令和2年第2回吉田町議会定例会の開会に当たり、本来であれば町政運営の概要等についてご報告申し上げるところではございますが、今回は4月からの2か月間、危機管理上重大な課題であるとの認識の下、最優先で取り組んでまいりました新型コロナウイルス感染症対策についてご報告申し上げます。

世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症は、いまだ収束の兆しが見えず、厚生労働省が発表した5月29日現在の国内の感染状況は、PCR検査陽性者16,719例、死亡者874人が確認されております。

亡くなられた方々とそのご遺族の皆さまに対しまして謹んでお悔やみを申し上げますとともに、感染された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

国では、新型コロナウイルスの急速なまん延を踏まえ、4月7日に新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「緊急事態宣言」を東京、大阪など7都府県を対象に初めて発令し、4月16日にはその対象地域を全国に拡大いたしました。これを受けて、静岡県では県民に対し、外出自粛や催し物等開催の自粛を要請する緊急事態措置が行われました。

こうした状況の中、当町におきましては、2月28日に吉田町新型コロナウイルス感染症対策本部を立ち上げて以降、国や県の動向を注視しながら、これまで10回におよぶ対策本部会議を開催し、国や県が示す方針に基づき、感染予防と感染拡大防止を主眼に置いた対策や町内公共施設の利用方針等について協議、決定してまいりました。

現在の国内の状況につきましては、5月14日に静岡県など39県において緊急事態宣言が解除され、5月21日には大阪府など3府県で、5月25日には全国において解除されました。しかしながら、忘れてはならないことは、緊急事態宣言が解除された後でも私たちの周りにはウイルスが確実に存在しているということでございます。日常のあらゆる場面でウイルスへの警戒を怠ることなく、「三つの密」を徹底的に避ける、「人と人との距離の確保」や「マスクの着用」、「手洗いなどの手指衛生」をはじめとした基本的な感染対策を継続するなど、感染拡大を予防する「新しい生活様式」の定着を図る必要がございます。

新型コロナウイルス感染症につきましては日々状況が変化しておりますが、町民の皆さまの安全と安心を確保するため、今後も引き続き、感染拡大防止に向けた対策に全力で取り組んでまいりますので、議員各位におかれましても、是非ともご支援を賜りますようお願い申し上げます。

それでは、これまで講じてまいりました主な感染症対策につきまして、4つの分野に分けてご報告申し上げます。

はじめに、「感染防止対策」につきましてご報告申し上げます。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、マスクの入手が困難な状況となりましたことから、当町では、町内の医療機関や障害者施設、介護施設、保育園、小中学校、放課後児童クラブ等に対し、町で備蓄しておりましたマスクを順次配布するとともに、感染すると重症化するリスクが高いといわれている腎臓や呼吸器、免疫機能に障害がある方や、特に体調管理に気を付ける必要のある妊婦の皆さまにも個別にマスクを郵送させていただきました。

また、広報よしだ5月号に布マスクの作り方と型紙を掲載し、製作していただいたマスクを町にご提供いただけるようお願いをさせていただいたところでございますが、先日、ご提供を受けましたマスクの一部を、町内の放課後等デイサービス事業所を利用されている皆さまにお配りいたしましたところ、大変喜んでお受け取りくださいました。今後は、障害者や1人暮らし高齢者の皆さま等にお配りし、感染防止に役立てていただければと考えております。

こうした取組の一方、新型コロナウイルス感染症に対応する地域の医療体制につきましても、県や関係市町、医師会、医療機関等の皆さまと協議を進めてきたところでございますが、先般、榛原医師会から、感染の第2波に備えてPCR検査の体制強化を図るべく、「地域外来・検査センター」を設置する方向で準備を進めていくとの意向が示され、その設置に向け、関係市町、医師会、榛原総合病院等との協議も進めております。新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、日々、感染リスクと隣り合わせで働いておられる医療従事者の皆さまに心より感謝を申し上げますとともに、今後も十分な医療体制が維持されるよう支援してまいりたいと思います。

続きまして、「事業者への支援」に関する対策につきましてご報告申し上げます。

はじめに、中小企業事業資金利子助成制度についてでございます。

新型コロナウイルス感染症の影響により経営が悪化している町内の中小企業者を支援するため、当町では、4月6日から県の経済変動対策貸付に協調した制度融資を実施しております。これは、町が1.4パーセント以内の利子補給を行うことで、事業者の皆さまが1年間、利子を負担することなく融資を受けられるもので、5月29日時点で45件の申請がございました。

次に、新型コロナウイルス感染拡大防止協力金についてでございます。

これは、4月下旬から5月上旬までのゴールデンウイーク期間中に、町及び県の休業要請に応じていただいた事業者の皆さまに対し、町の休業要請対象者には30万円、県の休業要請対象者には県から20万円、町から10万円を支給するものでございますが、5月29日時点で77件の申請がございました。休業要請にご協力いただきました事業者の皆さまには、改めて感謝を申し上げます。

次に、商工業振興事業費補助金についてでございます。

町では、新型コロナウイルスの影響により急激に売上が減少した事業者や店舗の事業継続などを支援するため、吉田町商工会が実施するプレミアム付き商品券発行事業に対し補助金を交付することといたしました。このプレミアム付き商品券は、1セット3,000円分の商品券を2,000円で購入することができ、昨日5月31日から販売が開始されております。この商品券により町内における消費の拡大が図られ、地域経済回復の一助となりますことを期待しております。

続きまして、「生活の支援」に関する対策につきましてご報告申し上げます。はじめに、特別定額給付金についてでございます。

現在、町では、国の新型コロナウイルス感染症緊急経済対策として、家計の支援を行うことを目的に、1人につき10万円を支給する特別定額給付金事業を実施しているところでございます。本事業は、令和2年4月27日現在において、当町の住民基本台帳に記録されております町民の皆さま29,537人が給付対象者となり、各世帯の世帯主が一括して申請及び受給するもので、5月18日に町内全世帯に申請書を郵送し、5月21日から受付を開始いたしました。

5月29日時点の申請状況を申し上げますと、対象世帯総数11,558件のうち、既に9,000件を超える申請をいただいており、町では、受領いたしました申請書の内容及び添付書類等の審査を行い、順次、給付手続を進めているところでございます。町民の皆さまへの給付につきましては、今後、随時行ってまいりますが、5月28日に初回給付として、1,772件、4億9,640万円の支給を行ったところでございます。

この特別定額給付金の申請期間は8月20日までとなっておりますが、町民の皆さまが一日でも早く給付金を受給することができますよう、引き続き、迅速かつ的確に給付事務を進めてまいります。

次に、国民健康保険・後期高齢者医療被保険者への傷病手当金についてでございます。

これは、労働者が新型コロナウイルスに感染した場合はもちろんのこと、発熱等の症状があり感染が疑われる場合にも安心して仕事を休みやすい環境を整備するため、国民健康保険及び後期高齢者医療において、傷病手当金を支給できる仕組みを整えるよう国から要請があり、当町におきましても、条例の一部改正や予算の追加補正により、傷病手当金を支給することができる体制を整えたものでございます。

次に、水道料金及び下水道使用料の徴収猶予についてでございます。

水道料金及び下水道使用料につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により一時的に支払いが困難となった個人・法人全ての皆さまを対象に、申し出により、本年2月及び3月分の水道料金・下水道使用料の徴収を、最長で4か月間猶予することといたしました。なお、4月分以降の水道料金・下水道使用料につきましても、猶予期間の延長も含め、新型コロナウイルス感染症の影響による社会情勢を踏まえながら柔軟に対応してまいります。

次に、高齢者の皆さまの介護予防や健康維持に関する取組についてでございます。

新型コロナウイルスへの感染を防止するため外出自粛を余儀なくされている中、高齢者の皆さまがご自宅で介護予防や体力の維持に取り組んでいただけるよう、町が実施しております若返り貯筋塾などで講師を務めていただいている健康運動指導士の半田里子氏にご協力いただき、転倒防止や筋力強化につながる8種類の体操を解説付きで広報よしだ5月号に掲載いたしました。また、体操の動きをより分かりやすくお伝えするため、町ホームページでも動画を配信し、周知を図っております。

次に、家庭内保育への支援についてでございます。

町内の保育園及び放課後児童クラブにつきましては、国の指針に基づき、感染防止対策を講じながらお子さまをお預かりする体制を整えてまいりましたが、4月7日、榛原郡内に新型コロナウイルスの感染者が確認されたことを受け、集団保育での感染を少しでも防ぐため、保護者の皆さまには可能な限り家庭内における保育をお願いさせていただきました。この要請は、4月8日から5月17日までの40日間続きましたが、多くのご家庭にご協力をいただき、改めてお礼申し上げます。

また、保護者の皆さまの経済的な負担を軽減するため、対象期間中に家庭内保育を実施していただいた日数分につきましては、保育料や副食費、利用料を日割り計算し、返金させていただきました。

さらには、新しい環境に慣れる間もなく家庭内保育をお願いすることとなりましたことから、保育園に通うお子さまがご家庭においても保育園のことを思い出すことができるよう、保育士が自ら企画、撮影、編集した動画も配信いたしました。

最後に、「学習の支援」に関する対策につきましてご報告申し上げます。

はじめに、新型コロナウイルス感染症に係る町内小中学校の対応についてでございますが、皆さまもご承知のとおり、3月3日から春休みまでの臨時休校に引き続き、新年度を迎えた直後の4月8日から5月17日までの期間を臨時休校といたしました。入学式につきましては、中学校では4月7日に行われましたが、同日、榛原郡内に新型コロナウイルスの感染者が確認されたことを受け、

4月8日及び9日に予定されていた小学校の入学式は行うことができない状況にございました。しかしながら、5月18日に学校を再開し、全小学校においてようやく入学式が行われましたので、入学を心待ちにされていた新1年生の児童や保護者の皆さまには、ひとまずご安心いただけたのではないかと受け止めております。

次に、5月18日からの小中学校における対応についてでございますが、初めの1週間は地区ごとやクラスごとに午前と午後のグループに別れて分散登校を行ったり、学年ごとに授業時間をずらす時差日課を取り入れたりするなどの対策を講じ、段階的に教育活動を再開してまいりました。再開から2週間が経過した現在は、通常の日課で教育活動を行っておりますが、教職員はもちろんのこと、児童生徒も3密を避けるなどの感染防止対策を講じ、新しい生活様式を受け入れながら学校生活を送っているところでございます。

また、臨時休校期間中の家庭学習を支援する取組といたしまして、各学校では、未指導分のプリント教材を全ての児童生徒に配布するとともに、インターネットを介したオンラインドリル「ミライシード」の紹介や、課題プリントのポイント指導を行うための動画配信などを実施してまいりました。現在のところ、新型コロナウイルス感染症の影響により、教育活動の進捗に遅れが生じていると聞いておりますが、教育委員会では、再開した学校において児童生徒が安心して学校生活を送れるよう、心のケアにも配慮しつつ、感染症対策や学力向上に係る取組を進めていくこととしております。

以上、新型コロナウイルス感染症対策についてご報告させていただきましたが、本感染症については、いまだ不明な点が多く、収束の見通しがつかない状況下にございます。今後も引き続き気を緩めることなく、これまでと同様に外出の自粛や都道府県をまたいだ移動を控えることを含め、「手洗い」や「マスクの着用」、「3密回避」などの基本的な感染対策を継続するとともに、国が示す「新しい生活様式」や業種ごとに作成された「感染拡大予防ガイドライン」などの実践を町民の皆さまに呼びかけながら、社会経済活動と感染拡大防止の両立に向けた取組をしっかりと進め、町民の皆さまが安心して暮らせるまちづくりに向けた行政運営に全力で取り組んでまいります。

議員各位におかれましても、こうした町の取組にご理解いただき、今後もご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げ、本定例会の行政報告といたします。