令和2年第1回吉田町議会定例会の開会に当たり、新年度に向けての施政方針並びに事業運営方針等について申し上げたいと存じますが、それに先んじて、只今直面しております新型コロナウイルス感染症対策の概況につきましてご報告申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症は、我が国でも多くの地域に広がり、本年1月30日には、国の「新型コロナウイルス感染症対策本部」が設置され、静岡県にも、本年2月17日に対策本部が立ち上げられました。この状況に鑑み、当町でも、本年2月18日に「吉田町新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置し、情報収集を図るとともに、感染防止対策を開始しながら、町民の皆さま方の安全を守るために万全な体制を整えてまいったところでございます。

 こうした中で、本年2月26日には、総理から、「この1、2週間が感染拡大防止に向けて極めて重要」とした上で、「地方自治体、医療関係者、事業者、国民と一丸となって新型コロナウイルス感染症対策をさらに進めていく」との呼び掛けがあり、翌27日には、「全国全ての小学校、中学校、高校、特別支援学校に対し、3月2日から春休みまで臨時休校とするよう要請する」と表明されました。

 こうした事態に対し、当町では、本年2月28日の午前中に対策本部会議を開催し、町の事業につきまして、「不特定多数が参加する行事等」、「開催時期を変更できる行事等」、「代替手段がある行事等」については中止や延期とする方針を決定し、その対象となる行事等も具体的にリストアップして、広く周知するように即座に情報発信を行いました。また、町民の皆さま方に行っていただきたい感染防止策である「手洗い、マスクの着用を含む咳エチケット、発熱や風邪症状のある方はもちろんのこと、そうでない方々も含めた人混みへの不要不急の外出の自粛」につきましても、より徹底していただくように併せて情報発信させていただきました。

 さらには、同日の午前中に、小中学校の対応につきましても、3月3日から3月13日までの臨時休校と、その期間中の放課後児童クラブの拡充対応の方針を決定するとともに、「3月16日以降の対応については3月11日に判断する」との方針も決定し、児童生徒と保護者の皆さま方をはじめとして広く周知させていただきました。

 こうした対応を行っておりましたところ、残念ながら、同じ日に静岡県内におきまして初めての新型コロナウイルスの感染者が確認され、一層深刻な事態を迎えましたので、これまで以上に緊張感を持って感染防止対策に万全を期してまいります。町民の皆さま方にも、更なる徹底した対策にご協力を賜り、町民一丸となってこの難局を乗り切ってまいりたいと存じます。

 それでは、新年度に向けての施政方針並びに事業運営方針等について申し上げます。

 当町は、東日本大震災以降、「津波防災まちづくり」を喫緊の課題と位置づけ、強力に推し進めるとともに、安全・安心と賑わいづくりを一体的に進める「シーガーデンシティ構想」の具現化や、教育、子育て支援、健康づくりを中心とした様々な施策の積極的な展開により、多くの人々で賑わい、誰もが安心して住み続けることができる魅力的なまちづくりを進めてまいりました。その結果、東日本大震災が発生した平成23年3月から本年2月までの間に新たな工場や店舗を建設し操業を開始した企業・店舗は18社、さらに、これから操業開始を予定している企業・店舗は9社に上るなど、当町は、「人が集い 未来へはばたく魅力あふれるまち 吉田町」の実現に向けてたゆまぬ努力を続けております。

 こうした中で迎える令和2年度には、「第5次吉田町総合計画後期基本計画」に基づく行政運営がスタートするわけでございますが、計画の初年度となる令和2年度には、これまで着実に整備を進めてまいりました川尻海岸の防潮堤と吉田漁港内の多目的広場が接合し、約2キロメートルの緑豊かな回廊が皆さまの目に見える形で現れてまいります。また、国が実施しております大井川河口の河川防災ステーションの基盤整備も本格化し、防潮堤と一体となった新たな安全が築かれてまいりますので、これまでとは大きく異なる魅力ある川尻海岸の眺望を皆さま方にお楽しみいただけるとともに、安全・安心を実感していただけるようになるものと確信しております。

 また、近年多発しております豪雨や台風などの自然災害への対策にも力を傾注し、これまでに引き続き、町民の皆さまが安心して住み続けることのできるまちづくりに邁進してまいる所存でございます。

 このような構想の下、「教育環境の充実」、「新たな安全と賑わいの創出」、「充実した子育て支援の実施」、「健康づくりの推進」の4つの柱を中心に、更なる魅力づくりへの礎を築くべく多様な施策を展開するために編成いたしました令和2年度の吉田町一般会計当初予算は、歳入歳出それぞれ116億2,800万円と、単年度規模では過去最高の額を計上させていただきました。

 それでは、令和2年度の主な事業につきまして、第5次吉田町総合計画の施策体系に沿ってご説明申し上げます。

 はじめに、「災害に強く安全・安心に暮らせるまちづくり」に関連する事業についてでございます。

 川尻工区における防潮堤の整備につきましては、総盛土量約26万立方メートルのうち、今月末までに約20万立方メートルの盛土が完了する予定でございます。令和2年度は、残り約6万立方メートルの盛土と法面の植生などを着実に進め、年度末までに背後盛土を完成させる予定でございます。

 次に、吉田漁港多目的広場の整備についてでございます。

 吉田漁港多目的広場の盛土工事につきましては、国土交通省の防潮堤との取合い部分を残しておおむね完了しており、令和2年度は、防潮堤との取合い部分における盛土工事に着手するとともに、管理道の設置工事も進め、年度末までに防潮堤との接合を完了させる予定でございます。

 次に、吉田町総合体育館へのエアコン設置についてでございます。

 有事の際の指定避難所にも位置づけております総合体育館へのエアコン設置につきましては、令和2年度中に設置工事を完了させ、万が一の避難生活においても、町民の皆さまが日常生活に近い環境の下で快適に過ごすことができる体制を整えてまいります。

 次に、新たな洪水ハザードマップの作成についてでございます。

 平成27年5月の水防法の改正により、洪水浸水想定区域を指定する際の前提となる降雨が、河川の洪水防御に関する基本となる「計画規模降雨」から想定し得る最大規模の「想定最大規模降雨」に変更されたことを受け、国は、平成28年5月に、大井川における想定最大規模降雨を対象とした洪水浸水想定区域図を、また、県は、平成31年3月に、湯日川及び坂口谷川における想定最大規模降雨を対象とした洪水浸水想定区域図を公表しました。

 この公表を受け、当町におきましても、令和2年度に国の交付金事業を活用して既存の洪水ハザードマップの見直しを行い、洪水時における避難行動の一助として町民の皆さまにご活用いただけるよう、洪水予報等の伝達方法や避難場所、洪水時において迅速な避難確保を図るために必要な事項等を記載した新たな洪水ハザードマップを作成する予定でございます。

 次に、治水対策推進事業についてでございます。

 先の議会定例会におきまして、令和2年度までの債務負担行為をお認めいただき、昨年12月に契約を締結いたしました住吉地区における浸水対策計画策定業務につきましては、早期に計画を策定できるよう、引き続き、県と調整を図りながら事務を進めてまいります。

 また、川尻地区の榛南幹線と大幡川幹線との交差点付近で生じている道路冠水につきましては、本年度実施しております原因調査の結果を踏まえ、対策工事に着手する予定でございます。

 次に、河川改修事業についてでございます。

 準用河川であります大幡川につきましては、川尻地区における落差工改修工事が今月中に完了する見込みであり、令和2年度は、落差工付近の不明橋を撤去する予定でございます。

 また、片岡地区の大窪川につきましては、本年度、工事を実施した地点から上流側約50メートル区間の護岸整備に着手する予定でございます。

 次に、木造住宅の耐震化プロジェクト「TOUKAI-0」事業についてでございます。

 「TOUKAI-0」事業につきましては、戸別訪問、ダイレクトメール等によるPR活動や、平成29年1月からの助成制度拡充などにより、一定の事業成果を上げております。令和2年度からは、旧耐震基準により建築された木造住宅の耐震化に係る耐震補強計画策定と耐震補強工事の一体型補助金制度を創設するとともに、ブロック塀の撤去につきましても、避難路や通学路を町の耐震改修促進計画に定めることで国の新たな制度を活用し、申請者の経済的負担を軽減することで、一層の耐震化の推進を図ってまいります。

 次に、防災行政無線の整備についてでございます。

 同報系防災行政無線につきましては、令和4年12月1日からのデジタル波全面移行に対応するため、平成29年度から順次整備を進め、本年度、全ての設備の更新が完了し、デジタル波放送に切り換えることができました。令和2年度は、災害現場等と町の災害対策本部を結ぶ移動系防災行政無線のデジタル化工事に着手し、引き続き、災害時における安定的な通信手段の確保に努めてまいります。

 また、同報系防災行政無線の受信機となります防災ラジオにつきましては、デジタル波全面移行後も引き続き利用することができるよう、令和2年度に設備更新工事を実施し、町民の皆さまにご安心いただける環境を整えてまいります。

 続きまして、「誰もが健康でいきいきと暮らせるまちづくり」に関連する事業につきましてご説明申し上げます。

 はじめに、ロタウイルスワクチンの定期接種についてでございます。

 町では、伝染のおそれがある病気の発生及びまん延を予防するために特に予防接種を行う必要があると認められる疾病については、予防接種法に基づき定期予防接種を行っているところでございますが、本年1月に予防接種法が改正され、乳幼児期の重い急性胃腸炎の原因となる「ロタウイルス感染症」が定期予防接種の疾病対象に追加されました。これを受け、本年8月1日以降に生まれたお子様を対象に、10月1日からロタウイルスワクチンの定期接種が開始されます。当町におきましても、10月1日からの円滑な実施に向け、関係機関と調整を図りながら準備を進めるとともに、町民の皆さまへ周知を図ってまいります。

 次に、「健やかプラン吉田21」の次期計画策定についてでございます。

 当町では、平成28年3月に、「誰もが健康でいきいきと暮らせるまちづくり」を目指す「健やかプラン吉田21 吉田町健康増進計画・吉田町食育推進計画」の中間見直しを行い、お一人おひとりが生涯を通して健康でいきいきと暮らせるよう、それぞれのライフステージに合った健康づくりや食育に関する取組を進めてまいりました。

 この「健やかプラン吉田21」は、令和2年度が計画期間の最終年度となりますことから、本年度は、町民の皆さまの健康観や生活習慣など、健康に関する実態を把握するためのアンケート調査を実施し、現在、調査結果の集計及び分析を行っているところでございます。令和2年度は、この調査結果から明らかになった実態や各種統計等を基礎データとして次期計画を策定し、引き続き、誰もが健康でいきいきと暮らせるまちづくりに取り組んでまいります。

 次に、第9次高齢者保健福祉計画及び第8期介護保険事業計画の策定についてでございます。

 高齢者福祉及び介護保険事業の指針となります高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画は、3年ごとの見直しが義務付けられており、令和2年度は、次期計画である第9次高齢者保健福祉計画及び第8期介護保険事業計画を策定いたします。

 本計画の策定に向け、現在、65歳以上の高齢者が要介護状態になる前の日常生活や社会参加の状況について調査する「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」と、在宅における介護の実態を調査する「在宅介護実態調査」を実施しており、これらの調査結果から現状や今後の課題等を明確にするとともに、令和3年度以降の介護サービス見込量や給付額等の推計についても次期計画に反映させ、引き続き、高齢者の皆さまが安心していきいきと暮らせるよう、高齢者福祉や介護保険に関する施策を総合的に推進してまいります。

 次に、介護人材の確保に向けた取組についてでございます。

 高齢化の進行により、家事援助や通いの場といった生活支援ニーズの増大が予測される中、介護保険事業の担い手の育成やこれまで社会活動に関心がなかった方の社会参加促進を図るため、本年1月に、介護サービス事業所との連携により、配膳や清掃などの「専門職以外でも可能な仕事」を担っていただく介護サポーターを養成するための研修会を開催いたしましたところ、定員を上回る多くのアクティブシニアの皆さまにご参加いただきました。令和2年度からは、介護職員初任者研修の受講費用を助成する制度も創設し、更なる介護人材の確保につなげてまいりたいと考えております。

 次に、市民後見人養成講座の開催についてでございます。

 近年、障害のある方や認知症高齢者等の増加により、成年後見制度の重要性はますます高まっており、こうした状況の中、制度を安心して利用することができるよう、同じ市民の立場で寄り添い支援を行うことができる「市民後見人」が、新たな福祉の担い手として期待されているところでございます。

 このことを踏まえ、当町におきましても、認知症や知的障害、精神障害等で判断能力が十分でない方の権利を擁護する成年後見活動に必要な知識を習得し、市民後見人として活動していただける方を養成する「市民後見人養成講座」を開催し、誰もが住み慣れた場所で安心して暮らしていける地域共生社会の実現を目指してまいります。

 続きまして、「活力あふれる産業振興のまちづくり」に関連する事業につきましてご説明申し上げます。

 はじめに、展望台小山城周辺の整備についてでございます。

 展望台小山城は、町が推進しておりますシーガーデンシティ構想における「賑わいまちづくり」の一翼を担う施設として、能満寺山公園や小山城前広場などと一体となった拠点づくりを進めているところでございますが、令和2年度は、誰もが安心して訪れていただける施設となりますよう、展望台小山城へ続く階段に手すりを設置するための実施設計を行ってまいります。

 次に、「人・農地プラン」の実質化についてでございます。

 「人・農地プラン」とは、農業者が話合いに基づき、地域農業における中心経営体、地域における農業の将来の在り方などを明確化し、市町村により公表するものであり、当町では、平成24年10月に「吉田町人・農地プラン」を策定し、優良農地の保全・確保や農業者の経営安定を支援する取組などを進めてまいりました。令和2年度は、この「吉田町人・農地プラン」の更なる実質化を図るため、町内において最大規模の農地である「吉田田んぼ」を対象に、土地所有者や農業者が主体となり、農業委員会や静岡県、ハイナン農業協同組合等とも連携しながら、5年後から10年後の農地の在り方についてアンケート調査や地域での話合いを行うなど、「吉田田んぼ」を優良農地として継承していく取組を進めてまいります。

 続きまして、「魅力あふれる多様な交流を生むまちづくり」に関連する事業につきましてご説明申し上げます。

 はじめに、シーガーデンシティ構想推進計画についてでございます。

 先に申し上げましたとおり、現在、川尻海岸における防潮堤の嵩上げと吉田漁港多目的広場の盛土工事を進めているところでございますが、これらの施設を活用し、沿岸部における新たな賑わいの創出を推進していくため、昨年12月に、川尻海岸におけるシーガーデンの整備・活用方針を示す「シーガーデンシティ構想推進計画」を策定いたしました。

 本計画では、川尻海岸を、西側の多目的広場を中心としたエリア、中央の防潮堤を中心としたエリア、東側の県営吉田公園を中心としたエリアの3つにゾーニングし、それぞれのエリアが持つ特性を生かした整備・活用方針を掲げております。

 賑わい施設の整備・運営につきましては、近年、官民連携の取組が全国各地で盛んに行われており、成功例も数多く見られますことから、今後は、この推進計画に基づき、民間事業者の企画立案能力や資金調達能力等を含む経営ノウハウを活用できるよう、事業への参画を呼び掛けてまいります。

 次に、東名高速道路吉田インターチェンジ周辺の整備についてでございます。

 吉田インターチェンジ周辺エリアは、新たな安全と新たな賑わいを一体的に創出するシーガーデンシティ構想において、北オアシスパークとともに町の玄関口と位置づけておりますことから、当町を訪れる皆さまをご案内する情報発信機能を充実させるとともに、バス、タクシー、自家用車といった多様な交通手段を効果的に組み合わせた最適な交通システムの拠点整備に取り組んでまいります。

 次に、吉田町地域公共交通網形成計画の策定についてでございます。

 誰もが快適に町内を移動することができる環境整備を目指し、本年度は、名古屋大学との連携により、新たな公共交通システムの構築に向けた調査・研究に取り組んでいるところでございますが、令和2年度は、地域にとって望ましい公共交通網の姿を示す「吉田町地域公共交通網形成計画」の策定に向け、公共交通を必要としている方や事業者のニーズをあらゆる角度からさらに調査し、その調査結果を基に、事業者や住民、利用者の代表者等で構成される吉田町地域公共交通会議において、計画の具体的な内容を協議してまいります。

 次に、多文化共生総合相談窓口の開設についてでございます。

 本年1月1日現在の当町の外国人人口は1,670人、総人口に対する割合は5.6パーセントで、この5年間で1.65倍に増加し、今後もさらに増えていくことが予想されます。また、外国人人口の増加に伴い、あらゆる分野における相談件数も増えている状況でございます。

 このため、令和2年度は、外国人住民の皆さまの行政ニーズを的確に捉え、生活上の相談に多言語で対応できる一元的な相談窓口として「吉田町多文化共生総合相談窓口」を開設し、外国語の通訳者2名をコーディネーターとして配置いたします。また、庁舎窓口や各保育園に音声通訳機も導入し、町内に居住する外国人住民の皆さまが安心して暮らせるよう支援してまいります。

 次に、ふるさと納税推進事業についてでございます。

 返礼品の額が寄附額の3割以内とする総務省の方針を受けた平成30年度の寄附額は、前年度に比べ大きく減少しましたが、本年度4月から12月までの寄附額は5億7,132万5千円で、昨年度同時期の寄附額と比較して約2.5倍の増額となっております。

 これは、寄附金受入窓口の拡大や、首都圏に向けた新聞広告などの積極的なプロモーション活動が成果として現れたものと分析しており、今後もさらに多くの皆さまに吉田町を応援していただけるよう、特産品の開発やブランド化に向けた取組を推進してまいります。

 次に、大幡川幹線の道路改良事業についてでございます。

 大幡川幹線につきましては、現在、事業着手に向けた準備を進めており、今月中には地元の皆さまとの意見交換を実施する予定でございます。令和2年度は、社会資本総合整備計画の策定などに係る国、県との調整・協議をさらに進めるとともに、現地において路線測量を実施する予定でございます。

 次に、町道町上3号線の道路改良事業についてでございます。

 町道町上3号線の道路改良につきましては、現在、地権者の皆さまのご協力のもと、用地交渉を進めているところでございます。令和2年度は、大幡川尻2号線と大幡川幹線とを結ぶ延長約84メートルの道路整備工事を完了させ、供用を開始する予定でございます。

 続きまして、「次代を担う心豊かな人を育むまちづくり」に関連する事業につきましてご説明申し上げます。

 はじめに、「吉田町教育元気物語 TCP Triwins Plan」における令和2年度の主な事業についてでございます。

 当プランの3つの柱であります「子どもの『確かな学力』を保障する環境づくり」、「教職員が授業に専念できる環境づくり」、「保護者の教育ニーズに応じた環境づくり」に掲げているそれぞれの事業につきましては、引き続き、積極的に推進してまいりますが、令和2年度は、この3つの柱を支える基盤整備といたしまして、現在、国が進めております「GIGAスクール構想」の実現に向け、町内小中学校のICT環境の整備を進めてまいります。

 「GIGAスクール構想」とは、Society5.0時代を生きる子供たちの未来を見据え、児童生徒1人1台の学習者用端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備し、公正に個別最適化された学びを全国の学校現場で持続的に実現させる構想であり、当町ではまず、町内の全小中学校にWi-Fi環境を整備するとともに、児童生徒1人1台の学習者用端末の整備といたしまして、令和2年度は、全体のおよそ3分の1に当たる約800台の端末を整備いたします。

 なお、この学習者用端末につきましては、令和4年度までの3年間で、児童生徒1人1台の整備を完了する予定でございます。

 次に、放課後子ども教室推進事業についてでございます。

 放課後における子どもの居場所を確保するとともに、次世代を担う児童の健全育成を支援するため、平成30年度は中央小学校区、本年度は自彊小学校区において、順次、放課後子ども教室を開設してまいりましたが、令和2年度は、住吉小学校区においても、平日4時間授業の日に合わせた放課後子ども教室を開設する予定でございます。

 続きまして、「豊かな自然と共生するまちづくり」に関連する事業につきましてご説明申し上げます。

 はじめに、上水道事業についてでございます。

 水道事業は、町民の皆さまの生活や社会経済活動を支えるライフラインを維持するために重要な役割を果たすものであり、地震災害時においても安定して水を提供し続ける必要がございますことから、令和2年度につきましても、引き続き、基幹管路の耐震化に重点を置き、整備を進めてまいります。

 また、水道施設の正常な運転を維持するとともに、事業費の平準化と施設の延命化を図るため、中長期的な視野に基づく「水道施設更新計画」の策定にも取り組んでまいります。

 次に、下水道事業についてでございます。

 当町では、令和2年度から、下水道事業の公営企業会計への移行を予定しており、先の議会定例会におきまして、関連する条例をお認めいただいたところでございますが、この公営企業会計への移行に合わせ、本年度及び令和2年度の2か年で経営戦略の策定を進めております。策定に当たりましては、今後の当町における汚水処理の構想や広域化・共同化の可能性についても併せて検討し、当町の下水道事業の将来像を考慮した経営戦略を策定してまいります。

 施設整備につきましては、本年度に引き続き、ストックマネジメント計画に基づく浄化センターの電気・機械設備の改築・更新工事を実施するとともに、未普及対策事業といたしまして、吉田特別支援学校付近における片岡2号汚水幹線工事及び浜田土地区画整理事業地内の川尻南部汚水幹線工事を実施する予定でございますが、片岡2号汚水幹線工事につきましては、ゼロ債務負担行為の手法を活用し、本年度末までに発注を終え、新年度当初から工事に着手してまいりたいと考えております。

 続きまして、「行政と住民が一体となって取り組むまちづくり」に関連する事業のうち、行財政構造改革につきましてご説明申し上げます。

 現在、当町では、PDCAサイクルに基づく吉田町まちづくりステップアップ行政評価の運用により、効率的・効果的な行財政運営に取り組んでいるところでございますが、シーガーデンシティ構想の更なる推進や高齢化社会の進行に伴う社会保障費の増大など、行政需要は拡大の一途を辿り、今後は、これまで以上に効率的・効果的な行財政運営が求められます。

 このため、令和2年度は、吉田町まちづくりステップアップ行政評価の運用と並行して、機構を含めた全ての業務における「ゼロベース検証」を行い、一層の行財政構造改革に取り組んでまいります。

 以上、令和2年度を迎えるに当たり、「人が集い 未来へはばたく魅力あふれるまち 吉田町」の実現に向けて実施いたします各種施策の方針や概要について述べさせていただきました。

 令和2年度には、これまで着実に整備を進めてまいりました川尻海岸における防潮堤が、皆さまの目にはっきりと見える形で現れてまいりますので、町民の皆さま方には、これまで以上に安全・安心を実感していただけるものと確信しております。

 また、豪雨や台風などの自然災害への対策にも注力し、引き続き、町民の皆さまが安心して住み続けることのできるまちづくりに邁進してまいる所存でございます。

 議員各位におかれましては、是非とも、当町のまちづくりに対しましてご理解をいただき、今後も格段のご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げ、施政方針といたします。