上げます。

はじめに、愛称を「北オアシスパーク」と名付けました防災公園関係についてでございますが、管理棟周辺の公園整備につきまして、今議会定例会において繰越明許のご承認をいただいた後に、管理棟の建築工事と併せ、9月末までの完成に向けて整備を進めてまいります。

次に、町道高島9号線についてでございます。

この路線は、内陸のフロンティアを拓く取組の中で、企業活動維持支援事業の区域における主要な路線であることから、大幡川の橋梁整備を含んだ道路築造を平成28年度から開始する計画でございます。

次に、大幡川の河川改修事業についてでございます。

大雨時における町民の皆さまの不安を解消するため、社会資本整備総合交付金を活用して実施しておりますこの事業は、大幡川だけではなく、上流部の大窪川及び第2大窪川を含む河川改修となりますが、下流部の大幡川から事業着手する計画であり、平成28年度は一部工事を実施する予定でございます。

次に、町営住宅の長寿命化についてでございます。

町営住宅の効率的かつ効果的な維持管理を図るため、吉田町公営住宅等長寿命化計画に基づき、本年度、松下団地A棟の外壁塗装工事及び屋上防水工事を実施いたしました。平成28年度におきましても、引き続き、同じ敷地内の松下団地B棟の外壁塗装工事及び屋上防水工事を実施する計画でございます。

 次に、橋梁の点検業務についてでございます。

 当町におきましても、高度経済成長期に集中的に整備いたしました橋梁の老朽化が進行しており、橋梁を効率的に維持管理していくことが求められております。このため、町が管理しております2メートル以上の橋梁248橋の適正な維持管理を目的として、予防保全の観点も踏まえた近接目視による点検を平成28年度から社会資本整備総合交付金を活用し、実施していく計画でございます。

 次に、空き家対策についてでございますが、全国的に空き家が増加していることを背景としまして、国は、空き家等対策の推進に関する特別措置法を平成27年5月26日に全面施行いたしました。

 当町の空き家数は、平成25年度住宅・土地統計調査結果によりますと、推計で480戸余りあるとされておりますが、より正確な情報を得るために、現在、自治会及び地域の皆さまのご協力をいただきながら空き家の実態調査を実施しているところでございます。

 今後、この調査結果をもとに台帳を整備するなど、データの集積を行い、当町の実態に合った空き家対策を進めてまいります。

次に、賑わいづくりの取組についてでございます。

 当町では、「吉田町まち・ひと・しごと創生総合戦略」に盛り込まれた新たな賑わいづくりと地域産業の活性化を促進させるために、様々な事業を展開しておりますが、多様なまちづくり活動を展開していくには、行政だけでは限界があると感じております。

そこで、賑わいづくりや地域産業の活性化を促進させるため、平成28年度に設立される「一般社団法人吉田町まちづくり公社」を核として、地域産業を活性化させ、更なる賑わいづくりを進めてまいりたいと考えております。

 具体的には、新たな経済活動を喚起するための企業間交流ネットワークを「一般社団法人吉田町まちづくり公社」が中心となって構築し、有用な情報の提供の場として、また、情報交換の場として企業間交流の活性化に向けた取組を行うとともに、働きやすい環境の整備の一環として、ワーク・ライフ・バランスの普及促進に向けたセミナーを開催することなどにより、企業の意識の醸成を図ってまいります。

また、平成28年1月に産業競争力強化法に基づく当町の創業支援計画が国から認定されましたことを受け「吉田町創業支援ネットワーク」が4月から機能いたしますが、公社もネットワークの協力機関としまして、起業者向けの情報提供やセミナーの共催などのインキュベーション機能の提供を積極的に行い、新たな地域経済の担い手の育成を図ってまいります。特に女性の創業を積極的に支援することで、女性の就労や地域活動への参画を促進してまいります。

さらに、民間ならではの切り口で「一般社団法人吉田町まちづくり公社」に、町内産業の情報や魅力的な町の情報を町内外に発信するための「まちづくり情報発信プラットホーム」を構築していただき、「メイド・イン・よしだ」製品を紹介し、将来的には「よしだ・ブランド」の確立を目指してまいります。

 今後は、地域産業を活性化させ、更なる賑わいの創出に向け、「一般社団法人吉田町まちづくり公社」と連携し、多様な事業を展開してまいります。

次に、「八女市・吉田町未来創造の翼交流事業」についてでございます。

 本事業は、平成22年度から取り組んでまいりました福岡県八女市との産業や観光分野の交流を更に継続的な取組とするため、当町と八女市との間で新たな形の交流として、昨年度からスタートいたしました。

昨年は、7月15日と16日の2日間にわたり八女市において、「八女市・吉田町未来創造の翼交流フォーラム」が開催されましたが、本フォーラムにつきましては、1年に1回、輪番制で開催することとしておりますことから、平成28年度におきましては、7月頃に当町に八女市長等をお迎えして開催する予定でございます。

 交流事業につきましては、静岡県市町村振興協会の「地域づくり推進事業」を活用し、産業・観光分野や文化・スポーツ分野の継続的な交流を実施していくとともに、八女市と協力し新たな交流の展開も検討してまいります。

続きまして、「次代を担う心豊かな人を育むまちづくり」に関連する事業につきまして、ご説明申し上げます。

 はじめに、「新教育委員会制度への移行について」でございます。

地方教育行政の組織及び運営に関する法律が一部改正され、平成27年4月1日から施行されました。この改正では、教育行政の責任体制を明確化するため、教育委員長と教育長を一本化し、首長が議会の同意を得て新たな教育長を任命することが大きな柱の一つとなっております。

当町といたしましても、平成28年度から新体制へ移行し、引き続き、総合教育会議の場において、教育委員会と協議や調整を行い、教育政策の方向性を共有しながら、本年度策定いたしました「吉田町教育大綱」に掲げた方針に沿った教育行政の推進を図ってまいります。

次に、「学力向上の施策の推進について」でございます。

教育委員会では、「吉田町ラーニングプラン」を策定し、平成26年度から授業改善を中心に、学校・家庭・地域が一体となって児童生徒の学力向上を図るために様々な取組を行っておりますが、平成28年度には、土曜学習の手法を取り入れた「公設学習塾」も開設し、町独自の学力調査結果に基づく児童生徒の個に応じた学習教材の提供を行い、さらに児童生徒の基礎学力と学習意欲の向上を図ってまいります。

次に、「幼児教育の充実について」でございます。

幼児期の教育は、生きる力の基礎を培う重要なものであり、この時期に質の高い幼児教育が提供されることは極めて重要であると考えております。

遊びや生活を通じた学びが主体の幼稚園及び保育園と、授業が学びの中心となる小学校とでは指導方法が異なり、入学直後の児童が小学校生活に適応できないなど、いわゆる「小1プロブレム」の解消は、当町においても喫緊の課題であります。

そこで、平成28年度におきましては、幼稚園、保育園、小学校の連携体制を強化し、幼児教育に対する共通理解を深める場を設けて情報の共有化を図るとともに、独自の「幼児教育カリキュラム」を作成し、実践してまいります。

次に、「吉田町シニアカレッジ事業について」でございます。

当町におきましては、高齢化率が23.14パーセントに達し、既に超高齢社会に突入している状況でございますが、高齢者の皆さまがいきいきと生活していくためには、生涯にわたり学び続ける意欲をもち、自発的に生きがいづくりを見つけていく場の創出が必要となります。

そこで、高齢者の皆さまに新たな学習機会の場を提供するため、「吉田町シニアカレッジ」の10月の開講を目指して準備を進めてまいります。

この「シニアカレッジ」は、2年制を基本とし、座学や体育、修学旅行など多彩な内容を用意するほか、高齢者の皆さまが学んだことを地域づくりに還元するなど、より一層地域で活躍していただくことを促進するものでございます。

10月の開講に向けましては、「吉田町シニアカレッジ設立委員会」を立上げ、高齢者の皆さまのご意見を伺いながら、第1期生の受け入れ準備を進めてまいりたいと考えております。

次に、「吉田町総合体育館の耐震補強及び大規模改修事業について」でございます。

吉田町総合体育館は、建築から30年が経過し、平成17年に実施しました耐震診断結果では、近年発生すると想定されている東海地震や南海トラフ大地震により、倒壊することはないものの、かなりの被害を受けることが想定されると診断されております。

このため、平成28年度につきましては、吉田町総合体育館の耐震補強計画及び実施設計のほか、天井の落下物防止及び漏水対策、トイレのバリアフリー化の実施設計業務委託を行い、平成29年度から工事に着手できるようにしてまいります。

 次に、図書館についてでございます。

 図書館につきましては、図書館システムの更新を10月に予定しております。

また、この更新期間を利用しまして、図書館1階の公開書庫にビジネス支援コーナーを、2階の児童図書フロア入口に子育て支援コーナーを設置し、更なる利用者サービスの向上、充実を図ってまいります。

続きまして、「豊かな自然と共存するまちづくり」に関連する事業につきましてご説明申し上げます。

はじめに、上水道事業についてでございますが、平成28年度の施設整備としましては、第2配水池内の流量計の更新、電気室の建替工事を実施いたします。

 管路整備につきましては、石綿管、老朽管、他事業に伴う水道管の布設替等の事業としまして、北原東2号線送・配水管布設替工事、中原地区配水管布設替工事を含め10本の工事を実施いたしますが、北原東2号線の工事により当町の石綿管は、全て除去されることとなります。

また、人口動向を加味した中長期的財政収支に基づく水道施設の計画的な整備・更新等を実行し、持続可能な水道事業を実現するための新規事業としまして「アセットマネジメント」を実施いたします。

次に、下水道事業についてでございます。

合併処理浄化槽の普及等汚水処理を取り巻く環境や土地利用等も変化してきていることから、平成27年度と平成28年度の2か年で、全体計画の見直しを進めております。

また、下水道事業の公営企業会計への移行の取組として、平成27年度から移行に必要な業務の検討を行っておりますが、引き続き平成28年度も業務の検討や調査を行い、準備を進めてまいります。

浄化センター建設につきましては、施設の長寿命化計画に基づく、電気・機械設備の改築・更新を実施したします。これは、平成7年に浄化センターの供用を開始して以来20年が経過し、施設が老朽化する中、耐用年数を超える設備もありますことから、長寿命化計画に沿って、ライフサイクルコストを念頭に置き、効率的かつ効果的に、国庫補助事業を利用して設備の改築・更新を行うものでございます。

管渠整備につきましては、片岡辻の東側、国道150号の南側歩道に汚水管渠の布設を行うほか、主要地方道島田吉田線と町道塩谷上川原線を、片岡地区の国道150号より北側の地区に向かって整備いたします。

また、県道住吉金谷線につきましては、国道150号を横断して汚水管渠の整備を進める予定でございます。

その他、耐震化対策につきましては、避難地である住吉小学校及び福祉避難所である住吉杉の子園に向かう主要管渠のマンホール継手の耐震化を図る予定でございます。

 次に、吉田町牧之原市広域施設組合の事業となりますが、リサイクルセンター整備事業について申し上げます。

平成27年度及び平成28年度の2か年で実施しておりますリサイクルセンター旧焼却炉施設の解体を含めた吉田町牧之原市広域施設組合リサイクルセンター整備工事につきましては、旧20トン炉焼却施設及び旧30トン炉焼却施設の解体が、周辺へのダイオキシン飛散もなく無事終了しました。

平成28年9月の工事完了に向けて、引き続き、リサイクルセンターの整備工事を進め、完了後は、更なる利便性の向上、リサイクル率の向上のための事業を展開してまいります。

 続きまして、「行政と住民が一体となって取り組むまちづくり」を目指す行財政関連事業のうち、「ふるさと納税」につきましてご説明申し上げます。

ふるさと納税は、自分が生まれ育った故郷、応援したいと考えている地方公共団体に寄附を行うと、その年の所得税及び翌年度の個人住民税から控除を受けられる制度で、平成20年4月30日に公布された「地方税法の一部を改正する法律」により開始されたものでございます。

当町といたしましては、本制度の趣旨を踏まえ、ふるさと納税はあくまでも納税の一つとして考え、これまで特産品の返礼については慎重な対応を取ってまいりました。

そうした中、平成27年度の税制改正において、平成27年4月1日から、減税対象となる寄附金額の上限が約2倍に拡大したことや、住民税などの減額を受けるための確定申告が不要となる「ワンストップ特例制度」が設けられたことから、より寄附しやすい環境が整ってまいりました。

さらに、政府のまち・ひと・しごと創生本部は、平成28年度税制改正において、企業の地方公共団体への寄附を促すために減税効果を現行の2倍に高める優遇措置を講じる「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)」の創設を目指し、ふるさと納税を地方創生の一環として推進しようとしているところです。

このような状況を受け、当町におきましても、国の動きに合わせ、「吉田町まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、その取組を始めたところでございますことから、この機をとらえ、「ふるさと納税」制度本来の趣旨を念頭に置いた節度ある運用に努めながら、町が応援を求めたい事業などを明確に示させていただき、応援をして下さる方のご意向が反映されやすい仕組みの「よしだ版ふるさと納税」を開始してまいります。

当町が実施するふるさと納税は、全国に吉田町の魅力を発信するため、特産品の掘り起こしやブランド化を積極的に図っていく必要があると考えておりますので、行政だけでなく、町の賑わいの発信を担っていただく「一般社団法人吉田町まちづくり公社」にも手伝っていただけるよう準備を進めてまいります。

以上、平成28年度を迎えるに当たり、「人が集い 未来へはばたく魅力あふれるまち 吉田町」の実現に向けて実施いたします各種施策の方針や概要並びに基本姿勢について述べさせていただきました。

新年度に向けましては、第5次吉田町総合計画を着実に推進し、行政課題に柔軟かつ迅速に対応するための組織体制を目指した機構改革の実施も予定しておりますが、吉田町まち・ひと・しごと創生総合戦略における基本方針の方向性にもお示ししましたとおり「津波防災まちづくり」を強力に推し進め、確固たる安全の下、「子育て」、「教育」、「健康づくり」といった支える安心を提供することで、活気ある若い人が集まり、元気な子供が増え、そして、この町で生活し続けたいと願う人が増え続ける社会、言い換えれば、「豊かで勢いのあるまち」であり続けることができると確信しております。

そして、この「津波防災まちづくり」と賑わいづくりを一体的に進める「シーガーデンシティ構想」の実現により「豊かで勢いのあるまち」に、さらに「心を魅了する要素」を加えた新たな吉田町を創り出したいと考えております。

是非とも、議員各位におかれましては、当町の「まちづくり」に対しまして、ご理解をいただき、今後も格段のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げ、施政方針といたします。